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2007年3月6日
他のチームを圧倒する順調なプレシーズンでの戦闘準備を終えて、装いも新たにヤマハ・ワークスチームがフィアット・カラーをまとって2007年MotoGP開幕戦の会場となるカタールのロサイル国際サーキットに戻ってくる。新シーズンのスタートは明後日の3月8日だ。
■800cc初年度、タイトル奪還に燃えるヤマハ・ワークス
今シーズンは全18ラウンドとなる3月から11月までの長い戦いが繰り広げられるが、最高峰カテゴリーがMotoGPクラスとなってから、初めてディフェンディング・チャンピオンではなく挑戦者としての1年に挑む事になったバレンティーノ・ロッシは、すでに800cc初年度となる今年の最後には、年間タイトルを奪い返している自身の姿しか思い描いていない様子だ。
フィアット・ヤマハチームの体制は昨年のキャメル・ヤマハチームの時と基本的に全く変わらない。ライダーはMotoGPクラス連続5連覇の元チャンピオンであるバレンティーノ・ロッシと、今年のカタールでは中東の砂漠のど真ん中でテキサス・トルネードを巻き起こすと息巻くコーリン・エドワーズだ。チーム監督はヤマハ・ワークスを過去2回の優勝に導いたダビデ・ブリビオ監督。
■ブリビオ監督「チームの雰囲気は楽観的」
ヘレスとセパン、それにここカタールでの冬季テスト中にロッシとエドワーズが記録した安定して速いレースペースに満足し、開幕後の戦いにも大きな自信を示すダビデ・ブリビオ監督は、今回のカタールでの開幕レースで、やっと全てのチームが本当の力を見せてくる事を楽しみにしている様子だ。
「やっとレースができますよ!」とブリビオ監督。
「バレンティーノがディフェンディング・チャンピオンじゃない状態で開幕に挑むなんてここ何年もなかった事ですから、今シーズンは面白くなると思いますよ。それに若いライダーがたくさんタイトル獲得に挑んでくる年になるでしょうからね。」
「冬季テストはすごくいい結果に終わりましたから、開幕に向けてしっかり準備をする事ができたという達成感もあります。今はここまでの仕事の成果を見るためにも、レースに挑むのが楽しみで仕方ありませんよ。」
「どのチームにとっても、隠していた本当の力を見せる(shows their cards for real)最初の場所が開幕戦のカタールになりますから、実際のところ自分たちがライバルたちと比べてどのくらいの力があるのか、非常に興味深いところです。」
「冬季テストを通してコーリンとバレンティーノの両方がトップレベルにいましたから、チームの今の雰囲気はとても楽観的ですけどね。今のままでいけるのなら、かなり戦えるレベルにあるのは間違いないでしょう。」
■ヤマハが絶対的な自信を持って開幕戦に送り出す新型YZR-M1とロッシ
バレンティーノ・ロッシとフィアット・ヤマハ・チームのマシンである新型800ccマシンとなったYZR-M1が、好調な仕上がり状態にある事は、ここまでのプレシーズンを通して、すでに証明済みだ。
ロッシはレースタイヤでも予選タイヤでも、常にテスト期間中からタイムシート上のトップ、または上位に位置しており、昨年の990ccマシンが抱えていた予選タイヤなどのハイグリップタイヤ装着するとチャタリングが発生するという問題も今年は皆無だ。先週のIRTAテスト最終日に行われたBMWアワードでの圧倒的とも言える速さは、ロッシの今年のタイトル奪還にかける意欲とマシンの仕上がり具合の高さを十分すぎるほどにライバルたちへ知らしめられた。
■ロッシ「今年の目標はシンプル」
タイトルを失った直後の昨年のバレンシアでは「今すぐに2007年シーズンを開幕して欲しい・・・」とコメント、チャンピオンの座を奪われた事に大きなショックを隠しきれなかったバレンティーノ・ロッシだが、完璧だったプレシーズンを終えた今、ロッシに弱きな発言はなく、むしろ以前よりもストレートに勝利への自信をアピールするようになったようだ。
「ヘレスのテストが最高の結果でしたから、開幕レースにも自信を持って挑めるのが嬉しいですね。」とロッシ。
「去年は最後のテストで問題が発覚し、不安な気持ちのまま最初のレースに臨みましたが、前回のヘレスの結果から去年とは全く違う状況だと誰にでも分かったでしょうし、冬季テストを通して自分たちがM1をしっかりと仕上げてきた事も再認識できています。」
「これでやっと最初のレースを迎えますが、ここまでの自分たちの頑張りが報われるかどうか、はっきりする時がきましたね。全員がものすごく楽しみにしていますし、去年が去年だけに今年のみんなのやる気はすごいですよ。目標はとてもシンプルに『勝利』だけです。」
「カタールは大好きですよ。高速だし走るのが楽しいサーキットです。過去に2回優勝していますしね。ただ、すごく暑くて砂まみれですから、タイヤの選択がすごく重要な場所です。特に今年は新しいタイヤレギュレーションも加わりますからね。」
「他にも、今年からは燃費がより重要な要素と言えます。これは他のチームを含めてみんなが一番心配している事でしょうね。全員同じ条件には違いありませんが。」
「開幕からの2レースでバイクが好調なのは間違いありませんが、年間シーズンは長いので何とも言えませんね。テストを通して一番安定していたのはダニですが、ニッキー・ヘイデンもロリス・カピロッシも、それに自分のチームメイトのコーリン・エドワーズも、タイトル争いには加わってくると思います。」
■プレシーズン中の全ての結果に満足するエドワーズ
昨年はロッシの勝利を必死でアシストしたチームメイトのコーリン・エドワーズだが、今年は全てにおいて自信の持てるマシンを手にした事で、本人の勝利への大きな意欲を示している様子だ。また、エドワーズはヤマハのYZR-M1だけではなく、ミシュランが開発した800ccマシン専用タイヤにも絶大なる信頼を抱いている。
■エドワーズ「カタールは公平感があっていいね」
今年のプレシーズン中のセパンでは2輪における最速ラップタイムを新型800ccマシンで記録し、ロッシに「コーリンは速すぎ」とまで言わしめた絶好調のコーリン・エドワーズは、今週に開幕戦が行われるカタールは、ヨーロッパのサーキットとは異なり、アメリカ人にとっても公平感があると述べている。
「カタールは素晴らしいサーキットだと思いますし大好きですね。それにヨーロッパのサーキットばっかりだと、基本的に昔からそこに慣れ親しんでるライダーが多いですから、ここは公平感があっていいですよ。」とエドワーズ。
「開幕レースに自信を持ってカタールには戻る事ができますよ。特に前回のテスト中はずっと好感触でしたから、レースでもあの時と同じ状態をそのまま保ちたいところです。」
「去年はレース中にいくつかトラブルを抱えていましたが、今年はバイクがまるっきり別物ですから、気持ちが全く違いますよ。セパンやカタールみたいに路面がなめらかなサーキットではここまで調子良くきましたし、ヘレスみたいにでこぼこした路面にも別のセッティングを施してマシンを合わせる事ができましたから、今シーズンの1年を通して今のパッケージには本当に自信が持てますからね。」
「プレシーズンの結果から言える事ですが、今年の目標はレースで何勝利か上げる事です。だから開幕が楽しみで仕方ないんですよ。」
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