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2007年4月19日
前回のヘレスは、ドゥカティー・ワークス勢にとっては実りの多いレースウイークだったようだ。カタールでの開幕勝利は、ロングストレートでのエンジンパワーによるところが大きいと書き立てられる事が多かったドゥカティーとケーシー・ストーナーだが、ストレートが短いヘレスでも十分な活躍を見せる事に成功している。
ヘレスでストーナーは表彰台から僅か2.3秒遅れの5位を獲得し、現在の年間ランキングは2位だ。
■カタールと同様、ドゥカティーと相性の良いイスタンブール
コースレイアウト的にドゥカティーには若干不利と言われたヘレスの次にケーシー・ストーナーとロリス・カピロッシが向かうのは、エンジンパワーがあるに超した事のない高速コーナーの突入前の上り勾配での加速が必要なイスタンブールサーキットだ。
ストレートは地形の関係から最長720メートルしか取れず、近代サーキットの中では決して長くはないが、イスタンブールの2つの長いストレートはフルスロットルのまま時速250キロ以上の速度で飛び込む11コーナーで接続されており、両方を合わせてロングストレートと見る向きも少なくなく、カタールと同様にドゥカティーが得意とする特性のサーキットと言える。
■ストーナーが大の得意とするサーキット
また、好調のケーシー・ストーナーにとってイスタンブールは非常に相性の良いサーキットだ。昨年はホンダのマシンでマルコ・メランドリとの熾烈なバトルの末、0.2秒の僅差で優勝は逃したものの2位表彰台を獲得しており、その前年の2005年には250ccクラスでの優勝も飾っている。
■トルコからの反撃は必至、幸福なカピロッシ
開幕戦から躍進するストーナーとは異なり、今期は不調に喘いでいるのがチームメイトのロリス・カピロッシだが、4月3日に長男のリカルド君が無事に誕生して以来、精神的な不安が解消され、幸福な3週間を過ごした彼が、得意のイスタンブールで反撃に転じてくる事はまず間違いないだろう。
カピロッシは2005年の初のイスタンブール戦は、その前戦のフィリップ・アイランドで転倒し肺を損傷した影響により欠場しており、昨年が初のトルコでの走行となったが、この時には予選で4位、決勝では6位を獲得しており、イスタンブールサーキットには好印象を持っているという。
■スッポ監督「ブリヂストンタイヤが非常に優秀」
ドゥカティーのMotoGPプロジェクト・マネージャーを務めるリビオ・スッポ監督は、まだ1度も800ccマシンでデータを採取した事がないイスタンブールで戦うのが楽しみだと述べ、31本に持ち込みが制限される今年のタイヤレギュレーションの影響が出るのはどのチームにとっても同じとコメントした。
「まず何よりも先に、ロリスにはリカルド君の誕生に祝福の言葉を贈りたいと思います。おめでとう。」とスッポ監督。
「トルコは面白い戦いになりそうです。新タイヤレギュレーションが施行されてから、事前にテストを行っていないサーキットでレースをするのは今回が初めてですからね。このレースウイークがどういう流れになるのか楽しみですし、これは他のチームも同じだと思います。」
「ブリヂストンは最初の2レースで素晴らしい仕事を見せてくれました。ケーシーはカタールの最終ラップでコースレコードを塗り替えましたし、ヘレスではレース終盤近くまでファーステストラップを記録していました。これは両方のサーキットでタイヤが非常に優秀だった事を証明する結果です。」
「去年ケーシーはMotoGPで最初の表彰台をイスタンブールで獲得しましたから、今回のレースにも期待を持って挑める筈です。」
「ロリスの今シーズンは厳しいスタートになりました。去年の彼は2レースを終えた時点で年間ランキングのトップに立っていましたからね。でも、彼は真のファイターですから、すぐに調子を取り戻してくれる事は間違いありません。」
■ストーナー「新タイヤレギュレーションには慣れた」
開幕戦を勝利で飾り、ここまでの2戦を終えてランキング2位につけるケーシー・ストーナーは、イスタンブールサーキットはコーナーの種類がバラエティーに富んでいるので、各チームがそれぞれのマシンの特性を活かして戦えるサーキットだと語る。
「去年はトルコで本当にいいレースができましたし、その前の年には250ccクラスで優勝していますから、またあそこに戻れるのは嬉しいですね。」とストーナー。
「ドゥカティーとブリヂストンの戦略は正しく機能していますから、今の自分たちはかなり高いレベルで戦えると思います。それにチーム内の雰囲気が素晴らしいので、自分たちは全力で仕事に取り組んで、バイクへの理解を深める事にのみ集中できるんです。」
「イスタンブールのいくつかのコーナーはすごく面白いですよ。コース終盤にある上り坂から抜け出た部分なんかがまさにそうです。ただ、ストップ・アンド・ゴーの特性もありますので、ムジェロやフィリップ・アイランドみたいな滑らかな流れはありませんね。」
「それに正しい走りが要求されるすごくテクニカルなサーキットでもあるんです。去年のレースでライダー間の距離が広がったのはそれが理由ですね。先頭集団について走るのはかなり難しいサーキットですよ。」
「コーナーの種類も多岐にわたりますから、それぞれのバイクの色んな特性が広範囲に有効です。バイクの調子が良くて安定していれば高速コーナーでタイムを稼ぐ事ができますし、そうじゃなくて機敏なハンドリングのバイクなら、低速のきついコーナーでタイムを上げられます。」
「新しいタイヤレギュレーションは誰にとっても同じ条件ですし、タイヤの本数は十分あります。だいぶ新しいルールにも慣れてきましたしね。」
■カピロッシ「カタールとヘレスよりもいい成績が残せるのは確実」
昨年はランキングのトップに立っていたトルコグランプリを今年はランキング14位で迎えたロリス・カピロッシは、一児の父親となって初めて挑む今回のグランプリでは、ここまでの苦戦した2レースよりも確実に高い成績を残し、タイトル争いに向けての反撃を開始するつもりだ。
「今はトルコが楽しみです。ここまでの2戦が大変でしたし、もっといい成績が残せる事だけは確実ですからね。」とカピロッシ。
「イスタンブールのコースレイアウトはいいですよ。本当に面白いし大好きなサーキットです。走ったのは去年が初めてでしたが、第一印象からとても良かったんです。天気は最悪でしたけどね。すごい雨でおまけに寒くて、あれは誰にとっても簡単なレースウイークではありませんでした。」
「コースの最初の区間がいいですよ。それと最後のシケインの前にある11コーナーは本当に超高速カーブです。11コーナーは本当に走っていて楽しいし、すごいんです!990ccのバイクでも5速でスロットル全開でしたからね。」
「あの高速コーナーに向けては安定性重視のバイクが必要ですが、狭いコーナーもいくつかあるので俊敏性も必要なんです。GP7はGP6よりも動きが機敏にできますから、走ってみてどうなるか楽しみです。」
「他のサーキットと同じように、イスタンブールでもいいタイヤが必要ですので、ブリヂストンと協力していい結果が残せるようにしたいですね。」
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