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セパン合同テスト最終日、全力のロッシ
インテリマーク編集部
2007年1月25日

マレーシアのセパンサーキットで行われている年明け最初のMotoGPメーカー合同テストが、1月24日の水曜日に3日目となる最終日を迎えた。
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今回のテスト最終日となったセパンは、気温34度、路面温度は53度、湿度は70%と非常に高く、午後に軽く雨は降ったもののドライ路面がほぼ保たれたようだ。3日間を通してこの時期のセパンのテストが豪雨に見舞われないのは非常に珍しく、幸運なケースと言える。


■「怪物パワー」を手にしたホプキンス

今年からリズラ・スズキのジョン・ホプキンスのヘルメットのカラーリングは以前とは異なる。昨年までは米国の栄養ドリンクであるレッド・ブルの缶をそのまま頭に被ったようなデザインで定評のあったホプキンスのヘルメットだが、今年は別の栄養ドリングが彼のパーソナル・スポンサーになった事から、異なるグラフィック・デザインが今回のセパンから施された。
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彼の新しいスポンサーとなったのは米国カリフォルニア州の栄養ドリンクである「モンスター・エナジー(Monster Energy:怪物パワー)」だ。同社はカリフォルニア生まれのジョン・ホプキンスの世界GPツアーを全面的にサポートする事に、高い意欲を示している。

日本ではあまり馴染みのないこのドリンク、自らを「邪悪な飲料」と称するモンスター・エナジーは、通常の市販ドリンクの2倍の栄養を含む飲み物だ。

またモンスター・エナジーを手にホプキンスは、「今シーズンは、モンスター・エナジーを手に移動できるなんて最高(cool)ですよ!まずは今週のセパンからですね。」と述べ、さらには「モンスター・エナジーで今年のGPツアーはばっちり決めますよ(excellent fit)。」と、その喜びを表現した。


■セパン合同テスト3日目の走行結果

以下に、メーカー合同テスト最終日となったセパンでのテスト走行結果を、3日目のラップタイム順に示す。
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1) バレンティーノ・ロッシ ITA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 2分00秒936(30周)
2) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分01秒026(38周)
3) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 2分01秒274(61周)
4) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分01秒664(75周)
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分01秒691(43周)
6) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分01秒878(46周)
7) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分01秒884(64周)
8) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・ファクトリー・レーシング YZR-M1 2分02秒266(22周)
9) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 2分02秒407(53周)
10) マルコ・メランドリ ITA グレッシーニ・ホンダ RC212V 2分02秒489(69周)
11) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 2分02秒583(84周)
12) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分02秒630(58周)
13) トニ・エリアス SPA グレッシーニ・ホンダ RC212V 2分02秒927(65周)
14) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分03秒040(58周)
15) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 2分03秒077(60周)
16) 玉田誠 JPN ヤマハ・TECH3 YZR-M1 2分03秒308(-周)
17) ケニー・ロバーツJr USA チーム・ロバーツ KR212V 2分03秒330(-周)
18) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分03秒592(41周)
19) 伊藤真一 JPN ブリヂストンMotoGP デスモセディチ GP7 2分03秒973(-周)
20) 吉川和多留 JPN ヤマハ YZR-M1 2分04秒782(-周)



■予選タイヤのトップタイムはバレンティーノ・ロッシ

3日間を通しての総合トップタイムを記録したのは、2007年は最初から全力で走り抜くという姿勢を本当に崩さないヤマハ・ワークスのバレンティーノ・ロッシだった。僅か0.1秒差で惜しくも3日間の連続トップタイムを逃したリズラ・スズキのジョン・ホプキンスは、ロッシに次ぐ僅差の2番手タイムだった。
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■マシンの仕上がりの高さを最後まで見せつけたヤマハとスズキ

バレンティーノ・ロッシは800ccとなったヤマハの新型マシンに予選タイヤを装着し、昨年のセパンでのレースウイーク中に990ccマシンと予選タイヤで自身記録したポールポジションレコードである2分00秒605に0.331秒差まで迫った。ジョン・ホプキンスも2番手タイムの記録時にはGSV-R800で初の予選タイヤを装着しており、タイヤサプライヤーは異なるものの、2人の条件は互角と言っても良い。
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この結果は、トップスピードが990cc時代には到達できないパワー・サーキットのセパンにおいて、いかに現状のスズキとヤマハのマシンのコーナリング性能が高いかを、まわりに見せつける結果となった。


■上位の多くのライダーが予選タイヤを装着

また、今回の上位ライダーのうち、ブリヂストンを履くホプキンスとミシュランを履くロッシ以外に、予選タイヤで自己ベストラップを刻んだのは、ブリヂストン勢では2名に次ぐ3番手タイムのロリス・カピロッシ、5番手のクリス・バーミューレン、6番手のランディー・ド・ピュニエなど。ミシュラン勢では4番手のダニ・ペドロサ、7番手のニッキー・ヘイデンなどがあげられる。
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なお、年末に右肩の手術を受けたばかりのヘイデンは「医者に調子に乗るなと言われているので全力アタックは避けた」とコメントしており、まだミシュランの予選タイヤの性能は引き出せるとのニュアンスを残したようだ。

■予選タイヤにおけるブリヂストンの優位性は昨年ほどではなくなる?

ちなみに、2006年1月のセパンでの合同テストで、予選タイヤにおけるトップタイムを記録していたのは昨年引退を表明したドゥカティーのセテ・ジベルナウであり、その2番手には同じくドゥカティーのロリス・カピロッシがつけていた。また、その時の4番手には当時カワサキの中野選手がつけるなど、全体的に予選タイヤの仕上がりにおいてブリヂストンが強いという印象を残し、実際に2006年シーズンに入ってもこの傾向は変わらなかった。年間を通してブリヂストン勢の予選での活躍が目覚ましかったのは記憶に新しいところだろう。
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■死角のないロッシ

ミシュランを履くロッシが、チャタリングを中々解消できない06年型ヤマハYZR-M1で苦しみ予選で前に出られなかったのを尻目に、ブリヂストン勢が予選の終盤に一気に1列目に飛び出す光景は、昨年のレースウイーク中の定番となっていた。

しかしながら、今回の結果を見る限りにおいては、ロッシが予選タイヤでトップタイムを奪い、前日の2日間はあまり本気のタイムアタックを見せなかったダニ・ペドロサが予選タイヤで突如4番手に上がって見せるなど、ミシュランがブリヂストンの得意分野に対しての優位性を奪い返す傾向にあるのかもしれない。どうやら今シーズンのレースウイーク中の戦いは、昨年のロッシの憂いは全く再現しない可能性が高そうだ。


写真■レースタイヤを使用したライダー

次に、レースタイヤでの結果を見てみよう。今回予選タイヤを装着せずに好タイムを出した事が判明しているライダーは、ブリヂストン勢では9番手タイムのケーシー・ストーナー、12番手のアレックス・バロスなど、ミシュラン勢では8番手のコーリン・エドワーズ、11番手のカルロス・チェカなど、概ね2分2秒台のライダーたちだ。

■急激な成長を見せるドゥカティー、調子を上げるペドロサ

なお、結果一覧にはない参考値だが、予選タイヤで3番手のカピロッシは、この日にレースタイヤで2分02秒146を記録しており、2日目のクリス・バーミューレンのレースタイヤでのタイムを上回っている。これにより、年末からセッティングに苦戦していたドゥカティーのマシンが、ようやく戦闘力を高めてきた事が分かる。

同様に、予選タイヤで4番手のペドロサは、この日にレースタイヤでは2分2秒660を記録しており、2日目のロッシのレースタイヤでのタイムに迫っている。
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■レースタイヤでの最速タイムは昨年末のホプキンス

レースタイヤについても、当然ながらブリヂストンとミシュランの差はそれほど大きく表れる結果とは言えないが、いずれにしても、ジョン・ホプキンスがレースタイヤとGSV-R800で記録した年末のセパンでの2分01秒63を、レースタイヤと800ccマシンで上回った他のライダーは現在までに存在しないようだ。ミシュランのレースタイヤで現在までに最もホプキンスの記録に近づいたのは、エドワーズが今回の2日目に記録した2分01秒930だ。


■開発の方向性の正しさを確認したヤマハ・ワークス

レースタイヤではエドワーズ、予選タイヤではロッシが好タイムを記録し、ヤマハのマシンの完成度を十分にアピールしたヤマハ・ワークス・チーム監督のダビデ・ブリビオは、今回のテストにより有益な情報が多く集まり、まだ多くの作業は残るものの、シーズンに向けての正しい方向性を確実につかむ事ができたとしている。
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■今年は常に全力のロッシ、エドワーズは過去2日間の成果を復習

最終日に総合トップタイムを記録したバレンティーノ・ロッシは、この日に2日目の課題としていたブレーキのセッティングを修正し、満足のいく結果が得られたという。またロッシは、ミシュランの16インチレースタイヤには3日間を通して好感触が得られたと強調している。
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22周と少ない周回数で最終日の作業を終えたエドワーズは、前日のような激しいタイムアタックを行っておらず、初日と2日目のセッティングを何回か復習する事に終始したようだ。なお、ミシュランの希望により前日までロッシとは異なるセッティングで走っていたエドワーズだが、3日目にはロッシの使用しているセッティングと同じ方向性に戻し、より好感触が得られたとしている。


■好調さをアピールするも、自己の過大評価は避けるスズキ

惜しくも3日間のトップを0.1秒差で逃したリズラ・スズキのポール・デニング監督は、「ミスターロッシさえ0.09秒遅く走ってくれれば、それ以上に最高な出来事はなかったのにね!」と述べ、最後に僅差でヤマハに抜かれた事を悔しがったが、タイムアタックの後に行ったレースシミュレーションの結果も、ホプキンスとバーミューレンの2名揃って良好だった事を付け加えて、スズキのマシンの高い仕上がり状況をアピールしている。
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ただし、デニング監督は「ここでの結果に調子に乗る事はありませんよ。もともとブリヂストンの得意とするサーキットですからね。」とコメントし、シーズン開幕に向けてスズキが今後も上を目指す姿勢を崩さない事を強調した。

■大満足のホプキンスとバーミューレン

3日間を通して最も目立つ活躍を見せたジョン・ホプキンスは、最終日の予選タイヤについては「GSV-R800で予選タイヤを履くのは今回が初めてだし、その挙動を知る事ができて良かった」と語り、ロッシに次ぐ総合2番手タイムの結果に満足が得られたとしている。
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また、ホプキンスのチームメイトのクリス・バーミューレンは、タイムシート上の最終的な総合順位は5番手に終わったが、自身が990cc時代に記録した自己ベストを今回上回った事を喜んでおり、約1週間後の地元オーストラリアでのテストが楽しみだと述べた。


■急激な成長カーブに満足するドゥカティー

昨年から新しいエンジン制御ソフトウェアの調整に苦しみ、今回やっと満足のいく結果が得られたというロリス・カピロッシは、その効果を実際に総合3番手タイムという結果で示している。

■990cc時代とは異なる予選タイヤの必要性を唱えるカピロッシ

なおカピロッシは、予選タイヤでの自己ベストタイムだけではなく、11周のレースタイヤにおけるロングランで記録した2分2秒台前半というペースにも満足しており、セパンでデスモセディチは急激な進化を遂げたと語った。
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また、カピロッシは今後のタイヤ開発の方向性について、「990ccよりも800ccはコーナーでのタイヤ消耗が激しいので、今までとは違う予選タイヤが必要」との意見をブリヂストンに対して述べている。

■クリニカ・モバイルに感謝するストーナー

カピロッシのチームメイトのケーシー・ストーナーは、2日目に訴えた両腕がつる事による痛みは完治していないとしながらも、クリニカ・モバイルのスタッフのおかげで問題なく最後まで走りきる事ができたと、その治療に対して感謝の気持ちを述べた。
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3日目は途中でセッティングをやり直すなど、マシン調整の方向性にも苦しんだストーナーだが、「一度は混乱したが、チームのおかげで正しい方向性を取り戻す事ができた」と本人が述べる通り、最終的にはレースタイヤで2分2秒台前半の9番手タイムを記録するまでに調子を上げる事ができたようだ。

ストーナーもスズキのバーミューレンと同様に、地元オーストラリアでの1週間後のテストが楽しみだとしている。


■ホンダRC212Vの空力特性は小柄なライダー向きか

全体的にホンダのサテライト陣営は、新型RC212Vのセッティングに苦しんだ傾向が今回のセパンでは見受けられるが、さらに興味深いのは、今回はホンダのワークス部隊であるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンも、ホンダLCRのカルロス・チェカと空力の問題について意見が一致している事だ。
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今年のホンダ勢の中で、コンパクトになった800ccマシンのポジションニングに苦しむライダーと言えば、比較的大きな体格のライダーに限られる訳だが、独自シャシーを持つKR212Vをホンダ陣営から除外するとすれば、ヘイデンとチェカの2名がこれに該当する。

2名が最終日に述べているのは、ストレートを加速中に風圧を身体に受ける事がタイムに影響しないかという懸念だが、この2名の意見が一致したのは単なる偶然とは言えないだろう。ヘイデンはこの問題について「エンジンパワーの不足なのか、空力の問題なのかは分からない」と述べ、チェカは「空力を良くするためにポジションをもっと改善しなければいけない」とコメントしている。


■着実に改善作業が進むレプソル・ホンダ

今年最初のメーカー合同テストにおけるホンダ陣営のトップは、最終日に予選タイヤで2分01秒664を記録し、総合4番手につけたレプソル・ホンダのダニ・ペドロサだった。前日まではタイムアタックを意識せず、着実にテストをこなす事に重点を置いていたペドロサは、最終日に2日目の自己ベストを1.5秒更新している。
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ヘイデンとペドロサはホンダ陣営のトップ

また、ペドロサのチームメイトであり、昨年度の新チャンピオンとなったニッキー・ヘイデンは、まだ右肩を手術後の身体が本調子ではないにもかかわらず、予選タイヤで2分1秒台後半のタイムを出す事に成功した。ヘイデンの順位は総合7番手であり、これはホンダ勢の中ではペドロサに次ぐ2番手だ。

2日目は新しいパーツのテストを控えめにして、フロントまわりを中心とする基本的なセッティングの見直しに集中したヘイデンは、最終日には再び複数のサスペンションと複数のシャシー、および複数のミシュランタイヤの組み合わせを忙しく試したという。SHOWAのフォークが気に入ったというヘイデンは、昨年11月の合同テストの時と比較してRC212Vがかなり乗りやすくなったと感じたようだ。
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なお、この日はヘイデンとペドロサのレプソルライダー2名が、ヤマハ・ワークスのロッシと同じく、ミシュランが開発中の16インチタイヤを揃って試している。初めて試した16インチタイヤについてペドロサは、「まだなんとも言えないが、感触は悪くないので、将来的には使えるのかもしれない。」とコメントするに留めている。


■グレッシーニ・ホンダ、ブリヂストンに感動するメランドリ

テスト1日目からセッティングを根本的に見直し、2日目にやっと納得のいく感触がマシンから得られたというグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリは、やり残したブリヂストンタイヤのテストを3日目は集中して行い、2日目のタイムを0.764秒上回る2分02秒489の総合10番手タイムで今年最初のテストを終えた。
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メランドリは、今回のテストは当初の目標をすべて達成できたと述べ、満足のいく3日間だったと述べた。また、メランドリは他のブリヂストンに履き替えたライダーたちと同じく、特にフロントタイヤに好感触を示している。
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メランドリのチームメイトのトニ・エリアスは、最終日の午前中にマシンのバランスを見直し、その後は2日目に引き続きブリヂストンタイヤのテストを再開している。エリアスは最終的に2日目のタイムを1.2秒更新して総合13番手につけたが、タイムには満足できていないと語った。


■ロバーツ・ジュニアがチェカとマシンを交換

写真チーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアは、2006年最終戦のバレンシアでホンダに対し、「一度RCVを試乗させて欲しい」と頼んでいたが、今回のセパンでその夢がやっと実現する事になった。

この日の午後1時に、ロバーツ・ジュニアはホンダLCRのカルロス・チェカのマシンを借りてセパンを走行している。また同時に、コンパクトなRC212Vのポジショニングに悩んでいたカルロス・チェカは、比較的ポジションのきつくないチーム・ロバーツのKR212Vで走行しており、その乗り味を双方で確認しあう機会に巡り会えた。

マシンの交換後、2名はホンダのエンジニアも交えてV型4気筒800ccとなったRCVエンジンの感触についての意見を交換しており、互いに全く異なるシャシーを経験した事で、それぞれの今後のマシンのセッティングにも大きなヒントを得る事ができた様子だ。

■自信を回復するチェカ

ホンダLCRのカルロス・チェカは、前日までの2日間に悩んでいたポジションの問題は大きく改善する方向にあり、レースタイヤでのタイムを2日目から1.1秒更新すると同時に、自信も回復している。チェカのセパンでの総合順位は11番手だった。
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この日にチェカは予選タイヤも試しているが、そのタイムは公表されていない。予選タイヤの性能を引き出すのには、もう少しマシンに慣れる必要があるとチェカは感じているようだ。

また、KR212Vを試乗した事については、データの収集とエンジンに関する意見交換が出来て有益だったとチェカはコメントしている。

■RC212Vに乗り開眼したロバーツ・ジュニア

チェカのマシンを経験して本当に興奮しているのがチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアだ。ロバーツ・ジュニアは完成したばかりのKR212Vと格闘するようなテスト走行を2日間続けていたと述べ、その影響から両手の平には水ぶくれができている事を明かした。
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今回セパンに到着して以来、高速な3コーナーの出口で安定したコーナリングが出来ずに格闘していたロバーツ・ジュニアだが、チェカのマシンではスムーズにコーナリングできる事が分かり、開発の方向性を一気に見いだしたという。それまでは何をどうやって改善して良いのかわからない状況に陥っていただけに、ジュニアの喜びは大きい。

実際に、マシンを交換してから1時間後にはKR212Vは抱えていた多くの問題を解決しており、マシンの乗り心地は極端に改善されたとロバーツ・ジュニアは歓喜している。最終的にこの日のタイムは2分3秒台の前半だったが、ミシュランタイヤの調子が良ければ、2分2秒台の前半も狙えただろうと、ロバーツ・ジュニアは今後への期待を示した。


■フロントのチャタリングが消えないコニカミノルタ・ホンダ
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写真他のサテライトホンダ勢と同じくマシンのベース・セッティングを探る中野選手は、2日目と同様にこの日も前輪のチャタリングに苛まれ、思い通りのコーナリングをする事ができずに、3日目の目標としていた2分2秒台への突入は実現できなかった。

■中野選手「温度の上昇が原因?」

朝のチームのセッティング変更により、午前中にチャタリングは収まりかけていたが、午後に気温が上昇してからは再び振動が大きくなり、タイムを上げるのが難しくなったと中野選手はコメントしている。

この日はタイムが伸び悩んだ事に落胆する中野選手だが、ベースセッティングは仕上がってきたので、次回のフィリップではテストをさらに先に進める事ができそうだと、一週間後のオーストラリアでの問題解決に彼は期待している様子だ。


■安定するカワサキの新型800ccマシン

カワサキ・レーシング・チームのランディー・ド・ピュニエは、最終日にはブリヂストンの予選タイヤを装着して2分01秒878の好タイムを記録し、前日までの2日間の好位置をさらに1つ上げる総合6番手でセパンの合同テストを終えた。

■トラブルゼロに歓喜するド・ピュニエとジャック

予選タイヤによる自己ベストだけではなく、レースシミュレーションの結果も上々だったとド・ピュニエは述べているが、周回を重ねた終盤に若干リアタイヤの性能が低下する事を最後につけ加え、今後はその問題を集中的にチェックすると語った。

ド・ピュニエのチームメイトのオリビエ・ジャックは、総合18番手と今回は3日間を通してタイムを大きく上げる事はなかったが、最終的にはベースセッティングが見つかり、今後の改善の方向性も見いだせたとして、次回はより速いタイムでの走行が可能だと明るいコメントを残している。

また、3日間を通してマシンに一切トラブルがなかったと2名のライダーを口を揃えて喜んでおり、昨年に比べてNinja ZX-RRの信頼性が格段に上がっている事を証明した。

カワサキ・レーシング・チームの依田監督は今回のテスト内容に大変満足し、日本のエンジニアと2名のライダーにねぎらいの言葉を贈るとともに、ド・ピュニエの言うリアタイヤの耐久性の問題に、今後はチーム一丸となって取り組む姿勢を伝えている。


■今シーズンは表彰台への復帰を狙うダンティーン

ブリヂストンタイヤのテストで忙しい最終日を迎えたプラマック・ダンティーン・チームは、2日目にはアレックス・バロスが4番手タイムを記録し、最終日にはレースタイヤで総合12番手の好位置につけた事に満足している様子だ。

プラマック・ダンティーンのチームオーナーであるルイス・ダンティーンは、過去の2年間が辛いシーズンだった事を振り返りながら、今シーズンは表彰台への復帰を十分に狙えるシーズンになりそうだと語っている。
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■バロス「パッケージに満足」、ホフマン「胃痛さえなければ」

3日目はレースタイヤのみで走ったというアレックス・バロスは、リアまわりの改善が最終的にうまくいった事に満足しており、マシンには何の不安もなく満足いくものだとして、ブリヂストンタイヤとデスモセディチGP7のパッケージに不満がない事を明かした。
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また、2日目から胃の痛みに悩まされているアレックス・ホフマンは、体調が悪くて最後に予選タイヤの性能を使い切る事はできなかったが、レースタイヤでの作業は3日間を通して満足だったとコメントしている。


■初日のタイムを更新した玉田選手

TECH3ヤマハでダンロップタイヤを今年から履く玉田誠選手は、2日目には初日のタイムを更新する事ができていなかったが、この日は今回のテスト期間内の自己ベストタイムである2分03秒308を記録している。

なお、玉田選手のチームメイトのシルバン・ギュントーリは最終日には走行していない。


■次回は約1週間後のオーストラリア

次回の冬季メーカー合同テストは、オーストラリアのフィリップ・アイランドで1月30日から行われる。なお、今回のセパンに参加したチームのほとんどは、そのままオーストラリアに移動する模様だ。


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