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2007年4月29日
SBK(世界スーパーバイク選手権)の第5ラウンドが、オランダの伝統あるアッセン・サーキットで4月27日より行われている。決勝のレース1とレース2は本日の4月29日(日本時間の晩)に開催されるが、ここでは、決勝前日までの2日間の予選とスーパーポールの状況を紹介する。
■DFXコルセのスティーブ・マーチンは今回WSSに出場
昨年はフォギー・ペトローナスからSBKに参戦し、今期は引退したフランチェスコ・キリの後任ライダーとしてSBKフル参戦を果たす予定だったスティーブ・マーチンは、開幕からの前回のバレンシア戦までの4レースを終えた時点でのランキングは21位と低迷していたが、今回のオランダ戦ではチームからシートを与えられなかったようだ。
マーチンの伸び悩む成績から、チームは3戦目のドニントンからは年間契約ではなく、1戦ごとにマーチンとの契約を延長するという形態に切り替えていた。マーチンはドニントンのレース1では最後尾の19位と低迷し、レース2では13位を獲得して望みを前回のバレンシアにつないだものの、バレンシアではレース1とレース2ともに完走する事ができなかった。
■イルモアのA.ピットと同様にマーチンはWSSカテゴリに出場
チームからアッセンの出場見送りを通告されたスティーブ・マーチンは、今回のアッセンではヤマハ・ワールドSSPレーシング・チームからWSSカテゴリーに代役ライダーとして参戦し、第2予選を6位で終えている。
ちなみに、イルモアのMotoGPフル参戦保留から行き場を失っていたアンドリュー・ピットも前回のバレンシアからハンスプリー・テンケイト・ホンダチームから同様にWSSカテゴリーに代役ライダーとして参戦しており、前回のレースでは2位表彰台を獲得している。ピットの今回のオランダでの第2予選結果はマーティンに続く第7位だった。
■晴天のアッセン、新コースレイアウトは初経験のビアッジ
今回のオランダ戦は初日と2日目ともに晴天に恵まれ、昨年の大規模な改修により再舗装された新しいアスファルトは良好なドライ路面となったようだ。
なお、大幅にコースレイアウトが変わった昨年を経験しておらず、今回初めて新しいアッセンのコース学習に時間を費やす事になったアルスター・スズキのマックス・ビアッジは第2予選のセッション残り4分の時点で軽く転倒しているが無傷だった。
プラクティスの段階から怪我人の目立った過去数戦とは異なり、今回は良好なコンディションの中、特に目立った大きな転倒や怪我人はなく、各ライダーは順調に第1予選と第2予選を終えている。
■SBKオランダ予選総合結果
以下に、初日の4月27日の午後2時25分から気温27度、路面温度39度、湿度29%の中で行われた第1予選と、翌日2日目の午前11時から気温20度、路面温度29度、湿度58%の中で行われた第2予選の総合結果を示す。なお、この中の上位16名のみが、決勝のスターティング・グリッドの4列目までを1ラップのみのタイムアタックで争うスーパーポールに進出できる。
1) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 F07 1分39秒245
2) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分39秒386
3) ジェームス・トスランド GBR ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分39秒391
4) ルーベン・ザウス ESP チーム・ステリルガルダ Ducati 999 F06 1分39秒567
5) ロレンツォ・ランチ ITA ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 F07 1分39秒655
6) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分39秒750
7) フォンシ・ニエト ESP カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分39秒955
8) ヤコブ・シュムルツ CZE チーム・カラッチ・ドゥカティ・SC Ducati 999 F05 1分39秒956
9) マックス・ノイキルヒナー GER スズキ・ジャーマニー Suzuki GSX-R 1000 K6 1分39秒987
10) カール・マガリッジ AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒092
11) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分40秒377
12) マックス・ビアッジ ITA チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分40秒378
13) ミッシェル・ファブリツィオ ITA D.F.X.コルセ Honda CBR 1000RR 1分40秒480
14) ジョシュア・ブルックス AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒480
15) ロベルト・ロルフォ ITA ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒666
16) 加賀山就臣 JPN チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分40秒822
(以下はスーパーポール出場圏外)
17) 中冨伸一 JPN チームYZFヤマハ Yamaha YZF R1 1分40秒824
18) クリスチャン・ザイサー AUT LBR・レーシング・チーム MV Agusta F4 312R 1分42秒102
19) ディーン・エリソン GBR チーム・ペデルチーニ Ducati 999 RS 1分43秒662
20) ルカ・モレリ ITA チーム・ペデルチーニ Ducati 999 RS 1分43秒756
21) Marek Svoboda CZE ヤマハ・Jr・プロ・SBK・レーシング Yamaha YZF R1 1分44秒901
■予選の総合トップはコースレコードを1.5秒上回ったベイリス
今回の予選でトップタイムを記録したのも、前回のバレンシアに引き続きドニントンでの小指の大怪我の影響を全く感じさせない走りを2日間に渡って見せたドゥカティーのトロイ・ベイリスだった。ベイリスは昨年に自信がレース中に記録したサーキットレコードである1分40秒767を、スーパーソフトタイヤの装着が許されない予選の段階ですでに1.5秒も上回っている。
■普通に過去のタイムを更新するようになったピレリタイヤ
また、ベイリス以外にも、初日の第1予選の段階で10人のライダーが昨年のサーキットレコードを上回っており、過去数年はタイヤワンメイクルール導入以前のミシュランの記録をなかなか更新できなかったSBKにおけるピレリタイヤの進化の度合いがうかがえる結果となったようだ。
ちなみに、アッセンのベストラップ(予選タイヤ)はやはりベイリスが昨年に記録した1分38秒629。
■2番手は初日の不調を2日目に払拭したコーサー
予選総合2番手は、現在ランキング4位につけるヤマハ・イタリアのトロイ・コーサー。初日の予選でコーサーはセッティングに苦しみ5番手につけたが、チームの一晩を通しての調整によりマシンの状態は改善され、好感触を得る事ができた第2予選では2番手を獲得する事に成功している。
■トスランドはチームのホームでポールポジション獲得を狙う
予選総合3番手は、現在のランキングトップであり、初日の第1予選ではトップタイムを記録していたテンケイト・ホンダのジェームス・トスランド。テンケイト・チームにとってオランダはホームレースであり、午後4時からのスーパーポールではトスランドのポールポジションの獲得にチームの大きな期待が寄せられたようだ。
■バレンシアに引き続き順調なザウス
前回のバレンシアではSBK復帰後初の勝利を獲得し勢いにのるステリルガルダ・チームのルーベン・ザウスは、今回の予選でも総合4位と、その好調さをアピールしている。ベイリスのチームメイトであるドゥカティーのロレンツォ・ランチはザウスに続く総合5番手につけた。
■芳賀選手は予選総合5番手
初日の第1予選の終了時点にはトップのトスランドに次ぐ2番手タイムを記録していたヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手は、第2予選では初日のタイムを更新する事ができずに総合5番手となった。ちなみに芳賀選手は、初日のタイムアタック時にはレース距離を走りきる事は難しいソフトタイヤを装着しており、今回の結果は納得のできるもののようだ。
■ビアッジはアッセンのコース学習に集中し総合12番手
大幅なコースレイアウト改修後のアッセンを今回初めて経験したアルスター・スズキのマックス・ビアッジは、初日と2日目のフリーと予選のセッションをコース学習に費やし、予選の総合順位は12位と低迷した。しかしながら、ビアッジは不満が感じられたマシンのバランス調整を改善する事には成功しており、この時から、スーパーポールでのポジション挽回を狙っていた様子だ。
■得意のアッセンで苦しむ加賀山選手は16番手
また、ビアッジのチームメイトであり、第2戦のフィリップ・アイランドと第3戦のドニントンでは両方の第1予選中の転倒のために4レースを欠場し、前回のバレンシアではその第3戦までの転倒の影響による両肩の痛みのためにレースウイークを通して苦しんだ加賀山就臣選手は、今回のオランダ戦に入ってからは怪我の痛みを特に訴えてはいないものの、得意の筈のアッセンで予選の成績が伸び悩み苦しんでいる。
初日に加賀山選手はセッティングの不調からグリップ不足に苦しみ、第1予選の結果はスーパーポール出場圏外となる17位、2日目には1つ順位を挽回してスーパーポールへの進出がぎりぎり可能な予選総合16位にはつけたものの「相性の良い得意のアッセンでこんなのは変だ」と加賀山選手は首をかしげている状態だという。
■中冨選手はスーパーポール出場圏外
また、開幕戦のカタール以外ではスーパーポールへの進出をここまでに果たす事ができていないSBK参戦2年目となるチームYZFヤマハの中冨伸一選手は、今回のオランダでは初日に14番手タイムを記録し期待を高めたが、翌日2日目の最終的な予選総合順位は17番手となり、4回連続でスーパーポール出場を逃す結果となった。
本日の決勝を17番グリッドからスタートする事になった中冨選手は、「初日が悪くなかっただけに今日はがっかりです。明日の午前中も作業を進めて、改善点を探したいと思います。17番グリッドはいいスタート位置ではありませんが、少しでもいいポイントが獲得できるように集中します。」とコメントしている。
■SBKオランダ戦スーパーポール結果
終日好天に恵まれた2日目のアッセン・サーキットの、スーパーポールが行われた午後16時の気温は25度、路面温度は41度まで上昇し、湿度は33%だった。以下に、総合予選トップ16人のライダーにより争われたスーパーポールの結果を示す。
1) ジェームス・トスランド GBR ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分38秒603
2) ロレンツォ・ランチ ITA ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 F07 1分39秒226
3) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 F07 1分39秒256
4) マックス・ビアッジ ITA チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分39秒320
5) ルーベン・ザウス ESP チーム・ステリルガルダ Ducati 999 F06 1分39秒411
6) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分39秒422
7) マックス・ノイキルヒナー GER スズキ・ジャーマニー Suzuki GSX-R 1000 K6 1分39秒648
8) 加賀山就臣 JPN チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分39秒928
9) カール・マガリッジ AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒057
10) フォンシ・ニエト ESP カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分40秒288
11) ロベルト・ロルフォ ITA ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒328
12) ヤコブ・シュムルツ CZE チーム・カラッチ・ドゥカティ・SC Ducati 999 F05 1分40秒376
13) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分40秒561
14) ジョシュア・ブルックス AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分40秒674
15) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分41秒093
16) ミッシェル・ファブリツィオ ITA D.F.X.コルセ Honda CBR 1000RR 1分41秒213
■高温路面に苦しみミスをするライダーが増えたスーパーポール
今回のスーパーポールでは予想外に路面が高温となり、ジェームス・トスランドを除く多くのライダーはタイヤに不調を抱えて予選時と比較してあまりタイムを伸ばせなかったという。
■トスランドはチームにホームでのポールポジションをプレゼント
SBK第5戦目のオランダでポールポジションを獲得したのは、2006年のベイリスの予選タイヤでのベストラップである1分38秒629を0.026秒更新し、アッセンでのSBK最速ラップを記録したテンケイト・ホンダのジェームス・トスランドだった。
トスランドはそのレース強さとは異なり、SBKでのポールポジション獲得回数はレースでの勝利数と比べて少なく、今回は彼のSBK経歴3回目のスーパーポール制覇だ。
■ロナルド・テンケイト「チームのために頑張ってくれた」
開催地のオランダのチームでるテンケイトのオーナーであるロナルド・テン・ケイトは、「普段のジェームスは予選で最強というタイプではなくレースで速いライダーですが、今回はホームで戦う私たちチームのために、ポールポジションをプレゼントしてくれたようです。」と述べ、地元レースをポールポジションからスタートできる事に大きな喜びを示している。
■トスランド「レースがさらに有利になるので頑張りたい」
また、ランキング2位のマックス・ビアッジと13ポイント差のランキングトップに現在はつけており、今回のレースではさらに後続とのポイントを引き離してSBK2度目の制覇を狙う今シーズンを有利に進めておきたいジェームス・トスランドは「最大の目標は1列目の確保だったので、ポールポジションというおまけもつき非常に嬉しいです。チームにいい結果をプレゼントできて最高ですし、もちろんこれは明日のレース運びでも有利になる筈ですから頑張りたいですね。」とコメントし、決勝レースではチームにホームレースでの勝利をプレゼントする意気込みだ。
■ドゥカティー勢が2番グリッドと3番グリッドに
昨年度チャンピオンであり、現在はランキングの5位につけるドゥカティーのトロイ・ベイリスは、今回はポールポジション獲得を逃してはいるが、ドゥカティー・ゼロックスチームとして見れば、今回のスーパーポールの結果は悪くないものだった。
トスランドに続く1列目2番グリッドを獲得したのは、ベイリスのチームメイトでありドゥカティー期待の若手イタリア人ライダーであるロレンツォ・ランチだった。ベイリスはランチに次ぐ1列目3番グリッドであり、ドゥカティー・ワークスの2名は本日の決勝レースを揃って1列目からスタートする事になった。
■ランチ「1列目とは思っていなかった」
ベイリスのタイムを0.03秒上回り今期の自身最高位となる2番グリッドを獲得し、繰り上がりではない今期初の1列目スタートをスーパーポールで確保した現在ランキング6位のロレンツォ・ランチは、「トスランドを除く他のライダー全体のペースが落ちたので2番グリッドを獲得できましたが、走行中は1列目は無理だと思っていました。」と述べ、久しぶりの1列目スタートを非常に喜んでいる。
なお、ランチはレース用のタイヤ選択にはいい戦略があるので、今回の2日間はレースシミュレーションはあまり行っていないとの事だ。
■ベイリス「誰だって本当はトップタイムを出したい」
チームメイトに続く3番グリッドを獲得したトロイ・ベイリスは、「ここでは1列目を確保する事に意味があるのでこの結果は悪くないです。ただ、誰だって本当はトップタイムが出したいのは当然ですよ。最終区間でミスをしてしまい、いい周回にする事ができなかったんです。」とコメントしており、ポールポジションを逃した事については少し残念そうだ。
しかしながらベイリスは「明日のレースでは2回ともいいレースができるのは間違いないですよ。今日はレースタイヤで多くの周回を試しましたが非常に面白くなりそうです。もし今日の温度が10度低かったらタイムはさらに上がっていたでしょうね。」と述べ、翌日のレースに対してはいつもと変わらぬ自信を示している。
■ビアッジは予選12位から1列目4番グリッドに
「予選では16人に入ればいい」と以前に述べていたアルスター・スズキのマックス・ビアッジだが、今回のアッセンのスーパーポールではその言葉を実戦したようだ。
他のライダーから1年遅れる形で慣れない改修後のアッセンを経験し、コースの学習を続けながら予選では総合12番手と低迷したビアッジは、午後のスーパーポールでは予選の順位8つ挽回し、見事に1列目スタートとなる4番グリッドを獲得している。
「金曜日の始めから3つのセッションを通していくつか問題を抱えていたので、ここまでにエンジンブレーキとマシンバランスの改善に向けて多くの作業を行いました。まだマシンは完璧とは言えませんが、少なくとも昨日よりは乗りやすいマシンになっています。」とマックス・ビアッジは述べ、不調だった初日に比べればセッティングの改善は大きく進んだ事を明らかにしている。
■ビアッジ「スーパーポールとレースは別物」
しかしながら、ビアッジは予選タイヤを装着したスーパーポールの成績については「スーパーポールでグリップレベルが上がるのは当然の事ですから、レースとは全然違う話ですよ。」と述べており、レースに向けての油断は一切ないといった様子だ。「スーパーポールでは何だって起きますよ。今日の芳賀(15位)とか、ドニントンの時のコーサー(周回中断)みたいにね。」とビアッジ。
また、初めて走った改修後のアッセンについて「古いコースのが好きでしたね。以前は挑戦しがいがあって高速コーナーも楽しめましたが、今のレイアウトは低速になりマシンのフルパワーを使い切るのは難しいです。」とコメントし、昨年のMotoGPライダーたちと同じく、無くなった古いコースレイアウトをビアッジも惜しんでいる。
■コーサーは痛恨のオーバーランを喫して2列目スタート
予選で総合2番手タイムを記録し、スーパーポールにも自信を示していたヤマハ・イタリアのトロイ・コーサーは、セッション中の走行ミスにより2列目5番グリッドを獲得するに留まり、追い抜きが困難なアッセンではどうしても欲しかった1列目のスターティング・グリッドを逃した。
■コーサー「レースペースには自信があるから2列目でもOK」
「まったく残念なのは隠しようがありませんよ。後半の区間で小さなミスをして速度を殺しきれずにコーナーに飛び込み、大回りをしました。」と今回の結果を残念がるトロイ・コーサーだが「ただ、2列目ならなんとか大丈夫でしょう。ラップタイムには自信がありますから、明日はいいスタートを決めたいと思います。」とコメントし、フリー・プラクティス中のレースシミュレーションで記録した良好な走行ペースをアピールして、レースには高い自信を示した。
■加賀山選手は2列目までグリッド位置を挽回
予選では総合16位となり、得意のアッセンでの不調に悩んでいたアルスター・スズキの加賀山就臣選手だが、2日目午後のスーパーポールでは小さなミスを数回犯したものの順位を8つ挽回し、上位のスターティング・グリッドが不可欠となるアッセンで2列目スタートとなる8番グリッドを確保する事に成功した。
■新パーツの開発テストも並行して行う忙しい加賀山選手
2日目に入り初日のセッティングを大幅に変更し、マシンの感触が良くなってタイヤのグリップ力が増した事を喜ぶ加賀山選手は、今回のオランダでは新型の点火システムの開発にも集中して取り組んでいたという。
新パーツの開発は、今後のレースに役立つ事が分かっていても、直近のレースウイーク中の作業としては何かといらいらする事も多いと述べる加賀山選手だが、「これも自分の役割の一部ですから、いい仕事をしたいんです。」とコメントをつけ加えており、将来のマシンの性能アップに向けての開発業務の重要性をアピールした。
■芳賀選手はアッセンでは大きなハンデとなる4列目
第3戦のドニントンのスーパーポールでは、ヤマハ・イタリアのトロイ・コーサーが突風の影響によりミスをしてコースを外れ、セッションを走り切れずに大きく順位を落とすというアクシデントがあったが、それに続き今回はコーサーと同じヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手がスーパーポール中にフロントを滑らせてコースを外れてしまい、草の上を走行してからコースに戻るという不運に見舞われた。
コースアウトによりタイヤが汚れ、それ以上は激しくタイムアタックを行う事ができなくなった芳賀選手は、4列目となる15番グリッドから本日の決勝をスタートする事になった。コース幅とレイアウトの関係から追い抜きの難しいアッセンでの4列目スタートは、ランキング2位のビアッジとの14ポイント差をさらに縮めておきたい芳賀選手にとっては相当に厳しい結果だ。
■芳賀選手「今は優勝は考えていない」
芳賀選手は、「ミスするまではバイクの感触は悪くありませんでした。まだサスペンションの調整はいくらか必要ですが、スーパーポールの時に収集したデータが役に立つ筈です。今は明日のレースでの優勝とかは考えていません。セッティングを完璧にしてポイントをできるだけ獲得する事だけを考えています。」と失意のスーパーポール終了後にコメントした。
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