MotoGP 速報ニュースサイト インテリマーク
最新ニュース 2007年冬季データ 2007年のMotoGP年間予定、及び各クラスの結果 2007年のMotoGP各クラスのポイントランキング インテリマークフォーラム/2輪ロードレースカレンダー/MotoGP天気予報/世界サーキット時計 運営/お問い合わせ
元のページに戻る
SBKオーストラリアテスト、MotoGPに迫るベイリス
インテリマーク編集部
2007年1月16日

SBK2007年シーズンに向けての3回目のピレリタイヤ合同テストが、1月13日からの3日間、オーストラリアのフィリップ・アイランドで行われた。開幕前の冬季の公式合同タイヤテストは今回が最後となり、各チームは最後の調整を残りのテスト期間を使って各々に行ってから、2月22日にカタールでの開幕を迎える事となる。
写真
今回参加したメンバーは、前回のカタールで行われた2007年に向けての2回目のピレリタイヤテストと同じく、ドゥカティー、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの5メーカーが選択した主要5チームの10人のライダーだ。

■今回も圧倒的に速いベイリス

1月13日から15日にかけての3日間、オーストラリアのフィリップ・アイランドは好天に恵まれたが、初日はヨーロッパなどから移動してきた一部のライダーは時差ボケに若干苦しめられたことが1日目のタイムに影響したとコメントしている。カワサキのフォンシ・ニエトなどはその一人であり、初日は体調不良に悩んだようだ。
写真
年明け初となった今回のオーストラリアのテストでも、圧倒的な速さを見せつけたのは、時差ボケとは全く無縁な地元のSBK王者であるトロイ・ベイリスだ。ベイリスは1日目からトップタイムをマークし、最後までトップの座を他に明け渡すことはなかった。

■ニール・ホジソンとアプリリアがSBKに復帰?

希望するドゥカティーからのオファーが得られずに、SBKへの復帰が危ぶまれているニール・ホジソンだが、ここにきてアプリリアでの出場が噂されている。

写真イタリアのロードレースサイトであるRACERGP.COM(www.racergp.com)によれば、ニール・ホジソンの最後の望みとなっているカール・フォガティーは、2003年にSBKから撤退したアプリリアに対し、2007年からのSBK復帰を呼びかけているという。

RACEREGP.COMによればフォガティーは、アプリリアの2気筒マシンであるRSV1000にニール・ホジソンを乗せて2007年シーズンを開始し、ホジソンが高い成績を収めるようであれば、シーズン終盤には同社のV型4気筒エンジンをレースに投入し、開発をしたいとアプリリアに申し入れているようだ。

アプリリアはV4バージョンのRSV1000を2008年に市場投入すると言われており、今回のフォガティーの呼びかけはそれにあわせたものだろう。また、この計画には、今年からフォガティーのチーム運営に加わる事が噂されている昨年現役を引退したイタリア人ライダーのフランキー・キリも参画しているという。

なお、1月15日にFIMから発表されたSBK2007年暫定リストには、まだフォガティーのチームはエントリーされていない。

■フィリップ・アイランド合同テストの結果

以下に、フィリップ・アイランドで行われたピレリタイヤテストの結果を、3日間の総合タイム順に示す(ピレリ公式発表より)。

1)  トロイ・ベイリス ドゥカティ・ゼロックス 1分30秒7
2)  ロレンツォ・ランチ ドゥカティ・ゼロックス 1分31秒2
3)  ジェームス・トスランド ハンスプリー・テンケイト・ホンダ 1分31秒7
4)  トロイ・コーサー ヤマハ・イタリア 1分32秒2
5)  レジス・ラコーニ PSG-1カワサキ 1分32秒2
6)  加賀山就臣 アルスター・スズキ 1分32秒3
7)  フォンシ・ニエト PSG-1カワサキ 1分32秒3
8)  マックス・ビアッジ アルスター・スズキ 1分32秒4
9)  芳賀紀行 ヤマハ・イタリア 1分32秒8
10)  ロベルト・ロルフォ ハンスプリー・テンケイト・ホンダ 1分33秒2

写真
今回は2日目にアルスター・スズキのマックス・ビアッジが低速コーナーで転倒、カワサキのレジス・ラコーニは時速240km/hの高速走行中に転倒したが、特に2名に怪我はなく、3日目も問題なくテストに参加している。ラコーニについては、転倒の影響でマシンが大破した事から、最も路面状態が良かったと言われる3日目の午前中は走行に加わる事ができなかった。

ドゥカティーのトロイ・ベイリスは、上記の最速タイムを3日目の午前中に記録したところでテストを切り上げ、午後は必死のライバルたちをサーキットに残し、早めに合同テストを終えたようだ。

■大幅な性能向上を見せる近年のピレリタイヤ

写真タイヤのワンメークルールが2004年に適用されてから、公式タイヤサプライヤーとなったピレリは、かつてのミシュランで記録されたベストラップを各サーキットで更新できずに苦しんだが、2年前に当時ホンダのクリス・バーミューレンなどが一部のサーキットでミシュランの記録を上回り出して以来、着実にピレリのタイヤ開発は進化を続けている。

昨年に記録されたフィリップアイランドにおけるSBKのレース中の最速タイムはドゥカティーのトロイ・ベイリスが記録した1分32秒402、予選最速レコードは同じくベイリスの1分32秒081だが、今回ベイリスが3日目に記録したトップタイムである1分30秒7は、自身の持つSBK予選最速レコードをいきなり2秒も削った事になる。

ベイリスは2日目のフロント・タイヤにピレリの試作タイヤ、リア・タイヤに2007年シーズン向け新型タイヤを装着してレースシミュレーションを実施し、3日目は両方に2007年新型タイヤを装着して今回のベストタイムを記録した。

■MotoGPのラップタイムに迫ったベイリス

ちなみに、2輪ロードレース最高峰カテゴリのMotoGPクラスにおける990ccバイクでのレース中最速レコードは2005年にマルコ・メランドリが記録した1分30秒332であり、ベイリスの今回のタイムはそれに約0.35秒差まで近づいている。これはSBK史上においても特筆すべき出来事だろう。なお、MotoGPの予選タイヤにおける最速ラップは、ニッキー・ヘイデンが昨年の2006年に記録した1分29秒020だ。
写真
昨年MotoGPの最終戦にスポット参戦したトロイ・ベイリスが、並み居る強豪の現役MotoGPライダーを全員抑えて優勝した事からも分かるが、ドゥカティーのMotoGPライダーであるロリス・カピロッシがベイリスの事を「熟成ワイン」と評したように、SBKに復帰したベイリスは無敵の強さと実力を見せつけている。ベイリスは今回のフィリップ・アイランドの2日目午前中の段階ですでに昨年までのSBKラップレコードを上回るタイムを記録したが、この日の2番手以降のライダーは、ベイリスのタイムの1秒差以内に近づく事ができなかった。

■ドゥカティーの優位性はシーズン開幕以後も続くか?

ベイリスの冬季テストタイムは今年も驚異的と言える。彼やドゥカティー・ワークスの今の優位性は開幕以後も続くのだろうか。
写真
ベイリス(総合トップ:1分30秒7)と、彼のチームメイトであるドゥカティー・ワークス2年目のロレンツォ・ランチ(総合2番手タイム:1分31秒2)が、先週末から今週にかけてのオーストラリアでのテストを制する事になったが、彼らのマシンは昨年の延長線上にある999F07であり、マシンのセッティングはほぼ昨年のデータがそのまま使用できる。カワサキやホンダも、ここまでのテストの様子を見る限りでは、基本的には昨年のデータをベースに好タイムを記録している。

■新型マシンの熟成に集中するスズキとヤマハ
写真
それに対し、2007年シーズンに向けて全く新しい仕様となったマシンを開幕から投入してくるのがスズキとヤマハだ。しかもアルスター・スズキのマックス・ビアッジ(総合8番手タイム:1分32秒4)にとってSBKへの参戦は今年が初めてであり、同じくスズキからヤマハに乗り換えたトロイ・コーサー(総合4番手タイム:1分32秒2)もYZF-R1でのライディングは昨年末が初体験だ。彼らは新型マシンの調整を進める中で、まだ乗り慣れないマシンの特性をつかむ事に、ここまでのテストの重点を置いている。
写真
コーサーのチームメイトであり、ヤマハに乗り慣れた芳賀紀行選手(総合9番手タイム:1分32秒8)と、ビアッジのチームメイトでスズキ・プロフェッショナルとも言える加賀山選手(総合6番手タイム:1分32秒3)が、開幕に向けてマシンの調整を慎重に行い、それほど大きくタイムを伸ばしていない事からも、スズキとヤマハは日本のエンジニアを含めて新型マシンの熟成に今は焦点をあてており、じっくりと開発に取り組んでいる様子がうかがえる。昨年に引き続き好調のドゥカティーに今年のスズキとヤマハが迫るには、開幕までの時間をもう少し要するのかもしれない。
写真
■レースペースは悪くないコーサーと芳賀選手

前回の年末のテストから複数の新型シャシーとスイングアームを検証するヤマハの状況については、最速ラップレコードだけでは分かりにくいが、コーサーは今回の3日間に行ったレースシミュレーションにおいて昨年までのレースペースを0.2秒上回っており、マシンにも悪くない印象を述べている。チームメイトの芳賀選手も3日目にやっと良いレースセッティングを見つけたと最終日にコメントしており、シーズンに向けての不安はそう感じていない様子だ。

■熟成の進むスズキの新型マシンと抑え気味のビアッジ

今回2種類の新型エンジンを交互に試したというスズキについてだが、ビアッジは3日間を通してチャタリングの問題が解決できず、2日目の転倒の影響もあって今回は総合8番手タイムに終わっている。
写真
しかしながら、昨年末のバレンシアでの1回目のピレリタイヤテストにおいて本人の言う「本気のアタック」を見せた時には、ビアッジはレースタイヤでのトップタイムを記録しており、実際の彼の仕上がり状況は開幕のカタールまでは分からないだろう。前回の2回目のタイヤテストでは、スズキのエンジニアに注文するかのように新型マシンの問題点を多くビアッジはコメントしていたが、3回目の今回はマシンの振動によりタイムが伸び悩みだと語ったものの、全体的な乗り味は良くなったとの印象を述べている。

■加賀山選手は今年も転ばないスタイル
写真
また、ビアッジのチームメイトの加賀山選手は、2007年仕様のマシンが順調に仕上がってきた事と、今回のテストで一度も転倒しなかった事を喜んでいる。彼は不調だった昨年のシーズン前半、転びすぎる自分のライディングスタイルとレース戦略に問題点をあげていたが、それを改善する「クレバーな走り」をシーズン後半には見せ、BSB時代にも達成できなかったダブルウインをSBKで獲得するという快挙を成し遂げた。今年もその勢いと転倒しない走りのスタイルを開幕後も持続し、安定した成績を狙ってくる筈だ。
写真
■安定したホンダとチーム体制を変更したカワサキ

開幕後に期待の持てるヤマハとスズキだが、ドゥカティーを追いかけるホンダの2007年シーズンとジェームス・トスランド(総合3番手:1分31秒7)にも注目が必要だ。

ハンスプリー・テンケイト・ホンダのジェームス・トスランドは、今回のテストを終えて2007年シーズンに向けての自信が高まったと述べており、シーズンの開始が待ちきれないとコメントした。昨年はドゥカティーから乗り換えたばかりの開幕戦で、大方の予想を裏切りいきなり優勝をさらったトスランドだけに、今年はホンダ2年目でのさらなる活躍に期待がよせられている。

また、昨年までの3人体制から、ベテランのレジス・ラコーニと、昨年好調だったフォンシ・ニエトの2名にライダーを絞ったカワサキの体制変更も興味深い結果を生むかもしれない。実際にニエトは、「2人体制は以前よりも作業がはかどる」と、今回の最終日にコメントしている。

SBK2007年の開幕レースは2月24日のカタールだ。


関連記事

ヤマハイタリア「これで戦闘準備が整う」
ビアッジ「フィリップ・アイランドは面白かった」
ベイリス「全て順調、最高に満足」
SBK2007年スケジュール
SBK カタールで2006年内全てのテストを完了
マックス・ビアッジとSBK2007年シーズンに向けての動向

最新のニュース一覧へ 元のページに戻る
インテリマーク - Copyright (c) IntelliMark All Rights Reserved. -
UA_ZOZOTOWN
ZOZOTOWN