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SBKオーストラリア、初日のトップを決め込んでいたトスランド
インテリマーク編集部
2007年3月3日

SBK(世界スーパーバイク選手権)の第2ラウンドが、オーストラリアのフィリップ・アイランドにて昨日の3月2日に初日を迎えた。この日は午前中に1回目のフリー・プラクティス、午後には第1予選が行われている。
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■路面温度が高い今回のフィリップ・アイランド

1日目のフィリップ・アイランドの気温は23度だが、路面温度は48度という前回の開幕戦のカタール並に上昇しており、もともとタイヤの消耗の激しいサーキットだけにその厳しさには拍車がかかり、どのライダーもこの日は終日タイヤまわりの調整に余念がなかった様子だ。

なお、フィリップ・アイランドではプレシーズン中にも合同テストが行われており、その時に仕上げたセッティングで初日の走行に臨んだチームが多いようだが、気温などの違いから、全く新しいセッティングにチャレンジしているライダーもいるようだ。


■加賀山選手が予選中に激しく転倒、ヘリコプターで病院に

また、先日のニュースでもお伝えした通り、この日の午後の予選開始10分後に、アルスター・スズキの加賀山就臣選手が2コーナーで激しく転倒し、そのままメルボルン市内の病院にヘリコプターで緊急搬送されている。

写真■当初心配された骨や内臓へのダメージは検出されず

「トラックにひかれたように激しく痛い」と本人がコメントした通り、加賀山選手の苦痛があまりにも激しい事から、当初は左の鎖骨と肋骨を数本、ならびに脾臓の周辺を痛めた可能性があると診断されたが、幸いその後の精密検査では身体のどこにも骨折した箇所は現段階でも見つかっておらず、内臓への深刻なダメージもなかったとされている。

ただし、加賀山選手は今でも激しい痛みを訴えており、検査は今後も続けられる様子だ。

ちなみに、今回加賀山選手が転倒した2コーナーは2年前にMotoGPのロリス・カピロッシが転倒して肺の中を出血するという大怪我を負った場所でもあり、加賀山選手の今回の胸や腹部を強打した転倒の状態はその時の様子に近いようだ。
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その他の転倒者としては、午前のフリー走行中にドゥカティーのロレンツォ・ランチが2コーナーで軽い転倒、またクリニカ・モバイルの公式ページによれば、第1予選の終盤にピットレーンで加賀山選手のチームメイトのマックス・ビアッジも転倒したようだが、特に怪我は負っていない。


■SBKオーストラリア戦、第1予選の結果

以下に、初日午後のフィリップ・アイランドで行われた第1予選の結果を示す。
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1) ジェームス・トスランド GBR ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分32秒040
2) トロイ・ベイリス AUS ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 R 1分32秒641
3) フォンシ・ニエト ESP カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分32秒769
4) ロレンツォ・ランチ ITA ドゥカティ・ゼッロクス・チーム Ducati 999 R 1分32秒774
5) トロイ・コーサー AUS ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分32秒900
6) マックス・ビアッジ ITA チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分32秒998
7) 加賀山就臣 JPN チーム・アルスター・スズキ・コロナ・エクストラ Suzuki GSX-R 1000 K7 1分33秒154
8) 芳賀紀行 JPN ヤマハ・モーター・イタリア Yamaha YZF R1 1分33秒244
9) ルーベン・ザウス ESP チーム・ステリルガルダ Ducati 999 R 1分33秒315
10) マックス・ノイキルヒナー GER スズキ・ジャーマニー Suzuki GSX-R 1000 K6 1分33秒523
11) ミッシェル・ファブリツィオ ITA D.F.X.トリーム Honda CBR 1000RR 1分33秒690
12) スティーブ・マーチン AUS D.F.X.トリーム Honda CBR 1000RR 1分33秒748
13) カール・マガリッジ AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分33秒783
14) ロベルト・ロルフォ ITA ハンスプリー・テンケイト・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分33秒865
15) ヤコブ・シュムルツ CZE チーム・カラッチ・ドゥカティ・SC Ducati 999 R 1分34秒092
16) ジョシュア・ブルックス AUS アルト・エボルーション・ホンダ Honda CBR 1000RR 1分34秒521
17) レジス・ラコーニ FRA カワサキ・PSG-1・コルセ Kawasaki ZX 10R 1分34秒571
18) 中冨伸一 JPN チームYZFヤマハ Yamaha YZF R1 1分35秒572
19) クリスチャン・ザイサー AUT LBR・レーシング・チーム MV Agusta F4 1000R 1分35秒745
20) アレッサンドロ・ポリータ ITA チェラーニ・チーム・スズキ・イタリア Suzuki GSX-R 1000 K6 1分35秒847
21) ディーン・エリソン GBR チーム・ペデルチーニ Ducati 999 R 1分37秒249
22) ジリ・ドラズダック CZE ヤマハ・Jr・プロ・SBK・レーシング Yamaha YZF R1 1分38秒367



■初日のトップは現在のランキング1位につけるトスランド
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この日の予選はカタールで苦しんだ昨年度チャンピオンであるドゥカティーのトロイ・ベイリスが調子を取り戻してセッションの大半をトップでリードし、2番手にはそのチームメイトであり開幕レース1で3位表彰台を獲得したロレンツォ・ランチがつけていたが、開幕レース2の勝者であるテンケイト・ホンダのジェームス・トスランドがベイリスの昨年のポールポジションレコードにまで0.13秒差に迫る1分32秒641を記録し、初日の暫定ポールを獲得している。

■トスランド「今日はずっとトップになろうと思っていた」

写真開幕戦から好調な走りを見せるハンスプリー・テンケイト・ホンダのジェームス・トスランドは、この日は最初からトップタイムを記録するつもりでセッションに臨んだという。「今日は自分のマネージャーの誕生日なんです。だからトップタイムをプレゼントするつもりだったんです。」とトスランド

トスランドは冬季テスト中に見つけたフィリップ・アイランド用のセッティングには大きな自信を示しており、この日は最初からそのセッティングのままで好調な走りができたという。

また、トスランドは「あまり早いうちからタイムの頭打ちなんて事にはなりたくないんですが、まだ大丈夫みたいですよ。」と述べ、2日目のさらなるタイムアップにも期待を示している様子だ。


■ベイリス「明日は午前中からこのポジション以上を狙いたい」

2番手となったドゥカティーのトロイ・ベイリスは最終的に1分32秒641の記録で走行を終え、1日目はトップのトスランドから約0.5秒の大差をつけられた。
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路面温度が高くなったが結果には満足とするベイリスは、1日目からフルレースシミュレーションを行っており、開幕戦の時よりも好感触が得られるようになったドゥカティー999に自信を持ったようだ。
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「今日の結果には満足です。でも、明日はさらに別の事も試して他のセッティングも探ってみますよ。明日は午前中からこのポジション以上を狙いたいね。」とベイリス


■カワサキのニエトはセッション終了間際に3番手に浮上

トスランドの浮上により3番手に後退したランチはそのままのポジションで順位を終えるかに見えたが、マシンのセッティングを再調整してセッション終了間際にタイムアタックをしたカワサキのフォンシ・ニエトがランチを上回るこの日の3番手タイムの1分32秒769を記録した事により、ランチが記録していた1分32秒774は4番手タイムに後退し、そこで第1予選は終了となった。

■ニエト「フィリップでは2列目以上のグリッドが不可欠」

写真鼻炎が治らず一日中いらいらしながら走っていたというカワサキのフォンシ・ニエトだが、予選序盤にマシンのセッティングを調整した結果、3番手の好タイムを最終的に記録できた事にはとても喜んでいる。

「最初はマシンの感触が悪くて、あまり大きくない微調整をセッティングに施したらそれがうまくいき、最後は3位になれました。でも、今回重要なのはレースペースもすごくいい事です。今日の大半はロングランをして、タイヤの消耗の激しさが気になりましたが、これはみんな同じ条件だから仕方ないですね。」とニエト

ニエトは2日目の午前中はレース用のタイヤ選びに集中し、その後はスーパーポールでの高順位獲得を狙うという。「フィリップでは2列目より低い位置からスタートしたらトップと差が開いて大変な事になりますからね」。


■ランチ「まだタイムは上がる」
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セッションの最後にニエトにポジションを奪われた事を悔しがるドゥカティーのロレンツォ・ランチだが、この日に試したロングランにも良い感触が得られており、レースに向けての準備は上々といった様子だ。
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「明日はもう少し別の事を試します。特にリアサスペンションの調整をしたいですね。タイムはまだ上がると思いますよ。午前中のフリー走行では転倒しましたが大した怪我もなく特に問題はありません。その後すぐフロントの感触を取り戻して、いいラップタイムも出せましたからね。」とランチ


■コーサー「初日のタイムは気にしない」
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「バイクのシャシーもテストの時とは違うし、少なくともセッティングは全く別物です。」と述べ、路面温度が上がったこの日は冬季テストの時とは全く違うセッティングを試しているというヤマハ・イタリアのトロイ・コーサーは、1日目にリアの調子を上げる事ができたので、2日目以降はフロントまわりの調整を始めたいとしている。
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また、1日目は5番手に終わったコーサーは、「金曜日はバイクを仕上げる事が大事ですからね。タイムに関しては16位以内(スーパーポール圏内)ならトップじゃなくてもいいですよ。」と、この日は最速タイムにこだわらなかったと述べる一方、「明日は他の事も色々試すつもりですからもっといいタイムは出る筈ですよ。金曜日の初日からトップになる事ばかりを気にしていた日々はもう遙か昔の事になりましたね。」と、2日目からのポジションアップには意欲を示した。


■ビアッジ「SBKがすごく気に入った」

開幕レースでデビュー・ウインを飾り、もっと早くこのカテゴリーに興味を持っていれば良かったと、SBKに大変な好感触を示し、レースが毎回楽しみで仕方がないと述べるアルスター・スズキのビアッジは、MotoGPの頃から好みのサーキットであるフィリップ・アイランドの初日を6番手タイムで終えている。
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「カタールの時と同じセッティングから作業を開始して、それから微調整を続けています。全区間でタイムをロスしてる感じがしたので午前中はブレーキディスクを小径のものに変えたんですが、パッドが熱をもって良くない感じだったので午後には元のディスクに戻しました。」とビアッジ

写真1日目にビアッジは前回のカタールで使用したエンジンを再び試したようだが、それについてはあまりいい感触が得られなかった様子だ。「あまりパワーが得られない感じなので、明日は新品に交換します。今日はレースに向けてのタイヤ選びに集中しましたから、ラップタイムは特に重要とは思っていません」。

また、他のライダーもコメントしているフィリップ・アイランドでのタイヤの激しい消耗については、以下の通りビアッジも語っている。

「どんなタイヤを選んでもレースの残り6〜7周のところで問題が出てくるでしょうね。フィリップ・アイランドは素晴らしいサーキットですが、左コーナーばかりで右コーナーがあまりないからタイヤにはかなり厳しく、まず片側から消耗してしまうんです。できる限りタイヤを節約して走るようにしないといけませんね。」

なお、先週初めて経験したSBKの2レース制について、ビアッジは以下の通りつけ加えた。

「SBKの2レース制は本当に気に入りました。1レース目に問題が出ても、2レース目に改善策を試すチャンスがもらえますからね。最初は2レースを通して体力が持つか心配でしたがそれも問題ないようです。激しいバトルになりそうな日曜日が楽しみですよ!」


■芳賀選手「今回もフロントの消耗が激しい」

トスランドのマネージャーと同じく、ヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手も、オーストラリア戦の初日に誕生日を迎えている。
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よりコーナリング重視のセッティングをこの日は行い、初日の予選で8番手タイムを記録した芳賀紀行選手は、前回のカタールと同様に、今回のフィリップ・アイランドでもフロントタイヤの消耗に苦しんでいる様子だ。

「もっとコーナリングが楽にできるようなセッティング探しに今日は集中しました。今でもラップタイムはそれほど悪くありませんが、フロントを酷使しないと曲がれなくてタイヤの消耗が激しいんです。午前から午後にかけてセッティングを変えてはいるんですが、まだいい効果が得られていません。」と芳賀選手
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この日の夜も改善作業を続けて2日目に挑むという芳賀選手は、以下の通りコメントをつけ加えた。

「今晩は別の事を試して明日に備えますが、どうなるかは明日になってみないとわかんないですね!」


写真■中冨選手「今日はセッティングの変更に時間がかかった」

初日の18番手となった中冨伸一選手は、マシンのセッティングを前回のレースから大幅に変更しており、その作業に時間がかかってあまりタイムアタックはできていないという。

「明日は改善作業に入れますから、タイムも上がって欲しいですね。」と語る中冨選手が2日目のスーパーポールに出場するには、もう2つポジションを上げる必要がある。



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