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2007年3月29日
前回のカタールでの開幕戦において、800ccグランプリ最初の勝利者となったドゥカティー・マルボロのケーシー・ストーナーは、2列目5番グリッドからスタートした今回のレースには、ストレートの短いサーキットでも自分の速さをライバルたちに見せつけるつもりで挑んだようだ。
■チェカとメランドリの前に出られずに苦労したストーナー
しかしながら、コース幅が狭く、追い抜きの厳しいヘレスでのレース序盤にグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリとホンダLCRのカルロス・チェカから追い抜きをかけられ、その後は2人の後ろでタイムをロスする事になったというストーナーは非常に不機嫌だ。
フロントタイヤが続かなくなったメランドリを追い抜いたストーナーは、その後はカルロス・チェカとニッキー・ヘイデンを続け様に交わし、最終的には5位でチェッカーを受けている。
■カピロッシの課題は深刻
なお、ストーナーのチームメイトであり、今やドゥカティーの象徴とも言えるロリス・カピロッシは、IRTAテストおよび開幕戦に引き続いてマシンのセッティングに苦しみ、2戦目にして今シーズン初の完走とはなったものの、12位というカピロッシにとっては不本意な成績で昨年は優勝したスペイン・グランプリを終えた。
どうやらカピロッシは、800ccマシンとなったデスモセディチGP7の特性と自分のライディング・スタイルとの相性に違和感を感じており、難しい状況に陥っている様子だ。
5位)ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7
メランドリとチェカを交わした後はラップタイムを順調に伸ばし、4位のエリアスと0.6秒差の5位でレースを終えたケーシー・ストーナーは、序盤のタイムロスさえなければ、表彰台も可能だったと語る。
ストーナーはレース序盤の右コーナーでチェカにインをつかれてラインを膨らみ後退、その時にメランドリにも前に出られてしまい、その後のストーナーの直前では、チェカとメランドリがレース中盤まで激しくブレーキングバトルを展開した。
ちなみに、後方から表れてストーナーの背後につき、前方の3台の様子を眺めていたトニ・エリアスは、リズムを崩したストーナーを尻目に、落ち着いてストーナー、チェカ、メランドリの3台を1台ずつ交わしながら、前方に吸い込まれるように消えていった。
「スタートでうまく前に出られてさえいれば、こんなに厳しいレース展開にはならなかったでしょうね。でも、レースの序盤はとても前に行ける状態じゃなかったし、おまけにかなり危ない動きで抜き合いをされたので、素直に後方に下がるより他ありませんでした。」とストーナー。
「一度いいリズムがつかめるようになってからは、やっとマルコ(メランドリ)とカルロス(チェカ)を交わす事ができて、その後は視界が広がったので激しく攻め続けて、いいラップタイムを維持する事ができるようになりました。くだらない争いをされたせいで、みんなで何秒かタイムをロスしただけですよ。」
「バイクもタイヤもいい状態でしたから、あの変な抜き合いさえなければレースの終盤には揃って表彰台を争えた筈ですよ。まあ、仕方ないですけどね。これがレースですから。」
「これからオーストラリアに戻って、この2週間は可能な限りトレーニングに打ち込み、残りのシーズンに向けて自分自身をしっかり鍛えておきたいと思います。」
12位)ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7
昨年は優勝したヘレスでも、ロリス・カピロッシはIRTAテストからの不調を拭い去る事ができず、レースを12位で終えている。チームメイトのストーナーはIRTAテスト中にエンジンパワーを抑える方向でエンジン・マッピングを調整していたが、スロットルを激しく開けるスタイルのカピロッシは、現在もその分野の調整に悩んでいる様子だ。
「午前中はいいセッティングを見つけたと思ったんですが、レースではだめでしたね。」とカピロッシ。
「エンジンに何かが起きてひどいスタートになってしまい、その後は・・・そうですね・・・あんまりうまく走れませんでした。午前中はエンジン・マッピングを調整したんですが、それが良くなかったんだと思います。加速が悪くなってしまい、それが最悪の結果につながりました。全く満足のできないひどいレースでした。」
「ええ、確かに完走はしましたが、自分がしたかったレースの内容とはかけ離れています。次のトルコではもっと調子が戻せるように、これからの数週間を使って色々確かめ、作業を進めておきたいと思います。」
「今日の路面コンディションはそれほど悪くありませんでした。タイヤの調子も良かったし・・・でも、多分自分のライディング・スタイルがエンジンの特性と完璧に合っていなかったんでしょう。スロットルの開け方が少し激しすぎて、それが問題につながっているのかもしれません。電子制御の部分を調整して、パワーの出方を優しくしてしまうとマシンの戦闘力が下がってしまうし・・・要はこの部分の作業が必要なんです。自分のライディング・スタイルを何とかしないとね。」
なお、ドゥカティー・マルボロ・チームはレース翌日もヘレスに滞在し、合同テストに参加しているが、ロリス・カピロッシは夫人の出産予定が間近な事もあり、テストには参加せずにイタリアに戻っている。
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