|
2007年9月22日
日本GP初日の9月21日、ブリヂストン勢の中でのトップタイムを刻んだのは、1日目の2回のフリー・プラクティスの総合2番手タイムである1分48秒254を記録したカワサキのランディ・ド・ピュニエだった。
■ド・ピュニエはトップスピードでは初日3番手
昨年のもてぎでは転倒しているド・ピュニエだが、トップ・エンドパワーを誇る今年のNinja ZX-RRはもてぎのストレート加速で有利と述べ、今年はいい戦いができると信じていたド・ピュニエは、この日の午後にホンダのダニ・ペドロサとドゥカティーのケーシー・ストーナーに次ぐ3番目のトップスピードである時速284.8kmを記録し、ラップタイムは午前から0.5秒縮めている。この日のセッティングの改善状況に本人は大変満足している様子だ。
■セッティングの問題解決をポルトガルに引き続き急ぐウエスト
前回のポルトガルでグリップが得られない問題をマシンのセッティングに抱えていたド・ピュニエのチームメイトのアンソニー・ウエストは、この日の午前中もその同じ問題を抱えたまま午前は15番手に低迷していたが、午後の終盤には初日の自己ベストとなる1分48秒529を記録し、総合8番手にまで順位を上げている。
ウエストはこの日に調整したサスペンションとタイヤ選択には大満足しており、ポルトガルの時よりもバイクから好感触が得られたという。
■新型バイクの特性に驚く柳川選手
また、今回の日本GPにおいて3台目のカワサキを駆り、2002年のカワサキ・デビュー戦での雪辱を晴らしたい柳川明選手は、当時に柳川選手本人が開発していた初代Ninja ZX-RRと比較して非常に軽くてパワフル、かつ機敏になった最新型800ccバージョンのNinja ZX-RRの飛躍的な性能アップに大変驚いており、彼のライディング・スタイルに合うセッティングを探すのに1日目は苦戦気味だった。
しかしながら彼を支える熱心なチームスタッフの支援もあり、柳川選手は日曜日のレースに向けてのマシン調整に意欲を示す。この日の柳川選手の自己ベストタイムは総合19番手となる1分50秒229だった。
■ド・ピュニエ「すでにマシンの仕上がりは高い」
午後にタイヤを硬めに変えてからはタイヤの耐久性が良くなり、多くの周回を走りきったタイヤでセッション終盤にこの日の総合2番手タイムを記録したド・ピュニエは、まだマシンの改善は進められるとしながらも、1日目のマシンの仕上がりにはすでに満足できているという。
「今日は悪くなかったですね!」とド・ピュニエ。
「午前中はバイクのセッティングに集中しました。午後には硬めのコンパウンドのタイヤを試した事でタイヤの持ちが良くなり、20周を走りきったセッション終盤に入ってもタイムがすごく良かったです。」
「まだリア・サスペンションの調整など、多分もう少し改善は進められるので、今日とは異なるリアタイヤなども試すつもりですが、すでに仕上がりはかなりいいので本当に満足できています。」
■ウエスト「ひじを擦ったのなんて初めて!」
午前にはポルトガルの時の同様にリアのグリップ不足に苦しんだド・ピュニエだが、午後にはセッティング上の問題が大きく改善されており、マシンの倒し込みが深くできるようになった事からコーナリング時にひじを地面に擦った事に驚いている。
「今朝はあまり感触に自信が持てませんでしたが、突然午後になってバイクの感触が全て良くなったんです。」とウエスト。
「1回目のセッションではリアのグリップ不足に苦しみました。ホイールスピンが発生したり、どこを走っていても横滑りする感じでしたが、午後の状況は全然違いました。グリップが良くなったおかげで倒し込み角度を一気に深くできるようになり、正しい走行ラインを狙えるようになったんです。」
「そこからはバイクの感触が全体的に上がりました。間違いなく乗りやすくなり速度が上がっています。あるコーナーではひじを地面に1度か2度擦りましたが、こんな経験は初めてですよ!」
「ラップタイムが物語っているとおり、すごく大きな進歩でしたね。」
■柳川選手「125ccマシンにロケットエンジンを搭載したみたい」
カワサキの約20年ぶりのグランプリ復帰に向けてのマシン開発を担当し、2002年と2003年当時の初代990ccバージョンNinja ZX-RRを良く知る柳川明選手は、最新バージョンのNinja ZX-RRは125ccのマシンにロケットのエンジンを搭載したような乗り心地だと驚いている。
「大丈夫だと思います。」と柳川選手。
「今日はコーナーの進入で少しチャタリングの問題を抱えていましたが、これは自分の走りによる影響が若干あるんじゃないかと思っています。まだライディング・スタイルが今のバイクに合っていませんからね。」
「時間のあるうちに解決策を見つけなきゃいけませんが、いずれにしても妥協は要りますし、もっと走り込んでマシンの感触に慣れていく必要があります。」
「こんなバイクは全く経験した事がありませんよ。なんだか125cc用のシャシーにロケット・エンジンでも搭載したような感じですからね!乗りこなすには特別な技術がおそらく必要なんだと思います。でも、もっと調整は進められると思っていますし、それができればさらに性能を使える筈ですよ。」
|
|