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タイトル奪還を狙うホンダ250cc陣営
インテリマーク編集部
2006年12月7日

2006年最後のMotoGP合同テストがスペインのヘレス・サーキットで行われた11月28日から30日までの3日間、最高峰クラスのライダーたちに混ざり、ホンダの250ccクラスの2007年度レギュラー・ライダーである青山周平選手フリアン・シモンアンドレア・ドヴィツィオーゾの3名も、同じくテストに参加していた。
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ここでは、ヒューマンゲスト・レーシングチームの高橋裕紀選手の怪我の回復状況を含め、今シーズンの動向を振り返りながら、2007年シーズンに向けてのホンダRS250RWの開発テストの状況をお伝えしたい。

■2007年に向けてマシン開発を進めるホンダ250cc勢

年末最後のテストに参加していたホンダの250ccチームは、2006年シーズン中はアプリリア勢にエンジンパワーの差を見せつけられ、2007年に向けてタイトル奪還を狙うレプソル・ホンダヒューマンゲスト・レーシングの2チームだ。

各ホンダ・ライダーは、ホンダおよびHRCが2007年仕様の2ストローク250ccマシンを、アプリリアのエンジン・パワーに匹敵する性能に改善する事を期待している。今回のテストでは、ライダーたちはタイムアタックもそこそこに、2007年仕様のホンダRS250RWのシャシーやエンジンを真剣に様々な角度から検証し、冬季中のホンダのマシン開発に少しでも有益なデータを提供しようと必死の作業を繰り返している。

■グランプリコースを修得済みの2年目にかける青山周平選手

レプソル・ホンダチームからは、来期のレギュレー・ライダーとなる2名が揃ってヘレスに登場している。その1名は、2007年はグランプリ・フル参戦2年目となり、GPライダーとしての実力を発揮すべき正念場となる青山周平選手
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2006年シーズン中は、プレイステーションのゲームソフトである「MotoGP」を使って事前にコース・レイアウトの学習を行う事が多かった周平選手だが、初めて経験する海外のサーキットは日本とは路面事情が異なるなど、当然の事ながら、実際に本物のバイクで走行した経験がない事には戦略も立たない。

1年目は、初めて走行するサーキットばかりというハンデを乗り越えてのランキング8位を獲得し、マルコ・シモンチェリなど、グランプリ・サーキットに詳しいヨーロッパ出身の強豪ルーキーたちを抑え、堂々の2006年250ccクラスにおけるルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた青山周平選手は、2年目の2007年に向けてのマシン開発テストを今回のヘレスで実施している。日本のファンのみならず、彼への世界からの注目度は、2007年シーズン中はより高くなる事だろう。

■KTMからの電撃移籍と250ccへの昇格を果たしたフリアン・シモン

レプソル・ホンダから参加しているもう1名の250ccライダーは、2007年シーズンはMotoGP125ccクラスから小山知良選手と共にKTMから参戦する事が決定していたスペイン人ライダーのフリアン・シモンだ。
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レプソルはスペインの巨大オイルメーカーであり、このスポンサーの関係上、今年のカタルーニャ・グランプリを目前にして6月15日に突然の引退を発表したアルゼンチン出身のセバスチャン・ポルトの後任ライダーとなるスペイン系スターを、レプソル・ホンダ・チームはずっと模索していた。

■簡単には実現しなかったプーチとレプソルのシモンへの想い

ポルトの引退直後、レプソル・ホンダ250ccクラスのチーム監督であるアルベルト・プーチの選択肢には、スペイン人のフリアン・シモンの名がすぐに上がったと噂されているが、当時の125ccクラスのKTMでミカ・カリオのチームメイトとして好調な走りを見せていたシモンを引き抜く事は、この時には断念している。

こうして、6月24日のアッセンTTからは、2006年シーズン中のポルトの後任ライダーとして、ウルト・ホンダ・BQRから当時250ccクラスのランキング12位だったコロンビア人ライダーのマルティン・カルデナスが最終的に選ばれ、シンデレラボーイとしてその活躍に注目が集まったのは、まだ記憶に新しい。

■空回りに終わったカルデナスの意気込み

写真しかしながら、「このチャンスを最大限に活用したい」というカルデナスのコメントとは裏腹に、残りのシーズン中に力が入りすぎたように見える彼には怪我による欠場が相継ぎ、結局2007年シーズンにレプソルのシートをつなぐ事はできなかった。

2名のライダーが揃わない苦しい2006年シーズンが終わり、他の250ccチームの有力ライダーの2007年のシートが決まっていく中、青山周平選手のチームメイトの名前の公表はレプソル・ホンダチームから中々行われなかった。

アルベルト・プーチが元々ライダー候補として目をつけていたフリアン・シモンは、この時に既にKTMとの契約更新が発表されており、いずれにしても、スペイン人スターを育てたいというプーチの願いは叶わないかのようにこの時期は報じられていた。

■不可能を可能にしたKTMの深い理解
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ところが多くの予想に反して、突然レプソル・チームはフリアン・シモンとの来期契約が完了した事を先月の11月中に発表し、メディアを驚かせている。

フリアン・シモンとの来期契約を既に発表していたKTMは、この突然の契約変更に関しては深い理解を示しているようだ。レプソルから直接交渉を受けたと見られるKTM側は、レプソルの事情を組み、今回のシモンの移籍を快く承諾している。

晴れて名門レプソルの250ccチームで、尊敬するアルベルト・プーチの下、2007年シーズンを戦う事になったフリアン・シモンは、今回のテストでは2007年仕様のバイクを試す他の2名のホンダライダーに加わり、1名のみ2006年仕様のレプソル・ホンダRS250RWでタイムアタックを繰り返したようだ。

■誰よりもホンダの2ストロークマシンの改善を望むドヴィツィオーゾ
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レプソル・ホンダと同じく、今回のヘレスの合同テストに参加したヒューマンゲスト・レーシング・チームのライダーは、2006年シーズンのランキング2位を獲得したアンドレア・ドヴィツィオーゾの1名のみだ。ドヴィツィオーゾは2006年の開幕戦から8回の連続表彰台を獲得しており、マックス・ビアッジが250cc時代に樹立した開幕からの連続表彰台記録を更新している。
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安定して表彰台を獲得し、2006年度チャンピオンとなったアプリリアのホルヘ・ロレンソを最終戦まで神経質な状態に追いやる程のテクニックと存在感を今シーズンはアピールする事に成功したイタリア人ライダーのドヴィツィオーゾだが、今年の戦いは彼にとって決して楽なものではなかった。

■過激なまでのレイトブレーキングと、ストレートでの屈辱

写真彼は開幕戦で3位を獲得した時から既に、2006年仕様のホンダのエンジンパワーがアプリリアと比較して不足している事を訴え続けていた。実際にドヴィツィオーゾは、コーナリングでは明らかにアプリリア勢を圧倒する速さを見せつけたものの、ホームストレートでは決まってホルヘ・ロレンソを初めとするアプリリア勢に一斉に取り囲まれるというシーンを2006年シーズン中に何度も繰り返した。

マシン的にどう見ても不利な戦いとなったシーズンの前半、ドヴィツィオーゾはその安定した走りと過激だがクリーンなコーナリング・ワークで他のチームを圧倒し、ポイントリーダーの座を守っていた。後半戦では開幕2連勝のロレンソが安定した走りを心がけるようになり、ポイントリーダーに返り咲いたロレンソに最終戦でタイトルを決められたが、IRTAテスト中からロレンソを始めとするアプリリア勢の圧勝と見られた今シーズンの決着を、ホンダのライダーであるドヴィツィオーゾが最終戦まで食い下がると予想した人は少ないだろう。

■万全の体制で2007年タイトルを狙うドヴィツィオーゾ
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この2006年の厳しい戦いの甲斐があって、ドヴィツィオーゾは2007年の契約更新にあたり、HRCとホンダが250ccマシンの開発に本腰を入れる事と、所属するヒューマンゲスト・レーシング・チームがその開発に関与する事を条件として勝ち得たようだ。その公約通り、ドヴィツィオーゾは今回のヘレスのテストで2007年仕様ホンダRS250RWの初期開発作業に関わり、またHRCは、ホンダのマシンバランスの良さを世界にアピールしてくれたドヴィツィオーゾを、ワークス待遇としてサポートしているように見える。

■世界でも一目おかれるようになった高橋選手の走り

ドヴィツィオーゾのチームメイトである高橋裕紀選手も、2006年度中に世界から注目を集めた250ccライダーの1人だ。GP2年目にして初の表彰台をフランスでの優勝で飾った高橋選手は、ドイツGPでは2度目の優勝も果たし、ロレンソとドヴィツィオーゾに次ぐランキング3位を争っていた。
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■シーズン前半の快進撃と、8耐テストでの不運

後半戦も好調な走りを続けるかのように見えた高橋選手だが、夏休み中の7月19日に参加した鈴鹿8時間耐久ロードレースの事前テスト中に左腕を骨折して夏休み明けのチェコGPを欠場し、復帰直後のレースでは左腕の痛みに冷や汗を流すなど、怪我の後は一転して苦しい後半戦となってしまったようだ。

■最終ラウンド中の大怪我により、高橋選手はテストには不参加

シーズン最後のバレンシア戦では、初日午前のフリー・プラクティスで高速走行中に転倒して大腿骨を含む右足の4箇所を骨折するというシーズン中2度目の大怪我を負う事となり、直後に手術を受けた高橋選手は、そのまま日本には戻らずイタリアのクリニカ・モバイルの拠点に移動し、つい先日までコスタ医師やスタッフの下で経過観察を受けていた。この為、高橋選手は今回のヘレスでの合同テストには参加できていない。

イタリアに移動した最初の1週間、高橋選手は酸素治療を受けている。酸素治療とは、体内に多くの酸素を取り入れ、怪我で損傷した組織の回復を促進する治療法を言う。

■コスタ医師も喜ぶ高橋選手の回復状況、復帰目標はIRTAテスト

コスタ医師は、高橋選手の手術箇所をレントゲンで検査しており、その経過状況に大変満足した彼は、高橋選手のスイミング・プールでのリハビリを許可している。こうしてイタリアでの2週目より、高橋選手はアンドレア・ドヴィツィオーゾの個人トレーナーの協力を得て、プールでのトレーニングを開始したという。

術後の経過が良好な高橋選手は、12月中頃には日本に帰国し、クリスマス・シーズンを日本で過ごした後の1月初旬には再びイタリアに戻ってリハビリを再開するという。高橋選手の現在の目標は、2月後半のIRTAテストからの復帰だ。

■テスト初日は豪雨

前置きが長くなったが、以下に3日間の3名のライダーのヘレス合同テストにおける開発作業の状況をお伝えする。
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初日の11月28日は午後が豪雨となった事から、あまり多くの周回を走り込む事ができなかった各ライダーの走行タイムは公表されていないが、この日にフリアン・シモンは初めてレプソルマークの入ったライディング・スーツに身を固め、少しの間だけドライ路面が保たれた午前中にホンダのRS250RWでのデビュー走行を飾っている。

■シモン「エンジンが安定していて扱いやすい」

2007年仕様のシャシーを試している他の2名とは異なり、2006年型のマシンで初の250ccでの走行を終えたフリアン・シモンは、レプソル・ホンダのライダーとして自分が走っている事に感激しながら、以下の通りコメントした。

「今日天気が悪くなったのはひどく残念ですけど、初めての250ccクラスですし、自分にとって新しいマシンを経験できたのは嬉しかったです。」とシモン
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「このバイクはすごく気に入りました。乗りやすいし、操作性がすごくいいんです。もっと難しいかと乗る前には思っていました。まだ第一印象にすぎないのは事実ですが、感触は本当に悪くないですよ。」

「一番感動したのはエンジンの出力です。もの凄く安定していて扱いやすいです。明日はいい天気になって欲しいですね。」

尚、チームメイトであるレプソル・ホンダの青山周平選手は「天気が悪くあまり走り込めなかったので、新しいマシン(2007年仕様)についてはまだあまりコメントできません。」と述べるに留めており、ヒューマンゲストのアンドレア・ドヴィツィオーゾも、特にこの日はコメントを発表しなかった。

■テスト2日目、実質的な本格テストの始動

朝は路面が濡れていて使えなかったものの、午後までには完全ドライとなった2日目のヘレスで、3名のトップライダーはやっとの本格的な走行テストを行う事ができたようだ。
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青山周平選手とアンドレア・ドヴィツィオーゾの2名は、タイムアタックをする事なく黙々と2007年型シャシーをはじめとする様々なパーツを試しながら走行している。

初のホンダマシンと250ccエンジンでの本格的なライディングを体験したフリアン・シモンは、周平選手やドヴィツィオーゾが2006年に戦ったマシンをそのまま使用し、その非凡な適応力を見せたようだ。

■2日目の走行結果

以下に、3名のライダーの2日目の走行結果をラップタイム順に示す。

 1) フリアン・シモン レプソル・ホンダ 1分43秒986(55周)
 2) 青山周平 レプソル・ホンダ 1分44秒977(68周)
 3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ヒューマンゲスト・ホンダ 1分45秒500(55周)


注目に値するのは、身体を250ccマシンに馴染ませる事を目的に、2006年型マシンでタイムアタックを行ったフリアン・シモンのこの日のタイムだろう。ヘレスで加藤大治郎選手がNSR250で2001年に記録したサーキット・レコードである1分44秒444を、すでに彼は初日に上回っている。ちなみに、予選でのベストラップ・レコードは、2005年にダニ・ペドロサが記録した1分42秒868だ。

逆の見方をすれば、他の2名がまだ本格的にタイムアタックを行っていない事もあるが、2007年仕様のホンダのマシンがまだ開発初期の発展段階であり、未知数の多いものである事もうかがえるだろう。新型パーツを積極的に試した周平選手とドヴィツィオーゾの2名は、この日は新型シャシーを使ったセッティングの調整に集中している。

■シモン「このタイムは悪くない」

2日目に好タイムを記録した2007年レプソル・ホンダのルーキーとなるフリアン・シモンは、以下の通りコメントしている。

「アルベルト・プーチとそのメカニックたちのチームに所属できて本当に満足です。このチームはダニ・ペドロサを3回の世界タイトルに導いたチームですからね。」とシモン
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「今までの125ccとライン取りは異なりますが、それほど難しさは感じません。今回のテストは、250ccのパワーとハンドリング、それとコーナー進入時のブレーキングに慣れる事を中心に考えて走行しています。」

「ライン取りと一緒にライディング・スタイルの変更に集中しましたが、それがかなり完成してきたので、さらに乗りやすく感じてきましたし、昨日よりもタイムは約3秒も縮まりました。まだ色々と改善していかなければいけませんが、このタイムは悪くないですよね。」

「メカニックや他の人たちが丁寧に対応してくれて嬉しかったです。それにアルベルト(プーチ)が色々教えてくれるんです。あと1日ありますから、この環境を最大限に活用したいです。」

■周平選手「2007年マシンの開発の道のりは長い」

2日目は新型シャシーを使用してのポジションなど、基本セッティングに集中した青山周平選手は、まだ2006年仕様のマシンの完成度にはほど遠いが、テスト内容そのものには満足しているとコメントした。

「今日の内容について喋るのはちょっと難しいですね。ただ、昨日よりはいい結果だと思いますし、70周を走る事ができました。」と周平選手
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「今回はマシンの基本セッティングを見つける事に集中しました。まだ古いバイクの方が優れている点が何点かありますが、新しいマシンも進歩しています。まだこれは1回目のテストですから、いずれはもっと良くなると思います。」

「新しいシャシーとタイヤを何本かテストしましたが、結果には満足しています。明日もいい天気になって、このまま作業が続けられるといいですね。」

■ドヴィツィオーゾ「新型エンジンに好印象」

3名のうち、最も新型エンジンに興味を示すアンドレア・ドヴィツィオーゾは、2日目の走行を終えて、2006年と比較してのエンジンの感触に、好印象を示している。
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「新しいシャシーで色々なセッティングを試せて良かったです。明らかに2006年よりも進化しています。もちろんまだ改善点は多くありますが、それは新型マシンを試す時には普通の事ですからね。」とドヴィツィオーゾ

「エンジンが良くなっていますし、今後はさらに良くなるでしょうから、今日のテストは気分も良かったです。」

■テスト3日目、ラップタイムの総合トップはフリアン・シモン

終日を通して後天に恵まれたヘレスの3日目、この日も2日目と同様に、青山周平選手とアンドレア・ドヴィツィオーゾは、新型RS250RWのシャシーのセッティングに時間を費やしたようだ。フリアン・シモンもこの日は新しいパーツを試したものの、基本的には2006年型のマシンでの走行を繰り返し、好タイムを記録している。
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尚、3名のライダーのうち、新型エンジンの調整作業にも集中したのは、この日のアンドレア・ドヴィツィオーゾのみだったようだ。

■3日目の走行結果

以下に、3名のライダーの3日目の走行結果をラップタイム順に示す。

 1) フリアン・シモン レプソル・ホンダ 1分44秒153(68周)
 2) 青山周平 レプソル・ホンダ 1分44秒502(45周)
 3) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ヒューマンゲスト・ホンダ 1分44秒723(75周)

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フリアン・シモンは3日目には前日に記録した1分43秒台の好タイムを上回る事はなかったが、この日の3名のうちのトップタイムもシモンだった。

■それぞれが抱える新型シャシー開発に向けての課題

最終日に新型シャシーのセッティングを改善する事ができた周平選手は、コーナリングスピートと安定性の向上を実現できたようだ。また、彼の新チームメイトのフリアン・シモンはサスペンションとシャシーのセッティングを相互に行い、彼がかつて経験した事のなかったホンダのパワフルな250ccマシンの特性を理解する事に時間を費やしている。

この日に最も忙しかったと見られるのはドヴィツィオーゾだ。彼はテスト終了時刻の午後6時ぎりぎりまで今年最後の走行を行い、新エンジンと新シャシーの組み合わせを心ゆくまで試したようだ。
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新型シャシーのセッティングを3日間を通して追求した青山周平選手とアンドレア・ドヴィツィオーゾは、それぞれに異なる成果を得ている。周平選手はコーナー中央でよりスピードが得られる結果となり、逆にドヴィツィオーゾは、コーナーの入り口と出口における性能には満足するものの、中央付近での挙動にはまだ課題を感じている様子だ。

■シモン「体力を鍛えたい」

写真初の250ccマシンでの3日間の経験を好タイムで終えたフリアン・シモンは、125ccに比較して250ccマシンは体力が必要だと痛感し、冬休み中は体力トレーニングをして来年に備えたいとコメントしている。

「満足です。1回目の経験はとても貴重なものになりました。」とシモン

「身体を新しいマシンに慣らしたいので、基本的に今回はできるだけ多くの距離を走り込む事に集中しました。」

「一番感じたのは、250ccマシンは125ccに比べてすごく体力がいる事ですね。だからこの3日間はすごく疲れました。」

「これからやっと休みに入りますから、体力を鍛えて2007年シーズンに備えようと思います。」

■周平選手「もう少しタイムが出したかった」

3日間のテストを通して、マシン開発の方向性は正しいと実感した青山周平選手だが、自身の今回のタイムにはあまり納得がいかないようだ。もう少しタイムが出せる事を期待していたと周平選手は語る。

写真「今日はあんまり満足できていません。それほどいいタイムを出す事ができませんでしたが、全然理由が分からないんです。」と周平選手

「新型シャシーは2006年型よりも優れていると思います。特にコーナー中央部での性能がずっと高く感じられました。コーナーの進入に関しても以前よりは少しいい感じですので、開発の方向性は正しいと思います。」

「サーキットに戻って好きなだけ走り込めるだけでも有り難い事です。今回のテストはいい結果とも悪い結果とも言えないですね。ただ、もう少し速いタイムを期待していたのは事実です。」

「次回のテストではエンジンのパーツを試すつもりです。」

■ドヴィツィオーゾ「エンジンの高回転域が使える」

最終日に走行時間を使い切って新型シャシーとエンジンのテストを終えたアンドレア・ドヴィツィオーゾは、シャシーについてはまだ多くの課題が残るとしながらも、ホンダが持ち込んだ新型エンジン・パーツには期待を示すコメントを残している。

3日間のテストを振り返り、やはりヘレスはあまり得意じゃないと、ドヴィツィオーゾは語る。
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「まず最初に言えるのは、ヘレスはあんまり自分と相性が良くない事です。今回もかなり難しく感じました。」とドヴィツィオーゾ

「いずれにしても、この段階では好感触を持ちました。まだ多くのやるべき作業が残っていますけどね。」

「新しいシャシーはコーナーの進入と出口でいくつかの点で優れています。ただ、コーナー脱出時にフロントまわりがちょっと加重が足りない気はしました。コーナー中央付近でのスピードはもっと改善しないとダメですが、これはそのうちできると思います。青山選手はコーナー中央でいい走りをしていましたしね。」

「まだこのシャシーは今まで使っていたものと比べてあまり快適とは言えませんので、これから新しいバイクの感触を探り始めるという感じです。」

「ここでテストしたいくつかのエンジンパーツは気に入りました。パワーに関しては今までのものとそう変わりませんが、有効な回転域が大幅に増えています。これなら、高回転時でも壁に行き当たる事はありませんし、新しいクイック・ギア・シフターとの組み合わせで、よりスムーズに走れるようになりました。」

「今回ここで集めた重要なデータは、これから日本のエンジニアに分析されて、2007年のシャシー開発に役立ってくれる筈です。」

■高橋選手「足に力が入れられるようになった」

写真最後に、イタリアで年内のリハビリを終えた高橋裕紀選手の、帰国前のコメントを以下に紹介する。12月4日にクリニカ・モバイルのコスタ医師の下で受けた医療検査の結果、高橋選手の右足の経過は順調のようだ。

「イタリアについてからリハビリの集中プログラムを行っています。」と高橋選手

「はじめはラベンナ病院に1日に2回通って酸素治療を受け、その後はスイミング・プールでトレーニングを開始しました。最初は足を地面につけるのも大変でしたが、水の中で訓練するようになってからは、足に力を入れる事ができるようになりました。」

「先生は前回の検査の結果がとても良かったと言ってくれましたから、あと数日で水の中以外でも訓練を開始し、12月の中頃には日本に帰る事ができると思います。」

「コスタ先生とドヴィツィオーゾの物理療法士、それに毎日気遣ってくれるチームの全てのメンバーに感謝しています。」


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