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カタールGP ロッシ復活

2006年4月9日

時折嵐のような強風が吹く中、2006年カタールグランプリは4月8日に決勝を迎えた。晴れ間の多い一日だったものの、風の影響で温度は予想された程の上昇を見せず、気温は26度、路面温度は41度と、この3日間のグランプリでもっとも涼しい中でのレースとなった。



■砂の舞う強風の決勝レース

決勝当日午前のウォームアップはどのライダーもペースを落とし、トップタイムのケーシー・ストーナーから9番手タイムのコーリン・エドワーズまでが1分58秒台という前日よりも2秒ほど遅いペースで走行していた。路面は強風により砂が舞い、一部オイル漏れもあったようだ。

午後に入り、同様のコンディションで決勝は開始された。1列目フロントローには、初日のフリー・プラクティス2以外の走行は全てトップタイムを維持し続けるMotoGPルーキー、LCRホンダのケーシー・ストーナー、2番グリッドは開幕ウイナーのドゥカティー、ロリス・カピロッシ、3番グリッドにはMotoGPで一列目スタートは初めてとなるフォルツナ・ホンダのトニ・エリアスが続く。

■2つの記録更新をかけた争い

ケーシー・ストーナーがこのレースを制する事があれば、フレディー・スペンサーの最年少優勝記録を更新する事になる。

また、今期に6連覇をかけるバレンティーノ・ロッシは2列目6番グリッドからのスタート。同列にはレプソル・ホンダの2名のライダーも並んでいる。バレンティーノ・ロッシにとっても本戦を制すれば、ミック・ドゥーハンの史上2番目の最多優勝記録である54勝に並ぶという記念すべきレースになる。今回のカタールには2つの記録更新がかかる事になった。

3日間、マシンの不調に悩むカワサキの中野選手は9番グリッド、冬季テストからフロントまわりのセッティングが思うようにいかない玉田誠選手は16番手スタート。午前中ウォームアップで4番手タイムを記録した開幕以後マシンのトラブルを訴え続けるスズキのジョン・ホプキンスは13番手スタートだが、巻き返しが注目されるところだ。

■好調なスタートを決める中野選手、それにかぶせるニッキーとロッシ

シグナルが消え、ライダーが一斉にスタートした。1コーナーに向かうのはルーキーのケーシー・ストーナーを先頭にカピロッシ、絶妙のスタートを決めた中野選手。



1コーナー手前で中野選手の前にレプソルホンダのニッキー・ヘイデン、左横後方からキャメルヤマハのバレンティーノ・ロッシがコーナーの奥に飛び込み、中野選手は5番手に後退して1コーナーに飛び込む。5番グリッドのスタートだった開幕戦2位のダニ・ペドロサはクラッチが滑る現象に悩まされ、後方集団に飲み込まれる。3番グリッドスタートのトニ・エリアスもスタートに失敗した。

1コーナー通過時点の順位はストーナー、カピロッシ、ヘイデン、ロッシ、それに中野選手が続く。

■ド・ピュニエのクラッシュに足止めを食らうダンロップ勢

この直後、1ラップ目の6コーナーでクラッシュが発生した。ランディー・ド・ピュニエがリアを滑らせ宙を舞う形となり、後方を走っていたダンティーンのアレックス・ホフマンのヘルメットをかすめる。グラベルにはNinja ZX-RRとランディー・ド・ピュニエが横転し、たまらずホフマンもコースを外れてグラベルに。さらにその後ろを走っていたTECH3のカルロス・チェカとジェームス・エリソンもコース上でバイクを徐行させる事になった。

ド・ピュニエは転倒の原因は不明と後に本人がコメントしているが、ダンロップ勢の殆どがこの転倒の煽りを受けて足止めを食らう形となった。



■トップを快走するルーキー、ケーシー・ストーナー

1ラップ目の中盤にロッシがカピロッシを交わし、さらにニッキー・ヘイデンがロッシの前に入った。この時点の順位はストーナー、ヘイデン、ロッシ、カピロッシ、中野選手、その後ろにはドゥカティーのセテ・ジベルナウが続く。中野選手はこの後も1ラップを終えるまでに各コーナーで低速時の出力過多に悩まされ、2ラップ突入までに8番手まで順位を落としてしまう。カタールの3日間、このZX-RRの出力特性により、中野選手はコーナーでのチャタリングおよび接地感不足に悩まされてタイムを出せていない。

2ラップ目に入ると各ライダーは等間隔で1列に走行する形となる。昨年と違って気温によりグリップを大きく失う路面状況ではないものの、風の影響でコース上の全てのアスファルトは薄く砂に覆われており、無理な追い抜きは出来ない状態だ。

8番手の中野選手の前を行くのはフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリとキャメル・ヤマハのコーリン・エドワーズ。中野選手の後ろにはスズキのジョン・ホプキンスが迫る。

3周目までに1分57秒後半のペース周回が続く。ホッパーが中野選手を交わして8位に浮上。



4周目突入時、先頭からストーナー、ヘイデン、ロッシ、カピロッシ、ジベルナウ、エドワーズ、メランドリ、ホッパー、中野選手、エリアス、ペドロサの全員がコンマ数秒間隔に整列して走る。その後ろの12番手はスズキのクリス・バーミューレン、13番手にはTECH3のカルロスチェカが続く。14番手以降はケニー・ロバーツ・ジュニア、玉田誠選手、ジェームス・エリソン、ホセ・ルイス・カルドソ、最後尾には1ラップ目にコースアウトし、怒りの収まらないアレックス・ホフマンが続いた。

中野選手はエリアスに交わされ、すぐにペドロサも中野選手の前に出る。

■オイルを噴くリズラ・スズキ、暴れるジョン・ホプキンス

5週目に入るとまたアクシデントが発生する。カタールではラジエーターに問題を抱えているスズキ勢だが、ジョン・ホプキンスのマシンからオイルが漏れ出し、後方を走るエリアス、ペドロサの若手スペイン人2名に振り撒いた。二人のシールドはオイルにまみれ、二人そろってこの時にペースを落としている。路面は所々がオイルにまみれ、コース状況はさらに難しい状態になった。

バイクが全く前に進まなくなったホプキンスはマシンの異常に気付き、コース外のガードレールにマシンを立てかけて停車。度重なるマシントラブルに怒りを抑えられないホッパーは何度も小刻みにマシンに蹴りを入れ、すぐにグラベルの中に突っ伏してかがみ込んでしまう。すぐさま思い出したように立ち上がったホッパーは、ピットに戻るかと思いきやまたマシンを続けて蹴り始める。

いつまでもマシンを小刻みに蹴っているホッパーの映像は世界中に中継され、気の毒ともユーモラスとも思える姿が笑いを誘ったが、同映像をモニタで確認するスズキ陣営スタッフの表情だけは固い。スズキチームは、今回初めて大手スポンサーリズラ社の面々をゲストとしてGP観戦に招待している。リズラのロゴを蹴り続けるホッパー。

レース後、リズラ・スズキチーム監督のポール・デニングは、「今後はリズラのためにも頑張りたい」とコメントした。

■熾烈な2番手争い

6周目も好調にトップを走るケーシー・ストーナーの真後ろでは2番手争いが激化した。バレンティーノ・ロッシがニッキー・ヘイデンの前に出るが、ロッシの加速が鈍ったタイミングにすぐさまニッキーが抜き返す。ニッキーの真横の砂の多く滑りやすいゼブラゾーンぎりぎりのエリアを使ってロッシが再び真横に並び、ニッキーの前に出る。二人の順位はコーナーごとに入れ替わった。



7周目までにロッシがニッキーを交わし、この時点でトップのストーナーとロッシの差は0.778秒だった。この後ろには同間隔でニッキー・ヘイデン、カピロッシ、セテ・ジベルナウが続く。

■再びオイルを噴くリズラ・スズキ

その頃、クリス・バーミューレンはホッパーと同じくラジエーターのトラブルを抱え、チーム・メイトと同様に後方にオイルを噴出させていた。そのオイルを浴びながら忍耐強く12番手走行をしていたケニー・ロバーツ・ジュニアはクリスを交わして11位に浮上。

8周目に入るとロッシがぴったりとストーナーの後ろにつける。後方には3番手のニッキー・ヘイデンが前方の二人の様子を窺うように間隔をつめている。



クリス・バーミューレンはマシンが前に進まなくなりリタイア。

■ついに先頭に立つロッシ、転倒寸前のエドワーズ

9周目までにペドロサがエリアスを交わし、前をいくコーリン・エドワーズ、マルコ・メランドリの追撃体制に入る。6周目までは好調だったというコーリン・エドワーズはフロントまわりに不調を訴え、何度も転倒寸前のミスを犯し始めていた。

10周目までロッシの執拗な追撃を受けながらフロントを浮かせ気味で逃げるストーナーのタイヤはグリップを失い、その状況を見計らってついにバレンティーノ・ロッシが先頭に立った。この時ストーナーの足はつっており、痛みに襲われていたと後に本人がコメントしている。

安定した走りのロッシと若い走りのストーナーが、あわや接触という距離でつながっている。

■ペースを保てなくなったケーシー・ストーナー

11周目にはニッキー・ヘイデンがぴったりとケーシー・ストーナーの真後ろにつき、前を行くルーキーにプレッシャーをかける。ストーナーがミスをして大回りした所をすかさずヘイデンが前に出る。ヘイデンはロッシの追撃体制に入り、ストーナーの後ろではカピロッシが様子を窺っていた。

12周目に先頭のロッシと2番手のニッキーとの差は0.646秒。少し後方のストーナーの真後ろにはぴったりとカピロッシがついた。

13周目にカピロッシはついにストーナーを捕らえ、3位に浮上。ストーナーはアクセルを開ける度にフロントを浮かせて追いすがる。後方の6番手争いも激しく、メランドリに追いついたペドロサが激しく順位を奪い合っている。



15週目、さらに後方8番手をいくコーリン・エドワーズはトニ・エリアスにパスされ9番手に後退。4番手のケーシー・ストーナーはカピロッシ後方にぴったりとつけているが、5番手をいくセテ・ジベルナウはこの二人についていけない。

■ロッシを逃がさないニッキー・ヘイデン、ダニとメランドリの激しい争い

先頭ではニッキー・ヘイデンがバレンティーノ・ロッシに差を開けられる事なく追走している。昨年までのヘイデンは似た状況でロッシの追撃を断念する姿が多く見られたが、今回は全くペースを落とす様子がない。ストレートでロッシに近づくヘイデン。

18周目、6番手を争うマルコ・メランドリとダニ・ペドロサに動きが見られた。一度完全に前に出てコーナーに飛び込もうとするペドロサに、どこまでもブレーキを遅らせてメランドリがかぶせる。だがペドロサも全くラインを譲る様子を見せず、結局メランドリはコースを外れて後退。この時2台は殆ど接触していた。

■トップに立つニッキー、焦るロッシ

19周目のストレートではついにニッキー・ヘイデンがバレンティーノ・ロッシの前に出てコーナーに飛び込む。2番手となり慌てて後ろを振り返るロッシの真後ろにはカピロッシが迫っている。この時点で先頭集団はヘイデン、ロッシ、カピロッシの3台となり、ケーシー・ストーナーはやや後退していた。



残り2周の20周目に入ると同じストレートでロッシがニッキーを交わしトップに再び踊り出る。スパートをかけるロッシにニッキーが離され始めるがそれほど大きく差は広がらない。後方6番手では再びメランドリとペドロサが隣接している。



22周目の最終ラップ、先頭からロッシ、ヘイデン、カピロッシがほぼ一秒間隔で一列に並びスパートをかけている。ストーナーはセテ・ジベルナウに追いつかれて5位に後退。ペドロサとメランドリは最終ラップでもコーナーのたびに順位を入れ替えるというバトルを続けている。

■ロッシ、ミック・ドゥーハンの勝利記録に並ぶ

ついにチェッカーが振られ、先頭の3名はそのままの順位でラインを通過、4番手にはセテ・ジベルナウが悲願の完走を果たし、その後ろにケーシー・ストーナーが続く。ファイナルラップまで続いた激しい6位争いを制したのはダニ・ペドロサ。0.5秒遅れでメランドリがチェッカーを受けた。

8番手から、腸炎の調子が優れないトニ・エリアス、オイルまみれのケニー・ロバーツ・ジュニア、マシン不調の中野選手、左肩の怪我が癒えないカルロス・チェカが続き、さらにその後からジェームス・エリソン、玉田選手、ダンティーンの2名が続いた。

ウイニングラップ中にストーナーを握手で称え、その後ヘルメットを脱いでクレーンカメラに濃厚なキスをするバレンティーノ・ロッシ、4位でピットに戻り、去年は忘れていたような安堵の笑顔を見せるセテ・ジベルナウの姿が印象的だ。ケーシー・ストーナーはピットで固い表情をしている。

以下に、レース結果順に各ライダーのコメントを紹介する。

1位)バレンティーノ・ロッシ キャメル・ヤマハ

凄いレースでしたね!きつかったけど面白かったです。

今日のM1は調子良かったです。レースが進んでタイヤのグリップ力が弱まったら完全に振動は消えましたので、最後は速く走れました。

3ラップ目にはファーステストも記録しましたので、これは自分のM1が良好な証拠でしょうね。今回の勝利は年間タイトル争いにとってだけじゃなく、チームと自分のメンタル面にとってもっと重要でした。

今日は風が強かったけどグリップが良かったので、最初っから速いペースのストーナーを追いかける事ができました。ストーナーのタイヤが終りかけたのでパスして、その後は逃げ切れると思ってたけどニッキーがついてきちゃいましたね。それで振り返ったらロリスも来てたので最後の数ラップが心配になって、そこからはとにかくプッシュして逃げ切る事ができました。

ミック・ドゥーハンと並べたのは凄いですね。これで自分の前にいるのはジャコモ・アゴスチーニだけになりました。記録は別に重要じゃないけどいつも嬉しいです。

これでやっと開幕できた感じですね。ヘレスまでは悪夢でしたが今やっと目覚めました!これまでの厳しい時間を一緒に集中して戦ってくれたジェレミーとみんなに感謝します。今回は全部彼らのお陰ですよ。

2位)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ

優勝をかけて戦うのは4位争いより楽しいですね。

今日はバレンティーノを激しく追い上げて、自分自身も最大限のプッシュをしました。今日のバイクは勝てるくらい速かったけど、最終ラップの左コーナーで少し滑ってしまい、バレンティーノと差が開いて追いつけなくなりました。

昨晩マシンに少し変更を加えたのに、午前のコースの状況は前と変わっていました。それで今日は少しギャンブル・セッティングに出たらうまくいって、高速コーナーを調子良く走れました。だからスタッフには感謝しています。

今のチーフ整備士とは2年目ですが、凄くうまくいってます。まわりのみんなは真剣に働いてバイクを良くしてくれますよ。

まだやる事はあります。明日の朝はここでテストしますが、新型バイクの開発は凄くいい方向に向かっていますよ。

連続6回の表彰台は気分いいね。このまま優勝もあるといいんだけどね!

3位)ロリス・カピロッシ ドゥカティー・マルボロ

チームといい週末を迎える事ができて嬉しいです。ここはチームにとって得意なサーキットではありませんからね。



冬季テストの間にブリヂストンがいい仕事をしてくれたので進歩は大きいです。ここは自分たちにとって難しいサーキットですし、去年は大きな問題を抱えていました。でも今年は勝利目前で戦えましたし、とても良い結果に終りました。

レースの序盤は風が強くて大変でしたが、徐々に慣れて自分のペースを掴む事ができました。チームのみんなとドカティー・コルセ(ワークス)に感謝します。

今年のチャンピオン争いは面白い事になりそうです。この調子を維持できればずっとタイトル争いに関われると思いますよ。調子はいいし、バイクもタイヤも最高です。

4位)セテ・ジベルナウ ドゥカティー・マルボロ

今日はいい仕事ができたと思います。

今回タイムをロスしたのは低速ヘアピンの部分ですね。あと、現段階ではフロントにチャタリングが多く出るので1コーナーで0.5秒くらいロスしていますが、その他の部分ではOKです。

ストレートでは強風の影響で左右に振られたので体力的にきつかったです。このレースは完走する必要がありましたが、次回のレースは楽しみですよ。風の影響は他のライダーも同じ条件ですから、頑張ってくれたドゥカティーとブリヂストンに感謝します。

5位)ケーシー・ストーナー LCRホンダ

スタートは大成功でしたし、フロントの感触も良くてライディングにだけ集中できました。でもガソリンが減ったら軽くなってリアのグリップ感が悪くなり、ペースを上げる事ができなくなったんです。

体調にも問題があって、100%の状態だったとは言えませんが、もっと良い結果になると思ってたんですけどね。

プレシーズンはあんまり参加できませんでしたし、インフルエンザにもかかってます。それに10周目には足がつって痛くなりました。

時間の問題だと思ってたので、バレンティーノに抜かれた時は別に驚きませんでした。レースの後半はロリスとジベルナウともいいバトルができましたね。

6位)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ

言うのは簡単かもしれませんが、スタートさえ成功してればもっと上の順位、4位以上にはなれた筈です。

昨日のニッキーと同じようなクラッチの問題が出て、最初はタイヤがスピンしてるのかと思ったらクラッチでした。それでエリアスの後ろになって、更に二人ともホプキンスに抜かれてバイザーにオイルをかけられました。

エリアスが速度を下げたので、二人とも先頭から少なくとも3〜4秒は離されてしまいました。メランドリに追いついたら凄いバトルになりましたね。

自分のバイクは速いのでメランドリを抜く事はできましたが、彼は凄くブレーキを遅らせてくるんです。別に怒ってはいませんが、トップ争いができる機会をふいにしたのでがっかりです。

レースではたくさん学びましたし、出来る限りの事はしたつもりです。今日は不満の溜まるレースでしたが、ここまでの2レースは悪くないですね。

7位)マルコ・メランドリ フォルツナ・ホンダ

今日は厳しいレースでした。

スタートは成功したのでポジションを上げていこうと思いましたが、レース終盤にかけてミスをしてしまい、順位を下げてしまいました。

ダニ・ペドロサといいバトルができましたね。ストレートでは抜かれましたが、ブレーキングでは追いつけました。

まだ思うようにマシンは乗れませんが、明日1日テストがあるので、うまくいけば改善は進められると思います。

8位)トニ・エリアス フォルツナ・ホンダ

二日間のプラクティスはうまくいったので、今日はもっといい結果を期待していました。



スタートに失敗したのが最悪でしたね。ホプキンスのエンジンが壊れてオイルがもれ始めたので、アクセルを開ける事ができなくなり、さらに後退してしまいました。バイザーがオイルまみれになっては先頭集団についていく事ができません。厳しいレースになりました。

今日はもっといいレースができると思ってたので、残念です。

9位)コーリン・エドワーズ キャメル・ヤマハ

スタートに成功して最初の5周はいい感じでした。バイクも調子がいいので攻めの走りができたと思います。

でも、「こりゃいけるぞ!」って思ったら6周目でフロントを3回失い、そのたびにクラッシュ寸前でした。プッシュするのが早すぎただけだとその時は思いましたが、やっぱりフロントはずっと相変わらずでどんどんペースが落ちました。

フリー・プラクティスのシミュレーションでは1分57秒2が出せてたのに、レースになったら3秒も遅れるのは何か間違いがあったんだと思います。幸い明日はテストがあるので、原因を調べてトルコに向けて万全にするつもりです。

10位)ケニー・ロバーツ・ジュニア チーム・ロバーツ

10番グリッドスタートはそんなに悪くないですが、自分の前にいた集団は邪魔でしたね。何人かオイルを漏らしてましたが、クリス・バーミュレンは自分の前でずっと垂らしていました。悪いときに悪い場所を走ってましたね。

前の集団を交わした時には、先頭からは大分離されていました。

今日のタイヤとバイクは最高でした。もっと前の集団を早く抜けてればさらに上を狙えたんですが、オイルが散らばってたんで慎重に走らなきゃいけなかったんです。

チームが今週してくれた仕事には感謝しています。もし去年の11月に開幕から2レースは10位以内に入れるよって言われても絶対信じなかったでしょうね。

11位)中野真矢選手 カワサキ・レーシング

ここに来てから抱えている問題を改善するのに時間を使いすぎましたね。だから今日の午後はできる限りプッシュして少しでも多くポイントを稼ぐ事だけ考えました。

一番の問題はコーナーでのトラクション不足です。最小に絞った時の出力がまだ激しすぎて、リアタイヤがスピンしてパワーを路面に伝えられないんです。この問題からコーナーからの脱出時に加速が悪くてストレートでのスピードが伸びません。

3コーナーと4コーナーの間の短いストレートでも、必死にギアをかえて加速しててもまわりにどんどん抜かれます。ヘレスでは冬季テストでも開幕レースでも調子良かったので、このサーキット特有の問題かも知れませんね。

厳しい週末でしたが、ポイントが取れて終ってよかったです。

12位)カルロス・チェカ TECH3ヤマハ

今日のヤマハとダンロップの性能には満足してます。

この状況はチームと自分の励みになりますが、自分の体調がバイクとタイヤの本来性能を引き出せない状況なんです。肩は今日は少しましです。2週間後にはもっと良くなっていると思いますが、今日は風が強かったので余計に大変でした。

チームは全ての点で改善を進めてくれていますし、自分もリハビリ後はもっと戦える状態になってると思います。次のレースはやりますよ。

13位)ジェームス・エリソン TECH3ヤマハ

今日は最高です!

1ラップ目に目の前のライダーがクラッシュしたのに巻き込まれなかったら、もっと上の結果が狙えたと思います。バイクは乗りやすいし今回はレース中にプッシュできるようになりました。



2秒タイムを改善できましたが、目の前の玉田にひっかかってしまい、しばらく前に出れずにいたんです。タイヤは22周完全に持って、レースの最後も最初と同じペースを保てました。これは自信になります。

14位)玉田誠選手 コニカ・ミノルタ・ホンダ

シーズン序盤にこんな状況になるとは思いませんでした。

まだ自分の思い通りにRC211Vに乗れていません。今の感じではコーナーへの飛び込みを速くするのは難しいです。

コニカ・ミノルタとホンダ、それと改善作業をしてくれているチームのみんなに全く満足のいく結果を与えられず、本当に申し訳ないです。

15位)アレックス・ホフマン ダンティーン・プラマック

スタートに成功して11番手まで上がれたんですが、前のライダーがクラッシュして目の前を飛んでたんです。自分の頭の上を飛び越えてヘルメットにかすりました。

自分もクラッシュしなくて良かったんですが、コースアウトしてしまったので挽回が大変でした。頭にきて集中できなくなり、ペースを取り戻すのに5周もかかってしまいました。

他のダンロップを履くライダーと同様に、自分のリズムも悪くなかったと思います。自分としてはいいスタートだったので、もし最初の出来事さえなければもっと前に出れた筈です。

でもまあ15位でまた1ポイントが取れたのは次につながる良い結果でしょう。

16位)ホセ・ルイス・カルドソ ダンティーン・プラマック

いいスタートが切れて14位につけましたが、何周回か走るうちに問題が発生して順位を落とし始めました。これが今自分たちの抱えている問題ですが、レースを完走できたのは、今後自分たちに役立つ情報収集になったので良かったと思います。

チームは今週も頑張ってくれたので感謝しています。次回のトルコはまだ一回も走ってないので楽しみです。

11周目リタイア)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ

ヘレスよりはいいスタートができました。

1ラップ目にはクラッシュに少し巻き込まれてタイムをロスしました。ケニーを抜いて、さらに前に出ようと思ったら、ジョンのバイクからオイルが漏れてるのが見えて、コースが滑りやすくなったのでみんなペースを落としました。

1分58秒台のいいペースだったんですが、何かトラブルがおきてスピードが出なくなってたんです。気がついた時にはまわりのライダーから自分より100km/hくらい速い速度で抜かれて、自分がどんだけ遅くなっていたかわかりました。

もうピットに戻るしかないし、レースは終わりました。

5周目リタイア)ジョン・ホプキンス リズラ・スズキ

今回自分とクリスに起きた事はひどいよね。クリスも自分と同じくらいムカついたと思うよ。

スタートは大成功で、最初の2〜3周は凄い調子良くて何人も抜いたんです。前の連中も抜いていけると思った途端、バイクが走らなくなってそんで全部終わり。

ほんとに落ち込むね。リズラ・スズキのスタッフ全員ここでは一生懸命働いたのに、こんな事になるなんて関係者全員にとってもたまんないよね。

1周目リタイア)ランディー・ド・ピュニエ カワサキ・レーシング

スタートは成功して、バイクもいい感じで乗れてたんですが、ホフマンを抜いた直後の低速左コーナーでリアが暴れました。理由がわかりません。バイクをピットに戻してデータを見れば何かわかるかも知れませんね。

これ以上最悪な週末はないです。木曜日に手の怪我は痛みましたが、週末にかけて良くなってきたので良い結果を期待してたんです。

1ラップ目で転倒するなんて残念ですが、今は原因を調べて勉強するしかないです。それで今日の事は忘れて、次のイスタンブールに備えて集中します。



(写真提供:ヤマハレーシング、HRC、レプソルYPF、カワサキレーシング、ドゥカティーコルセ、チームスズキMotoGP、プラマック・ダンティーンMotoGP)


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