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2008年6月4日
サンカルロ・ホンダ・グレッシーニにとって、今回のイタリアGPは2008年シーズンに入りようやく期待通りの成績に達する事ができたグランプリとなった様子だ。実際、今回のグランプリにおいてロッシ、ストーナー、ペドロサの三つどもえバトルと同時に注目を集めたのは、今年のMotoGPルーキーの中ではここまでやや控えめな目立ち方と言わざるを得なかったアレックス・デ・アンジェリスの午前のウォームアップでのトップタイム、そしてその好調さを裏付けたレースでの怒濤の走りだった。
■レース開始前から大きな自信のあったデ・アンジェリス
前回のルマン合同テストでは「自分に合うタイヤをついに見つけた」とコメントしていたデ・アンジェリスは、このレース前日の予選で10番グリッドを獲得した時には、「予選タイヤ装着時のセッティングにはやはり課題は残るが、レースペースはすでに非常に高い」と、決勝に向けての高い自信を示していた。さらに決勝直前の午前のウォームアップでは細かな微調整をマシンに施してトップタイムを記録。「スリップストリームがなくても十分に速い。トップスピード以外は大丈夫」と述べて午後のスターティング・グリッドについている。
■スタートには失敗したがその後に怒濤の追い上げ
イタリアに国土を囲まれた小さな共和国であるサンマリノ出身のデ・アンジェリスにとってイタリアGPは準ホームグランプリであり、サンマリノからは彼の地元ファンが常に応援にかけつける。デ・アンジェリスはレースのスタートには失敗して順位を1コーナーまでに14番手にまで落としたものの、そこからは地元ファンの声援を受けながら怒濤の追い上げを開始した。
デ・アンジェリスは2ラップ目には13番手のホプキンス、3ラップ目には12番手のメランドリ、11番手のド・プニエを交わし、続く4ラップ目には10番手を走行していたチームメイトの中野選手、9番手のエドワーズ、8番手のトーズランドも交わし、5ラップ目からしばらくはトーズランドとのバトルになったが、その中でマシン・トラブルにより後退してきた7番手のヘイデンを交わし、9ラップ目までにはトーズランドを抑えきって6番手のドヴィツィオーゾと5番手のカピロッシも交わして、10ラップ目の開始時には4番手にまで急浮上している。
■デ・アンジェリス「ペドロサに追いつけると思った」
4番手に浮上した後のレース後半は、ロッシ、ストーナー、ペドロサのトップ3を追い続け、最終的には3位のペドロサの1.5秒後方にまで迫ったデ・アンジェリスは、途中ではペドロサを交わして表彰台も狙えるのではないかと思ったようだ。なお、デ・アンジェリスのレース中のラップタイムも表彰台を獲得した3名に次ぐ4番手だった。
「この結果には大満足です。今日は自分にとって忘れられない日になりそうですよ。午前のウォームアップではトップタイムでしたし、午後のレースではこの素晴らしい成績ですからね」とデ・アンジェリス。
「バイクの調子がすごくいいのは分かっていましたが、トップスピードが他より若干低かったので、序盤のバトルの時にはまわりのライダーたちを交わしていけるのかどうかが少し不安でした。それにスタートでは大失敗をしてしまい、1コーナーでは順位を14番手にまで落としまったんです。でも、絶対に諦めたくはありませんでした」
「レースの途中では表彰台さえ狙えるんじゃないかと思いましたよ。だってストーナーから遅れ始めた時のペドロサは自分よりもラップタイムが落ちていましたからね。結局それはなりませんでしたが、特に地元の観衆と自分を応援しに来てくれた全てのファンの前でしたから、この4位は本当に嬉しい成績です」
■グレッシーニ監督「アレックスにパッケージを最適化できた!」
タイトルスポンサーを獲得した今期は高い目標を掲げ、今シーズンは中野選手がトップ10入りをここまでに5回連続で達成しても、チームの目標の成績には到達できていないとの厳しいコメントを続けてきたファウスト・グレッシーニ監督は、スポンサーとチームのホーム・グランプリでのデ・アンジェリスの好成績を深く喜び、やっと今シーズンのマシンとタイヤの最適化ができた気がすると、以下の通りコメントしている。
「アレックスが真のレーサーとしての走りを見せてくれましたから、今日は本当に興奮しましたね」とグレッシーニ監督。
「午前のウォームアップでも彼のペースは素晴らしかったので、自分たちのパッケージの性能をアレックスに向けては最大限に引き出す方法をやっと見つけたと言いたくなりました。これでかなりの高い期待感を持ってイタリアを離れる事ができます」
「アレックスには今日の好成績に感謝したいと思います。また、今回のような高い結果が出せるとという信念を今までに失う事なくここまで全力で頑張り続けてきたチームのメンバーにも感謝しています」
「今シーズンのわたしたちはここまでに問題を抱え続けてきましたが、やっとそのコーナーから脱出する事ができたという気分でいます」
■中野選手「ヘイデンとのバトルでリズムを崩した」
一方、開幕戦以外の今年5回目のトップ10入りとなる9位完走を果たし、現在はランキング9位のニッキー・ヘイデンとランキング11位のクリス・バーミューレンの間のランキング10位につける中野真矢選手は、今回のイタリアGPでは予選タイヤ装着時のマシンの課題は改善が大きく進んだとの見解を述べていたが、レースでは序盤には好調な走りを見せたものの、その後のヘイデンとのバトルでリズムを崩し、7ラップ目からレースの最後まで9番手を維持するという結果になった。
「今日は難しいレースでした。スタートは悪くなく、トップ集団も自分の視界に入っていたので、そこからは彼らに追いつく事だけに全神経を集中しましたが、残念ながらヘイデンの背後でタイムを大きくロスしすぎました。ああいうバトルになってしまうと、安定したリズムを維持するのが難しくなるんです」と中野選手。
「それで前方の集団との距離が広がってしまい、高い位置でレースを終えるチャンスを逃す事になってしまいました。今回の結果はとても残念ですが、次戦のカタルーニャには自信があります」
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