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2007年開幕初日、中野選手とベルナルデッレ監督に聞く
インテリマーク編集部
2007年3月8日

MotoGP開幕ラウンドに向けてカタールに到着したコニカミノルタ・ホンダチームの技術監督であるジュリオ・ベルナルデッレ氏と、今年からホンダのライダーとしてMotoGP最高峰クラスを戦う事になった中野真矢選手に、冬季シーズン中の準備状況と目前に迫った開幕レースに向けての本サイトからの独占インタビューを、チームのご協力を得て行った。
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■全てが新しい中での忙しいプレシーズンを終えたコニカミノルタ・ホンダ

2月の中旬にカタールで行われたIRTAテストではホンダの新型マシンやミシュランタイヤに関する多くの課題をクリアし、マシンのバランスにも好感触を示した中野選手だが、プレシーズン最後となったヘレスでのIRTAテストでは、予選タイヤ装着時には年始のテストで見られたフロントまわりのチャタリングが再発しており、今回のレースウイーク中に解決すべき課題はまだ残っているという。

何もかもが新しくなった環境の中、過密したプレシーズンのテストスケジュールを全て終えたコニカミノルタ・ホンダチームと中野真矢選手は、今はどのような心境で本日からの新シーズンを迎えているのだろうか。
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■シーズン開幕に向けてのインタビュー

ここでは、過去最高の成績を狙って2007年シーズンに挑む中野選手とジュリオ・ベルナルデッレ監督が、開幕初日にインテリマークからのインタビューに対して回答した内容の全てを紹介する。


■中野選手への質問と回答
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■カタールの印象

ロサイル国際サーキットにはどのような印象をお持ちですか。

ロサイルは時々危険な時がありますね。砂のせいで路面コンディションが難しい状態になるんです。今回の冬季テスト中はそんなに悪くはなかったので、このレースウイーク中も同じようにいい状態が続いて欲しいですね。

ロサイルは自分たちのバイクとの相性はいいと思いますよ。

何人かの日本人ライダーはロサイルの事をあまり好きではないとコメントしているようですが、日本のサーキットと比べて特徴に大きな違いがあるのでしょうか。

確かに日本のサーキットとはだいぶ特徴が異なります。日本のサーキットはいつも路面がきれいですけど、ここはちょっと滑りすぎるくらいに感じますからね。


■プレシーズン中の動き
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ここまでに全てのプレシーズンテストを終え、今は開幕レースを待つばかりですが、中野選手は新しいチームと新しいホンダのバイクにどのような感触をお持ちですか。

一番最初はちょっと苦労しました。バイクは今までに経験してきたどれとも全く違う感触でしたし、チームの仕事の進め方も全然違ったんです。チームとはお互いにどんな作業の進め方が一番いいか何度も検討しました。

冬季テスト中に協力して作業を進めるうちに、自分たちの距離はどんどん密接になってきたと今は言えます。ピットの中の雰囲気もいいですよ。
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冬季のプレシーズンテストの序盤、特に年明けのセパンでは、新しいマシンの基本セッティングやバランス調整に若干苦しんだような印象を受けました。あれから最後の冬季テストとなったヘレスでのIRTAテストまでに、マシンが大きく進化したという印象はありますか。

はい。バイクのセッティングに関しては当然ですが、チームのメンバーとのコミュニケーションについても大きく進展があったと思っています。

それが難しい事だとは覚悟していました。多くの新しい事を受け入れる時には、過去の多くの事を捨て去る事も必要だと実感しています。
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冬季テスト中に目標としていた課題などは、全て達成する事ができたでしょうか。もし何か残課題があるとすれば、一番大きな項目はどんな事ですか。

冬季の目標としてあげていたのは、新しいバイクの挙動を理解する事、チームとの協力体制を確立する事、あとはフロントまわりにいい感触を得る事でしたから、全て達成できたと思っていますし、これについては満足できています。
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■新しいマシンやタイヤに関して

写真 ここまでのテスト期間中に800ccマシンで多くの距離を走り込みましたね。990ccマシンの時と比較して、中野選手のライディング・スタイルは変わりましたか?800ccマシンにおける戦いはよりコーナリングスピードが必要になる訳ですが、特に何か乗り方に気をつけている部分はありますか。

ここまでに、新しいバイクの特性に合うようなライディングスタイルに変えようとしてきました。

バイクが要求するスタイルとでも言うんでしょうか。速いコーナリング速度を維持する事が重要ですし、その意味で800ccマシンはミスを全く許してはくれないバイクなんです。完璧主義者になる事が要求されますね。

タイヤについて質問させてください。予選タイヤにはまだ問題を抱えているようですが、レースタイヤについてはいかがですか。プレシーズンのカタールでのIRTAテストの後に、開幕レースでのレースタイヤにおけるマシンのセッティングと、タイヤそのものには自信が持てる準備ができましたか。

バイクのレース用のセッティングは大丈夫だと今は言えますが、予選タイヤについてはまだ課題があります。いいラップタイムを出せるようにするには、予選タイヤでもう少し走り込む時間が欲しいですね。


■開幕レースを迎えるにあたり
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今期は18戦という長いシーズンになりますが、開幕を迎える前に十分に休息はとれたのでしょうか。

写真今回の冬季テスト中は、今までのレース人生の中で最も忙しくてストレスの多い期間でした。カワサキを離れるという決断をしたばかりでしたからね。

コニカミノルタでの新しいチャレンジは本当に楽しみで刺激的でしたが、その一方で、以前のチームにも迷惑をかけたくなかったんです。

でも、今はやっとストレスからも解放されて、開幕に向けての準備は心身共に整いました。

最後の冬季テストを終えた時点で、今シーズンに向けてのより明確な目標は立ったでしょうか。

全てのテストが終わって、もちろん以前よりもさらに自信が持てるようになりました。最初のレースがすごく楽しみですしね。

開幕1戦目と2戦目はトップライダーたちと前を争ってチェッカーを受けたいと思ってますし、できる限り多くのポイントも獲得したいです。好きなサーキットがたくさんあるヨーロッパに戻ってからは、100%完璧と言えるコンディションになっていたいですね。

過去の最高峰クラスでの戦いを全て振り返ってみて、今年の勝利を狙う上で今までに達成できていない最も大きなご自分の課題があるとすれば、それはどんな事でしょうか。

ラップタイムを維持する事です。

100%の集中力を維持し続けるには、強い精神力が必要なんです。この課題への取り組みは、自分専属のトレーナーと一緒に精神と身体の両方の観点からずっと続けています。
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手裏剣を今年のヘルメットにもお持ちですが、これは忍者として過ごした時代の思い出として今後も使用される予定ですか。

忍者と同じくらい強く見せたいので、手裏剣は今後も使い続ける予定です。でも、もっと強いキャラクターを何か見つけた時には、ヘルメットのデザインを変える事を考えるかもしれませんね。


■ベルナルデッレ技術監督への質問と回答
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■冬季テスト中の準備と今後の方針

今年のプレシーズンは800ccマシンのフロントまわりのトラブルに苦しめられましたね。現在のマシンの問題はチームが昨年の990cc時代に抱えていた内容と似ているようにも見えるのですが、これはあの当時とは全く別の問題でしょうか。それとも同様の問題でしょうか。

過去2シーズンを通して、玉田選手はフロントタイヤの感触を得られませんでした。この問題を解決しようとチームは多くの努力を続けてきましたが、状況は最後まで変わりませんでした。今年の問題はそれとは全く別物です。

中野選手は全体的にマシンから好感触を得られていますので、チームの今の取り組みは、純粋にレースに向けての改善作業を行っている状態です。

ミシュランの16インチタイヤを使用して状況はかなり良くなりましたが、まだ調整を始めたばかりですので、改善の余地もまだたくさんあります。
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特にカタールのIRTAテストでミシュランが新しいタイヤを持ち込んで以来、マシンの調子が大幅に上がったように見受けられました。メーカー合同テスト中のタイヤと、IRTAテストで使用したタイヤには何か大きな違いがあるのですか。

冬季テストの初期の段階においては、私たちは通常タイプのミシュランタイヤを使用する事に決めていました。そうする事で、中野選手がチームのタイヤとマシンの特性を自然に理解しやすくなると考えたからです。

その後のロサイルとヘレスでは、より多くの種類のタイヤを導入したので、それがすぐにタイムの向上という形で結果に現れた訳です。
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ベルナルデッレ監督は、前回のヘレスでのIRTAテストの最終日に予選タイヤでのトラブルが発生した後、マシンのセッティングを再調整するとおっしゃっていましたが、これは予選に向けてのマシンバランスの見直しの事でしょうか。それともレースタイヤ装着時を含めたベースセッティングなど全ての事でしょうか。

予選タイヤに関してです。課題はシンヤが述べている通りですよ。

明日はスペアマシンの方に今までとは違うセッティングを試し、予選タイヤに特化した調整を行う予定です。


■新レギュレーションにより受ける影響
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今年のエンジンは昨年のV型5気筒990ccエンジンからV型4気筒800ccエンジンに変わりましたが、これによりホンダのマシンのセッティング方法は大きく変わりましたか。

マシンが変わっても、私たちの作業が根本から変わる事はありません。

確かにマシンの特性は変わりましたが、一番いいセッティングを探るという意味では何の違いもありませんよ。

今年の21リットルの燃料レギュレーションについて質問させてください。プレシーズン中のロングランでガス欠を懸念するような場面はありましたか。それとも、ホンダのエンジンを使用している以上、そのような心配は皆無なのでしょうか。

燃料消費に関しては、チームのマシンに今のところ大きな問題は見つかっていません。ただ、このV4マシンはまだ発展段階のものですから、今後はさらにパワーの向上が試される事になるでしょうね。その理由から、今シーズン中にも燃費の問題に直面する可能性は十分にあります。
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今年から施行されたタイヤ持ち込み制限のルールについて質問します。まったく想定しないような気象条件に見舞われた場合に、準備していたどのタイヤも路面条件に適合しないようなケースが今年は発生するかもしれませんが、この事前に31本のタイヤを選ぶという作業は、ミシュランのエンジニアのみが行うのでしょうか。それとも、チームごとにタイヤ発注に関する責任を負うのでしょうか。

タイヤは私とミシュランの技術者が選択しています。ミシュランにはマシンのデータやライダーの感想などを参考として伝え、色々な意見交換をしながらタイヤを決定します。

非常に難しい作業ですが、技術屋としてはやりがいのある仕事ですよ。


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