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2006年5月1日
4月30日、心配された雨は午前中にあがり、トルコのイスタンブールサーキットはドライコンディションのMotoGPクラス決勝を迎えた。気温は16度、路面温度は21度、風がややあるという、初日のフリープラクティスよりやや寒いサーキット状況だ。
トルコの観客38,123人が見守るスターティング・グリッドは、スズキに2004年のリオGP以来のポールポジションをもたらしたMotoGPルーキー、昨年まではSBKテン・ケイト・ホンダチームのエースだったリズラ・スズキのクリス・バーミューレン。
■再びミシュラン・ホンダ勢が有利となる天候の回復
雨の予選を制したクリスは、今年のカタルーニャでのIRTAテストにおけるやはり雨の公式セッションでは5位につけており、悪天候での強さを証明する結果となった。しかしながら、天気予報が外れてドライ路面となったイスタンブールサーキットでは簡単にレース中のポジションを維持するのは難しいだろう。
今回のレースウイーク中、初日のドライ路面の公式セッションで好タイムを記録しているのは、ミシュランタイヤを履くホンダ勢だ。2日目のレインで好調だったブリヂストン勢のスズキやドゥカティーにとってはやや不利な状況に逆戻りかもしれない。
■ブリヂストン勢が上位に並ぶスターティンググリッド
クリスに続く1列目2番グリッドはニッキー・ヘイデン。ミシュラン勢の中ではニッキーだけが雨の予選でも好タイムを維持している。今年のフィリップ・アイランドにおける雨のIRTAテスト等で「今年は雨に苦手意識はない。楽しく走れる。」と公言していた内容は本当のようだ。
同じくミシュランを履くキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズとバレンティーノ・ロッシは9番グリッドと11番グリッドに沈んでいる。二人は雨の予選でミシュランのグリップの悪さに苦しみ、エドワーズは「ニッキーには脱帽だ。」ともらしている。
ニッキー以下、2列目まではポールポジションのクリスと同じブリヂストン勢が続く。1列目3番グリッドにはドゥカティーのセテ・ジベルナウ、2列目にはドゥカティーのロリス・カピロッシ、リズラ・スズキのジョン・ホプキンス、カワサキのランディー・ド・ピュニエが並んだ。
3列目には、仮に今回勝利すればフレディー・スペンサーの最高峰最年少記録とピッタリ誕生の日数まで並ぶ7番グリッドのケーシー・ストーナー、8番グリッドにはトルコに入ってからは苦しいセッションが続いているカワサキの中野真矢選手。
コニカ・ミノルタ・ホンダの玉田誠選手はフォルツナ・ホンダの二人に挟まれ5列目13番グリッド、ニッキーのチーム・メイトのダニ・ペドロサは雨のイスタンブールに苦戦して6列目16番グリッドからのスタートとなった。
■好スタートを切るブリヂストン勢、スズキとドゥカティー
シグナルが消えてライダーが一斉に前に飛び出す。2番手と3番手を引き離す好スタートを見せたのはスズキのクリス・バーミューレンだ。1コーナーを目指してクリスに続くのは追い上げるセテ・ジベルナウ。その後ろにはニッキー、ホッパー(ジョン・ホプキンス)、ストーナー、スタートをきめたメランドリ、カピロッシ。
中野選手は12番手、玉田選手はスタートを成功させ順調に前に出たが、1コーナーであわや転倒というミスをして14番手まで下がる。
1コーナーを抜けて、セテ・ジベルナウが1位に浮上。クリス・バーミューレンとのトップ争いとなる。再びクリスがトップに。
■ミスをして順位を落とすロッシ
1周目の後半、セテが再度リードを奪い、後ろにはバーミュレン、好調のホッパーというスズキ勢の2名が続く。4番手につけるニッキーの前に、後方から加速するケーシー・ストーナーが割り込む。
スタートで9番手につけていたロッシは右コーナーで危うくコースアウトというラインにはみ出し、14番手辺りまで順位を下げた。
2周目、ホッパーがクリスを交わしセテを追って2番手に。3番手のバーミューレンをストーナー、メランドリ、ヘイデンの3名が追走し、それをカピロッシが追い上げている。メランドリは4位に浮上するが、またストーナーに抜き返される。
3周目、先頭にセテ、その後をクリスはホッパーを交わしまたも2番手、ホッパーの後ろをストーナーが激しく追い回す。ストーナーのすぐ後ろではメランドリ、ニッキー、カピロッシの3台が熾烈なバトルを繰り広げ、さらに後方にエドワーズ、16番グリッドから9番手まで順位を挽回してきたダニ・ペドロサがつける。
TECH3のチェカは16番手でプッシュを続けるが、転倒は免れたもののフロントを失って一度コースアウトしている。
10番手以降、エリアス、ド・ピュニエ、中野選手、その後ろに13番手のロッシと、リアタイヤのグリップに悩む14番手の玉田選手。
■好調に見えるブリヂストン勢、レースタイヤの耐久性に不安
4周目、ストーナーはホッパーを交わし3番手につけ、ロッシは中野選手と順位を入れ替え12番手となる。ペドロサがファーステストを更新し続ける中、リアとフロントの両方のグリップ不足に悩み始めたバーミューレンのペースが若干落ち始め、後続集団はそれを逃さない。
先頭はセテ、2番手にホッパー、その1秒後ろにストーナー、メランドリとニッキー、バーミューレンは6番手まで順位を下げた。
5周目混戦の最終セクション、ニッキーがメランドリをパスして4番手に。ペドロサは1分53秒3のファーステストを記録。
実はトップのセテ・ジベルナウはこの時にリアタイヤにトラブルが発生し、ピットインも考えながらの走行だったと後に語っている。
同じ頃、ダンティーン・プラマックのホセ・ルイス・カルドソはマシンの電気系トラブルにより走行を断念、ピットインした。
6周目、ジベルナウ、ホッパー、ストーナーの3台が密着したグループとなって先頭を行き、ニッキーとメランドリがそれを追走する。ペドロサはペースを下げる事なく追い上げ、エドワーズを交わして8位に浮上。エドワーズの3秒後ろにはド・ピュニエを交わしたロッシが10番手につけ、さらに後方に中野選手と玉田選手が続く。
ド・ピュニエ、中野選手、玉田選手の3台はバトルを続けてなかなかペースが上げられず、先頭集団からひき離されていった。
■セテを追う若手ホンダ勢とペドロサの熾烈な追い上げ
ロッシはレース前にセッティングを変えており、バイクの調子は若干向上しているという。チームメイトのエドワーズのバイクも安定はしているものの、あまりペースを上げる事はなく一定のペースで周回している。
追撃をやめないペドロサはついにカピロッシも捕らえて7番手に。予選順位の低さに落ち込んでいたペドロサだが、ドライの決勝では前日のストレスを全て吐き出すような快進撃を見せている。
一時ストーナーは2番手のホッパーに迫り真横に並ぶが、ホッパーがコーナーでインを閉めて前に出れない。ホッパーの後ろの3台、ストーナー、ニッキー、メランドリはストレートになるとほぼ真横に並ぶような緊迫した状態を続けている。逃げ切りたい先頭のセテ・ジベルナウは後続との差を広げられない。
■絶好調のニッキーとストーナー、突然ペースを落とすホッパー
7周目、ストーナーはホッパーを交わして2番手となりセテの後ろにつける。ペドロサはついにバーミューレンもパスし、メランドリ後方の6番手に姿を現した。メランドリの前には4番手を行くレプソル・ホンダ、チームメイトのニッキー・ヘイデンが見える。
バーミューレンの後方には、カピロッシ、エドワーズ、10番手のロッシ、エリアス、ド・ピュニエ、中野選手、玉田選手、マシンの調子が上がらずリズムの掴めないロバーツ・ジュニアが1分56秒台で走行し、前に間隔を開けて続く。
8週目に入るとペドロサはメランドリの真後ろに完全に追いついた。また、2番手のストーナーの後ろにもぴたりとニッキーがつけている。
9周目、ニッキーがストーナーを捕らえて2番手に浮上した。ホッパーはセテと同様にリアタイアのトラブルを抱えてバーミューレンより後退しロッシの手前の9番手へ。この時、ホッパーのタイヤは走行が困難なほどグリップが極端に低下していたらしい。
■完全に先頭集団に加わったペドロサ
再びストーナーはニッキーのインを捕らえて前に出るが、直後にニッキーがそれを抜き返す。ストーナーの後ろにはメランドリとそれに密着するペドロサ。やがてメランドリはストーナーをパスして3位につける。
10週目に入ると、ペドロサはストレートでストーナーに並び、1コーナーを越えた時点で4番手に浮上した。先頭のセテの真後ろでは毎周回順位が入れ替わる攻防戦が繰り広げられている。メランドリはニッキーをパスして2番手に。
ニッキーはスターティング・グリッドでタイヤ・ウォーマーの一部がブレーキディスクの上に溶け落ち、ブレーキングに少し不安を抱えている。他のライダーたちは容赦なくコーナーの深くまでブレーキを遅らせる。
10周目後半、ニッキーが苦手とする最終の複合シケイン手前でペドロサがニッキーを交わし、先頭の3台はセテ、メランドリ、ペドロサの順に並んだ。セテ・ジベルナウは徐々にペースが保てなくなる。
■トップ走行を諦めるセテ、タイヤを交換するホッパー
11周目、ついにメランドリがセテを交わしてトップに浮上した。ペドロサもセテ・ジベルナウを抜いて2位に浮上し、ニッキー・ヘイデンが3番手のセテの後ろに位置している。ニッキーの後ろにはストーナー、バーミューレン、その1.5秒後方にピロッシが続く。
ニッキーがセテをパスして3番手に浮上した頃、ストレートで伸びるペドロサが先頭のメランドリの真横に並んだ。ここで瞬間的にペドロサが1位に立つが、次のコーナーで大回りをしてメランドリがまたすぐにトップに戻った。
12周目、ジベルナウがストーナーにも交わされ5位まで後退した。
この時、好調なチームメイトを尻目にスズキのジョン・ホプキンスはピットに戻って問題の出たリアタイヤを交換している。序盤は2番手につけたホッパーだけに今回のタイヤトラブルには落胆している。
セテはバーミューレンにも抜かれて6位に後退し、その後ろにはカピロッシ、さらに1.8秒後方には8番手のロッシがつける。高速右コーナーのあるバックストレートではペドロサが伸びのある加速を見せてメランドリの前に立ちトップに。
■優勝を狙うホンダ若手の意地のぶつかり合い
13周目に入るとトップに立ったペドロサが後方のメランドリ、ニッキー、ストーナーを引き離しにかかる。ストーナーの2.1秒後方にはバーミューレン、ジベルナウ、カピロッシが続くが、コース終盤ではカピロッシとジベルナウが順位を入れ替えた。
最終コーナーではメランドリがニッキーと接触し、ニッキーがメランドリの前に。
14周目、逃げ出すペドロサを追いかけたいニッキーに対し、執拗にメランドリとストーナーがしかける。ペドロサが少しリードする後ろを3台が僅差で追走している。
バーミューレンはストーナーから4.4秒遅れ、セテ・ジベルナウは9位まで順位を落としてエリアスの後ろを走行。
15周目にニッキーはペドロサを捕らえ、トップ争いをレプソルホンダの2名が繰り広げるが、ニッキーの苦手とする最終コーナーでは再びペドロサが前に出る。
■レプソルホンダの2台が先頭、逃がさないメランドリとストーナー
16周目、ストーナーの5秒後ろを走るバーミューレンにロッシがつけた。その1.2秒後ろにはエリアスとカピロッシ、セテはさらにその2.07秒後方まで下がった。
先頭を行くレプソル2台はストレートで3番手のメランドリを離すが、コーナーではその差を縮められる。ロッシはついにバーミューレンを交わして5番手に浮上。
17周目、先頭集団がペドロサ、ニッキー、メランドリ、ストーナーの4台体制となる。メランドリがニッキーを交わし、ストーナーもメランドリに続いた。ニッキーは4番手に後退。
最終コーナー前の高速右コーナーでメランドリがペドロサを交わし最終コーナーに飛び込む。続いて18周目の1コーナー手前では2位となったペドロサにストーナーが並び、焦ったペドロサは加速の途中に一瞬つんのめる。1コーナーにはストーナーがトップのメランドリに続いた。
1コーナーを抜けた先頭集団の順位はメランドリ、ストーナー、ペドロサ、ニッキー。
■順位を挽回するロッシ、チェカのバイク爆発?
ニッキーの6.4秒後方には5番手のロッシ、バーミューレンは6番手のエリアスに交わされその2.1秒後方の7番手を走行している。ダンロップ期待のTECH3、カルロス・チェカはダンティーンのアレックス・ホフマンに抜かれて16位にポジションを落としたが、すぐに抜き返して15位に。
この時チェカのバイクからは煙とオイルが漏れており、ホフマンは「チェカのバイクは爆発するのではないか」と不安になったと言う。
■ストーナーとメランドリが先頭、2位に割り込むペドロサ
高速右コーナーでストーナーはメランドリを交わしトップに浮上し最終コーナーへ。
19周目、先頭集団の遥か後方で中野選手がセテをパスし10番手に。セテの後ろには玉田選手とド・ピュニエが続いた。
トップのストーナーの真後ろではメランドリがペドロサを交わすが、終盤の高速右コーナーでは再度ペドロサが2番手を奪い返す。
20周目入り口ではストーナーがやや後方の2名を引き離すが、すぐにペドロサとメランドリが追いつき均等な間隔でトップ集団を形成した。集団の1.2秒遅れをペースの少し伸びなくなったニッキーが走行。
21周目、高速右コーナーでメランドリがまたもペドロサを交わして2位に浮上し、最終コーナーへの飛び込みではペドロサが負けじと並ぶがメランドリは決して譲らない。後方に見えなくなるニッキー。
■ペドロサがスライディング
最終ラップ22周目、1コーナーをトップで抜けたのはストーナー、その後からメランドリが差をつめてくる。メランドリはストーナーに密着して殆ど差がなくなり、レースは完全なマッチレースの様相を呈した。
ほぼ同時に1コーナーで悲劇が起きる。スピードがついて傾いたペドロサのバイクはフロントを失いそのまま起き上がる事なくスライディング。焦ってバイクを起こしてコースに戻ったペドロサだったが、最終ラップ開始直後に優勝争いからの離脱を余儀なくされてしまった。事態をテレビカメラを通して険しい顔で睨み続けるプーチ。
後方ではトニ・エリアスがバレンティーノ・ロッシをパスしようと必死に追いすがるが、ロッシは決して前を譲らない。
その頃、中野選手はコーリン・エドワーズをパスして8番手を走行。
今回のレースで常時順位に変動がある最終コーナー手前の高速右コーナーで、メランドリとストーナーが真横に並んだ。最終コーナーで前に出ようとするストーナーだったが、フォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリは最後にストーナーを抑えきりついにトップでチェッカーを受けた。
■メランドリが再びイスタンブールを制覇
あと一歩のところでスペンサーの記録に届かなかったホンダLCRのケーシー・ストーナーは0.2秒と僅差の2位。3位にはストーナーから5秒おくれでレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが続いた。ホンダが表彰台を独占したのは2004年のザクセンリンク以来の事だ。
マシンに不調が続くキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシはヘイデンを0.7秒差まで追い詰めて4位を獲得し、マックスビアッジの持つGP通算合計ポイントの記録は破っている。バイクを降りて首を振り、元気の無い素振りのロッシ。
5位はフォルツナ・ホンダのトニ・エリアス、6位はドゥカティーのロリス・カピロッシ。
初のポールポジションスタート、スズキ期待のクリス・バーミューレンは7位。8位以降、カワサキの中野真也選手、キャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ、コニカ・ミノルタの玉田誠選手が10位に続く。前半は健闘を見せたドゥカティーのセテ・ジベルナウは結局11番手でレースを終えた。
途中でタイヤを交換したリズラ・スズキのジョン・ホプキンスは、最後尾のジェームス・エリソンの1つ手前となる17番手。ブリヂストン勢にとって、ドライのイスタンブールは課題の残るレース結果となった。
■落ちこむレプソルライダー
自身の連続表彰台記録を7回と伸ばしたニッキー・ヘイデンだが、ワークスホンダのエースライダーとしては別のホンダ勢2台についていけなかった事に落胆している様子が窺える。表彰台を前にしてため息をつくニッキー。
また、最終ラップ開始直後に転倒して14位に終ったニッキーのチームメイトのペドロサに至ってはさらに落ち込みが激しいようだ。ピットに戻ったペドロサを覗き込む彼のアドバイザーのプーチだったが、ペドロサの様子を見て言葉をかけるのを躊躇している。
落ち込むレプソル勢をよそに、終始笑顔の止まらないメランドリとストーナー。
以下に、レース結果順に各ライダーのコメントを紹介する。
1位)マルコ・メランドリ フォルツナ・ホンダ
凄いレースでしたね!
面白かったけど簡単じゃありませんでした。14番手スタートで、なかなかこう上手くいませんよね。スタートに成功してレース運びが楽になりました。
最初の数周は大変でしたが何とか先頭集団を目指し、追いついてからはペドロサやストーナーと凄くいいバトルになりましたね。二人は本当に強敵ですし、そのお陰で凄くレースが面白くなってると思います。
最後はストーナーにしかけようと決めました。自分のミシュランタイヤの経験を信じて勝てると思ったんです。イスタンブールで2回も優勝できるなんて最高ですし本当に嬉しいです。
このチームを提供してくれたフォルツナ、ミシュランとホンダに感謝すると同時に、この勝利を捧げたいと思います。これからチームでもっと頑張ってこの喜びを何度も一緒に味わいです!
2位)ケーシー・ストーナー ホンダLCR
なんだか125ccのレースみたいでした。今回の結果で自分がMotoGPクラスでも先頭集団に入って戦える事が確認できて最高の気分ですよ。僕の実力を疑問視する意見の人にも結果を示せたと思いますしね。
最後のストレートエンドは今週何回か転んでいて、あまり自信がなかったんです。だからマルコはきっとパスして来ると思ってました。表彰台には乗れると思ったので、20ポイントをふいにする危険は冒したくありませんでした。
チーフクルーのラモンとチームは凄い仕事をしてくれましたし、一緒に頑張りました。ホンダとミシュランからも驚くほどの支援を頂いてます。
3位)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ
ワイルドなレースでしたね。
みんなめちゃくちゃ攻撃的だしすごい表彰台争いだったけど、無茶をするライダーは1人もいなかったのでレースは楽しかったです。
スターティンググリッドではタイヤウォーマーが溶け落ちてフロントブレーキのディスクに付着したのでウォームアップラップで一度ピットに戻ろうかと思いました。レースでは徐々に調子良くなりましたが、ブレーキは少し効きにムラがあって完璧じゃなかったです。他の連中は凄く速くて、深いブレーキングをしてましたけどね。
でも結局最後はついていけませんでしたので、言い訳にはなりません。レプソル・ホンダチームは本当にいい仕事をしてくれましたし、ミシュランは今日も頑張ってました。
連続表彰台は嬉しいし、世界チャンピオンシップのトップに立てた事を誇りに思います。これは自分にとっていい結果ですが、まだレースは3回しか終ってないので飛び跳ねて喜んだりはしませんよ。
これからも頑張ってタイトル争いの中心になるように、レースの勝利に向けて集中します。
4位)バレンティーノ・ロッシ キャメル・ヤマハ
スタートには成功しましたが、ヘレスの時や250ccのロレンソの事を思い出して1コーナーでは内側に入る事にしましたが、それで4つか5つ順位を落とすはめになりましたね。
1ラップ終盤には順位を元に戻しましたが、2ラップ目にブレーキングをミスして3秒ほどロスし、今日の表彰台のチャンスはなくなりました。
今週は問題だらけでしたが、午前中のウォームアップでレース用にセッティングを大きく変更していくつか解決していました。バイクは良くなりましたし、レース後半はとても楽しく走れましたよ。
明日のテストであとどのくらいバイクを改善できるか楽しみですね。今自分たちに重要なのはチャンピオンシップで何位とかトップと何ポイント差ではなく、優先すべきは本来自分たちが知ってるバイクのレベルに戻す事です。まだシーズンは長いですからね。
今年は厳しいシーズンですから、トラブルを抱えていたら順位を1つや2つではなく一気に10は落としますよ。しかし先頭集団のバトルは凄そうだったね。あれに加われなかったなんて惜しすぎる!
ポイントランキングを見るとトップ7人の誰がタイトルを取ってもおかしくないでしょう。まだ先の長い話だけどね。
5位)トニ・エリアス フォルツナ・ホンダ
スタートは失敗でしたが少しずつリズムはよくなりましたし、周回を重ねて燃料タンクも軽くなってバイクの調子が良くなりました。
バレンティーノと一緒に集団をパスして5位でフィニッシュできました。最終ラップで彼を抜かそうとしましたが無理でしたね。
レースの結果には満足していますが、最初の数周がまだあまり速くないので何とかしないとね。
今日はチームメイトのマルコのすごい走りを祝福したいと思います。
6位)ロリス・カピロッシ ドゥカティー・マルボロ
6位では嬉しいと言えませんね。本来いるべき位置じゃないでしょう。
この週末はウェットコンディションではかなり良かったのですが、ドライレースの準備をする時間があまりなくて思ったようなレースが出来ませんでした。
ただ、チャンピオンシップで先頭との差はたった1ポイントですし、長くて大変なシーズンの中では貴重なポイントを取れたと思います。
持ち帰る成果は十分にあります。ブリヂストン勢の中ではトップでしたしね。
このコースが難しい事はわかっていたので多くタイヤを持ち込みましたが、レースで新しいタイヤを選ぶのはリスクがあるので避けたかったんです。
次は中国ですが、あそこも難しいサーキットなので狂ったような忙しさでしょうね。チームは最高の状態でシーズンをスタートしたので、好調のまま進めるようベストを尽くし続けます。
7位)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ・MotoGP
結果にはまあ満足してます。でもいつも言ってるようもっと上にいきたいんです!
今日のスタートは大成功ですよ。MotoGPではこれまでで最高の出来です。序盤にバイクは凄く快適でしたが、レース中盤辺りからフロントとリアのグリップが少し悪くなってペースが落ち始めました。それでもトップグループについていこうとしましたが、彼らの方がグリップが少し良かったみたいです。
最終ラップにロリス・カピロッシとバトルになりました。4回くらい相互に抜き合ったんですが、彼の方がバイクにパワーがあって結局抜かれました。
レースは本当に楽しめました。今後はこの順位を基準に上を目指したいですね。
8位)中野真矢 カワサキ・レーシング
スタートしてすぐに玉田選手とランディーとのバトルになりました。この結果3人ともタイムを落とす事になってトップ集団は先に行ってしまいましたね。
今日のタイヤ選択は正しかったと思います。レースを通してタイムは安定してましたし、最後にプッシュしてコーリン・エドワーズを交わした時もまだグリップしました。
彼に追いつけるとは思ってましたが、二人ともタイヤの状態もトップスピードも同じくらいでしたので抜くのは大変でした。やっと残り1周と半分の時に10コーナーのブレーキングで交わす事ができ、順位を一つ奪う事ができました。
8位ではあまり嬉しくありません。でも金曜日のドライ路面で抱えたトラブルを考えれば、正直予想以上ですが。
9位)コーリン・エドワーズ キャメル・ヤマハ
今週を通して目的を達成してませんから、チームでしっかり話し合って原因を調べる必要があります。
今日はいつも通り厳しいレースでしたし、先頭グループのような戦うべき相手とバトルするだけの自信がバイクに持てませんでした。明日はテストがありますので、早くコースに出て可能な限り多く走りたいですよ。
レースウイークはあまり時間がないので今抱えているような問題を解決するには無理があります。明日を使って出来る限り多くのデータを中国までに取っておきたいですね。この状況が長引くとまずいので、次までには何かを掴んでおきたいです。
10位)玉田誠 コニカ・ミノルタ・ホンダ
スタートは成功したんです。最初のコーナーでは他のライダーと接触しそうになって順位を落としましたが、まだ順位は挽回できるグループにいました。
リアタイヤのグリップが充分ではなかったんで、速いペースでコーナーを走るのは難しかったんですが、最終的に最後のストレートの前のコーナーでジベルナウを追い抜きました。
カタールに比べればRC211Vの調子はいいレベルに戻ってきました。
11位)セテ・ジベルナウ ドゥカティー・マルボロ
リアタイヤに問題があったこと以外、特に言うことはありません。何も手が打てませんでしたね。
バイクは調子良かったですし先頭を走っていて気分も良かったんですが、4週目からリアタイヤに振動が出始めました。
タイヤ交換の為にピットに入ることも考えましたが走り続けることにしたんです。自信があったので残念です。
12位)ランディ・ド・ピュニエ カワサキ・レーシング
先頭集団が速すぎてスタートからついていけなかったんで、出来るだけ安定して同じラップタイムを出せるように集中しました。
8周目に真矢にパスされたのでそのまま着いていきたかったんですが、ストレートの最後にホプキンスをパスしようとしてミスしました。
ホプキンスはトラブルでスローダウン気味でしたから、コーナーの入り口でパスしようとブレーキを遅らせたんですがやりすぎでした。それで真矢に離されちゃったんです。
12位よりもっと上が良かったのは当然ですが、MotoGPクラスで初めて完走できましたし、今シーズン初めてポイントが取れたので嬉しいです。
13位)ケニー・ロバーツ チーム・ロバーツ
今日は余裕がなくて少しドタバタした感じですね。
最初は1分56秒台前半のタイムで周回していましたが、終盤になって1分55秒台の安定したタイムで走れるようになりました。自己ベストタイムを記録したのも残り2周の時です。
コーナー進入時に十分なスピードが出せませんが、グリップが悪いので当然ですよね。
ただ、レースに勝った連中と同じエンジンとタイヤですから、まだまだやる事はありますよ。毎回レースをしながら開発を進めていますし、乗る度にバイクの状態も変わってますからね。
問題はコーナー進入時のブレーキングでの滑らし具合です。天候が変わる中で上手く乗るには、まだこのバイクと自分を相互に調整する上で経験が浅いですからね。
14位)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ
最終ラップまではうまくいってたんです。
スタートに成功したので序盤に順位をかなり挽回できました。リズムも良かったので何人もライダーを抜き、計画通り先頭集団に追いつきました。
レース終盤が難しかったですね。タイムをロスしてから先頭に少し離されてついていけなくなり、1コーナーの進入時に転倒してしまいました。多分リアが流れてフロントを失ったんです。まだマシンは起こせたので14位で完走はできて、少なくとも2ポイントは取れました。
レースウイーク全体を通してチームの調子は良かったのに申し訳ないです。今週は2回ミスして転倒も2回しましたから、あまり仕事に集中できてなかったんだと思います。
15位)カルロス・チェカ TECH3ヤマハ
全くのゼロから始めた新しいセッティングと新しいタイヤでレースに臨んだので、何が起こるかわかりませんでした。
スタートは良くて激しくプッシュしたんですが、3周目にフロントを失ってコースアウトしてしまいました。コースには戻りましたがまた滑ったんで、少しペースを落としてタイヤを温存できるリズムで走る事に集中しました。この結果レース終盤には自己ベストタイムを記録しています。
ここは左コーナーが多く、レース終盤には左肩に問題が出てしまいました。
今回のセッティングはベストとは言えませんね。時間が足りず急いで決定したので、運悪く間違った方向に進めたようです。
今週の結果はあまりうれしくありませんが、繰り返したいのは、今年はダンロップにとってMotoGPクラス開発の年だという事です。今重要なのは、ダンロップが進歩できるように出来るだけ多くの情報を提供することでしょう。
彼らが前進する事でチームを前進させるのが狙いですし、次の中国を含む全シーズンを通して良い成果につながっていく筈です。次戦までに肩も100%の状態になってくれると思います。
16位)アレックス・ホフマン プラマック・ダンティーン
スタートに成功して、チームメイトのカルドソとエリソン、最後はチェカにも追いつきました。
コーナーには高速で飛び込めましたし、フロントも安定していましたので、周回を重ねる度に良くなっていたんです。いいリズムで走れましたし、チェカをかわして12周目から18週目まではダンロップ勢ではトップでした。
残念ながら19周目にチェカに抜かれたんですが、その時彼のバイクから煙とオイルが漏れてたんです。チェカのエンジンが爆発するか、コースにオイルが撒かれるんじゃないかと思って心配しました。
一緒にクラッシュしないように少しペースを落として後ろで様子を見てたら治まったんですが、順位を挽回するには遅すぎました。
もう少しポイントも取れたし、ダンロップ勢の中で1番だった事を思うと本当に残念です。でも、今日は自分に自信を持ちましたし、2006年プロジェクトをもっと信頼しようと思います。
17位)ジョン・ホプキンス リズラ・スズキ・MotoGP
大して話す事もないね!
正直がっかりだし、やれるだけはやったけどね。スタートは成功したし序盤のバイクとブリヂストンは凄く調子良かったですよ。セテ・ジベルナウを追いかけた時は嬉しかったね。
6周目か7周目にタイヤがコーナーの進入時にひどく滑り出して、そこから数周で順位を落とし、これ以上は危険だと思いピットに戻りました。ポイント獲得の為にタイヤを新しくしてもう一度走ったけどね。
バイクもタイヤも自分も先頭近くを走れる事はわかったので、全部が噛み合ってからコースに出たいね。
18位)ジェームス・エリソン TECH3ヤマハ
毎回言い訳してるみたいでうんざりですが、正しい方向にセッティングができませんでした。みんなで真剣に頑張った結果なので、誰のせいでもありません。
自分達だけではなく、ヤマハの4人のライダー全員がセッティングには苦労してるみたいですね。カタールでは進歩したので、今週はもっといい結果が出せると思ってました。
金曜日には方向性が見えたんですが、今日は気温が低くてダメでした。色々試しましたが、残念ながらの今日のセッティングは外れです。本当にがっかりです。
DNF)ホセ・ルイス・カルドソ プラマック・ダンティーン
運悪く電気系トラブルを抱えて5周目でピットに戻らなきゃいけなかったんです。問題は解決できてコースに戻ったんですが、はっきり言ってもうレースは終わったようなものなので別のタイヤのテストをすることにしました。
金曜日の自己ベストを約1秒改善できてたのに、運が悪かったし残念です。まあ、レースにはよくあることですけどね。2週間後の中国で取り戻したいと思います。
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