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セパン合同テスト、2007年最初のトップはスズキ
インテリマーク編集部
2007年1月23日

1月21日に冬季テストが解禁となった翌日の1月22日、ついにMotoGPの2007年初のプレシーズンテストが、マレーシアのセパンサーキットで再開した。
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この日は、今期から2輪ロードレースに初のチャレンジを行うイルモアの2名のライダーを除き、全チームの全ライダーがセパン・サーキットに集結している。今年から施行される排気量800ccレギュレーションに準拠した新型マシンに跨った各ライダーは、冬季テスト禁止期間中に各メーカーのエンジニアが必死に進めた改善の状況を確認しながら、ベース・セッティングの見直しを主体としたテスト・メニューをこなしたようだ。


■2007年プレシーズン開始に向けての事前情報

初日の結果に触れる前に、少し今シーズンに向けての事前情報を以下に列挙するが、必要のない方は読み飛ばして先に進んでいただきたい。

■好調のスズキは年末テストの勢いを維持できるか?

昨年までの990ccマシンと比較して、今年は150ccも排気量が引き下げられた訳だが、昨年末のテストで各メーカーが立証して見せたように、コーナリング性能のさらなる向上からタイムは990cc時代と遜色がないどころか、一部のワークスチームは昨年までのタイムを上回っている。
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特に990cc時代から大幅にマシンの性能アップを現在までに見せているのがリズラ・スズキ・チームであり、昨年の11月中旬にやはりマレーシアのセパンで行われた800ccマシンのテストにおいて、2006年にロリス・カピロッシがレース中に記録したサーキットレコードである2分02秒127を約0.5秒上回った。今回のセパンの3日間でも、年末のテストで好調だったスズキ勢が、冬季中に進化した他のメーカーのマシンを今後も開発でリードする事ができるかどうかは、多くのレース関係者の注目を集めている筈だ。

■2007年に入り、高い仕上がりを見せてくる筈のホンダとヤマハ

また、800ccマシンの高い仕上がりを2006年シーズン中から時々見せつけていたレプソル・ホンダとヤマハ・ワークスも、年初から2大ワークスの意地をかけて、テスト中のトップタイムを狙ってくる事は間違いない。昨年の最後のテストとなったスペインのヘレス・サーキットで、3日目にトップタイムを飾ったのはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサであり、年内のテストを通して安定した高いペースでの走り込みを見せたのはヤマハ・ワークスの2名のライダー、バレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズだった。
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■伝説の復活に向けて全力のロッシ

ホンダ時代や2005年シーズンまでは、レースになるまで本気の走りを見せないとまで噂されたバレンティーノ・ロッシだが、昨年は予想外のマシントラブルにシーズン前半を通して見舞われ、予選で好位置につける事ができずにレースで苦しみ、他のマシントラブルと相まって思い通りの結果を導けなかったという、本人にとってかつて無い辛い経験をした。どのグリッドからスタートしても問題なく優勝できるという以前のロッシの神話が、今年は通用するという保証はもうない。

ロッシのチーフエンジニアを務めるジェレミー・バージェスが昨シーズン後半に「予選でのタイムの重要性を再認識した」と嘆いたが、昨年の反動から、今シーズンのロッシには全ての走行セッションにおいて、他のライダーへの心理作戦を度外視した満身のアタックが期待できるのかもしれない。MotoGPでは負ける事がないというロッシ伝説を2007年に取り戻したいのは、誰でもないバレンティーノ・ロッシ本人だ。

写真■開幕に向けて、着実に調整を進めるヘイデン

また、昨年のポルトガル戦で骨折した右肩の治療を受けて今回からのテストに復帰した昨年度チャンピオンであるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが、改善された体調で年初からどのように調整を進めてくるかにも要注目だろう。ちなみにヘイデンはプレシーズン中は、念入りにあらゆる側面から多くのテストを丹念にこなす事でも知られており、それが実際のタイムアタックに結果として反映されるのはそれほど早くない場合がある。

■ヘイデンの減量策を心配するバージェス

ちなみに、ニッキー・ヘイデンは昨年末にチームメイトのダニ・ペドロサの800ccでの好調さを見て、今年に向けて自分は体重を数キロ落とさなければいけないとコメントしていたが、これについて以前に彼とレプソルチームで一緒だったジェレミー・バージェスは、あまり良くない考えだとイギリスのロードレースサイトであるMCN(www.motorcyclenews.com)に年末述べたようだ。体調を崩しかねないタイムアップの方策ではなく、他の技術面での工夫に発想を持っていって欲しいと、バージェスは願っているという。

■年末からじっくりと調整を続けるドゥカティー

2006年シーズン中に時々800ccマシンのテストを行い、2007年型デスモセディチGP7の早期からの高い仕上がりを誇ったドゥカティー・ワークスだが、昨年の最終戦が終了した直後から始まった冬季テストでのタイムはそれほど他のチームの中で目立つものではなかった。
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年末のロリス・カピロッシは「まだ今の段階は色々調整方法を模索して当たり前」とのコメントに終始し、電子制御系システムを含むGP7の基本的な機能について、まだ多くのテストと調整が必要である事を暗に示唆した。しかしながら、冬季シーズン中にドゥカティーのファクトリー・スタッフは、カピロッシが集めた数々のデータを分析して、今回のセパンをターゲットにGP7の開発を進めており、この3日間を通して、ブリヂストンの得意なセパンで上位のタイムをドゥカティーが記録してくる可能性は低くない。

■ダニを抑える事で実力を証明したいストーナー

また、ドゥカティー・ワークスは今年から新メンバーとして、昨年はホンダLCRで戦ったケーシー・ストーナーをチームに迎え入れている。ストーナーはブリヂストンと自身の走りとの相性の良さに喜びの声を上げ、昨年の転倒の主な原因と言われたフロントの接地感不足を現段階でも克服していると年明けに述べている。

余談だが、イタリアのロードレースサイトであるmotograndprix.itによれば、2007年シーズンに向けての大きな期待を抱くストーナーは、ロッシとヘイデンの2名さえ警戒する彼と同じくMotoGPクラス2年目のダニ・ペドロサについて語り、自分の本当の実力を証明する方法はダニを抑えて見せる以外に方法がないと、先のマルボロ主催のスキー・イベントの中でコメントしたようだ。
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■今回から本格的にベールをぬぐカワサキの新マシン

年末には単独でテストを行うなど、ワークス勢の中では今ひとつマシンの仕上がり状況が年内には見えなかったのがカワサキ・レーシング・チームだ。年末のセパン合同テストでは小さなメカニカル・トラブルを抱え、あまりその実力が分からなかった事から、カワサキは800ccマシンの開発が難航しているとの噂まで巷では飛び交ったが、それを払拭するかのように、カワサキは800ccとなった新型Ninja ZX-RRを、高い自信と共に今回のセパンに持ち込んでいる。

テスト再開の前日に依田レーシング・マネージャーは、今回のテストでは基本セッティングを進めるが、3日間で高い順位が得られない理由はどこにもないとコメントしており、年明けから年内にかけて日本のエンジニアがマシンに加えた改善とその効果に期待を示している。

カワサキ・レーシング・チームは今回から、昨年は開発ライダーを務めたオリビエ・ジャックと、カワサキ2年目となるランディー・ド・ピュニエのライダー2名体制で、依田レーシング・マネージャーの指揮下において、2007年シーズンに向けての準備を開始する。


■それぞれに変革の時を迎えるサテライト各チーム

新型800ccマシンの熟成を急ぐワークス勢とは異なり、年内の新型マシンでのテスト回数が限られていたサテライト勢は、今回のテスト序盤は地道にベースセッティングを行いながら、各ライダーが新しいマシンに身体を慣らすところから始める様子だ。このため、サテライト勢がワークス・チームたちと同等のタイムを狙ってくるのは、昨年までの冬季テストと比較して遅いタイミングになるのかもしれない。

また、今年はマシンが990ccから800ccに変わった事以外にも、多くのサテライト・チームはライダー体制やタイヤパッケージなどを変更している。

■同時に大きな変革の時を迎えた日本人ライダー2名

ミシュラン・タイヤを履くコニカミノルタ・ホンダチームは新ライダーに元カワサキの中野真矢選手、ダンロップタイヤの本格的な開発プロジェクトの2年目を迎えるTECH3ヤマハチームは、今年は元コニカミノルタ・ホンダの玉田誠選手を迎えている。この2名のライダーは移籍に伴い、昨年までとは異なるタイヤを履く事になった。
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■タイヤを変更するチームが増加

ホンダLCRもパッケージの組み合わせそのものに大きな変更はないが、ライダーがケーシー・ストーナーから昨年までTECH3ヤマハでダンロップ・タイヤを開発していたカルロス・チェカに変わっている。チェカは今年は念願のミシュラン・タイヤで、親友でありLCRのチーム監督であるルーチョ・チェッキネロと共に、2007年シーズンを戦う。

また、チームが昨年とは異なるタイヤを選択したケースは2例あり、マルコ・メランドリとトニ・エリアスが所属するグレッシーニ・ホンダと、SBKから復帰したアレックス・バロスとチーム2年目のアレックス・ホフマンが所属するプラマック・ダンティーンが、今年はブリヂストン・タイヤを選んでいる。

■今後の調整にはまだ時間を要するサテライト陣営

上記の通り、サテライト勢にとっての2007年は、多くの初チャレンジを同時に行うシーズンと言える。調整には多くの時間を費やしてくる事が考えられるが、ワークスから二次的に部品が供給されるサテライト勢の調子を注意深く観察する事で、メーカーそのもののマシンの仕上がり状況も、同時に見えてくる筈だ。

■独自コンポーネントのチーム・ロバーツ

なお、昨シーズンは90年代以来となる復活を遂げ、ホンダから今年も無事にエンジン供給を受ける事になったチーム・ロバーツは、今年も独自シャシーを製作し、全てのチームにとって初となる800ccマシンでのMotoGP最高峰クラスに挑む。メーカーに依存しない独自コンポーネントで組み上げられたマシンが、メーカー・パーツの仕上がりに依存するサテライト勢よりも優位な立場を未知の最高峰クラスで築く事ができるかどうかは、このプレシーズン・テスト中のケニー・ロバーツ・ジュニアの走りではっきりする筈だ。

■2007年のタイヤ勢力図

今年のタイヤ勢力図については、先に紹介したコラムを参照して頂きたい。


■マレーシア合同テスト、2007年初日の結果
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前置きが長くなったが、以下に1月22日に行われたセパンでの合同テストの結果を、初日のタイム順に示す。この日の気温は36度、路面温度は50度であり、湿度は45%だった。これはほぼシーズン中のレースウイークにおける気候条件と同じであると考えて良い。

また、セパンは前日まで時折強風と雷雨に見舞われており、この日も1日のどこかで雨が降ると予想されたが、幸い初日は雨によるテストの中断は発生しなかった。

1) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒277(66周)
2) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分03秒049(46周)
3) バレンティーノ・ロッシ ITA ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム YZR-M1 2分03秒184(67周)
4) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム YZR-M1 2分03秒337(61周)
5) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分03秒413(73周)
6) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 2分03秒537(41周)
7) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分03秒542(72周)
8) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分03秒620(77周)
9) 玉田誠 JPN ヤマハ・TECH3 YZR-M1 2分03秒785
10) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 2分03秒944(55周)
11) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分04秒003(63周)
12) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分04秒011(44周)
13) ケニー・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 2分04秒088
14) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 2分04秒101(54周)
15) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 2分04秒138(58周)
16) マルコ・メランドリ ITA グレッシーニ・ホンダ RC212V 2分04秒270(66周)
17) 伊藤真一 JPN ブリヂストンMotoGP デスモセディチ GP7 2分04秒641
18) トニ・エリアス SPA グレッシーニ・ホンダ RC212V 2分04秒710(70周)
19) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分04秒718(60周)
20) シルバン・ギュントーリ FRA ヤマハ・TECH3 YZR-M1 2分07秒403



■年末に引き続き好調なスズキ、それを追うヤマハ

今回のセパン初日のテストでも好調な走りを見せたのはブリヂストン・タイヤを履くリズラ・スズキの2名、ジョン・ホプキンスとクリス・バーミューレンだった。その後にはミシュラン・タイヤを履くバレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズのヤマハ・ワークス2名が続き、スズキとヤマハが安定した走りを見せるという、昨年末と同じ傾向が初日の結果には表れている。

■初日の転倒者は2名

なお、初日の転倒者は午前中に1コーナーでクラッシュしたカルロス・チェカと、8コーナーで転倒したシルバン・ギュントーリだが、幸い2名とも怪我は全く負っていない様子だ。


■初日から990cc時代の自己ベストを上回るジョン・ホプキンス
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ジョン・ホプキンスの初日のトップタイムである2分02秒277は、11月のセパンにおけるテストの最終日にレースタイヤで記録した自己ベストの2分01秒63には至らなかったが、その時の2日目に記録した2分02秒73を今回は上回っており、さらには昨シーズン中の990ccでの自己ベストラップである2分02秒584も初日から0.307秒上回った。今年のGSV-Rとホプキンスは、確実に990cc時代のタイムを、少なくともセパンでは安定して上回る事ができるようだ。

なお、2番手タイムの2分03秒049を記録したクリス・バーミューレンは、この日は昨シーズンの990ccでの自己ベストである2分02秒896を上回る事はできなかったが、リズラ・スズキ全体としてのベースセッティングの仕上がりは上々と言った様子だ。本人も年明け最初のテスト内容にはとても満足しているという。
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■2日目以降も安泰とは限らないスズキのトップの座

しかしながら、年末にはレースタイヤを履いた800ccマシンで2分2秒台を出していたヤマハのコーリン・エドワーズが、この日は2分3秒台に留まっている所を見る限り、まだ他のチームも、当然ながら1日目はマシンの本来性能を出し切ってはいない筈だ。スズキが新型マシンの性能において現時点で優位に立っているのかどうかは、2日目以降の他のチームの走りを見てから判断しても遅くはないかもしれない。

また、タイムは公表されていないが、この日にリズラ・カラーを身にまとって最初にコースに飛び出したのは開発ライダーの青木宣篤選手だった。初日のスズキ勢は年末よりもさらに新しくなった仕様のエンジンとシャシーを試しながら、同時にブリヂストンの新型フロンタイヤのテストに集中したという。残り2日間は同様のテストをより広範囲に渡って行う予定だ。


■昨年の深刻なマシンの問題は全て解決したヤマハ・ワークス

スズキの2名に続く3番手は、990cc時代にMotoGP5連覇を達成した元チャンピオンのバレンティーノ・ロッシ。より洗練された800cc仕様のヤマハYZR-M1でロッシが初日に記録したタイムは2分03秒184だった。ロッシに続く4番手タイムは、彼のチームメイトであるコーリン・エドワーズが記録した2分03秒337。
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年末のセパンでのテストにロッシは参加しておらず、その時はコーリン・エドワーズのみがテストを行ったため、ロッシにとって800ccマシンでセパンを走るのは今回が初めてだ。なお、ロッシが昨シーズンのレース中に記録したファーステストは2分02秒332であり、まだ990cc時代のタイムには0.85秒ほどの開きがあるが、セパンでの800ccにおける走行初日の内容にロッシは満足している。
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今回ロッシとエドワーズは、年末に集めた新型マシンとミシュラン・タイヤのデータを再確認するところからテストを始めている。ロッシは基本的に年末最後のテストとなったヘレスで使用したセッティングをそのまま今回のテストでも使用しており、「昨年発生したような問題は皆無であり非常に好感触が持てる」とコメントした。

また、エドワーズはこの日のバイクと年末のバイクの状態を比較し、「冬休み中に微調整は施されているが、昨年末のテストの時とあまり大きな違いは感じないし乗りやすい」と述べ、早期からヤマハのマシンの完成度が高い事を強調している。


■まだ肩に力の入らないニッキー・ヘイデン

初日の5番手タイムとなる2分03秒413を記録したのは、レプソル・ホンダの昨年度チャンピオンであるニッキー・ヘイデンだ。今年からV型4気筒となったホンダのRC212Vを駆るライダーの中ではこの日のトップとなったヘイデンは、昨年末のセパン合同テスト後に、シーズン中に負った右肩の怪我は、実は骨折だった事が発覚しており、この日の初テストは、その後の手術とリハビリを経ての復帰初日でもある。特に午前中が好調だったようだ。
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1日目にヘイデンは複数のエンジン仕様の比較テストと、限られた範囲でのタイヤテストを行いながら、肩の手術後の体調を確認しながらの走行を続けている。ホンダの中ではトップとなったヘイデンだが、午前中に記録した好調な走行ペースを午後には上回る事ができなかった事について多少憤慨しているようだ。肩については、「まだあまり力は入らないが、痛みはすでにない」とコメントしており、久しぶりのライディングそのものについては楽しめたという。


■昨年末に引き続きベースセッティングを探るカピロッシ

6番手タイムの2分03秒537を記録したのは、ドゥカティー・マルボロのロリス・カピロッシ。ドゥカティー・チームは、今年も氷点下の雪山から突如亜熱帯のマレーシアに戻り、その温度差に驚いている。

ドゥカティーの2名のライダーは、朝10時から始めたテストを午後4時30分までノンストップで行い、忙しい1日を過ごしたという。
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カピロッシは、「まだベースセッティングに問題があるが、マシンの将来性は非常に高い」と述べ、残り2日間を使って初日に考えた改善案を試す予定だとしている。またタイヤについては、本格的にタイヤテストを行わなかった初日から既に好感触が得られたようだ。


■カワサキ「悪い噂を閉ざすのに十分な結果」

800ccとなったカワサキNinja ZX-RRで初となる本格的な合同テストの初日、7番手という好位置につけたのはカワサキ・レーシング・チーム2年目となるフランス人ライダーのランディー・ド・ピュニエだ。タイムは2分03秒542。

この日、カワサキの2名のライダーは新型800ccマシンには一度もトラブルが発生しなかった事を述べ、改良を重ねた並列4気筒エンジンを搭載したZX-RRが、既に他のメーカーのライバルたちと戦えるレベルにある事を強調した。

カワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは、初日のド・ピュニエのタイムについて、「カワサキの今シーズンの不調を噂した人たちを黙らせるのには十分な結果だった」とその感想を述べている。

初日にマシンのベースセッティングを探り、マシンの信頼性をテストしたド・ピュニエとオリビエ・ジャックは、昨年末のテストと比較して、今回使用したエンジンは安定性が高く、終日を通して性能が落ちる事なく走れたとしており、新シーズンに向けてのマシンの改善状況を喜んでいる。

ド・ピュニエは、2日目のタイヤテストの前に、シャシーのバランス調整を行う予定だという。


■今年もマイペースのペドロサ

初日の8番手タイムは、レプソル・ホンダ2年目となるダニ・ペドロサが記録した2分03秒620。年末のテストでは彼の体格と新型マシンの相性の良さが報じられ、今年のチャンピオン候補の一人としても注目を集めるダニ・ペドロサだが、昨年末のセパンは腕上がり症の手術の為に合同テストには参加していない。彼が800ccマシンでマレーシアを走るのは今回が初めての事だ。
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この日にペドロサはシャシーに細かな微調整を加えたが、初日は身体を慣らす事をまずは優先しており、本格的なテストは2日目から開始する予定だという。軽くタイヤテストを行ったペドロサは、「マシンが(シーズン中の990ccの時とは)違うので、去年とサーキットの感じ方が違う。また、年末のヘレスとはマシンのギア比が大きく異なるので、バイク自体の感触も違って感じた」と述べており、まだ本格的なセッティングはこれから始めるといった様子だ。


■昨年のチェカのタイムに初日から迫った玉田選手

初日の9番手につけたのは、TECH3ヤマハに移籍して2度目のテストを開始した玉田誠選手だ。

ホンダからヤマハに乗り換え、タイヤも昨年のミシュランからダンロップに履き替えた玉田選手の2007年初日のタイムは2分03秒785であり、昨年のセパン合同テストで3日目に記録した自己ベストタイムの2分03秒36には届かなかったが、年始1日目からほぼ昨年のペースが維持できているようだ。

昨年にダンロップタイヤとヤマハの990ccマシンで、カルロス・チェカがセパンでのレース中に記録した最速タイムが2分03秒466である事と、今回の9番手のポジションを考えれば、現在の玉田選手の調整状況は決して悪くない状態にあると言えるだろう。


■今年は転ばないストーナー?

チームメイトのカピロッシと同じく、雪山ミーティングからいきなり熱帯気候のど真ん中に舞い降りたドゥカティー・マルボロ・チームの新ライダーとなったケーシー・ストーナーは、初日は10番手タイムとなる2分03秒944を記録している。ストーナーがドゥカティーのデスモセディチGP7でテストを行うのはこれで3度目だ。
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出力を抑える方向で年末はエンジンの調整に集中したストーナーは、この日の感想として「エンジンの特性にまだ多くの改善は必要だが、マシンは年末のテストから大きく進歩した」と述べている。

また、昨年はミシュランのフロントタイヤの接地感不足に悩まされていたストーナーは、ブリヂストン・タイヤを今回も大変に気に入っており、「フロントについては既に完璧」と自信のコメントも今回残した。

なお、ストーナーは今回のタイムをレースと同じ距離を走り込んだ後のリアタイヤで記録しており、2日目以降のタイムにはさらなる期待を示している様子だ。


■大幅にポジションを挙げたダンティーン・プラマック

11番手12番手には、昨年まではこの位置にいなかったチームがつけている。チーム所属2年目のアレックス・ホフマンと、今年から1年ぶりにSBKからMotoGPに復帰したアレックスバロスの2名を擁するダンティーン・プラマック・チームだ。

昨年は本格的な開発プロジェクトを始動したばかりのダンロップタイヤに対し、苦情とも取れるコメントを多く発表した同チームのオーナーであるルイス・ダンティーン監督は、予告通り今年はダンロップからブリヂストンにタイヤ・サプライヤーを変更している。

古傷の手術と、その療養のために年末のテストは全てキャンセルしているアレックス・ホフマンが、初めて経験する800ccマシンで残した1日目の記録は11番手タイムとなる2分04秒003。アレックス・バロスはそれに次ぐ12番手タイムの2分04秒011だった。


■ジュニアは今年も開発ライダー兼務

2006年内は新型マシンの開発に取り組み、合同テストには一度も参加する事がなかったチーム・ロバーツは、初お目見えとなる新型800ccマシンのKR212Vを、今回のセパンで披露している。今シーズンも、チーム・ロバーツのマシンはホンダからエンジン供給を受けており、RC212Vの800ccエンジンを搭載している。

注目のKR212V初走行で、同チーム2年目となるケニー・ロバーツ・ジュニアが初日に記録したタイムは13番手となる2分04秒088だった。

1日目は新マシンのシェイク・ダウン(慣らし)に徹したロバーツ・ジュニアは、三種類のスイングアームと2種類のリンケージをテストしている。また、2日目は別のシャシーもテストする予定となっており、今年もロバーツ・ジュニアは純開発ライダーとしての役割を兼ねての忙しい1年を送りそうだ。

初日のマシンの状態では、どうしても2分04秒の壁が越えられずに苦しんだというロバーツ・ジュニアだが、990cc時代と比較して800ccマシンのコーナリング性能の高さと今後の改善の可能性には期待を高めており、1日目のテスト内容には概ね満足と言った様子だ。


■チェカ「去年はらくだに乗ってるみたいだった」

午前中に1コーナーでフロントを失い転倒はしたものの、特に深刻な怪我は負わなかったホンダLCRのカルロス・チェカが初日に記録したタイムは、1日目の14番手となる2分04秒101だ。

初日のチェカは、ホンダの800ccマシンの乗りやすさを高める事に時間を費やし、昨年に1回しかテストができていない彼のRC212Vのベースセッティングの見直しを、終日かけて行っている。「ヤマハともドゥカティーともホンダのマシンは特性が違う」と述べる今のチェカの最優先課題は、ホンダのマシンに慣れ親しむ事のようだ。

現在、チェカはRC212Vの小柄なポジションに身体を合わせる事に苦労しており、「年末のテストの時は狭くてらくだに乗ってるみたいだった」と語った。転倒の原因も、ポジションが合わない事からブレーキング時に加重がフロントに流れてしまう事が、無関係ではなさそうだ。

また、午前の転倒後、チェカはミシュランのフロントタイヤのテストにも集中しており、ホンダのマシンのフロントまわりの感触に自信を取り戻せるよう努めている。


■中野選手は再度ポジション合わせから開始

年末のヘレスでホンダ移籍後初となるテストを終えた中野真矢選手は、1ヶ月の休暇とトレーニングを経て、コニカミノルタ・ホンダのライダーとして2度目となる今年最初のテスト1日目を、15番手となる2分04秒138のタイムで終えた。
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今回のセパンでも、中野選手は前回のセパンに引き続きRC212Vのベースセッティングを探り、この日の午前中に納得の行くポジション(乗り位置)を見つける事ができたようだ。

チームオーナーのジャンルカ・モンティロンによれば、セパンでのマシンのトップ・スピードは、昨年の990cc時代と比較して約10km/hは落ちているという。800cc時代に速いタイムを出すのに必要となるのは高いコーナリング性能だ。

午後に中野選手は、無理せずに速いタイムを刻むためのベースセッティング探しに集中しながら、新型800ccマシンに関する多くの有益なデータを彼のメカニックに提供する事ができたという。彼のセパンでの課題は、チームに多くの情報を提供しながら、ヤマハからホンダに乗り換えたチェカと同じく、マシンの特性に慣れる事と、高いレベルでRC212Vの感触をつかむ事のようだ。


■新マシンのセッティングに苦戦するメランドリ

今期からブリヂストンタイヤに履き替えたグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリとトニ・エリアスは、間にブリジストンのテストライダーとしてドゥカティーのデスモセディチで今回のテストに参加している初日17番手伊藤真一選手を挟み、16番手と18番手で今年初のテスト1日目を終えている。

16番手タイムとなる2分04秒270を記録したマルコ・メランドリは、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサと同じく、腕上がり症の手術のために年末のセパンでの合同テストには参加をしていない。従って、彼がブリヂストン・タイヤとRC212Vでマレーシアを走るのも今回が初めてだ。

初日の走行を終えたメランドリは、暑さのために厳しい1日となったと述べながら、まだクラッチの挙動が自分の好みにあわないとしている。同時にフロントフォークの感触にも問題を抱えており、クラッチの不調と相まってハードブレーキングが思い通りにいかないようだ。

これらの問題があり、メランドリは1日目にブリヂストン・タイヤのテストがあまりできていないようだが、シャシーまわりの問題が解決でき次第、タイヤテストの量を2日目以降は増やすという。

■エリアス「もう一度慣れるところから」

18番手の2分04秒710を記録したトニ・エリアスは、初日は再び800ccマシンに慣れる事に集中しながら、ブリヂストンタイヤを履くRC212Vの現在のセッティングにおける長所と短所を見極める事に集中したという。

2日目以降は、本格的なタイヤテストを開始すると共に、ここまでに見つけた短所を改善する方向でセッティング作業を進めたいとエリアスは語っている。


■カワサキの飛躍的な進化を喜ぶジャック

初日は19番手タイムの2分04秒718に終わったカワサキ・レーシング・チームのオリビエ・ジャックは、冬季テスト禁止期間中に日本で生まれ変わった新型Ninja ZX-RRが、年末のテストから大幅に改良が進んだ事を喜んでいる。

年末のセパンでの合同テスト2日目にジャックは新型の800ccマシンをテストしているが、この時はメカニカル・トラブルの発生により、セッティング作業を進める事ができなかった。しかしながら、今回のセパンではランディー・ド・ピュニエが上に述べた通り、マシントラブルは一度もなく、エンジン性能も安定しており、ベースセッティングに集中して作業を進める事ができたようだ。


■ギュントーリは年末の怪我の影響も?

昨年の11月中旬にプライベートテストで鎖骨を骨折した事から、実質的に800ccマシンでテストに参加するのは今回が初めてとなったTECH3ヤマハ所属のMotoGPルーキーであるシルバン・ギュントーリは、この日の20番手となる2分07秒403で、フル参戦が決定してから初となるMotoGP合同テストの1日目を終えた。トップとのタイム差が5秒以上開いているが、年末の怪我の影響が心配されるところだ。


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