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ホプキンス「3度目は許さん」、ウエスト「妄言じゃない」
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インテリマーク編集部
  2008年6月3日

雨天による不安定な路面条件だったイタリアGPの初日、カワサキの2名は2回のフリー・プラクティスを通しての総合トップタイムと3番手タイムをそれぞれに記録していたが、マシンのセッティングには揃って満足していない様子を示していた。その彼らの不安感を反映するかのように、日曜日のイタリアGP決勝レースの結果はカワサキにとっては最悪なものに終わっている。
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■ホプキンスは2戦連続のテクニカル・トラブル

ドライ・コンディションに恵まれた2日目午後の予選に入ってもレース用のセッティングには問題を抱えていたカワサキ・レーシング・チームは、決勝当日午前のウォームアップ・セッションでは抜本的にその内容を見直し、ジョン・ホプキンスはその甲斐あってマシンの感触を改善、14番グリッドからスタートしたレースの5ラップ目には12番手のポジションを維持していたが、7ラップ目にギアシフトが故障して減速できずに1コーナーのグラベルに激しい勢いで突入した。

2週間前のフランスGPではレース中にチェーンが切れてリタイアしているホプキンスだが、2戦連続してテクニカル・トラブルに苛まれリタイアするという不運に見舞われてしまった。


■どうしても最後尾付近から脱出できない今期のウエスト

また、昨年は出場した全レースでポイントを獲得、レース毎に成績を上げていくという好調さが話題を呼んでいたアンソニー・ウエストは、幸運の2007年シーズンを終えて迎えた冬期プレシーズンに突入した途端にタイムシート上の最後尾の常連となり、開幕してもその傾向は一切改善される事なく今回のイタリアGPでも完走者の最後尾となる15番手でレースを終えている。
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■6戦を終えてもウエストの不調の原因が特定できない様子のカワサキ

不調に陥ったプレシーズン直後からウエストはリアのトラクションに問題を抱え、ホイールがスピンしてバイクが前に進まないというコメントを繰り返してきたが、今回もその内容には全く変わりがないようだ。冬季シーズン中はウエストの低い成績について苦言を呈していたカワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーも、フランスGPではチームのマシン・セッティングの不備についてウエストに謝罪するなど、問題認識の矛先はすでに変わってきている。

■昨年との大きな違いはチーフ・メカニックの交代?
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実際、ウエストの2008年シーズンに入ってからの極端な成績の落ち込みぶりは尋常ではないが、昨シーズンとの最も大きな違いを上げるとすればチーフ・メカニックの交代だろう。昨年にウエストのチーフ・メカニックを担当し、以前には中野真矢選手の担当でもあったカワサキでの経験が長いフィオレンツォ・ファナリ(写真上)が今年からはジョン・ホプキンスのチーフ・メカニックとなり、今年のウエストについてはカワサキ1年目のファン・マルティネスが担当している。ちなみにファン・マルティネス(写真下)はセテ・ジベルナウのグレッシーニ・ホンダ時代のチーフクルーであり、ドゥーハンやロッシのサスペンションエンジニアとしても有名だった実績と名声ともに十分すぎるエンジニアだ。
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■ブルギニョンはド・プニエと共にホンダLCRへ

ちなみに昨年のランディ・ド・プニエのチーフ・メカニックを担当していたクリストフ・ブルギニョンは、昨シーズンを最後にカワサキを離れ、今年はド・プニエと一緒にホンダLCRに移籍している。

■必死のセッティング改善を続けるマルティネス、解決の糸口はイギリスGPか

なお、マルティネスは2008年型Ninja ZX-RRがウエストのライディング・スタイルに合うようここまでの毎回のグランプリウイークを通して懸命にセッティング変更を繰り返している。ライディング・ポジションの変更など、基本的な部分からの見直しも常時行っている様子だが、今のところその効果は得られておらず、今後の解決の糸口がつかめるとすればウエストが昨年にMotoGPデビューを果たしたイギリスGPが1つのポイントとなるかもしれない。今シーズンここまでにウエストが経験してきたサーキットは彼がMotoGPバイクでは一度も走行した事のないコースばかりだが、ドニントン・パーク以降は昨年の比較データが存在する事から、問題が2008年型バイクそのものなのか、セッティングなのか、それともやはりライダーに起因する何かがあるのか、少なくとも正しく分析の方向性をつかみやすくはなる筈だ。


■ウエスト「リアトラクションの問題は妄言じゃない」
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もうレース後の不調の原因について説明するのには疲れてしまったという様子のウエストは、今回のイタリアGPの結果と、今後の問題の解決に関して以下の通りコメントしている。

「なんだか自分が壊れた録音再生装置みたいに思えてきました。だって毎回いつも同じ問題点の説明ばっかりですから」とウエスト。

「言いたい事はものすごく簡単ですよ。コーナーから脱出する時にスロットルを開けるとリアホイールがスピンして、本来は前に進むべきところなのにバイクが真横に進むんです」

「これは、はっきり言って、物理的な問題ですよ。アンソニー・ウエストの頭の中にしか存在しない妄想とは違うんです」

「今はチームの問題解決への取り組みに期待します。自分はレースをしにMotoGPに来ているんです。今シーズンはここまでにほんの少ししかそれらしいチャンスには恵まれていません」

「次戦までにチームが解決策を見つけられるかどうかについては、期間は1週間しかありませんから、分かりませんね」


■ホプキンス「3度目は許されない」
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2戦連続してのテクニカル・トラブルに見舞われ、イタリアGPをリタイアして終える事になり憤りを感じている様子のジョン・ホプキンスは、今回の大きな転倒が怪我につながらなかった事は幸運だったとして、同じような問題が発生する事は2度と許容できないと厳しいコメントを残した。

「予選中はレースタイヤでの走行ペースに問題を感じていたので、今日の午前のウォームアップの時にはセッティングを大幅に変更する事をチームと決断しました」とホプキンス。
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「このギャンブルは成功したんですよ。レースの時にバイクの調子はものすごく良くなっていましたからね。でも、レースが7ラップ目に突入したところでバイクに問題が発生し、1コーナーに向かう途中でクイックシフターが壊れてギアが落とせなくなったんです。速度を下げる方法がなくなったので事故の回避は到底不可能でした」

「本当に大きな転倒でしたから、怪我を負わずに自分で歩いて戻って来られたのは本当に幸運だったと思いますよ。今回はレース中の連続2回目のテクニカル・トラブルですから、さすがに憤りを感じますね」

「もう2度と同じ事は許されませんよ」


■バルトレミー「問題の早期解決は難しい」

今回のイタリアGPの結果に再び落胆するカワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーは、連戦の続くヨーロッパ・ラウンド中に2名のライダーが揃って抱えるリアのトラクションに関する問題を早期に解決するのは、時間的に簡単な事ではないと説明する。まずは2名揃って完走できるようにする事が前提条件だとバルトレミーは以下の通りコメントした。
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「今回もまた、カワサキ・レーシング・チームにとっては期待外れの週末になりました」とバルトレミー。

「金曜日と土曜日の不安定な気象条件の影響から、土曜日の午後にドライの路面が得られた時には少ない時間を最大限に活用しようとチームは大きなプレッシャーを感じていましたが、その中でいくつか問題が発生してしまい、結局は期待していたような高い予選結果を得る事ができませんでした」

「レースを目前にわたしたちは非常に大きな変更をセッティングに施す事になりましたが、これはジョンにとって確実に良い効果を生んでいました。しかしながら、この進展はテクニカル・トラブルにより台無しとなり、彼はその影響でレース中に転倒する結果に終わっています」

「そして再び、アンソニーはリアにトラクションの問題を抱えながらもポイントが獲得できるよう最後まで戦い抜きました。わたしたちはその問題の解決に向けて作業を当然進めてはいますが、これだけ多くのレースが短い期間内に重なる中での事ですから、簡単にはいきません」

「2回ものレースでのリタイアを経験しましたから、次戦のカタルーニャでは2名のライダーが揃って完走できるようにする事に焦点をあてていく必要があります」

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