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2008年6月27日
ダッチTTの伝統に従い決勝レースが土曜日となるMotoGP第9戦目のオランダGPが、木曜日の6月26日にグランプリ初日のセッションを迎えている。ここでは、心配されたダッチ・ウェザーに悩まされる事なく、青空の下で良好なドライ・コンディションに終日恵まれたMotoGPクラスの初日のフリー・プラクティスの結果と概況、各チームの1日目の作業を終えての状況やライダーコメントなどを紹介する。
■初日は良好なドライ・コンディション、2日目以降は雨の恐れ
2日目以降はオランダ独特の不安定な天候に悩まされる可能性がある今年のオランダGPだが、この日のグランプリ初日は初夏を思わせる暖かい陽射しに恵まれている。また、他のヨーロッパの一般的なサーキットと異なり、今回のアッセンはアスファルトの清掃が行き届いていた事から初日からアスファルトは完璧な状況にあり、やや風は強かったものの良好なドライ・コンディションの中で多くのライダーがいきなり昨年のラップタイムを更新している。
■レースタイヤでのトップタイムがポールポジション・レコードを突破
なお、レースタイヤで記録されたこの日の総合トップタイムは、2006年の990ccマシンが予選タイヤで記録していたポールポジション・レコードをいきなり0.3秒以上も更新しており、初日からいきなり大きくタイム差を広げられた2番手以降のライダーは、あまりの事にショックを隠しきれない様子だ。
■午後にハイサイドを喫したカピロッシは右腕を負傷しオランダ戦をキャンセル
この日のMotoGPクラスの目立った転倒者は先に報じた通りリズラ・スズキのロリス・カピロッシの1名だが、午後のセッション序盤の高速走行中にハイサイドを喫したカピロッシは右の前腕部に大きな外傷を負っており、カタルーニャGPで負った怪我からの復帰戦となる筈だった今回のオランダGP出場を途中でキャンセルする結果となってしまった(カピロッシの転倒時の状況や、レース出場断念に関する本人のコメントなどはこちらの記事を参照)。
■オランダGP初日のフリー・プラクティス総合結果
以下に、オランダGP初日の6月26日に行われたMotoGPクラスの2回のセッション(FP1,FP2)終了時点のフリー・プラクティス総合順位を示す。午前のFP1開始時の気温は20度、路面温度は29度、湿度は42%、午後のFP2開始時の気温は22度、路面温度は32度、湿度は31%だった(各セッション個別の結果表はこちらの一覧表を参照)。
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分36秒087
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分36秒819
3) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 1分36秒931
4) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分37秒012
5) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分37秒126
6) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分37秒137
7) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 1分37秒187
8) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分37秒251
9) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分37秒280
10) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分37秒282
11) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 1分37秒326
12) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分37秒357
13) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 1分37秒838
14) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分37秒960
15) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 1分38秒082
16) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分38秒413
17) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 1分38秒656
18) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 1分39秒020
アッセンのサーキットレコード(レース中)は2006年にニッキー・ヘイデンが記録した1分37秒106、ベストラップレコードは今回ケーシー・ストーナーが記録した1分36秒087。なお、今回ストーナーにより更新された旧ベストラップ(予選タイヤによるポールポジション・レコード)は、2006年にジョン・ホプキンスが記録した1分36秒411だった。
■アッセン1日目の各チームの状況とライダーコメント
この日は990cc時代の予選タイムを上回る驚異的なタイムをドゥカティーのケーシー・ストーナーがレースタイヤでいきなり記録している。以下にMotoGPクラス各チームの1日目の作業を終えての状況と全ライダーをコメントを紹介する。
■絶好調のドゥカティー、ストーナーがポール・レコードを上回る驚異的タイム
先にもい記した通り、オランダGPの初日にトップタイムを記録したのは、前回のイギリスGPでポール・トゥ・ウインを達成し、昨シーズンの圧倒的な強さを取り戻したドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。
アッセン初日にも絶好調のストーナーがこの日の午後のフリープラクティス2で記録した1分36秒087は、2006年の990ccマシンと予選タイヤで当時リズラ・スズキのジョン・ホプキンスが記録したアッセンのポールポジション・レコードである1分36秒411を0.324秒も上回っており、いきなりベストラップ・レコードをレースタイヤで更新してしまった。
■ストーナー「やっと去年よりもいいバイクだと言えるようになった」
「他のサーキットでも調子が戻ってきて本当に嬉しいですね。新しいセッティングはカタルーニャやドニントンの時と同様にここでも良好です。まるでどこにも悪い点が見つからないといった感じですし、おかげで以前と同じような走り方ができるようになりました」とストーナー。
「また硬めのコンパウンドのタイヤで走っても大丈夫になり、バイクの全体の感触もすごく良くなってきています。どんな部分を走っていても跳ねたり揺れが生じるような事がなくなりましたからね。今日は2回ほどバイクから放り出されそうな瞬間もありましたが、あれは特に心配が必要なものではありません」
「去年のレースを見てもらえば分かりますが、あの時はバイクがかなり大きく暴れて走るのに苦労していたんです。今日の走りと比べてもらえば、自分たちがどれだけ大きな進歩をここまでに得られているかを理解できると思いますよ」
「ドニントンの時を除けば、今年のマシンが去年のものより好調だと発言できるのは、実際のところ恐らく開幕戦のカタール以来でしょうね。今日はレースタイヤでポールポジション・レコードよりも速く走れましたから、これだけ何もかもがうまくいくようになるとチームも自分も本当に嬉しいですね」
■ドゥカティー・サンドウィッチ・・・メランドリは初日の最後尾に
イギリスGPに引き続いてチームメイトのストーナーが完全復調を宣言し、マシンのセッティングに非の打ち所がないとまで発言するようになる中、今期絶不調のマルコ・メランドリの苦しみ方は、シーズンが進むにつれてさらに深刻な状況に陥っている様子だ。メランドリは作業の方向性を午後に見失った事で、この日の午前中のタイムを午後のセッションでは更新する事ができなかった。
■メランドリ「何一つ進展なし」
初日の総合タイムシートにおいて、チームメイトとは全く逆のポジションである最後尾に位置する1分39秒020の18番手タイムを刻んだメランドリは「今のところあまりいい状況には見えない。午後は高速コーナーでの感触が良くなるようにフロント側の荷重配分をもう少し増やそうとしたが、そのためにリアのグリップが少し悪くなり、よけいにバイクが乗りにくくなってしまった。だから最終的にはセッティングを元に戻して2回ほど走り込んだが、マシンは午前の時の状況と同じになってしまった。いずれにしても、今の自分たちが抱えている問題の解決からはほど遠い状態にある」とコメントしており、オランダ初日は作業に何一つ進展が得られなかった事を明かしている。
■フィアット・ヤマハ、総合2番手につけても焦りの色が隠せないロッシ
総合トップのストーナーからは0.732秒と大きく差を開かれた総合2番手タイムの1分36秒819を記録したのは、昨年のオランダGPの勝利者であるフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだった。
午前中は6番手タイムだったロッシは、その後にセッティングを調整する事で大きな進歩がマシンに得られたとしており、この日は3人しか突入しなかった1分36秒台の自己ベストをその時に記録して総合2番手に浮上している。
■マシンの調子を改善しても縮まらなかったストーナーとのタイム差
午後に一度マシンの調子が良くなってからのロッシは、1分36秒台のまま安定したペースで周回を重ね、何度もアッセンのサーキット・レコードを上回るタイムを記録したが、初日からポールポジション・レコードを上回る好調さを見せたストーナーとは明らかに仕上がりの点で大きな開きがあるとロッシは考えており、2日目以降はさらなる改善に取り組む構えだ。
■ロッシ「別カテゴリーのトップタイム?」
ストーナーとの大きなタイム差が生じた初日のセッションについてロッシは、「午前中にいくつか問題を抱えていた事を考えれば午後の2番手タイムは決して悪い結果ではない。午後にいくつか調整を加えてからは調子が少しずつ上がっていった。ただ、まだコース上の何ヶ所では苦しむ傾向にあり、これがストーナーとの大きな差を生んでいる。午後のセッションの最中にはいくつか興味深い点を見つけているので、これが明日の改善につながる事を願う。いずれにしても、今日は自分が別のクラスの総合トップに立っているような気分だったね」とコメントしている。
■カタルーニャでの精神的ダメージから脱出しきれていない様子のロレンソ
また、今年からブリヂストンを使用しているロッシとは異なりミシュランを履くフィアット・ヤマハのチームメイトであるホルヘ・ロレンソは、初日はバイクの感触に自信が持てないまま2回のセッションを過ごしており、この日のタイムは総合14番手の1分37秒960だった。
■ロレンソ「問題は自分自身」
得意なアッセンでの低い順位に落胆するロレンソは「フロントに十分な自信がもてずに苦しみ、すべての区間でタイムをロスしている。バイクがもっと速いことは分かっているが、速く走る方法が見つけられない。自分がもっとバイクを信頼できるようになる事が必要だが、問題の本質は自分自身にあると思う」とコメントしており、前回のイギリスGPのフリー・プラクティスの時と同様に、カタルーニャでの転倒と怪我による精神的な影響に若干まだ苦しんでいる様子を示している。
■TECH3ヤマハ、総合3番手につけたエドワーズ
ストーナーやロッシと同じく、初日から1分36秒台に突入した残りの1名は、午後に総合3番手タイムの1分36秒931を記録したTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズだった。午前中は4番手につけていたエドワーズは、フロントまわりのセッティングを調整する事で午後には午前の自己ベストを0.5秒近く更新する事に成功している。
■エドワーズ「ストーナーのタイムさえなければ満足だった」
午後のセッティング改善のおかげでアッセンのテクニカルなコーナーを機敏に切り返せるようになったというエドワーズは「今日はケーシーさえいなかった事にすれば自分のペースには満足できたね。ここは素早い方向転換が必要なコースレイアウトなので、ドニントンの時のセッティングのままでは機敏さが少し足りなかった。最初のセッティングではコーナリング時にフロントが重く感じてあまりいい感触が得られていなかったが、フロントを再度調整し直してからは素晴らしく感触が良くなり自信を持って走れるようになった。グリップもすごくいいのでミシュランには感謝している。ここは高いグリップ性能よりも耐久性の方が重要だが、作業の方向性はいい状態にある。ただ、レース当日が雨になるんだったら明日の2日目は雨になって欲しい」とコメント。
■トーズランドはセッティングに苦戦
また、前回は母国イギリスGPでのオープニング・ラップ中に転倒し、完走はしたもののすっかり落ち込んでいたチームメイトのジェームス・トーズランドは、あれから4日後となるこの日のオランダGP初日のセッションでは総合13番手タイムの1分38秒198を午後に記録している。
■最終的にエドワーズのセッティングに近づけたトーズランド
終日を通してセッティングに苦しみ、コーナー脱出時にリアのグリップが不足してタイムを上げられずにいたトーズランドは、この日の最後に、3番手タイムを記録して好調だったエドワーズのマシンのジオメトリ・セッティングを参考にしてバイクを再調整しており、それ以後は荷重の移動がスムーズにできるようになった事で、2日目に向けての好感触を最終的には得る事ができたとしている。
「セッティングに苦労してかなりの時間をガレージで費やし、コースを学習する時間が少なくなったが、今のセッティングなら明日は上位を狙っていく自信が持てる」とトーズランド。
■レプソル・ホンダ、満足するヘイデンと納得のいかないペドロサ
この日も前回のイギリスGPと同様にニューマチック・バルブ・エンジンを搭載したRC212Vで走行したニッキー・ヘイデンが総合4番手タイムの1分37秒012、従来型のスプリング・バルブ・エンジン搭載マシンで走行したダニ・ペドロサが総合9番手タイムの1分37秒280を記録したレプソル・ホンダ勢だが、ケーシー・ストーナーのこの日の総合トップタイムを知った2名は、まだ週末を通して多くの改善作業が必要だと揃って認識している。
■ホンダワークスの2名揃ってストーナーから約1秒の大差
午前中のフリー・プラクティス1ではヘイデンがストーナーに次ぐ2番手タイム、ペドロサがチームメイトに次ぐ3番手タイムを記録して好調なオランダでの滑り出しを見せたレプソル・ホンダの2名は、午後に入りストーナーのタイムに迫ろうとうマシンの調整を続けたが、午前の自己ベストをそれぞれに更新したにもかかわらず、最終的にヘイデンはストーナーから0.925秒、ペドロサは1.193秒の大差を奪われる結果に終わっている。
■ヘイデン「初日の良好なアスファルトに好感触」
この日の作業内容にはほぼ満足できた様子のヘイデンは「やっとヨーロッパにも夏の陽射しが訪れて嬉しい。サーキット運営側はコースをきれいに保ってくれているし、今日の路面コンディションは本当に素晴らしかったので、去年よりも速く走る事ができた。全体的に見ても好調な1日だったと言えるし、午後にも少しだけタイムを改善する事ができた。あまり大きなタイムアップではなかったが、午前中よりも安定した走りができるようになっている。ただ、セッション終盤にはもう少しタイムを削りたかったが、それはできなかった。ここでもバイクの調子はすごくいいが、競争レベルがすごく高そうなのでもっと調整を行う必要がある。いくつかいい案はあるので、明日はバイクをもう少し改善できるように頑張りたい。もちろんライダー本人についてもね」とコメントしており、午後のタイムはそれほど縮まらなかったもののペース自体は悪くない事を説明した。
■ペドロサ「午後は思い通りの速さで走れていない」
ヘイデンが初日のアッセンに好感触を示す一方、この日の午後は最後までマシンから納得のいく感触を得られなかった様子のペドロサは、「午後に入ってからは午前の時とは違うセッティングをシャシーに試し、方向転換時のマシンの感触を上げる事はできたが、期待通りのレベルには到達できず、午後は思い通りの速さで走る事ができなかった。土曜日のレースに向けてタイヤも何本かテストしているが、また今回もレース当日の天候が不明のままだし、明日の天気はどうやらウェットになりそうなので、今日は2時間のセッションを最大限に活用しようと頑張った。明日の天気が許せばこのままレース用のセッティング改善に取り組み続けるつもり」とコメントしている。
■オランダ初日に2名揃って好調のサンカルロ・ホンダ・グレッシーニ勢
ここ数戦を通して、フリー・プラクティスではタイムシートの上位に食い込む事が多くなってきたサンカルロ・ホンダ・グレッシーニの2名だが、今回のアッセン初日のフリー・プラクティスでもアレックス・デ・アンジェリスが総合5番手タイムの1分37秒126、中野真矢選手がそれに次ぐ総合6番手タイムの1分37秒137を記録しており、今週末に向けての作業リズムは悪くない様子だ。
■デ・アンジェリス「ブリヂストンタイヤの耐久性に満足」
ブリヂストンと共に作業を続けてマシンから好感触が得られたとするデ・アンジェリスは「初日のフリー・プラクティスの結果にはとても満足。午前と午後の両方で5番手タイムを記録できたし、朝に作業を開始してから数周のうちに速く走れるようになった。今日はブリヂストンと一緒に多くの作業に取り組んだが、タイヤを交換せずに多くの周回を走り込んでもいいラップタイムを維持できたのでとても満足できている」とコメントしており、アッセンの戦いで重要となるタイヤの耐久性についても問題のない事をコメントしている。
■中野選手「2日目にはチャタリングを解消したい」
この日はマシンのテクニカル面での改善策を朝から探り、その効果から午後に6番手タイムを記録する事に成功した中野選手は「今日の結果は悪くなかったと思うし、6番手タイムにも満足。前回のドニントンと同様に今回のアッセンでも少しだけチャタリングの問題を抱えている。明日はバイクのバランスを改善できるよう、データを確認しながらジオメトリなどに調整を加えて問題の解決に取り組み、同時に違う種類のタイヤも試してみる」とコメントしており、イギリスから抱えるようになったチャタリングの問題解消に2日目は取り組む構えだ。
■ホンダLCR、ド・プニエは初日のセッティング状況に満足
シーズンが中盤戦に入るにつれてやや転倒回数が増え、セッティングに苦しむ傾向にあったホンダLCRのランディ・ド・プニエだが、この日は翌日の予選に向けてのシャシーセッティングに取り組む中、初日の7番手タイムとなる1分37秒187を記録しており、2回のセッションの内容には満足できた様子だ。
■ド・プニエ「午後にはタイムを大きく更新できた」
ドプニエはこの日のフリー・プラクティス中の感触について、「今日の結果には満足。両方のセッションがうまくいったし、午後には1秒近くタイムを縮めることができた。午前中はコーナー進入時のブレーキングの安定性に問題があったが、フロントフォークのセッティングを調整してタイムをコンマ何秒か縮めることができたし、テストしたリアタイヤのグリップレベルもよかった」とコメント。
■カワサキは新型エンジンパーツを投入、好感触のホプキンスと落胆のウエスト
カワサキ・レーシング・チームのオランダGP初日の総合順位とタイムは、カタルーニャGP初日のフリー・プラクティスで負った骨盤近くの背骨のひびが徐々に回復しつつあるジョン・ホプキンスが総合8番手タイムの1分37秒251、イギリスGPでは久しぶりのトップ10圏内復帰に歓喜したアンソニー・ウエストは総合16番手タイムの1分38秒413だった。
■ホプキンス「明らかにエンジンが改善されている」
今週からカワサキが投入した改良型エンジンで初日の走行を終えたホプキンスは「今日はいい初日になった。いくつかの新しい仕様のエンジンパーツをテストしたが、明らかに改善効果が得られている。セッティング自体は前回とほぼ同じだが、バイクの調子はとてもいい」とコメントし、一部が新しくなったエンジンに好感触を示している。
■ウエスト「正直がっかり・・・」
オランダにもイギリスGPの時の勢いをそのまま持ち込むつもりだったウエストは、この日の低い順位に落胆しており、「正直がっかり。ドニントンの時のセッティングならこのサーキットでもいい初日が迎えられると思っていたがダメだった。以前にはなかったチャタリングの問題が発生してコーナー出口で少し苦しんでいる。今晩メカニックがセッティングに何点か変更を加えてくれるので、明日の午前のセッションではそれを試したい」とコメント。
■リズラ・スズキ、オランダはバーミューレンの1名体制に
チームメイトのロリス・カピロッシが午後の序盤に転倒してオランダGP出場をキャンセルした事で、今週末はライダー1名体制でリズラ・スズキの看板を背負う事になったクリス・バーミューレンは、この日の午後に初日の総合7番手タイムとなる1分37秒282を記録している。
■バーミューレン「日本のファクトリーから情報を取り寄せてくれた」
午前は若干マシンに問題を抱えていたというバーミューレンは、「全体として悪くない一日だった。午前のセッションではエンジンのセッティングに少し問題があったが、メカニックが日本のファクトリーから情報を取り寄せてまでして修正してくれたので、問題を解決することができた」とコメント。
■JiRチーム・スコット、アッセンに苦手意識を持つドヴィツィオーゾ
初日の2回のフリー・プラクティスを総合11番手タイムの1分37秒326で終えたJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、アッセンは小排気量時代からあまり得意なサーキットではなかったと説明している。
■ドヴィツィオーゾ「MotoGPバイクで走ってもあまり好きになれないコース」
初日はタイム自体は悪くないとしながらも、マシンがまだ納得のいくレベルには仕上がっていないと述べるドヴィツィオーゾは、「多くのライダーが1秒以内の範囲にひしめいているし、自分と4位との差は0.3秒なので今日の結果は特に問題はない。自分たちが改善すべき部分もすでに分かっている。今日はバイクの全体的な安定性を高められるように作業を進めたが、ブレーキング時やコーナリング時に納得のいくレベルに現段階では仕上がっていない。このサーキットはMotoGPバイクに乗った今でもあまり好きになれないサーキットの一つだが、今日はまだ初日だし、明日はもっとよくなると思う」とこの日の作業内容について説明している。
■アリーチェ・チーム、好タイムのギントーリ、無傷の初日を喜ぶエリアス
アリーチェ・チームの2名の初日の総合順位とタイムは、シルバン・ギントーリが総合12番手の1分37秒357、MotoGPクラスに来てからアッセンでのグランプリ初日を初めて無傷で終える事に成功したトニ・エリアスは総合17番手の1分38秒656だった。
■ギントーリ「ドライでは今までで一番の仕上がり」
得意のウェット・セッションではなくこの日のドライでも12番手に食い込む事ができた事を喜ぶギントーリは、「ドライの初日としては一番うまくいった一日。バイクのフロントまわりに調整を加えたおかげでバイクの感触はとても快適になった。タイムも上位のライダーたちと僅差なので、明日はレースに向けての走行リズムを改善できるように集中し、予選でいい結果を狙いたいと思う」と上機嫌だ。
■エリアス「例の場所を最初はゆっくりと走ってみた」
今回初めてどこも骨折する事なくMotoGPクラスにおけるオランダGP初日の2回のセッションを走りきったトニ・エリアスは「何事もなく一日を過ごせてうれしい。今日はみんなが良く知ってる理由のためにとても注意深くセッションを開始した。コースに対する自信を取り戻すために、午前の走り始めの5周くらいは去年転んだコーナーを通過する時には本当にゆっくりと走行したが、午後のセッションからは激しく攻めて走る事ができるようになった」と述べ、昨年は大腿骨を骨折してシーズン後半に苦戦を強いられる原因となったアッセンに対する自信を取り戻した様子だ。
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