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2008年6月2日
今回のイタリアGPの決勝レースにおいて、元500cc最高峰クラスのライダーであり現在はHRCのRC212V開発ライダーを務める岡田忠之選手が、レプソル・ホンダのワイルドカード・ライダーとしてホンダ・ワークスが開発中のニューマチック・バルブ・エンジンのデータを収集しながらほぼ8年ぶりのグランプリに出場し14位完走を遂げる中、レプソル・ホンダ・レギュラーであるダニ・ペドロサは今期6戦中の5回目の表彰台となる3位を獲得している。
ペドロサが表彰台圏内を好調に維持する一方、チームメイトのニッキー・ヘイデンは5番手を走行していたレースの序盤にマシンが問題を抱えた事から、その後はポイント獲得だけを狙って走行、最終的に13位でチェッカーを受けた。
■場合によってはレギュラー2名もカタルーニャから新エンジン投入?
なお、岡田選手が今回のレースウイークを通して収集した大量のデータは、これから大至急ホンダのスタッフにより慎重に分析され、次戦のカタルーニャGPからペドロサとヘイデンがニューマチック・バルブ・エンジンを使用するか否かの判断材料として使用されると、HRCのチームマネージャーを務める山野一彦氏はレース後に説明している。
■ペドロサは主にメインストレートで順位を落とすも3位表彰台を獲得
ペドロサはオープニングラップでホールショットを奪ったが、2ラップ目のメインストレートではドゥカティーのケーシー・ストーナーに加速で交わされ2番手に後退、その2ラップ後には今回優勝したバレンティーノ・ロッシにやはりメインストレートで交わされて3番手となり、その後の10ラップ目には1コーナーでミスをしたストーナーのインをついて2番手に再浮上したが、14ラップ目には再びメインストレートでストーナーに交わされ、18ラップ目からはフロントタイヤが滑るようになった事から前方を走るストーナーの追撃をあきらめ、23ラップ目のレース終了時には3位のままコントロールラインを通過している。
■ポイントランキングは単独の2位に
なお、前回のルマンでのレース終了時点にはペドロサと同ポイントのランキング2位につけていたホルヘ・ロレンソが今回のイタリアGPを転倒ノーポイントで終えた事から、ペドロサはポイントリーダーのロッシと12ポイント差のランキング単独2位となり、ランキングの3位に後退したロレンソを16ポイント引き離す結果となった。
■ペドロサ「今のエンジンは好調なので今後の焦点はタイヤ」
レース結果の上位4名のうち、ミシュランを履くペドロサを除く3名がブリヂストン・ユーザーだった今回のレースについて振り返るペドロサは、今後の課題はレース後半のタイヤの一貫した性能維持だと認識した様子だ。
「バレンティーノのペースがとにかく速くて本当に厳しいレースでした」とペドロサ。
「スタートがうまくいき、レース序盤はとても速いペースに乗ってケーシーとのバトルになりました。最後には彼を捕らえようと頑張りましたが無理でしたね」
「表彰台を獲得できた事は素晴らしいと思いますし、年間ランキングを考えればいい結果だったと思います。ただ、安定した成績は常に重要ですが、もっと勝利回数が欲しいところです」
「今日のエンジンの調子はとても良かったです。今の自分たちの一番の懸念事項はレース後半のタイヤの一貫した性能維持ですね。今回のレース終盤にはフロントが滑るようになったので、これからはタイヤに焦点をあてていく必要があります」
「バレンティーノは今日ここでの7連覇を達成しましたが、次のカタルーニャでは自分の番になる事を願っています」
■ヘイデン「マシンに問題さえなければトップ集団と同ペースだった」
午前中のフリー・プラクティスではマシンのセッティングを大きく改善する事に成功していたというニッキー・ヘイデンは、現在ホンダ・ワークスが調査中であるマシンの問題さえレース中に発生さえしなければ、トップ集団と同レベルの走行ペースが実現できたと主張している。
「午前中は作業が順調に進み、サスペンションに調整を施した後はバイクの感触がとても良くなり速いペースで走れていました。レースはすごく不運でしたけどね」とヘイデン。
「スタートはものすごく好調でしたし好感触も得られていましたが、レースの序盤に問題が発生したのは明白でした。後続のライダーには次々と抜かれましたが、もうどうする事もできなかったんです。だからその後は数ポイントの獲得を狙って完走を目指すだけになりました」
「今はデータを調査して何が起こったのかをチームが調べている最中です。さっきも述べた通りとにかく今回は不運でした。午前中はロッシのレースペースまでは分かりませんでしたが、十分にあそこで一緒に走れるペースにはなっていたし、かなり競争レベルは高かったと思っています」
■新エンジンをアピールする岡田選手「完走できたし最高!」
いくつかセッティング上の問題点を抱えながらも、ほぼ8年ぶりのグランプリを14位で終えて2ポイントを獲得したHRCの岡田選手は、久しぶりのグランプリ完走に感動しながら、誰よりもレギュラー勢の2名にアピールしたいニューマチック・バルブ・エンジンについて以下の通り説明した。
「レースは完走できましたし、今回はそれが何より重要でした。分析に必要なデータを大量に収集する事ができましたからね」と岡田選手。
「まだエッジのグリップにはいくつか課題があるので、この分野に向けてエンジンを改善するのが次のステップになります。今日は横滑りが激しくてエンジンのパワーを最大限に活用する事ができていません」
「このエンジンを使うメリットはより高い回転域を使える事であり、これはストレートでの優位性につながります。ただ、運転時の扱いやすさについてはもう少し改善を進める必要が残っています」
「このエンジンに関する作業を頑張ってくれたレプソル・ホンダとHRCに、わたしからの感謝の気持ちを伝えたいです。またグランプリでレースができてとても興奮しましたし、最後にチェッカーを受けた時には本当に最高の気分でした」
■レギュラー勢の反応、興味は示すペドロサ、特に考えていないヘイデン
レプソル・ホンダ・チームにとって非常に大きな意味を持つイベントとなった今回の岡田選手によるニューマチック・バルブ・エンジンの実戦投入だが、これについてダニ・ペドロサは「今日の岡田選手が完走した事はとても重要だったと思いますね。多くのデータを収集する事ができましたから、それを検証しながら今晩は議論をする予定です」とコメントしており、レースの終わった直後の日曜日の晩からすぐに次戦のカタルーニャで使用するエンジンについて議論が始まる事を明かしている。
また、冬季シーズン中はニューマチック・バルブ・エンジンの開発テストに作業時間を大きく費やしていたニッキー・ヘイデンは「来週はどちらのエンジンをレースで使う事になるかまだ分かっていません。正直言うと今週はレースの準備に集中していたので、それについてはまだ何も考えていません」とコメントした。
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