|
2007年2月22日
昨シーズンが終わるのと同時にカワサキからホンダへの移籍を発表し、今年からはコニカミノルタ・ホンダチームでMotoGP最高峰クラスへのフル参戦7年目を迎える中野真矢選手は、2007年シーズン開幕前の最後のマシン調整を2度目のIRTAテストで実施すべく、スペインのヘレスに到着したようだ。
■開幕前の最後のテストにかけるコニカミノルタ・ホンダ
中野選手とコニカミノルタ・ホンダチームがホンダの800ccマシンであるRC212Vでヘレスを走るのは今回が2度目となる。ヘレスは昨年末のメーカー合同テストで中野選手がホンダデビューを果たした最初のサーキットであり、明日の2月23日から始まるヘレスでのIRTAテストでは、当初チームがセッティングに苦しんだフロントまわりやV型4気筒エンジンのここまでの仕上がりを、以前の状況と比較して確認する事になるだろう。
■プレシーズン序盤は苦戦したホンダ陣営と中野選手
今年はホンダのサテライト勢が全体的に、エンジンレイアウトがV型4気筒となり、マシンサイズがコンパクトになったRC212Vへの乗り換えに苦しんだ傾向にあるが、中野選手が今期から所属するコニカミノルタ・ホンダチームも例外ではなかった。
年明けのセパンでのメーカー合同テストではフロントまわりのチャタリングに苦しみ、タイムは参加レギュラーライダー19人中の総合15位。その翌週のフィリップ・アイランドでのメーカー合同テストでは、中野選手が激しい胃痛に見舞われて、初日の作業を早めに中断。2日目以降は体調をやや取り戻したものの、タイムは参加ライダー13人中の総合12位に終わっている。
■前回のIRTAテストまでに大きな課題は解決の兆しに
コニカミノルタ・ホンダと中野選手が調子を急激に上げだしたのは、前回のカタールでのIRTAテストからだ。フィリップ・アイランドで見つけたミシュランのリアタイヤは今年の開幕戦が行われるロサイル国際サーキットでも相性が良く、中野選手は初日に参加ライダー21人中の14位に浮上している。チームの課題だったフロントまわりのセッティングについても、ミシュランがチームに向けて用意したフロントタイヤとマシンの相性は2日目以降に良くなり、その後中野選手はさらにタイムを上げ、最終日にはホンダ陣営の2番手となる総合10位にまでポジションを上げる事に成功した。
■ヘレスでの中野選手の仕上がりに注目
現在のコニカミノルタ・ホンダチームの課題は、フロントとリアのバランスが完全には出し切れていない事にあり、それが出来ていれば、前回のカタールでもさらに上のタイムが狙えたとチームの技術監督であるジュリオ・ベルナルデッレはコメントしている。今回のヘレスではその課題を最優先に解決して、3月10日の開幕レースに向けてマシンの改善が進めれらるかどうかが重要になる。中野選手のタイムには要注意だ。
■モンティロン「今回の課題やリアのセッティングと予選タイヤ」
コニカミノルタ・ホンダのチームオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、今回のヘレスでセッティングが必要なのは、前回のカタールでは完全にバランスが出せなかったリアまわりの調整だと述べている。
また、ここまでにあまりタイムアタックをする時間がなかった中野選手については、3年ぶりとなるミシュランの予選タイヤにプレシーズン中に慣れておく事が重要であり、ヘレスでの時間を使って予選タイヤでの走り込みも必要だとモンティロンは語った。
「冬季テスト中の最速ラップや成績はそれほど重要ではありません。プレシーズンの結果で年間タイトルが獲得できる訳ではありませんからね。」とモンティロン。
「シンヤは新しいバイクやタイヤの特性を理解できるように、パッケージ(マシン全体のパーツ構成)の組み合わせに多くの時間を費やしてきました。またそれと同時に、彼は新しいチーム内での作業スタイルにも慣れなければいけませんでした。」
「このヘレスの最後のテストでは、リアまわりのセッティングを仕上げる事になります。また、今後の全てのレースで1列目スタートを狙えるように、シンヤはミシュランの予選タイヤにも今回は慣れておかなければなりません。」
「私はバイクのパッケージ、チームとタイヤ、それに私たちのライダーを信頼しています。ですから開幕戦のカタールでは、シンヤが先頭集団でバトルに加わるのを非常に楽しみにしています。」
■中野選手「開幕2レース分の仕上げを行いたい」
来月に開幕レースを控えた中野真矢選手は、ここまでのコニカミノルタ・ホンダとのチームワークに満足している様子だ。中野選手は、今回のヘレスでのIRTAテストの3日間に、カタールでの開幕レースとヘレスで行われる2戦目に向けて、マシンの仕上げをさらに高めておきたいとコメントした。
「最後の3日間のIRTAテストはとても重要ですよ。そこから残りたった15日で2007年シーズンの開幕ですからね!」と中野選手。
「ここでは開幕戦と第2戦目で使えるタイヤの組み合わせを見つける事が不可欠になります。特にいいリアタイヤを今回のテスト期間中に探したいです。」
「色々改善しなきゃいけない場所があるので、まだ100%準備は万全とは言えませんが、今回のテストが終わるまでには最初の2レースに向けての仕上がりをより高めておきたいと思っています。」
「ここまでの何ヶ月間かを通して、チームと自分は一緒に多くの事を学べたので満足です。シーズンを通していい互いにコミュニケーションができるのは非常に重要な事ですからね。」
「ヘレスは好きなサーキットですね。テクニカルですし過去にもいい成績を残していますから、ここでは楽しく走れるんです。」
■ベルナルデッレ監督「今年はタイヤを無駄にはできない」
まだ若干の課題はあるとしながらも、ここまでのテストで仕上げたベースセッティングに自信を示すジュリオ・ベルナルデッレ技術監督は、今年のタイヤレギュレーションの変更に伴い、レースウイーク中に使用できるタイヤの本数が制限される事を考慮に入れて、今回のヘレスではレースウイーク中に役立つ作業を進めておきたいとコメントしている。
「今回のテストでは大きな2つの目標があります。」とベルナルデッレ監督。
「ひとつめは、よりレースを重視した作業を行う事です。前回までのオーストラリアやカタールでは大幅にラップタイムを改善する事ができましたので、ヘレスでも同様の進歩が得られる事を期待しています。」
「ふたつめは、シンヤが今年の予選タイヤに慣れておく事です。今年からはタイヤに関するレギュレーションが変わり、使用できる本数が限られてきますからね。ようするに、タイヤの性能をできる限り早く引き出す必要があるんです。今年はタイヤを無駄にはできませんよ。」
「前回のカタールでは特にフロントタイヤまわりに、シンヤが好感触を持てるいいベースセッティングを見つけました。ヘレスでは開幕2戦目のここで使うのに最も適したタイヤを選択しておきたいですね。」
|
|