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ロッシ「油断はできない」
インテリマーク編集部
2007年3月29日

13万8千168人という観客動員数の新記録を更新したMotoGPスペイン・グランプリの決勝レース当日の3月25日、圧倒的な勝利を手にしたのは、昨年と同様にレースウイークを通してセッティングに苦しんだフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
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■ヤマハにとっては雪辱戦のヘレス

昨年はチームメイトのコーリン・エドワーズと2名揃って06年型ヤマハYZR-M1とミシュランの新型ハイグリップタイヤとの相性に苦しみ、ロッシは3列目9番グリッド、エドワーズは4列目10番グリッドからレースをスタート、団子状態となった1コーナーで後続のライダーに追突されたロッシは転倒、その背後につけていたエドワーズは転倒したロッシを避けてグラベルを走行するという、ヤマハ・ワークスにとっては史上最悪の開幕レースとなった。
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■今年もレースウイーク中は不安に苛まれたロッシ

昨年の雪辱戦として、今年のヘレスでは初日からのトップタイムを狙っていたヤマハ・ワークスだが、結局、今回のヘレスでもロッシとエドワーズはレースウイークを通してセッティングに苦しむ結果となっている。
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IRTAテスト時よりも想定外に冷えた路面温度と新タイヤ・レギュレーションの影響からタイヤとマシンのセッティングが合わず、初日の2回のフリー・プラクティスのバレンティーノ・ロッシの成績は8位と5位、2日目午前のフリー・プラクティスに至っては18位という結果に終わった。
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■予選で好位置を獲得しても不安なロッシ

落ち込むロッシの状態を受け、ヤマハは急遽ミシュランとの打ち合わせを行ってマシンのセッティングを変更し、路面温度が上がった事も助けて、ロッシは2日目午後の予選ではポールポジションのレプソル・ホンダのダニ・ペドロサに次ぐ2番グリッドを獲得、チームメイトのエドワーズは4番グリッドを獲得するなど、翌日のレースに期待の持てる雰囲気にはなったが、まだこの時、ロッシはマシンの仕上がりに自信を持つ事ができずに不安な状態だったという。
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■飛ぶように速いマシンへ

ロッシはチーフメカニックのジェレミー・バージェスやその他のメカニックたちと共に、午後に決勝を控えた3日目午前のウォームアップ・セッションの後で最後のマシン調整を行い、この結果、マシンはロッシの言う「飛ぶように速いマシン」に生まれ変わったようだ。
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■レースはロッシの圧勝
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結局ロッシは、午後のレースでホールショットを奪ったダニ・ペドロサをオープニングラップ中に難なく交わすと、そのままトップを走り続け、レース後半には2番手を走るペドロサを2.5秒引き離して最後まで寄せ付ける事はなく余裕の勝利を獲得している。チームメイトのコーリン・エドワーズも2番手のペドロサの背後となる3番手のポジションをレース開始直後からキープしており、終盤はグレッシーニ・ホンダのライダーである地元スペインのトニ・エリアスに1.5秒差まで迫られたがこれを制し、ヤマハ・ワークスは完全とも言える形で昨年の雪辱を果たすと同時に、勝利への復活を遂げた。
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優勝)バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ YZR-M1

写真バレンティーノ・ロッシおよびフィアット・ヤマハ・チームは、次戦のトルコやその次の中国はカタールにも近い高速サーキットであり、今回のヘレスの段階でポイントリーダーの座を奪い取った事は非常に重要だったと考えている。勝利を今回手にしても、僅差の接近戦が今後も予想される今年の800cc元年は、ロッシであっても全く余裕を感じる事ができないシーズンのようだ。

「去年のレース内容からすれば、今回は比べものにならないくらいに最高でした!」とロッシ

「今日の最優先課題はいいポイントを獲得する事でした。優勝を狙うには限界まで攻めなきゃいけないと思っていましたからね。でも、ヤマハのマシンが本当に飛ぶように速かったおかげで、こんなに素晴らしいレースをする事ができたんです。」

「前回の優勝から、もう随分と時間がたっているように思えますから、これは自分にとって特別な意味のある勝利です。特にヘレスの大観衆の前で勝てたのが感動ですね。カタールも悪くありませんでしたが、こうして久しぶりに勝利を味わえるのは最高の気分ですよ。」

「金曜日にはいくつも問題を抱えていましたし、昨日もそうでした。それで今朝のウォームアップの後に少しマシンを調整したんですが、これにはジェレミー・バージェスをはじめ、他のメカニックやエンジニアなど、チームの全員に感謝したいと思います。このレースウイークを通して全員が自分のために、今回の勝利に値する素晴らしい仕事をしてくれました。」
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「また、今日はタイヤの調子もすごく良かったです。ミシュランは複雑な状況の中で色々頑張ってくれたので、彼らにも御礼が言いたいです。」

「レースではスタートからうまくいって、その後は何もミスをしませんでした。今日はペドロサが危険な存在だとは分かっていましたが、彼とはいいバトルができました。」

「今回のコーリンの成績もすごく嬉しいです。今日のレースで2人揃って表彰台に乗れたって事は、これからの長いシーズンを通して、何が起きても自分たちの好調さを維持できる証拠ですからね。」

「自分たちにとっては難しい状況になるかもしれない2つのサーキットをこの先に控えているので、年間タイトルをリードする形でここを離れられるのは、非常に重要な事だと思います。」


3位)コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ YZR-M1

昨年の中国グランプリ以来となる15戦ぶりの表彰台を獲得して上機嫌のコーリン・エドワーズは、地元の声援に押されて勢いづき、背後から迫るトニ・エリアスの存在を、大きく意識しながらの走行をレース中は続けていたという。
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「金曜日の朝の時点では、誰も自分たちが表彰台でレースを終えるなんて思わなかったでしょうね。でも、実際にそうなったし、自分にとってはすごくいいレースでした。」とエドワーズ

写真「スタートもうまく決まりましたが、最高のシーンはチェカを素速く交わす事ができた部分です。空気のいい場所に抜け出す事が今回は重要でしたし、バレンティーノとペドロサの後ろにしがみついて行かなきゃだめだってのもわかっていましたからね。小さなミスを2回してしまい、彼らに差をつけられたのは残念でしたが、バイクの調子が良かったので、そのままいいペースを維持する事ができました。」

「レース終盤に入ってからエリアスが背後に現れたんです。地元のファンの声援に押されて勢いづいて、そのまま表彰台までかすめ取ろうって魂胆が見え見えで気に入らなかったので、最後まで徹底して彼の追撃を遠ざける事に集中しなきゃいけませんでした。」

「残り何周かはタイヤが滑り始めて時々冷や冷やしましたが、何とか最後までポジションを守りきって、久しぶりに表彰台に上れたから最高の気分ですよ。」


■フィアット・ヤマハ・チーム監督 ダビデ・ブリビオ

レース前の2日間はマシンのセッティングに苦しんだが、最終的にレースではロッシの優勝とエドワーズの3位表彰台を獲得したダビデ・ブリビオ監督は、新タイヤ・レギュレーションに向けての資材管理の強化が、今回の勝利を実現したと語る。

「2人のライダーが揃って表彰台に戻ってこれて本当に素晴らしかったと思います。特に去年はここヘレスで大変に苦しい思いをしましたからね。」とブリビオ監督
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「今後に向けてのいい兆候ですし、ヤマハのエンジニアが新型バイクに対してどれだけすごい作業をしてきたかも証明する事ができました。チームの全員が1人残らずレースウイークを通して、この勝利に値するだけの頑張りを見せたと思います。」

「新タイヤレギュレーション以降、チームには資材管理の強化が必要になりましたが、それが今回の素晴らしい結果を生む事になりました。」

「これからの2戦には油断のできないサーキットが控えていますから、今回の成績はその意味でも重要だったと思います。シーズンの今の段階からトップに立てるのもいい事ですしね。」

「今日は本当に満足です!チームに関係する全ての人たちに感謝しています。」


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