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2007年3月6日
昨年の11月から始まったMotoGPプレシーズンテストの序盤、800ccマシンの高い仕上がりを早期からライバルたちに見せつけたのは、他でもないジョン・ホプキンスとクリス・バーミューレンを擁するリズラ・スズキチームだった。かつてない高い仕上がりのGSV-Rと共に、リズラ・スズキチームは3月8日、再び開幕戦のカタールに戻ってくる。
■プレシーズン序盤にその完成度の高さを見せつけたGSV-R800
年末のテストでは、次々と各サーキットの990cc時代のサーキットレコードをレースタイヤで上回り、年明けのセパンでもバレンティーノ・ロッシに次ぐ総合2番手タイムをジョン・ホプキンスが記録するなど、990cc時代から800ccマシン化する事を前提にシャシーの開発を続けてきたスズキの戦略は功を奏し、強豪ホンダとヤマハの2大ワークスを圧倒する強さを見せていた。
その後のフィリップ・アイランドでのメーカー合同テストでは、もともとスズキのGSV-Rとジョン・ホプキンスにとって苦手意識のあるサーキットだった事もあり、突然タイムシート上のポジションを下げたが、その2週間後に行われたカタールでのIRTAテストでは、再びホプキンスがホンダのダニ・ペドロサに次ぐ総合2番手を記録して、スズキのマシンの好調な仕上がりには何の問題もない事を、再びアピールして見せた。
■不幸だったホプキンスのカタールIRTAテスト中の転倒
リズラ・スズキ勢にとって不幸だったのは、そのカタールでホプキンスが2番手タイムを記録した直後に時速200km近くの速度でハイサイドをおこし、開幕を3週間後に控えた段階で右足のつま先と右手首を痛めるという怪我を負った事だ。
幸い、ホプキンスはその翌週のヘレスでのIRTAテストには欠席をしたものの、現在までに多くのリハビリメニューをこなして怪我は回復に向かっており、開幕戦への出場には何の支障もないようだ。ホプキンスが不在となったヘレスでは、チームメイトのMotoGP参戦2年目となるクリス・バーミューレンがホプキンスの分も働き、マシンの仕上がりと開幕戦に向けてのタイヤの準備もほぼ整ったという。
■ホプキンス「テスト欠席は拷問だった」
楽しみにしていたヘレスでのIRTAテスト欠席を悔しがるジョン・ホプキンスだが、怪我は順調に回復しており、プレシーズン中のマシンの完成度の高さから今年の開幕に向けてはかつてない程に興奮しているようだ。
「ゆっくり体調は回復に向かっていますし、カタールから復帰する準備はできてますよ。」と、ヘレスではタイムアタックに勝って、BMWをもらう気でいたというホプキンス。
「まだ少しやるべき事が残っていたし本当に走りたかったので、最後のテストに参加できなかったのは拷問でしたよ。でも、本番は今週末ですからね。」
「クリスがヘレスで頑張ってくれたおかげでタイヤに関する準備もいくつか整いましたから、カタールでどれを使うかはもうだいたい考えています。」
「今回の開幕戦には、今までのレース人生でかつてなかった程に興奮してるんですよ!あとはスズキと自分の力をサーキットで見せつけるだけですね!」
■バーミューレン「今年のマシンはちょっと違う」
昨シーズンはMotoGPデビューイヤーという事もあり、経験した事のない多くのヨーロッパのサーキットでは、コースレイアウトの学習に多くの時間を費やす事も少なくなかったクリス・バーミューレンだが、今シーズンはほとんどのサーキットは経験済みであり、2年目の今年は、その安定した走りに拍車がかかる年となりそうだ。
1年目から経験済みのサーキットでは先輩のMotoGPレギュラー・ライダーに割って入る強さを見せていたバーミューレンにとって、開幕戦のカタールはSBK時代から馴染みの深いサーキットであり、今年は初戦から彼の強さが本領を発揮してくるだろう。
「カタールは他のサーキットとかなり違いますから、以前は少し苦しんでいました。でも今年のバイクと最新のタイヤならちょっと話は違いますよ。」とバーミューレン。
「ここではMotoGPでもスーパーバイク(SBK)でもレース経験がありますし、良く知っているサーキットです。熱と風と砂で厳しい場所ですが、それでも高速のいいレースができるコースですよ。あそこでスズキをトップに押し上げておきたいですね。」
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