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MotoGP第3戦、人気のイスタンブールと本格的なタイヤ戦争
インテリマーク編集部
2007年4月18日

スペインのヘレスで行われた第2戦から3週間の休みを経て、鋭気を養ったMotoGP各チームとレギュラーライダーたちは今週末の4月20日、トルコのイスタンブールサーキットから、全18戦の長い2007年シーズンの戦いを再開する。
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ここでは、イスタンブールサーキットの特徴や、今回のトルコから本格的にレースの勝敗を左右する可能性がある事前の31本のタイヤ選びなどについて、昨年のレース内容などを織り交ぜながら紹介したい。

■今年で3回目のイスタンブール戦

トルコのイスタンブールサーキットは、ドイツの建築会社であるティルケ社によって設計され、2005年に建設された全長5,340メートルのサーキットだ。ティルケ社は近代のF1とMotoGPサーキットを手がける事では有名であり、2輪と4輪レースの安全面での両立を最新の技術で実現する事に定評がある。ここでのMotoGP開催は初年度の2005年から数えて今週が3回目となる。
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イスタンブールサーキットは、黒海を隔ててトルコのアジア側の海峡から約60kmの山腹に位置し、山間の起伏を利用した豪快なコースレイアウトが特徴とされる。近代的な箱型のデザインに囲まれたパドックと観客席は約13万人を収容し、メインスタンドだけでも2万5千人が利用可能となる。

■2輪ロードレース用としても人気の高いイスタンブール・サーキット

中国の上海サーキットもティルケ社の仕事であり、その他にもセパン、カタルニア、ザクセン、ホッケンハイム、バーレーン、および近年の富士スピードウェイの改修にも同社が関わっている。一般的に、近年建設されたサーキットは、上海に代表されるようなF1指向のストップ・アンド・ゴーのレイアウトが多く、MotoGPライダーには不評を買う事も少なくないが、少なくともこのイスタンブールサーキットは2輪のライダーにも非常に評判の良いサーキットだ。
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■人気の秘密は鈴鹿のスプーンなど、世界の有名サーキットのエッセンス

イスタンブール・サーキットを設計するに当たり、ティルケ社は多くの有名なサーキットのコーナーを参考にしている。イスタンブールの人気の秘密は、ライダーやドライバーにとって最も度胸が試されるとされる世界中の有名なコーナーをコピーして散りばめたというテクニカルなレイアウトにもあるようだ。

日本のファンが注意すべきは鈴鹿のスプーンに酷似しているとされる8コーナーから9コーナーにかけての見覚えるカーブだ。
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また、1コーナーから2コーナーにかけての特徴あるS字コーナーは、F1の名パイロットだったアイルトン・セナのホームサーキットであるサンパウロのインテルラゴス・サーキットにある「セナS字」のコピーと言われている。


■毎年見応えのあるレースが期待できるコースレイアウト

地形の関係からか、超ロングストレートを持たないこのサーキットの最長ストレートは720メートル。豪快な高速コーナーの11コーナーと、それに続く13コーナーと14コーナーに見られるような超低速コーナーが巧みに絡み合うメリハリの強いサーキットとしても知られており、自然の起伏からコース内の高低差も大きく、ハードブレーキングが必要とされる箇所も少なくない。昨年のMotoGPでは、全クラスが見応えのある白熱したレースを展開した事をご記憶の方も多いだろう。
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■ライダーが楽しみにする11コーナーは800ccではさらに過激に

コース終盤のシケインを含む最終コーナーにかけてのレイアウトは、F1向きの設計でありMotoGPクラスのマシンにはタイトすぎると懸念する声も少なくはないが、その直前にある登り坂のストレートから下り坂につながる頂上付近の11コーナーは、MotoGPライダーが口を揃えて世界一楽しい超高速コーナーと呼ぶ過激な右カーブだ。

高速走行好きのMotoGPライダーたちは、990cc時代に5速ギアでスロットルを全開にし、時速250キロ以上の速度で飛び込む右コーナーに魅了されたようだが、これは800ccマシンになっても変わりはなく、むしろより過激になりそうだ。推定では、6速ギアで時速270キロの速度で、この11コーナーに進入する事になるという。

■ひやりとした昨年の250ccクラス最終ラップの11コーナー
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なお、昨年は250ccクラスの最終ラップにおいて、この11コーナーでトップを行くエクトル・バルベラにバランスを崩したアレックス・デ・アンジェリスが互いに時速200キロの速度で走行中に追突し、シケインに向かう下り勾配でデ・アンジェリスがあわや高速転倒というシーンがあり物議を醸し出したが、幸い怪我人はなく、このアクシデントを縫うようにして青山博一選手がKTM移籍後初の優勝を獲得している。


■戦いに大きな影響を及ぼしそうなタイヤ選択

ここからは、昨年のMotoGP最高峰クラスの結果と合わせて、今回のイスタンブール戦で勝敗を左右する可能性もあると言われる新タイヤレギュレーション、およびブリヂストンの推進リーダーである山田氏のコメントを紹介したい
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今回のイスタンブールサーキットには、開幕からの2戦が行われたカタールとヘレスとは異なる緊張感を各チームは持っているようだ。その緊張感とは、今シーズンから施行された新レギュレーションであり、過去2シーズン中に2回の勝利を経験しているタイヤサプライヤーに課せられる厳しいタイヤ本数の持ち込み制限にかかわるものだ。
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この新レギュレーションに該当するミシュランとブリヂストンには、天候がいかに変化しようとも、タイヤ持ち込み本数はレースウイーク前日の夕方5時までに選択したフロントタイヤ14本、リアタイヤ17本の合計31本に限られるルールが適用されており、タイヤが破損するなどの安全面での問題が発生するケースをのぞき、一度決めたタイヤを変更する事は決して許されない。ちなみに、安全面での問題が発生してタイヤをやむを得ず変更した場合には、レースのスターティング・グリッドは最後尾に追いやられる。

■トルコで初めて試される過去データーからのシミュレーション能力

各チームやタイヤサプライヤーが、今回のイスタンブールに不安を持つのには理由がある。
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当然の事ながら、過去の2戦でもこのルールは適用されていたが、前回までのカタールとヘレスは、2月中にIRTAテストで各チームやライダーが十分に走行テストを行い、事前に準備したデータを元にタイヤを選ぶ事ができた。しかしながら、今回のトルコは誰も800ccマシンで走行した経験を持たず、どのチームやタイヤサプライヤーも990cc時代のデータしか持ち合わせていない。
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情報が十分にあったと言えるカタールとヘレスでも、新タイヤルールには苦しめられ、セッションごとに大きく順位が変動するようなケースも発生したが、800ccマシンでのデータが存在しないトルコでは、さらなる予想外の事態が発生する可能性もあり、ミシュランとブリヂストンは躍起になって過去のデータを分析し、800ccマシンの特性を考慮したシミュレーションに現在も余念がないようだ。
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■ウェットで勝り、ドライ路面で敗北した昨年のブリヂストン

以下に、昨年の予選とレースの結果を振り返ってみよう。

昨年のイスタンブールでのトルコGPは今年と同時期の4月末に行われているが、この時の2日目は豪雨に見舞われ、土砂降りの雨の中を各ライダーはレインタイヤでグリッド位置を奪い合った。

この年にポールポジションを獲得したのは、当時はMotoGP参戦1年目であり、この時から悪条件での安定した強さをアピールし始めたライダー、ブリヂストンを装着するリズラ・スズキのクリス・バーミューレンだった。
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バーミューレンに次ぐ2番グリッドは、雨が得意になったと当時コメントしていたミシュランを履くレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが獲得したが、3番グリッド以降は順番に、当時ドゥカティーのセテ・ジベルナウ、ドゥカティーのロリス・カピロッシ、リズラ・スズキのジョン・ホプキンス、カワサキのランディー・ド・ピュニエなどのブリヂストンライダーが上位を占めており、2番グリッドのヘイデン以外はポールポジションを含む2列目までを全て独占するというブリヂストンの圧勝ぶりだった。
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しかしながら、翌日のレース当日には路面は乾き、ドライでの戦いとなった決勝レースで勝利を手にしたのは、当時ミシュランを履くグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリ、2位は同じくミシュランのケーシー・ストーナー、3位は予選から好調だったヘイデンが獲得し、結局表彰台はミシュラン勢が独占するという、ブリヂストンにとって昨年のトルコは予選で好調だっただけに、苦しい結果に終わっている。4位のロッシと激しい追い上げで5位に入った当時のエリアスもミシュランユーザーだ。

■昨年のレース内容
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ちなみに昨年のレース内容だが、9番グリッドからスタートして表彰台を逃したバレンティーノ・ロッシはオープニングラップでミスをしてコースアウトを喫し、14番手まで順位を下げてトップ集団から引き離されている。その後はメランドリ、ストーナー、ペドロサ、ヘイデンなどの若手が激しくトップを争い、ペドロサの終盤の転倒後はメランドリとストーナーがトップを争い、0.2秒の僅差でメランドリが2年連続のイスタンブールでの勝利を手にしている。
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なお、トップから6秒遅れで4位のチェッカーを受けたバレンティーノ・ロッシは、激しい前方の若手の争いを見て「あの戦いに加わりたかった!」とレース後にもらした。


■ブリヂストン「最終判断は最新の天気予報を見てから」
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各タイヤメーカーは、800ccでのデータを全く持たない今回のトルコでの戦いに、どのような準備を進めているのだろうか。昨年は決勝レースでミシュラン勢に完敗し、苦い経験をしたブリヂストンのモーターサイクル・スポーツ部門の推進ユニットリーダーを務める山田宏氏は、今年からブリヂストンタイヤを選んだグレッシーニ・ホンダチームに対し、以下の通りコメントしている。

写真「トルコは厳しいサーキットですからね。」と山田氏

「去年の結果から見て、もっと安定したグリップ力が得られるようにする必要がありますので、今回はミディアムタイヤとハードタイヤを織り交ぜる形にして、全てのチームに配布したいと考えています。コンパウンドにはヘレスでテストした新世代の素材を選びました。」

「今回のコースはどのバイクについても過去のデータがありませんので、このサーキットで必要となるテクニカル面での要素を慎重に検討し、2006年のデータも参照して、それを800cc仕様に適用するような方向性で作業を進めています。」

「タイヤ選択の最後の決断は、レースウイーク中の最新の天気予報を見てから行う予定です。」


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