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2007年1月17日
昨年の10月9日に発表されたトロイ・コーサーのヤマハ・イタリアへの移籍は、ヤマハのエースの芳賀紀行選手と、アルスタースズキで2005年にチャンピオンを獲得したコーサーがチームメイトとなる事で、2007年型ヤマハYZF-R1の開発のスピードアップが期待できるとヤマハ関係者の期待を集めた。
今回フィリップ・アイランドで終了した2007年シーズンに向けての3回目のピレリタイヤテストまでに、新型YZF-R1はどこまで安定したのだろうか。
■今後に期待を示すヤマハ・イタリア
1月13日から15日の3日間のテストの結果は、今回もトップを記録したドゥカティーのベイリスが1分30秒台の後半、同じくドゥカティーのロレンツォ・ランチが1分31秒台の前半で2番手、3番手のホンダのジェームス・トスランドが1分31秒台の後半を記録する中、トロイ・コーサーは1分32秒2の総合4番手タイム、芳賀紀行選手は1分32秒8の総合9番手タイムだった。
現段階において、ドゥカティーとベイリスにマシンの仕上がりにおいて差をつけられているのは紛れもない事実だが、32秒台にほとんどのライダーがひしめく今回の結果を見る限りにおいて、まだあまりドゥカティーを除く各チームともに、開幕に向けての仕上がりに大きな差は開いていないと言えるだろう。
マシンの仕様が変わり、改めてデータを収集しているヤマハ勢は、この状況について悪くない印象を持っているようだ。新型シャシーとスイングアームの検証に時間を費やし、タイムアタックにあまり重点を置かなかったここまでのテストにおいて、安定した走りのできる新型パッケージは今後に期待が持てるという。
■コーサー「タイムは必ず改善できる」
地元でのピレリタイヤテストを終えたオーストラリア人ライダーのトロイ・コーサーは、まだスイングアームに調整は必要だが、バイクにチームにも大変満足だとコメントしている。
「トップスピードもエンジンのフィーリングも悪くありません。ただ、コーナー出口で少しリアのグリップ不足に苦しみました。」とコーサー。
「ちょと傾けすぎている感じですね。それで現段階ではあまりいいタイムが出せていません。」
「バイクもチームもとてもいい感じですので非常に満足しています。ただ、もうちょっとテストは必要でしょうね。それにヤマハのマシンでフィリップ・アイランドを走ってまだ3日目にすぎませんから、今後もスイングアームの角度の調整を進める必要があります。」
「今回はハードタイヤでもいいグリップが得られて、予選タイヤなみにプッシュしました。若干のトラブルはありましたが、ラップタイムで他と引き離される事はなかったので特に心配はしていません。」
「どこでどのくらいタイムを落としたかを、自分では良く理解できていますので、必ず改善できます。」
■芳賀選手「まだ新型パーツのテストが必要」
総合タイムは10人中の9番手タイムに終わった芳賀紀行選手は、3日目の最終日にいいセッティングを見つける事ができたようだ。オーストラリアでのテストを終えた芳賀選手は、まだ新型パーツのテストは必要だと語る。
「やっといいセッティングを見つけていい加速ができるようになりました。でもトロイと同じようにまだ何点か問題を抱えています。」と芳賀選手。
「今日(3日目)は20周のロングランを行い、最初はとてもいい調子でしたが、8周目を過ぎたあたりからリアに問題が発生して滑りはじめました。まだ新しいパーツ類のテストを続ける必要があります。」
■マッシモ・メレガッリ監督「これで戦闘準備が整う」
また、ヤマハ・イタリアのチーム監督でるマッシモ・メレガッリは、ここまでの3回のピレリタイヤテストで収集できたデータを分析し、開幕に向けて戦闘力の高いマシンに新型R1を仕上げたいと述べた。
「今回は前回のカタールで問題となったようなリアのグリップ不足はありませんでしたので、重要なテストを終える事ができたと思います。」とメレガッリ監督。
「これでチームは必要な仕様変更をマシンに施す事ができますので、新型R1を完璧に戦えるレベルにまで持っていけます。ライダーたちやチーフ・メカニックとの議論を通して、セッティングの解決策はすでに見えていますし、パーツ類のテストもレースウイーク中に行う予定です。今回は全てのパーツをここに持ち込む時間がありませんでしたからね。」
「今日のノリユキはいいレースシミュレーションができたと思います。」
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