250ccカタルーニャ合同テスト、高橋選手がテストに早期復帰 ２００７年２月１２日 前回マレーシアで行われたMotoGPクラスのメーカー合同テスト最終日の翌日となる２月８日からの２日間、小排気量クラス(125cc,250cc)のメーカー合同テストも、スペインのモントメロ・サーキット（カタルーニャ）で行われている。このテストには、2006年シーズン最終戦に大怪我を負い、来週のIRTAテストからの復帰を目標としていたヒューマンゲスト・ホンダチームの高橋裕紀選手も参加しており、その良好な回復状況をアピールしたようだ。 ■高橋選手は予定より10日早い復帰 高橋選手は、2006シーズンの最終戦となったバレンシアでのレースウイーク初日、午前のフリー・プラクティスで高速走行中に転倒して大腿骨を含む右足の４箇所を骨折するという大怪我を負った。事故直後に現地で手術を受けた高橋選手は、その後は年末まで日本に戻らず、イタリアに移動してクリニカ・モバイルのスタッフの経過観察を受けながら、2月19日から始まる250ccクラスのIRTAテスト（公式プレシーズンテスト）への参加を目標として、酸素療法と厳しいリハビリメニューをこなしてきた。 ■ヒューマンゲスト勢が久しぶりに２名揃ってのテスト参加 高橋選手が事故後にサーキットでライディングを見せたのは今回の合同テストが初めてであり、当初の予定より約10日早い現場復帰だ。また、ヒューマンゲスト250ccチームのレギュラー・ライダーであるアンドレア・ドヴィツィオーゾと高橋選手が２名揃ってサーキットに姿を現したのはこの日で３ヶ月ぶりとなる。 ドヴィツィオーゾと高橋選手は、ホンダがこの日の為に準備した2007年仕様の新型バイクにまたがり、昨年よりもバランスの良くなったホンダRS250RWに好感触を示している様子だ。年末に新型パーツを試した時にはいくつか課題を口にしたドヴィツィオーゾも、今回のテストで使用した新型シャシーの改善状況には満足しているという。 ■レプソルホンダ、青山周平選手は新しいバイクに好感触 また、今回のテストには、今年でGPフル参戦２年目となる青山周平選手も参加している。周平選手の所属するレプソル・ホンダチームも、ヒューマンゲストチームと同じくホンダの2007年仕様のRS250RWを今回テストしており、セッティングの微調整を色々試しながら、できる限り多くの周回数を重ねる事に重点を置いたようだ。 周平選手は今回記録した総合４番手のタイムには完全に満足はしていないものの、新しいバイクには好感触が得られたという。 ■250ccカタルーニャ合同テスト結果 以下に、高橋選手の2007年シーズンに向けての初テストとなったカタルーニャ合同テスト参加ライダーの走行結果を総合タイム順に示す。 1) ホルヘ・ロレンソ　SPA　フォルツナ・アプリリア　アプリリア　1分46秒9 2) エクトル・バルベラ　SPA　チーム・トース　アプリリア　1分47秒2 3) フリアン・シモン　SPA　レプソル・ホンダ　ホンダ　1分47秒8 4) 青山周平　JPN　レプソル・ホンダ　ホンダ　1分47秒8 5) アレックス・デ・アンジェリス　RSM　マステル-MVA・アスパル　アプリリア　1分47秒9 6) アンドレア・ドビツィオーゾ ITA　ヒューマンゲスト・レーシング・チーム　ホンダ　1分48秒1 7) アルバロ・バウティスタ　SPA　マステル-MVA・アスパル　アプリリア　1分48秒2 8) ロベルト・ロカテリ　ITA　スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ　ジレラ　1分48秒3 9) アレイックス・エスパルガロ　SPA　ブルセンス・アプリリア　アプリリア　1分48秒4 10) マルコ・シモンチェリITA　スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ　ジレラ　1分48秒8 11) アレックス・デボン　SPA　アプリリア・レーシング　アプリリア　1分49秒4 12) アレックス・バルドリーニ 　ITA　キーファー・ボス・レーシング　アプリリア　1分49秒3 13) ディルク・ハイドルフ　GER　キーファー・ボス・レーシング　アプリリア　1分50秒8 14) ラタパー・ウィライロー　THA　タイ・ホンダ・PTT-SAG　ホンダ　1分51秒0 15) 高橋裕紀　JPN　ヒューマンゲスト・レーシング・チーム　ホンダ　1分51秒1 16) ユージェーヌ・ラバティ　GBR　ホンダ・LCR　ホンダ　1分54秒0 ■高橋選手「想像以上に楽に走れた」 今回のテストは午後から２日目の午前中にかけて雨が降るという悪天候に見舞われたが、高橋裕紀選手は合計38ラップを周回している。最終日に記録した1分51秒1というタイムにも満足している様子だ。 まだ右足の状態が完全ではないという高橋選手は、ブレーキペダルの操作には苦しんだが予想以上に楽に走れたとコメントしており、今後のテストに向けての自信を示している。 「本当に嬉しいですね。」と高橋選手。 「まだ右足の感覚が完全に戻ってないので、リアのブレーキを操作するのが難しいです。だからライディング・スタイルを今は変えていますが、復帰したばかりの状態でこの走りができて、今回のタイムが出せた事は自分でも信じられません。」 「思っていたよりは楽に乗れたので、自信がつきました。」 ■ドヴィツィオーゾ「今回のバイクはだいぶ良くなった」 昨年末のヘレスでのホンダ単独テストでは、新しくなったシャシーでのコーナー中間付近でのライン取りの難しさを訴えていたヒューマンゲスト・ホンダチームのアンドレア・ドヴィツィオーゾだが、今回のカタルーニャにHRCが持ち込んだ新型シャシーについてはその点も改善されており、概ね満足といった様子だ。 テスト最終日に1分48秒1を記録したドヴィツィオーゾは、今回はタイムをあまり意識せずに、主に新型シャシーのセッティングに時間を費やしたと語っている。 「タイムはそれほどよくありませんが、セッティングに関して今回のバイクはだいぶ良くなった感じがします。」とドヴィツィオーゾ。 「去年抱えていたような問題がなくなり、コーナーを攻める時にいいラインが狙い易くなったので満足しています。また、今回はタイムをあまり重要視せずにセッティングの改善に集中しました。」 「昨日（初日）は午後からサーキットを使えなくなったので、125ccと250ccクラスの全員のライダーがあまりいいタイムを出していないんです。来週の月曜日と火曜日にはテストを再開しなきゃいけませんので、まだやるべき事は多いですよ。」 ■周平選手「速くはないけど悪くもない」 カタルーニャの悪天候により走行時間が十分ではなかった様子の青山周平選手だが、レプソル・ホンダチームに提供された新型マシンには既に良い印象を持っており、このテストでは主に新しいシャシーに合うサスペンションのセッティングを探ったようだ。 「今回もまた悪天候でした。」と周平選手。 「でもバイクの印象はいい感じでした。タイムは速いとは言えませんが、それほど悪くもないですね。シャシーが新しくなってマシンの挙動が以前と変わったので、今回はサスペンションのセッティングに集中しています。」 タイトル奪還を狙うホンダ250cc陣営