MotoGP 速報ニュースサイト インテリマーク
最新ニュース 2007年冬季データ 2007年のMotoGP年間予定、及び各クラスのレース結果 2007年のMotoGP各クラスのポイントランキング インテリマークフォーラム/2輪ロードレースカレンダー/MotoGP天気予報/世界サーキット時計 運営/お問い合わせ
元のページに戻る
カタールIRTAテスト最終日、余裕のペドロサ
インテリマーク編集部
2007年2月16日

MotoGPクラスにおける今年初のIRTAテストが、カタールのドーハ近郊にある砂漠地帯に位置するロサイル国際サーキットで3日目の最終日を迎えた。
写真
21日後にはMotoGPの開幕レースが行われるロサイルのこの日の気温は23度、路面温度は39度、湿度は47%であり、時折砂漠からの砂を巻き上げる突風はあったものの、2日目の朝のように路面が湿る事もなく、終日晴天に恵まれたテスト日和となっている。


■カタールIRTAテスト、最終日の走行結果

以下に、3日間の日程で行われた今年最初のIRTAテストの走行結果を、各ライダーの走行タイム順に示す。
写真
1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分55秒471(87周)
2) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分55秒825(-周)
3) バレンティーノ・ロッシ ITA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 1分55秒954(62周)
4) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分56秒315(67周)
5) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 1分56秒371(61周)
6) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分56秒753(96周)
7) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分56秒807(62周)
8) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分56秒834(36周)
9) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分56秒950(57周)
10) マルコ・メランドリ ITA グレッシーニ・ホンダ RC212V 1分56秒980(62周)
10) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分56秒980(73周)
12) 玉田誠 JPN ヤマハ・TECH3 YZR-M1 1分57秒232(70周)
13) トニ・エリアス SPA グレッシーニ・ホンダ RC212V 1分57秒246(71周)
14) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分57秒269(97周)
15) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分57秒365(-周)
16) ケニー・ロバーツJr USA チーム・ロバーツ KR212V 1分57秒408(-周)
17) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分57秒497(83周)
18) シルバン・ギュントーリ FRA ヤマハ・TECH3 YZR-M1 1分58秒379(70周)
19) 伊藤真一 JPN ドゥカティTTT デスモセディチ GP7 1分58秒974(-周)
20) アンドリュー・ピット AUS イルモア・GP イルモアX3 2分00秒455(-周)
21) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒081(12周)
22) ジェレミー・マクウィリアムス GBR イルモア・GP イルモアX3 2分02秒612(-周)



■最終日までに着実にペースを上げてくるペドロサ

総合トップタイムを記録したのは、前日までの2日間にトップと2番手を独占していたヤマハ・ワークス・コンビではなく、初日から着実にセッティングを進化させてきたホンダ・ワークスのダニ・ペドロサだ。ペドロサのこの日のタイムは、990ccマシンでケーシー・ストーナーが昨年に記録したポールポジション・レコード(予選タイヤ)を約0.2秒上回っている。
写真
ペドロサは今回の総合トップタイムを予選タイヤで記録したが、この日はレースタイヤでも1分56秒835の好タイムをマークしており、初日のバレンティーノ・ロッシのレースタイヤでの記録を上回っている。来月の開幕レースウイークに向けたペドロサ本人とホンダの新型800ccマシンであるRC212Vの仕上がり具合は非常に高いようだ。

■好調さを取り戻したリズラ・スズキとホプキンスだが・・・

また、昨年末から今年1月のメーカー合同テストにかけてトップタイムを維持していたリズラ・スズキのジョン・ホプキンスも、2月のフィリップ・アイランドでの不調を振り払うかのように、再び総合2番手の好位置に舞い戻っており、さらに一段階進化したリズラ・スズキのプロトタイプマシンの仕上がりをアピールする事に成功したようだ。
写真
■ホプキンスは全身打撲と2箇所骨折の疑い

しかしながら、午前中にこの日の総合2番手タイムを記録したジョン・ホプキンスは、昼食休憩の直前に13コーナーを走行中に時速200kmの速度でハイサイドを喫し、バイクから投げ出されて激しく路面を転がったという。全身打撲に加えて右手首と左足つま先を骨折してしまった疑いのあるホプキンスは、事故直後にドーハ市内の病院に収容されて検査を受けたが、患部が腫れ上がっているために精密検査は難しく、現在はイギリスの病院に移動して再検査を受けている。

スペインのヘレスで2月23日から行われる開幕直前のIRTAテストへの参加は絶望的と見られるホプキンスだが、本人は3月10日の開幕レースには絶対的に参加する意欲を示している(ホプキンスの転倒後の情報はこちらを参照)。

■その他の怪我人、転倒者など

初日に激しく転倒して頭を強打し、2日目は走行を見合わせて最終日のテストには復帰したカワサキのオリビエ・ジャックは、午前中に数周回したところで目まいを訴え、12周を終えたところでテストの継続を断念している。
写真
また、ジャックと同様に初日に転倒して足の筋肉を痛め、3日目からテストを再開したイルモアのジェレミー・マクウイリアムスは、年末のヘレスで負った怪我をかばいながらも、無事に最終日の走行を終えた。

なお、この日はダンティーン・プラマックのアレックス・バロスが予選タイヤでのアタック中に今回のカタールにおけるIRTAテストでの9人目の転倒者になったが、幸い本人に怪我はなかったようだ。

転倒者ではないが、ドゥカティー・マルボロのケーシー・ストーナーは午後に体調不良を訴えており、予選タイヤでタイムアタックをする事なく早めに作業を切り上げている。


■ホプキンスの転倒の影響を受けた前日まで連続トップのエドワーズ

この日はテスト最終日のため、一部のライダーは午前中からレースシミュレーションを開始していたが、ホプキンスの転倒に午前のセッションは赤旗中断となり、その時にロングランを行っていたライダーは中断を余儀なくされている。
写真
この時にレースシミュレーションの中断を余儀なくされたライダーの中には、前日までの2日間に連続トップの座についていたコーリン・エドワーズも含まれていた。チームの要望により午後にもこの日2度目のレースシミュレーションを行う事になったエドワーズは、タイヤの使用計画などが狂って調子を落とし、予選タイヤ装着時には別のトラブルを抱えるなどして3日目は総合5番手まで順位を落としている。

■レースタイヤでの総合トップはエドワーズ

しかしながら、予選タイヤでのトップタイムはこの日のペドロサに譲ったエドワーズだが、レースタイヤで2日目に記録した990cc時代のサーキットレコード(レースタイヤ)を1秒近く上回る1分56秒296のタイムは、3日間誰にも塗り替えられる事はなかったようだ。

ちなみに、カタールのサーキットレコード(990cc)は2006年にロッシが記録した1分57秒305、ポールポジションレコード(990cc)は2006年にストーナーが記録した1分55秒683であり、バランスのすぐれた800ccマシンはカタールのような高速サーキットでも、総合的に990ccマシンの記録を上回る事が、今回のIRTAテストでも証明された。


■レプソル・ホンダ、順調なペドロサと復調を目指すヘイデン

今月初旬のフィリップ・アイランドでのメーカー合同テストに引き続き、今年1回目のIRTAテストでも総合トップタイムを記録したレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、最終日は2日目のセッティングをほとんど変えていないようだ。
写真
納得のいくセッティングがすでに初日と2日目に得られたというペドロサは、この日の1日の大半をミシュランタイヤのテストに費やしている。

また、ペドロサのチームメイトであり、2006年度年間チャンピオンのニッキー・ヘイデンは、2日目の転倒で失ったセッティングの方向性を取り戻す事に時間を使っており、タイムアタックよりもフロントまわりの感触の改善を最優先に作業を進めたという。

■ペドロサ「今日は自分自身の仕上がり状態をテスト」

今回の総合トップタイムである1分55秒471を記録したダニ・ペドロサは、この日までに煮詰めたRC212Vのセッティングに自信を示しており、もし開幕戦がこの日と同じ気候条件であれば、有利なレース展開も期待できるとコメントしている。
写真
「最終日はあんまりマシンのテストをしてないんですよ。」とペドロサ

「昨日と一昨日のうちにベストと思えるセッティングが仕上がっていたので、レースでそれがどんな挙動を示すか調べるために結構な周回数を走り込んでみました。レースシミュレーションもしましたし、一番最後に予選タイヤも試しました。」

「今日はバイクのためというより、自分自身のテストって感じでしたね。結果は悪くないです。」
写真
「開幕戦はここで行われますから、今回のうちに好感触をつかんでおくのはものすごく大事ですよ。次回戻ってくる時に走行条件が今日と似ていれば、今回のテスト結果が役に立って有利でしょうね。」

「ただ、今回のテストは自分たちの結果だけが良かった訳ではありません。ヤマハもスズキも、ドゥカティーも同じように速いです。それに、これからタイヤの挙動がどうなっていくか様子を調べ続けますから、まだぜんぜん安心できる状態じゃないですよ。」

「レースシミュレーションを通してバイクの性能を調査したかったんです。今回はいくつか重要な情報が得られましたから、このままさらに改善を続けたいと思います。」

■ヘイデン「今日は調子に乗るのはやめた」

好調だった初日と打って変わり、2日目からタイムに伸び悩みの見えるニッキー・ヘイデンのこの日のタイムは、3日目の14番手タイムとなる1分57秒269だった。
写真
フロントまわりの感触を取り戻すべく終日努力したというヘイデンは、2日目の転倒を振り返りながら、あえて激しく攻めるような走行をこの日は避けている。

写真「昨日以降、マシンの感触を取り戻すためにセッティングを調整しながら何回か走り込まなければいけなくなったんです。今日はかなり乗りやすくなりましたが、あんまり調子に乗ってラップタイムを追いかけるような事はやめました。」とヘイデン

「フロントまわりの感触を取り戻すのが今回の努力目標でした。今日はもう少し速く走りたかったのが本音ですけど、調子そのものは落ちていませんから、ヘレスでもう少し改善を進めたいと思います。」

「初日の午前中はすごく調子が良かったのに、残り2日間はかなり厳しい状態になりました。ただ、時々きつい状況はあるもんですから、それにも慣れていかなきゃダメなんです。ここを健やかに離れるようにして、次のテストでは順調に自分もバイクも進化できるようにしたいですね。」
写真
「チームは昨日ものすごく忙しい1日になってしまったのに本当にかっこよく対処してくれたので、みんなに感謝しています。」


■リズラ・スズキ、マシンを仕上げた矢先の無念の事故

最終日のこの日にリズラ・スズキ勢は、2日目までにスズキの開発ライダーである青木宣篤選手が調整した2種類の新しい仕様のエンジンを導入し、開幕レースに向けてのマシンの最終的なセッティングの仕上げを行っていた。
写真
なお、午前中にはタイムシート上のトップにつけて、年末と今年の1月までにメーカー合同テストで見せた好調な走りを再び取り戻したリズラ・スズキのジョン・ホプキンスだが、冒頭に述べた通り、最後の午後のセッションを前にして時速200kmの速度で転倒し、2箇所を骨折するという大怪我を負ってしまった。

転倒して病院に運ばれるまでに、ホプキンスはこの3日間を通してマシンのジオメトリ変更を何度も行い、スズキGSV-R800を納得のいく状態に仕上げた後は、ブリヂストンの新型タイヤの耐久性テストをレースシミュレーションを通して全て完了していた。

今回の事故は、残りの時間を使ってタイムをさらに上げようとしていた矢先の事であり、マシンの仕上がりを高めたスズキにとってもホプキンスにとっても、非常に残念な結果と言える。

また、ホプキンスのチームメイトのクリス・バーミューレンは、ホプキンスと同様に最終日にはセッティングに満足のいく結果が得られており、昨年の990ccマシンで記録していた自己ベストを1.5秒上回る好タイムをレースタイヤで記録している。彼は今回予選タイヤをテストする時間はなかったようだ。

■デニング監督「ジョンはすごい速さで走ってくれた」

3日間を通して着実に進化を続けてきたGSV-R800に満足し、2名のライダーとチームに感謝を述べるリズラ・スズキのポール・デニング監督は、大怪我を負ったホプキンスの今後の予定は、月曜日以降に判明する事を明らかにしている。

「全体を通してとてもいいテストになりました。今日のジョンの一件をのぞけばですが。」とデニング監督
写真
「どちらのライダーもレース距離を完全に走り込みましたが、バイクは100%安定した状態でした。クリスは予選タイヤで走るチャンスがありませんでしたが、ジョンが今朝すごい速さで走ってくれたので大丈夫でしょう。」

「ブリヂストンタイヤの耐久性はものすごく良かったです。カタールはいつもタイヤ選択が難しいので、これは素晴らしい事ですよ。それに、かなり自分たちの期待していた走行ペースになってきました。先頭集団で走るにはまだもう少し改善の余地はありますけどね。」

「ジョンはレントゲン検査を受けましたが、どうやら手と足に骨折の疑いがあるようです。今は彼の怪我が腫れているので正確な診断はできていないようですが、恐らく月曜日以降には、さらに詳しい情報が入ります。彼がヘレスで走れるかはどうかは、その時に分かると思います。」

「チームはここで本当に頑張ってくれました。繰り返しますが、2名のライダーの活躍は素晴らしかったです。」

「チームのメンバー全員の献身的な姿勢と、ライダー2名の仕上がりの高さは、ここまでのテストを通して十分に分かりました。今回のジョンの件で少しの混乱はありましたが、それでもチームはコースに出る度に、新しい階段を次々と登り続けています!」

■ホプキンス「レースには出る。」

今回のカタールでの3日間総合の2番手タイムである1分55秒825を記録したジョン・ホプキンスのコメントはリンク先を参照の事。

■バーミューレン「ジョンが無事でいて欲しい」

予選タイヤでのアタックは行わず、3日目の15番手タイムである1分57秒365を記録したクリス・バーミューレンは、1年前のマシンと比較して今年の800ccマシンが非常に完成度の高いものである事を実感したようだ。

写真また、バーミューレンはホプキンスの怪我の状態を心配し、次回のヘレスでのIRTAテストにも彼が参加できる事を心から願っている様子だ。

「今回は3日間を通してかなりの進歩が見られました。エンジンもシャシーも、それにタイヤもです。」とバーミューレン

「今日は22周回のレース距離を走り込みました。まだもう少しスピードを上げたいところですが、12ヶ月前の状態に比べたらかなり戦闘力は高くなってますね。今日の午後は路面温度が下がったので予選タイヤを試す事ができませんでしたが、チームはジョンのデータを記録してますからそれが役に立つと思います。」

「ジョンの無事を心から願っています。すごいクラッシュでしたけど、なんとかヘレスで走れるくらいに大丈夫だといいんですが・・・ここでジョンはいい仕事をたくさんしてくれたんですよ。すぐに良くなって欲しいです。」


■燃費を気にし続けるヤマハ・ワークス

前日までの2日間を通して、タイムシート上の頂点を独占していたヤマハ・ワークスの2名のライダーは、最終日にはトップの座をホンダとスズキに明け渡している。
写真
この日にバレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズは予定通りレースシミュレーションを開始し、開幕戦を念頭に置いて、今年からのレギュレーションにより容量が小さくなった燃料タンクを意識しながらの燃費調整とそのデータ採取、およびミシュランタイヤの耐久性テストを行っている。

なお、3日間を通してトップを守りたいと2日目にコメントしていたエドワーズは、この日はホプキンスの事故による赤旗中断で午前のロングランを中断する事になり、燃費データの採取をやり直すべく午後にも2度目のロングランを行っている。1日の予定が大きく狂う事になったエドワーズは、この日は予選タイヤにも問題を抱える事となり、2日目にレースタイヤで記録したタイムを更新する事なく、順位を5番手まで落とした。

■ロッシ「明日がレースでもOK」

前日までの2位から総合順位を1つ落とす3番手タイムの1分55秒954を記録したバレンティーノ・ロッシは、この日も2日目に抱えたセッティング上の問題を解決する事に時間を費やしているが、カタールでは最後までこの問題を解消するには至らなかったようだ。

一部課題はあるものの、ロッシは現在のマシンの状態には満足しており、翌日がレースだとしてもエドワーズと一緒に2台でトップを争う自信があるとコメントしている。

「少し問題が発生していますが、全体を通していいテストになったと思います。」とロッシ
写真
「昨日も言いましたが、今の段階で問題を見つけるのはむしろいい事ですよ。改善するチャンスですからね。」

「この3日間で他のライダーも予想通りすごく速くなりましたから、今日はコーリンも自分もトップに立つ事はできませんでした。でも、まだ2人ともすごく速いし、バイクの状態もとてもいいので満足しています。」

「リアタイヤの状態がまだ完璧とは言えませんが、ロングランは悪くありませんでした。ただ、今回の結果は狙っているものとは違う事が分かりましたし、特に大きな進展もありませんでしたので、期待通りとは言えませんね。いずれにしても、それほど心配するような状態ではありませんし、これからどうすればいいのかも分かっています。」

「今でも1分56秒5のペースで走れますから、もし明日がレースだとしても優勝をかけてコーリンと一緒に戦える状態ですよ。テストはあと一回ヘレスが残っていますので、まだ改善を進めるチャンスがありますし、開幕戦に向けてバイクをさらに完璧にするように頑張れます。」

「今日もまだマシンの安定性向上を目指してサスペンションのセッティングを続けていました。エンジニアたちとしっかり話し合ってアイデアはいくつか出たので、また来週それを試します。」

「コーリンとはガレージで多くの情報を共有しています。彼はこっちのセッティングを試せるし、自分はコーリンのを試せるからすごく効率的ですよ。今はバイクが来週のヘレスでどう仕上がるかが楽しみですね。」

■エドワーズ「情報は互いにオープン」

最終日には不運が重なり、前日までのトップタイムを守りきる事ができずにこの日の5番手タイムの1分56秒371を記録してカタールでのIRTAテストを終えたコーリン・エドワーズは、この日に抱えた予選タイヤのトラブルについてはロッシが解消しているので問題はないと述べており、チーム内での100%オープンな情報交換の様子を明かしている。

「今日はちょっと運がなかったですね。」とエドワーズ
写真
「今回は早めにあがりたかったので午前中にロングランを始めて、すごく調子良く走れていたんですが、14周目をすぎたくらいに赤旗が出たんです。そこまではすごくいいタイムで走れて喜んでいただけに、中断した時は悲しかったです。」

「燃費まわりのデータを今回はどうしても収集しなきゃいけなかったので、エンジニアから午後にロングランをやり直して欲しいと頼まれました。その時は残念ながら午前と同じタイヤが履けなかったので、仕方なく少し古いタイヤで走ったもんですから、2回目のロングランはあんまり調子が上がりませんでした。ただ、必要なデータだけは全て集めましたよ。」

「午前中は予選タイヤも試しましたが、すごく僅かですが揺れのような挙動が発生しました。セパンではすごく調子が良かったタイヤだけに驚きましたね。結局その後はレースタイヤでも昨日のタイムを更新できていません。バレンティーノは自分の後に(予選タイヤを)試していましたが、多分彼は問題を解決できた筈ですから、特に今回の件に関してパニックにはなっていません。」

「ここまでに本当にいいテストができています。それに自分たちのバイクはセッティングの幅が広そうですよ。これでまたヘレスに移動して違う環境を試す事ができますから、あそこでも何かと確認する事になりますね。このままいい仕事を続けたいです。」

■ブリビオ監督「2チームの仲の良さがマシン開発を助ける」

現在のヤマハのマシンが抱えている課題が明確になり、非常に有益なデータをこの3日間で採取できた事を喜ぶヤマハ・ワークスのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、ロッシとエドワーズのチームが情報を相互に交換している事実が、ヤマハのマシン開発にとって有利な状況を生んでいるとコメントした。

「自分たちにとってはかなり面白くて重要なテストでしたね。それに2名のライダーが揃ってトップを争える状態にある事も分かりました。」とブリビオ監督
写真
「これから作業を進めなければいけない分野も明確になりましたが、全体的にとても満足できています。」

「両方のライダーが楽しみながら安定して速いタイムを出せる事が分かって良かったです。それに、これだけ良いチームワークを見るのは気分がいいですね。それぞれのクルーがお互いに全ての情報を交換しあってるんです。この状況はバイク開発している自分たちにもすごく役に立っていますよ。」

「これから最後のテストに向けてヘレスに移動しますが、次の3日間もメンバー全員にとって非常に重要なテストになります。ライバルたちはみんな強敵ですから、可能な限り最高の状態でここでの開幕レースに戻ってきたいですからね。」


■ダンティーンがドゥカティー・ワークスを抑えて総合4番手

2日目はタイヤのグリップが得られなくなり、その問題の解決に苦戦していたプラマック・ダンティーンチームのアレックス・ホフマンとアレックス・バロスだが、この日はホフマンがドゥカティー・ワークス勢を抑えて午前中には3番手タイム、最終的には総合4番手タイムという好位置につけて、開幕に向けてマシンの改善がさらに進み始めた事をアピールした。

なお、最終日に2名は予選タイヤを装着して自己ベストタイムを記録しているが、レースタイヤでも2名揃って1分57秒台前半の悪くないペースを披露していた。

■ルイス・ダンティーン「今シーズンは戦える」

過去2年間はタイヤやライダーの問題による成績の低迷に苦しんだチーム・オーナーのルイス・ダンティーンは、この3日間で改善したマシンのバランスとラップタイムに満足し、今シーズンから念願かなってタイヤ供給を受ける事ができるようになったブリヂストンに対し、感謝の言葉を述べている。

「ここで達成した内容には非常に満足できますね。」とダンティーン

「最初の2日間はチームにとって難しい状況でしたが、今日は全てが明らかに良くなりました。バイクの総合的なバランスはとても良くなりましたし、タイムも速くなっています。」

「この3日間のテストを終えてはっきり言える事ですが、MotoGPクラスの2007年シーズンは非常に大変な戦いになりますが、私たちのチームも実力を出し切れば、高いレベルの戦いができそうです。」

「ここまでは確実に勢いに乗れていますが、まだやる事はたくさんありますし、この調子を維持するためにはより団結していかなければなりません。」

「チームの全員と私たちのライダーの素晴らしい活躍に御礼を言います。また、高い戦闘力を提供してくれているドゥカティーとブリヂストンには、特別の感謝を気持ちをお伝えしたいと思います。」

■ホフマン「チームは最高」
写真
フィリップ・アイランドでのメーカー合同テストにおける好調さに続き、この日も総合4番手の好位置となる1分56秒315をブリヂストンの予選タイヤで記録したアレックス・ホフマンは、これで開幕に向けての準備が整う目処がたったとコメントした。

「今日はいい日でした。チームは最高だし、結果もかなり良かったですからね。」とホフマン

「今日はバイクの基本的なセッティングに微調整を加え続けましたが、ブリヂストンタイヤがものすごくいい感触だったので安定したペースを維持できました。今回のセッティングはとても速く走れましたし、レースタイヤでも同じです。」

「オーストラリアの時と同じようにまた速く走れましたから、今日はバイクへの自信を高めるのに役立つ重要な一日でした。これで最初のレースに向けての準備も整いますよ!」

■バロス「せっかくのタイヤが使えなかった」

この日は予選タイヤでのアタック中に転倒してしまい、選んでおいた予選タイヤを全て試す事ができずに総合9番手の1分56秒950を記録するに留まったアレックス・バロスは、現在までのセッティングの方向性に自信を示すコメントを残している。
写真
「今日は昨日よりも良かったですね。」とバロス

「バイクのセッティングを根本から見直したおかげで、いい感触を見つける事ができました。昨日を思えばブリヂストンタイヤの調子も遙かに良かったです。」

「本当はもっといいタイムを狙えそうでしたが、予選タイヤで走った周回に転んでしまったので、選んでおいたタイヤを完全に使い切る事ができなくなりました。」

「今回のテストには満足しましたし、開幕レースに向けて正しい方向に進んでいる事への自信も持てるようになりましたね。」


■常に好位置をキープするカワサキ

今年1月のセパンでの本格的な新型Ninja ZX-RRでのデビュー以来、必ずタイムシート上の上位につけている好調のカワサキとランディー・ド・ピュニエは、この日は精力的にブリヂストンのタイヤテストを行い、ほぼ100周回という走行の中で、昨年の彼の990ccマシンにおける予選での自己ベストを約1秒上回る好タイムを記録している。
写真
なお、初日の転倒のために2日目は走行を断念し、この日からテストに復帰したオリビエ・ジャックは走行開始直後に目まいを訴え、12周回を走ったのみで最終日のテストもキャンセルする結果となった。

■ド・ピュニエ「レースの距離にフロントタイヤが耐えられない」

カタールでのIRTAテスト最終日にも総合6番手の1分56秒753という好タイムを記録したカワサキ2年目のランディー・ド・ピュニエは、この日は課題としていたレース用のリアタイヤを見つける事に成功したものの、前日まで気に入っていたフロントタイヤに今度は問題を見つけた様子だ。

写真「今日は1日が長くて疲れましたね。ほとんど100周近く走りましたよ。」とド・ピュニエ

「午後は完全な形のレースシミュレーションを最初に行ってから、その後にレースの半分の距離を走りましたが、その時のラップタイムはそんなに悪くありませんでした。ただ、まだレース距離の中間から終わりまでの性能を改善する必要があります。」

「今回はとてもいいリアタイヤを見つけましたが、逆にフロントタイヤはレースを走る上でベストな選択をしていないように思えてきました。10周目くらいから消耗する感じです。安定したリズムでは走れましたが、無駄な動きをなくせばさらに0.3〜0.4秒はタイムを上げられる筈ですよ。」

「最後はかなり疲れていましたが、別の予選タイヤも試したくなって走りました。でも午前中の時と違ってあんまり性能を使い切れなかった感じです。」

「いずれにしても、レースの距離を走行してマシンの挙動を確認できたのは有益でした。まだ改善の余地はたくさんありますが、正しい方向性はつかめていると思います。」

■ジャック「走りたかった・・・」

結果的に最終日のテストもキャンセルし、今回非常に楽しみにしていたというカタールでの走行が実質的には初日のみになってしまったオリビエ・ジャックは、今は次回のヘレスでのテストの事だけを考えるように気持ちを切り替えたいとコメントしている。

写真「朝は十分に体調が良くなったと思っていたんですが、実際にバイクに乗ってみたらまだダメだと分かりました。」とジャック

「2周くらい走ったところでふらふらと目まいがして、いつものように走る事ができなくなり、そのまま続けるのは危険だったのでテストを中断する決心をしました。いい仕事ができなくて状況を悪くするよりはマシだと思ったからです。」

「ここのコースは大好きなのに本当に残念です。過去に何度もここではテストをしてきたので、この3日間を本当に楽しみにしていたんです。」

「でも、もう終わった事は忘れて、次のヘレスの事だけを考えるようにします。あそこではしっかりタイムを出しておきたいですからね。」

■依田一郎監督「課題は予選タイヤ」

今年からカワサキ・レーシング・チーム内の指揮権を全て握るレーシング・ディレクターの依田一郎監督は、ブリヂストンのレースタイヤの進化に満足はしているものの、予選タイヤに関しては開幕までにまだ作業が必要だとコメントしている。

「今回のテストへの私の評価はかなりいいですよ。」と依田監督
写真
「いいベースセッティングが見つかりました。まだ特にシャシーのバランスなどには調整は必要ですが、いずれにしても今回の結果には満足ですし、電気系やメカニカル系のトラブルに全く悩まされなかった事も本当に重要だったと思います。」

「いいパッケージを作る事も重要です。ブリヂストンが違うタイプのタイヤを提供してくれたおかげで改善は毎日着実に進みました。彼らにはいい仕事をしてもらいましたね。それにレースに向けてどんなリアタイヤを使用するべきか、今は明確なアイデアがあります。」

「予選タイヤについてはまだいくつか課題が残っています。今日の予選タイヤでのタイムは予想を下回るものでした。ただ、まだヘレスでテストは続けられるのでそんなに心配はしていませんが。」

「オリビエは今回不幸にして初日しかテストができませんでした。彼はチームの優秀なテストライダーでしたから、もし今回のテストでたくさん走り込んでいれば、チームに多くの有益な情報を提供する事ができた筈です。だから彼は今とても落胆している様子ですが、次回のヘレスで彼の体調が完全に回復する事を願っています。」


■ドゥカティーの課題は予選タイヤ

ドゥカティー・マルボロの2名は今回の最終日にレースシミュレーションを行い、ロリス・カピロッシとケーシー・ストーナーの両名は揃って満足のいくハイペースで周回を重ねる事ができており、カタールでの開幕レースに向けてのタイヤの選択には自信を示している。
写真
しかしながら、チームはブリヂストンのレースタイヤには満足を示してはいるものの、カワサキと同様に予選タイヤに関してはまだ改善の余地があると感じている様子だ。

なお、ケーシー・ストーナーはこの日の午前中のレースシミュレーションを行っていたが、リズラ・スズキのジョン・ホプキンスの転倒によるセッションの赤旗中断によりロングランを途中で断念している。その後もギアボックスのトラブルに悩まされたストーナーはチーム内のメンバーと共通の症状の体調不良にも見舞われ、この日はセッション終了時間よりも早めに作業を切り上げている。

■カピロッシ「スターティンググリッドを下げるわけにはいかない」

この日は総合7番手タイムとなる1分56秒807を記録したロリス・カピロッシは、バイクのセッティングの仕上がり状況と、開幕に向けてのレースタイヤにはほぼ満足する様子を見せてはいるが、予選タイヤについては何らかの対策をブリヂストンと講じる必要があると述べている。

「レース用のセッティングについては今日の作業内容にとても満足しました。」とカピロッシ
写真
「タイヤは最後まで非常に安定していましたし、他のチームと比べても高いレベルにあったと言えますね。バイクとタイヤの両面に進展があったと思います。」

「ただ、予選タイヤについてはまだやるべき事が多いです。今の段階ではタイヤの性能を完全に使い切れていませんから、これからブリヂストンと一緒に作業を進めて、スターティング・グリッドが下がって不利なレース運びにならないように対策を打つ必要があります。」

「収集したデータの分析が済めば、ここまでの状況には非常に満足できると思います。グリップがあまり得られない時のセッティングを見直す必要はありますが、路面状況が良い時なら問題は発生しません。」

「セパンとフィリップ・アイランド、それに今回のカタールはうまくいきました。来週のヘレスでは今までの冬季テストの内容から結論を出さなければいけませんので、非常に重要なテストになりますね。」
写真
■ストーナー「次回のヘレスも面白そう」

チームメイトに次ぐ総合8番手タイムの1分56秒834を最終日に記録したケーシー・ストーナーは、この日はレースシミュレーションが赤旗で中断されたり、体調不良により早めに作業を切り上げるなどのイレギュラーなシーンはあったものの、テスト内容には大変な満足と自信を示している。なお、ストーナーはこの日には予選タイヤを最後まで装着していない。

「今日もまた調子が良かったです。」とストーナー
写真
「今回はレースシミュレーションを最後まで終わらせる事ができていません。14周走ったところで誰かが転んでセッションが赤旗中断になったからですが、そこまでは非常に順調でした。何本か色んな種類のタイヤも試しましたが、どれも満足のいく結果が得られたので嬉しいですね。」

「今日は気分がすぐれなかったので、あまりたくさんの周回を走り込む事ができませんでした。チームの中の何人かも同じように体調を崩していたので、セッションの終了前にテストを切り上げる事にしたんです。だから予選タイヤは最後まで履きませんでした。」

「今年の最初のセパンからこの3日間までの進歩は大きかったと思いますね。ドゥカティーに乗る度に毎回感触がどんどん良くなるんです。」

「来週のヘレスは面白くなりそうですよ。前にドゥカティーで走った場所に戻れるのは次回のヘレスが初めてですから、ここまでにどのくらい改善が進んだか比較し易いですからね。」


■グレッシーニ・ホンダ、マシンのレース用セッティングはOK

今シーズンからチームのタイヤサプライヤーとなったブリヂストンと共に、ホンダの新型800ccマシンであるRC212Vとの足回りの組み合わせを探るグレッシーニ・ホンダチームは、マシンのレース用のベースセッティングに関しては、ほぼ満足のいく結果が得られているという。

特にマルコ・メランドリは、この3日間で調整したシャシーとサスペンションのセッティングに好感触を示しており、今後はエンジンのセッティングにテストの焦点を移したいとしている。

メランドリのチームメイトのトニ・エリアスは、今回のカタールでのIRTAテストでは最後まで自分のライディング・スタイルに合うブリヂストンタイヤを見つける事ができずに苦しんだが、次回のヘレスでのIRTAテストまでには、ブリヂストンが自分に合うタイヤを必ず持ち込んでくれると信じて疑わない様子だ。

■メランドリ「予選タイヤについては性能を使い切れていない」
写真
今回のIRTAテストを総合10番手となる1分56秒980を記録して終えたマルコ・メランドリは、ここまでにブリヂストンタイヤの膨大なテストを通して仕上げたシャシーとサスペンションのセッティングに満足しており、今後はエンジンの調整を行いたいとコメントしている。

なお、開幕に向けてのレースタイヤについてはほぼ満足するメランドリだが、ドゥカティーやカワサキと同様に、予選タイヤについてはまだ課題を抱えている様子だ。

「今日もチームがすごく優秀でしたね。」とメランドリ

「バイクは気に入りましたし、シャシーとサスペンションのセッティングにも納得がいきましたから、これからはエンジンの調整を進めたいと思います。」

「今日もブリヂストンタイヤのテストを中心に行いました。午後には予選タイヤを試して、開幕後に使えるデータを集めましたが、レースタイヤほどには性能をまだ使い切れていません。」

■エリアス「ヘレスに期待」
写真
3日間を通して自分の独特のライディング・スタイルに合うタイヤ探しに苦しむ結果となったトニ・エリアスだが、この日は2日目のタイムを1.7秒更新する総合13番手タイムの1分57秒246を記録している。

「今回のテストではホンダのマシンとブリヂストンのいい組み合わせが見つからずに苦しみました。それにやはり自分のライディング・スタイルにあうタイヤがまだ見つかりません。」とエリアス。

「ブリヂストンとの作業は進んでいますから、次回のヘレスのIRTAテストで使うタイヤに期待しています。」


■コニカミノルタ・ホンダ、フロントタイヤには完璧に満足

2月のフィリップアイランドまではフロントまわりのセッティングに苦しみ、タイムシート上のポジションが低迷していた中野真矢選手とコニカミノルタ・ホンダチームだが、この3日間で試したミシュランのフロントタイヤは完全に満足のいくものだとチームはコメントしており、実際にタイムは順調に伸びてきている。
写真
最終日もマシンのベースセッティングの微調整を繰り返しながらミシュランタイヤのテストを行った中野選手は、この日は2日目のタイムを0.3秒更新している。なお、チームの課題は一歩前進し、フロントとリアのバランスに移っている様子だ。

■ジャンルカ・モンティロン「今後はレースペースを上げていく」

コニカミノルタ・ホンダのチームオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、チームの年末からの課題だったフロントまわりのセッティングが解決の方向に向かった事を喜び、次回のヘレスにおけるテストへの自信を示した。

「カタールを離れるまでにいいミシュランのフロントタイヤを見つけられて本当に良かったです。800ccマシンで戦うのにコーナリングスピードの向上は不可欠ですが、それを実現するためにどうしても必要だったものですからね。」とモンティロン
写真
「シンヤがフロントにもっと好感触が得られるようにセッティングの改善は今後も続けますが、来週のテストには自信が持てますね。ヘレスではシンヤがミシュランの予選タイヤに慣れる時間も作り、レースでいいグリッド位置が得られるような準備を進める予定です。」

「シンヤとチームはここまで着実に進歩を続けてきましたので、これからはレースペースの改善に焦点をあてて作業を開始できるようになります。この冬季テストを通じて、新しいバイクの最適なバランスをそれぞれ異なるサーキットで見つけ出すのは誰にとっても容易じゃない事を実感しましたが、テストの回数が増える度にホンダのRC212V自体の性能も上がっている事にはとても満足です。」

■中野選手「来週のIRTAテストでも進化を続けたい」

最終日にグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリと同タイムの1分56秒980を記録し、カタールでの総合順位を10番手で終えた中野真矢選手は、開幕までにさらなるマシンの進化を狙うとコメントした。

「今回のロサイルの3日間ではできる限り激しく攻めてみました。」と中野選手
写真
「今のマシンの感触は満足のいくレベルです。今回のテストの目標だったフロントタイヤも見つかりましたしね。3日間はマシンに乗る度に大きく改善は進みましたから、来週のIRTAテストでもさらに大きく進歩できるようにしたいです。」

「2007年シーズンの開幕レースまでに、できる限り万全な状態に仕上げておかなきゃいけませんね。」

■ジュリオ・ベルナルデッレ「タイムはさらに伸ばせる」

コニカミノルタ・ホンダチームの技術監督であるジュリオ・ベルナルデッレは、冬季テスト中の目標は今回のカタールでほぼ達成に近づいたが、リアタイヤの組み合わせを改善すれば、中野選手のタイムはさらに伸びるとコメントしている。

「シンヤのバイクに対する感触はこの3日間でかなり改善されました。これはまさに私たちがこの冬のプレシーズンテストで目標としていた事です。」とベルナルデッレ監督
写真
「昨日の午後と今日の第2セッションは、ここで開催される開幕戦のレースウイークに向けてミシュランタイヤの選択を行いましたが、これには満足のいく結果が得られていますし、フロントタイヤの安定性も今回証明できました。」

「残念ながら、まだリアタイヤとの組み合わせには納得のいく成果が得られていません。今回シンヤのタイムがあまり上がらなかったのはそれが理由ですが、レースウイーク中の事について、今はそれほど心配はしていません。天候や路面温度もそれほど変わらない筈ですからね。」


■TECH3ヤマハが昨年のレース中の総合タイム記録を15秒更新

2日目に引き続きレースシミュレーションを行ったTECH3ヤマハチームは、今回の最終日のテスト内容と結果には非常に満足をしている様子だ。今回も前回のセパンと同様に、チームは1回もメカニカル・トラブルに見舞われていない。

また、玉田選手はこの日のレースシミュレーションの結果、昨年のカルロス・チェカがレース中に記録した総合タイム(累積)を15秒も上回っており、ダンロップタイヤの開発とマシンのセッティングが着実に進歩した事を証明している。

■玉田選手「まだ予選タイヤに改善の余地あり」

総合12番手タイムの1分57秒232を記録した玉田誠選手は、昨年のレース中の記録を大幅に更新したレースシミュレーションの結果には満足しているものの、予選タイヤの性能にはまだ改善の余地があるとコメントしている。1ラップにおけるレースタイヤと予選タイヤのタイム差は0.7秒しか得られないようだ。

「マレーシアの時に比べれば、この3日間のテストにはほぼ満足ですよ。」と玉田選手

「コーナリング時にコンマ何秒かはロスしていますが、それでも今日のレースシミュレーションは順調でした。今回は予選タイヤを履いてみましたがいい感触が得られています。タイムはレースタイヤとあまり変わらないので、まだ改善の余地はありますけどね。」

「まだタイムは相当削らなきゃいけませんが、今の作業の方向性は間違っていないと思います。今はそれが一番大事な事でしょうね。」

■ギュントーリ「体力的にも強くなった」

3日間を通して着実にタイムを上げ続けたシルバン・ギュントーリは、18番手タイムとなる1分58秒379を記録して今回のカタールでの全ての走行を終えている。

「3日間を通して常タイムを上げ続ける事ができました。バイクの感触も日に日に良くなっています。」とギュントーリ

「今日はリアタイヤを大量にテストしました。予選タイヤもいくつか試しましたが、感触はどんどん良くなっていきます。」

「バイクの感触もさらに良くなってきているので、今回は転倒の心配もありませんでした。体力的にも前回のマレーシアの時より強くなった気がしますので、10日後のヘレスが楽しみですね。」


■チーム・ロバーツ、フロントタイヤを消耗する問題を解決

この日はフロントタイヤの消耗の激しさを問題視したチーム・ロバーツは、バイクの加重配分とサスペンションを調整する事で、この問題を解消する事に成功している。

■ロバーツ・ジュニア「昨年ならトップ集団のペース」

最終日の16番手タイムとなる1分57秒408を記録して全てのテストを終えたケニー・ロバーツ・ジュニアは、1年前ならトップ集団でレースができるペースを実現した事に満足しており、次回のヘレスでのテストに期待を示した。
写真
「今日は風が時々すごく強くてそれに苦労しましたね。」とロバーツ

「フロントタイヤを各コーナーですごく消耗させていたので、マシンの加重配分とサスペンションの調整に今日は取り組み、問題は殆ど解決できています。」

「ミシュランのためにタイヤのテストをした後はレースシミュレーションを行いましたが、火曜日(テスト初日)の時と同じいいペースで走れるようになりました。タイムはそれほど悪くはないと思いますし、本当はあと0.2秒くらいは縮められたかもしれませんが、陽が沈みかけて路面のグリップが悪くなっていたんです。」

「1つ確実なのは、今の段階でも去年のトップ集団のペースに近い走りができている事ですね。ヘレスは大丈夫そうですよ。」


■ベースセッティングを仕上げたホンダLCR

この日は2日目に4番手の好位置につけた自己ベストタイムを更新する事なく、1分57秒497の17番手のタイムでテストを完了したホンダLCRは、ここまでのマシンの改善状況には大きな自信を示している。

■チェカ「以前は必死だった」

最終日のタイムが順位的にはあまり良くない事を認めるカルロス・チェカだが、年末のメーカー合同テストから現在までの大幅なセッティングの改善状況には満足しており、開幕を目前に控えた次回のテストでの最終調整に意欲を見せた。
写真
「ペドロサの最速タイムと比べて、今日の自分のタイムがあまり良くないのは分かっていますが、この3日間のテスト内容にはとても満足しています。」とチェカ

「正直言えば、もっと予選タイヤでのタイムを上げなきゃいけないのは事実ですが、今のマシンはシーズン開幕を控えてかなり自信の持てるものになりました。去年の11月のセパンでは作業の方向性を探るのに必死でしたが、間違いなく今は正しい方向性を見つけたと自信を持って言えます。」

「今日はレースシミュレーションを行いましたがバイクの感触は日に日に良くなっています。あとは開幕前に最後のテストをヘレスで行うだけですね。あそこで最後の調整を行いたいと思います。」


■2輪に必要なエンジン特性を探り続けるイルモア

写真最終日に再び2名のライダーが揃ったイルモアチームは、カタールでのエンジンの改善状況には満足のいく結果が得られたとしており、今後はシャシーの調整にも大きく焦点を当てていく方針を明らかにした。この結果、ジェレミー・マクウイリアムスとアンドリュー・ピットは、それぞれのライディングスタイルに合ったシャシーの微調整を、今回からようやく開始する事ができたようだ。

なお、テストに復帰したばかりのジェレミー・マクウイリアムスは、年末のヘレスで負った怪我の痛みを現在も若干訴えており、本格的なタイムアタックは今回行っていない様子だ。

また、最終日の昼食前にアンドリュー・ピットはエンジントラブルに見舞われており、その修復にメカニックが時間を要した事から午後の走行を断念している。

■ピット「シャシーの感触が良くなった」

最終日に総合20番手となる2分00秒455を記録したアンドリュー・ピットは、この日のシャシーの改善状況に満足いく結果が得られたとしている。

「今朝はリアのサスペンションやリンケージのセッティングを大きく変更する事で、シャシーの感触を大きく改善できたと思います。」とピット

「午後に走れなくなったのは残念でしたが、初日にも言った通り自分たちは確実に進歩しました。軌道には乗りつつありますので、次回のヘレスを楽しみにしています。」

■マクウイリアムス「16インチタイヤがすごくいい」

まだ体調的には本調子とは言えないジェレミー・マクウイリアムスは、この日の最後尾となる2分02秒612を記録している。彼は今回ミシュランがチームに提供した16インチタイヤのコーナリング性能の良さに驚いている様子だ。
写真
「これからの残りの作業量を過小評価しちゃいけないようです。」とマクウイリアムス

「まだ全く自分の望むスピードでは走れていませんが、ヘレスでは新しいエンジン部品が導入される予定なので、性能が変わってくるといいですね。」

「1つ明るい話題ですが、今日試したミシュランの16インチタイヤがものすごく良かったので、コーナでの速度が出しやすくなりました。」

■スティーブ・ミラー「2輪はエンジン特性が重要」

イルモアのマネージング・ディレクターであるスティーブ・ミラーは、ここまでにエンジン中心のテスト作業を行ってきた事への理由を説明している。4輪を多く経験してきたイルモアにとって、エンジン性能がライダーに及ぼす影響範囲への理解を深める事は、2輪グランプリに参戦する上で最初にクリアしておきたかった課題のようだ。

「この3日間や他の最近のテストを通して、確実に多くを学ぶ事ができました。」とミラー氏

「シャシーの調整を行う前に、エンジンに必要とされる要素を確実に理解しておきたかったんです。バイクの場合、エンジンの性能は間違いなく乗りやすさに直接的な影響を及ぼします。ライダーはエンジンが自分の思い通りの反応を示さない限り、正しくマシンを操作できません。それで今回はエンジンを中心とした作業に時間を費やし、残りの時間でシャシーの調整を行う事にしました。」

「アンドリューは確実に今日はマシンから違う感触を得て、それは結果に反映されています。また、ジェレミーの仕事の進め方にはとても感動しました。ライダーが2人いるのといないのでは大きな違いですね。」

「チームはゆっくりですが軌道に乗りつつありますので、ヘレスではさらにいい出発点に到達できると思います。」


関連記事

カタールIRTAテスト2日目、強すぎるヤマハに迫るホンダ勢
カタールIRTAテスト初日もヤマハがワンツー独占
セパン(2月)合同テスト3日目、ロッシ「今日のコーリンは速すぎ」
セパン(2月)合同テスト2日目、順調なヤマハコンビと時間のないイルモア
セパン(2月)合同テスト1日目、リラックスムードのヤマハ・ワークス
フィリップ合同テスト、最終日にレプソル勢が浮上
フィリップ合同テスト2日目、バロスが連続トップ
フィリップ合同テスト初日、頭角を現すバロス
セパン(1月)合同テスト3日目、全力のロッシ
セパン(1月)合同テスト2日目、絶好調のスズキに迫るヤマハ
セパン(1月)合同テスト、2007年最初のトップはスズキ

最新のニュース一覧へ 元のページに戻る
インテリマーク - Copyright (c) IntelliMark All Rights Reserved. -
UA_ZOZOTOWN
ZOZOTOWN