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2007年3月22日
開幕戦のカタールではラップタイムの不足からあまり攻めの走りができなかったというコニカミノルタ・ホンダチームと中野真矢選手は、今週末のスペイン・グランプリでは、さらに上を狙う自信があるようだ。
■さらなるマシンの熟成に期待
開幕レースでは4人のライダーがリタイアする中で10位を獲得し、まずは安定した走りで完走を果たした新生コニカミノルタ・ホンダチームは、現在調整中の800ccマシンがさらに熟成を高める事で、中野選手がより高いポジションを狙えるようになる事を確信しているという。
■ヘレスは中野選手とRC212Vの特性に合うサーキット
カタールの後、イタリアのベローナにあるチームの本拠地に戻ったコニカミノルタ・ホンダの技術陣は、開幕レースで問題となったコーナー進入時のマシンの感触不足を解決すべく、収集したデータを念入りに調査しており、このレースウイークの序盤にその分析結果をマシンのセッティングに反映する予定だ。
チームはヘレスのテクニカルなコースレイアウトが、より中野選手のライディング・スタイルとマシンの特性に合う事をIRTAテスト中にも確認しており、今週のレースでは、さらに高い成績が狙える筈と、大きな期待を抱いている。
■モンティロン「パッケージの性能を100%引き出してシンヤに渡したい」
コニカミノルタ・ホンダのチームオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、チームのパッケージ(マシンや使用パーツ類)には最高のものを使用しているので、それらの性能をチームが完璧に引き出せるようになれば、中野選手の成績は自然に上がるとコメントしている。
「私自身を含むチームの全員に最大限の努力を期待します。ヘレスでは100%の力を出し切るつもりですし、それこそが私たちが戦いを続ける理由ですからね。」とモンティロン。
「前回のカタールは、まだ長いシーズンの中の第1戦にすぎません。自分たちがライバルたちと比較してどのくらいの位置付けになるかは、さらに3〜4レースを戦ってみない事には分からないと思います。」
「これからの全てのレースを通して、トップとの差を縮められるように全力を尽くします。ヘレスでは5位か6位以内を目標としています。」
「チームのテクニカル・パッケージ(マシンやタイヤなど)は現時点のMotoGPにおいて最高のものですが、それらの性能を100%発揮できる状態にしてシンヤには手渡す必要がありますし、それができれば彼の成績はさらに上がりますよ。」
「カタールのグランプリでは多くのデータを集める事ができましたから、今回のコースの全区間でタイムを上げるのにそれが役立ってくれる筈です。」
■中野選手「自分のライディング・スタイルを信じる」
ヘレスでは過去2年間に高い成績を残している中野真矢選手は、開幕戦のカタールではうまくいかなかったスタートを今週は成功させて、より上の成績を狙うとしている。また、今回は中野選手の父親が日本からレース観戦に来る事も、彼にとっての大きな楽しみになっているようだ。
また、一時期はライディング・スタイルの変更を模索していた中野選手だが、彼の今のスムーズなライディングスタイルが、いずれは完成度の高くなるチームの800ccマシンと、無理をせずとも相性が良くなるとの結論に達した様子だ。
「カタールではバイクについてたくさん学ぶ事はできましたが、スタートはあまりうまくいきませんでした。ヘレスではスタートが重要になりますから、今週末は何点か調整を進めておきたいと思います。」と中野選手。
「カタールでは特に大きな問題は発生していません。バイクは安定していますし、どの部分を走っていても好感触が得られています。ただ、もう少しパッケージの優位性を活かして、さらに上を狙いたいところです。」
「みんなが自分の事をクラッシックな250ccの乗り方だって言うんですよ。ライディングがなめらかだって事らしいんですが、これが今後のチームの進歩と合わせて800ccバイクにもうまく合うといいんですけどね。」
「以前はライディング・スタイルを変えようと努力して、より攻撃的なブレーキングに挑戦しましたが、それで転んじゃったりもしたので、今は自分の乗り方を信じるようにしています!フロントにはもっと接地感が欲しいとも思いますが、タイヤを持たせるにはなめらかな走りも必要ですからね。」
「ヘレスはとてもテクニカルですから好きなサーキットです。過去2年間は予選でもいいポジションを確保できたので、今回もいい結果が残したいです。ヘレスはいつ来ても特別な感じのする場所ですよ。走る側にも観る側にも最高のサーキットだと思います。」
「多くのファンの前で走れるのは楽しいし、それに今回は父が日本から来てくれるのでそれもすごく楽しみですね!両親揃ってレースを観戦しにヨーロッパへ来た事はありますが、ヘレスは今回が初めてですし、前から父にはスペインGPの特別な雰囲気をヘレスで楽しんでもらいたいと思っていたんです。父もきっと気に入る筈ですよ!」
■ベルナルデッレ監督「カワサキ時代の癖が原因」
チームの技術監督であるジュリオ・ベルナルデッレは、中野選手のスタートがカタールでうまくいかなかった理由に、カワサキ時代のマシンで身についた癖があると述べている。
「カタールのデータを調べた結果、シンヤが自信を持ってコーナーに飛び込めていない事が分かりましたので、この課題を解消できるように、ヘレスでは金曜日の午前中からフロントタイヤに今までとは違うセッティングを試してみて、その効果を確認したいと思います。」とベルナルデッレ監督。
「5気筒だったRC211Vと、4気筒になったRC212Vとの最も大きな違いは、加重がフロントにかかりやすくなった事です。今回はこの点も改善できるように、マシンのジオメトリ(構成パーツの配置など)にも調整を加える予定です。」
「ベースセッティングそのものは先月のIRTAテストの時からいい状態ですから、今回は金曜日からシンヤが速く走れるといいですね。」
「レースのスタートの時に、シンヤにはカワサキ時代の癖が出る事がわかっています。冬季テストを通して800ccマシンに搭載された新しい電子制御スターティング・システムの調整を行ってきましたので、今回はそれにも進展が得られる事を期待しています。」
「ヘレスはカタールとは違った特性のサーキットです。冬季テストの結果はカタールよりもずっと良かったので、ここではいい結果が残せると思いますよ。」
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