|
2007年4月19日
明日の4月20日から始まるトルコ・グランプリが開催されるイスタンブールサーキットは、その次戦の上海と並びヤマハ・ワークス・チームが苦手意識を持つサーキットだ。
前回のスペインで揃って表彰台を獲得し、上機嫌のまま3週間の休みを過ごすことができたというフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズの2名は、不調に苦しんだ昨年とは異なる好調なマシンと共に、今年は期待を持ってイスタンブール戦に挑むようだ。
■イスタンブールに苦手意識を持つヤマハ・ワークス
イスタンブールサーキットはロングストレートを持つ上海ほどにF1スタイルのサーキットではないが、登り勾配での加速力などエンジンパワーが要求されるサーキットの1つには違いない。フィアット・ヤマハのスタッフは、開幕戦のカタールでドゥカティーに見せつけられたような馬力の差は、ヤマハYZR-M1の誇るハンドリング性能だけではカバーしきれない可能性も否定はできないようだ。
■馬力アップに向けて、ヘレス後のテストに新パーツを検証
フィアット・ヤマハ・チームは、前回のヘレスの翌日から2日間のテストでは今回のイスタンブールを前提としたセッティング調整やタイヤ選びを行う中、現在のマシンの最大の課題であるエンジン馬力の向上に向けた新パーツの導入テストを、中国戦までを見越して行っている。
実際にその新エンジンパーツを1人で試したバレンティーノ・ロッシは「若干性能はアップした」との印象は持ったようだが、抜本的な改善とまではいかなかったようだ。フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオも、イスタンブール戦から新仕様のエンジンパーツを採用するかどうかについては慎重に検討するとコメントしたのみだった。
■ブリビオ監督「中国の前にイスタンブールで攻めておく」
トルコの次戦の中国が今回以上に大変な戦いになる事を心配するダビデ・ブリビオ監督は、まずは今週のイスタンブールで確実にポイントを稼いでおきたいと語る。
「トルコには攻撃の姿勢で挑みますよ。中国は難しい戦いになるでしょうから、より防衛の姿勢が必要になる事は今から分かっていますからね。」とブリビオ監督。
「もちろん今週は全員にとって大きなチャレンジと言えます。素速くセッティングを見つけなければいけませんし、タイヤも正しく選択しなければなりません。」
「これまでイスタンブールはヤマハとそれほど相性のいいサーキットとは言えませんでした。寒い気象条件についても同様です。ただ、私たちのエンジニアは精鋭揃いですし、ミシュランとも素晴らしい信頼関係を結んでいますから、以前とは違う流れを作るのには十分な状況にあると思います。」
「例えイスタンブールでテストを一度もしていなくても、他の色んな種類のサーキットで多くのデータを収集する事が冬季テスト中にできていますし、実際にバイクはどこで走っても好調です。これは世界タイトルに挑戦する上で一番重要な事です。」
「まだシーズンは序盤ですが、それでも新型M1はすでに安定しているようですから、金曜日になればどこに重点を置いて作業すべきかがすぐに分かる筈です。2名のライダーもヘレスでの素晴らしい結果を得て揃って自信に満ちあふれています。今週末も同様の高い成績を再び狙いたいですね。」
■ロッシ「今回の課題もマシンの馬力」
イスタンブールは米国のラグナ・セカや、今年からGPカレンダーに復帰したサンマリノのミサノサーキットと同じく、まだ一度もバレンティーノ・ロッシが優勝を経験した事のないサーキットだ。
昨年、9番グリッドからスタートしたロッシはオープニングラップでミスをしてコースアウトを喫し12番手に転落、その後は激しい追い上げを続けたものの、マルコ・メランドリ、ケーシー・ストーナー、ニッキー・ヘイデンなどのトップ集団には追いつく事ができずに2006年のレースを4位で終えている。過去のレースを振り返り、今年は同じ失敗を繰り返したくないとロッシはコメントした。
「次の2レースのトルコと中国はあまり好きなところとは言えません。イスタンブールでは一度も勝った事がありませんしね。ただ、高速コーナーがいくつかあって、すごくいいサーキットには間違いありませんよ。」とロッシ。
「バイクの調子さえ良ければとても楽しめる場所だと思います。去年はレースの序盤にミスをして表彰台のチャンスを逃しましたが、今年は同じ失敗は犯したくないですね!今は年間ランキングのトップにいますが、シーズンはまだこれから長く続きますから、毎回表彰台を狙っていく必要があります。」
「ここまでの2戦で苦労した部分はマシンの馬力ですが、その課題は今も同じだと思いますよ。イスタンブールも上海もすごく長いストレートがありますからね。ただ、ヘレスのテストではその部分を解決しようと何点か新しい事を試しましたし、その後にヤマハの日本のスタッフが真剣に頑張ってくれている筈ですから、トルコではもう少しこの部分の性能についても改善が進んでいる事を期待しています。」
「他にも心配なのはタイヤですね。今シーズンが始まってから、一度もテストしていないサーキットでレースするのは今回が初めてなんです。新しいタイヤルールが施行されてからタイヤを正しく選択しておく事が非常に重要になりましたが、まだどんな天気になるかさえ分からないんですからね。」
■エドワーズ「ミシュランを信じれば大丈夫」
前回のヘレスで15戦ぶりの表彰台を獲得し、このまま勢いに乗りたいコーリン・エドワーズは、この3週間は自宅に戻ってイースター(感謝祭)を楽しみ、明日から始まるイスタンブールでの戦いに向けてしっかり静養する事ができた様子だ。
トルコでも表彰台に上って見せると語るエドワーズは、マシンに馬力が不足している事は認めるものの、イスタンブールサーキットで必要とされる低速カーブのコーナリングではヤマハのマシンの特性を活かし、タイムを稼ぐ事ができると信じている。
「自宅で過ごす時間が取れて嬉しかったですね。ヘレスで調子が良かった時の気分をそのまま持ち込んで、リラックスして過ごす事ができました。」とエドワーズ。
「これからまた現場に戻って、前回の走りがまぐれじゃなかった事をトルコでもシャンパンファイトをする事で証明しますよ。」
「あそこは自分の好みのサーキットとは言えません。自分たちにとって去年は厳しいレースでしたからね。でも、山のような問題を抱えていた去年と今年は全く違いますよ。ストレートでのパワーが不足しているのは事実ですが、バイクの調子は最高にいい状態ですから、コースの他の部分でもタイムは稼げると思います。」
「みんなイスタンブールに関してはタイヤがレースを左右すると良く言いますが、みんな条件は同じですよ。誰もあそこではテストをしていませんから、少なからず何らかのリスクを冒してタイヤ選びをする筈です。」
「基本的にはミシュランを信じるしかないでしょう。ヘレスで自分たちは問題を抱えたと思いこみましたが、ミシュラン側は彼らのタイヤに絶対の自信を持っていましたし、実際に彼らは正しかった訳ですからね。ミシュランは彼らのする事の全てを熟知していますから、何もかもうまく行く筈ですよ!」
|
|