|
2007年5月18日
中国GPでの抜本的なマシンセッシングの見直しを経て、新たな期待を持ってコニカミノルタ・ホンダチームの中野真矢選手は、昨年のカワサキ時代には予選で2番グリッドを獲得したルマンに戻ってきた。
■前回の中国では根本的なセッティングの見直しを実施
冬季シーズンからホンダのRC212Vのフロントまわりのセッティングに苦しみ、開幕後もなかなか中野選手のライディング・スタイルに合うマシンの調整が進まずに苦しんでいたコニカミノルタ・ホンダチームは、前回の中国GPではベースセッティングを根本から見直し、HRCによる分析を織り交ぜながらの試行錯誤を重ねた。
■効果は得られず2日目にセッティングは元通りに
しかしながら、その中国初日に行われた2回のフリー・プラクティスでマシンの状況に改善の兆しが全く見られなかった事から、中野選手の希望により開幕当初のベースセッティングにチームはセッティングを組み直している。これにより、2日目の予選では過去3戦と同レベルの調子を中野選手は取り戻したが、レースはTECH3ヤマハの玉田選手に追突されてリタイアに終わるという残念な結果に終わっている。
中国での作業データから、現在のRC212Vの特性上、第3戦のトルコまでに使用していたセッティングが中野選手のライディング・スタイルに最も適しているという結論に達したチームの技術スタッフは、ルマン以降もHRCとの相談を重ねながら、今期のホンダの800ccマシンの仕様内で可能となる全ての改善を、トルコまでの標準的なセッティングの範囲内で今は行う方針を固めたようだ。
■ルマンを本拠地とするミシュランに期待を抱くコニカミノルタ
中野選手をはじめとするミシュランを履く現在のホンダ勢の一部が抱える問題は、ヨーロッパラウンドが始まる今の段階からパッケージそのものの改善が進まなければならないとコニカミノルタ・ホンダチームは考えており、ホンダとミシュランに対して強く要望を訴えている様子だ。
特に今回のフランスGPの舞台となるルマンはミシュランの本拠地であり、まずはミシュランが中野選手のフロントまわりの感触を改善できる新しいタイヤを持ち込む事に、チームは大きな期待を抱いている。新タイヤレギュレーションにより、ミシュランは今期はブリヂストンに押されて苦しい戦いを強いられているが、各ライダーに合わせたタイヤの開発は真剣に行っている。
■モンティロン「ルマンを熟知したミシュランに期待」
コニカミノルタ・ホンダチームのオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、ルマンを熟知したミシュランが、最もそのコースレイアウトやアスファルトに適しており、且つ中野選手のライディング・スタイルにも合うタイヤを、今回のフランスGPでは準備してくる事に期待を示した。
「ルマンは自分たちの成績を上げる事が可能な場所だろうと考えています。」とモンティロン。
「ミシュランは有名なブガッティ・サーキット(ルマン)のコースとアスファルトを良く理解していますので、シンヤがホンダRC212Vの感触をさらに得やすくなる新しいタイヤをここでは用意してくれる筈です。」
「ここまでの4レースで、チームは多くの異なるセッティングを試してきましたが、シンヤが開幕時に選んだ最初のセッティングに結局のところ戻さざるを得ませんでした。」
「ヨーロッパラウンドは私たちが今後に良い成績を残す上で非常に重要な戦いになります。」
また、コニカミノルタ・ホンダの運営母体であるレーシング・チームのJiR(ジャパン・イタリア・レーシング)は、日本とイタリア、およびMotoGPファンと優良企業の架け橋になる事をビジネス理念としており、ここでモンティロンはチームの新しいスポンサーの1つとなったワールプール社の紹介を付け加えている。モンティロンは以下の通り続ける。
「ビジネス的な側面から見れば、私たちの組織は非常にうまく機能しており、スポンサーやパートナーの方々には大変に感謝しております。ルマンからは新たなスポンサーとして多国籍企業のワールプール社(Whirlpool)にご参画頂ける事になりました。新しい大手スポンサーがJiRを通してMotoGP業界に参入する事を大変に嬉しく思います。」
「ワールプール社は、MotoGPの新たな観客となり得る女性の世界がモータスポーツとより身近になる事を目的に、今回のフランスGPからアッセンまで私たちと活動を共にする予定です。ワールプール社のブランドロゴは、シンヤの乗るホンダRC212Vのカウルの下の部分にあるサイクリング世界選手権の「Varse2008」のロゴの横にペイントされます。」
「コニカミノルタ社と私たちのGPプログラムは、融合的な組織として成果を上げる事に成功しています。私たちのビジネスの目的は、このMotoGPプログラムを提供する事で、スポンサーとその顧客をより身近な関係にしていく事です。これこそがJiRの明確な特徴であり、サーキットとビジネスにおける活動の両面で素晴らしい成果が得られるよう、今後も楽しみながら努力を続けて参ります。」
■中野選手「初日からいける筈」
中国ではかつてないほどに苦しいレースウイークを過ごした中野真矢選手は、昨年のルマンではあまり納得のいかないジャンプスタートのペナルティーを受けてレースの順位は大きく後退したものの、予選では1列目を獲得している。今週はその得意のルマンにおいて、前回のレースウイーク中の雪辱を果たせるように、金曜日の最初のフリー・プラクティスから全力で挑みたいとコメントしている。
「中国は決していいレースウイークでは無かったと述べるのが道理でしょうね。ただ、チームも自分もルマンでは調子を取り戻すと思います。」と中野選手。
「ここは自分が楽しめるコースレイアウトですから、レースタイヤでもさらにいい走りができるようになりたいですね。」
「去年のフランスGPではポールポジションの獲得を目前にして最終的には2番グリッドに落ち着きましたが、この結果からもここではいける事が分かっていますし、金曜日の最初のプラクティスからいいペースをつかめる筈ですからとても楽しみです。」
■ベルナルデッレ技術監督「ルマンの路面が状況を改善」
コニカミノルタ・ホンダチームの技術責任者を務めるジュリオ・ベルナルデッレは、ルマンなどのヨーロッパのサーキットは、ここまでの中国などの新しいサーキットとはアスファルトの状況が大きく異なるため、チームのパッケージにはより適している可能性があると述べる。
「私たちにはさらなる改善策が必要ですので、ミシュランからは何本かの新しいタイヤが供給される事に期待しています。」とベルナルデッレ技術監督。
「ライダーが希望通りに操る事のできるマシンになるように、年間シーズンの今の段階にこそ、各テクニカル・パッケージ(バイクやタイヤ)には早急なる開発作業が求められていますが、ミシュランにとってヨーロッパにおける今後の何戦かは、タイヤの開発を進める上で有利な状況となる筈です。私たちが特に重視したいのはフロントタイヤです。」
「前回までの過去数戦と比較して、今回の路面条件や温度は非常に異なるものとなりそうですから、それが自分たちのマシンには好都合かもしれません。また、ルマンはロングストレートのない古いスタイルのコースですからライダーの技量が勝負になりますので、シンヤには大きく期待できます。」
|
|