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2007年3月1日
1週間後の3月8日にシーズン開幕を控え、MotoGP250ccクラスの最後のIRTAテストが、シーズン第1戦の舞台となるカタールのロサイル国際サーキットにおいて2日間の日程で行われている(写真はアルバロ・バウティスタの走行)。
テスト1日目となった2月28日は終日好天に恵まれ、時折強い風はあったものの走行に大きな影響はなく、前回のヘレス最終日が雨天となりフラストレーションがたまっていた各チームの250ccライダーたちは、そのうっぷんを晴らすかのように朝の10時から日が沈んで視界が悪くなるまでの長時間、精力的に走行テストを繰り返したようだ。
■250ccカタールIRTAテスト初日の走行結果
以下に、カタールで行われたIRTAテスト初日の主要250ccライダーの走行結果を示す。この日の気温は28度であり、マシンの各パーツやライダーたちにとっても走行テストには最適な条件だった。
1) アルバロ・バウティスタ SPA マステル-MVA・アスパル アプリリア 2分00秒620
2) アレックス・デ・アンジェリス RSM マステル-MVA・アスパル アプリリア 2分01秒289
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フォルツナ・アプリリア アプリリア 2分01秒529
4) アンドレア・ドビツィオーゾ ITA ヒューマンゲスト・レーシング・チーム ホンダ 2分01秒616
5) ロベルト・ロカテリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ 2分02秒051
6) エクトル・バルベラ SPA チーム・トース・アプリリア アプリリア 2分02秒290
7) ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング アプリリア 2分02秒360
8) ミカ・カリオ FIN レッドブル・KTM・GP250 KTM 2分02秒547
9) トーマス・ルティ SWI エミー・カフェラテ アプリリア 2分02秒935
10) 青山博一 JPN レッドブル・KTM・GP250 KTM 2分02秒964
11) 青山周平 JPN レプソル・ホンダ・250cc ホンダ 2分03秒425
12) マルコ・シモンチェリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ 2分03秒430
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19) 高橋裕紀 JPN ヒューマンゲスト・レーシング・チーム ホンダ 2分04秒907
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23) 関口太郎 JPN カンペテーラ・レーシング アプリリア 2分05秒8
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■良好な路面コンディションの影響により好タイムが連発
今回は走行条件が昨年までのレースウイーク中と比較して良好だった事もあり、この日はカタールにおけるサーキットレコードやベストラップを大幅に上回る好タイムが記録されている。
この日トップの昨年度の125ccクラス年間チャンピオンであるマステルMVAアスパル所属のアルバロ・バウティスタは、今期からチームメイトとなるアレックス・デ・アンジェリス(写真上)が2004年に記録したレース中のファーステストラップである2分3秒015を約2.4秒、2005年にエクトル・バルベラが記録したレースウイーク中のベストラップである2分1秒748を1秒以上も上回る2分00秒620を記録した。また、バウティスタ以外にも、トップから4番手までが昨年のベストラップを上回っている。
■バウティスタ「速くて驚いた!」
イタリアのロードレースサイトであるmotograndprix.itによれば、トップタイムを記録したバウティスタは、この日の午前中にはマシンの調整に集中して色々なセッティングを試し、午後にタイムアタックを行ったようだが、その時に記録した今回の好タイムについては「とにかく驚いた!」と走行後にコメントしたようだ。
■ホンダ主要2チームにおける初日のテスト状況
また、今年のホンダの主要チームであるヒューマンゲスト・レーシング・チームとレプソル・ホンダ・チームの2チームは、前回のヘレスの最終日にはではできなかった2007年仕様のホンダRS250RWのパーツテストと、カタールでの開幕戦に向けてのセッティング探しをこの日に行っている。
■1日目の結果に好感触を示すヒューマンゲスト勢
ヒューマンゲストに所属する昨年度ランキング2位のアンドレア・ドヴィツィオーゾと、そのチームメイトであり、昨シーズンの最終戦で右足を4箇所骨折した影響でこの日まではタイムアタックを控えめにしてきた高橋裕紀選手は、揃って新マシンのカタール開幕戦に向けてのセッティングに好感触が得られた様子だ。
■ドヴィツィオーゾ「開幕で使えるセッティング探しに集中」
ヒューマンゲストのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、初日は開幕戦に使えそうなセッティングを何種類か試し、好感触を得たという。
「来週のレースに使えるセッティングを見つけたいので、今日は異なるセッティングを何種類か試しました。」と、初日4番手のドヴィツィオーゾ。
「今回は運が悪く、その調整作業とエンジンに問題が生じてしまい時間をロスしましたが、最終的にそれは解決できていいタイムを記録する事ができました。でも、改善作業は今後も続けるつもりです。」
「明日はタイムをあげる事に集中して作業を進めます。それとレース・シミュレーションも行います。」
■高橋選手「明日からは普通に走る」
また、ドヴィツィオーゾのチームメイトの高橋裕紀選手は、昨シーズンの最後に負った怪我の具合がだいぶ良くなったため、翌日の2日目にはいいタイムが狙えるように走りたいとコメントしている。
「足の調子はだいぶ良くなりましたから、明日は普通のスタイルで走りたいと思います。いいラップタイムが出したいですからね。」と、初日19番手の高橋選手。
「今朝は去年のセッティングで走り、それから午後には2007年仕様を試しましたがすごい好感触でした。特にフロントまわりがこのコースではとても安定します。」
「フレームにも少し調整を加えましたがいい感じです。ただ、そのセッティングでは1周しただけで今日のセッションが終わってしまったので、明日の朝はその作業から再開するつもりです。」
■レプソルの青山周平選手は苦手のカタールに苦戦
レプソル・ホンダに所属して今年2年目のGPフル参戦となる青山周平選手は、昨年から苦手意識を見せているカタールの1日目は、あまり調子を上げる事ができずにセッティングの方向性に悩んでいる。
■周平選手「セッティングの方向性に悩んでいる」
好感触を示すヒューマンゲスト・ホンダ勢とは異なり、レプソル・ホンダの青山周平選手はセッティングの方向性を見失い、若干苦しんでいる様子だ。この日はサスペンションを調整したが、あまり好感触が得られていないと周平選手は語る。
「まだいい感触が得られていません。」と、初日11番手の周平選手。
「なんだかバイクと自分が違う方向性にあるような感じがして、うまく適応できていないんです。」
「タイヤとサスペンションのいくつかに問題が発生しています。いいグリップが得られず、いいペースにも乗れていません。今日はサスペンションの作業に集中しましたが、今の段階ではあまりいい感触とは言えません。」
「ここはあまり自分の好きなサーキットじゃありませんが、最終的にはいい感触を何とかつかんでおきたいですね。今は作業の方向性に悩んでいるような状況です。」
■フリアン・シモンは開幕に向けて療養中
なお、今期からレプソル・ホンダに加わり、ヘレスでのIRTAテスト初日の2月19日の午後に転倒して左肩を脱臼したフリアン・シモンは、現在も怪我の療養中であり今回のカタールでのIRTAテストには参加していない。
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