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中国GP125cc決勝、トルコの雪辱を果たすカリオ、残念なルティー
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2006年5月17日
5月14日の中国GP最終日、MotoGP125ccクラスの決勝レースが上海サーキットで行われた。レース開始時点は雲が多く、気温は21度、路面温度は23度であり、他の2クラスよりも若干低い温度状況となっている。予選初日に心配された雨は完全にあがり、ドライセッションでのレースとなった。
■予選ではアプリリアの独走に歯止めをかけたKTM
開幕戦から前回のトルコGPを通して絶好調のマステルMVAアスパルチーム(アプリリア)は、今回の予選ではセルジオ・ガデアが1日目の転倒で左手首を捻挫し、そのまま調子を上げる事なく13番グリッドとなるなど、上位列への進出にやや苦しんだようだ。
上向きだった調子を中国GPからさらに上げたのがKTMチームだ。KTMは今回1列目に2名のライダーを送り込んでいる。その他、アプリリアを抑えてデルビも上位グリッドに食い込んでおり、今後のタイトル争いへの巻き返しに注目が集まる。
■スターティング・グリッド
1列目ポールポジションは、前回のトルコで表彰台を目前にしながらマシントラブルによりリタイアを余儀なくされたKTMのミカ・カリオ。2番グリッドには好調のデルビ・レーシングのルーカス・ペセック、3番グリッドにはカリオのチームメイト、KTMのフリアン・シモンがつけた。
4番グリッドにはポイントランキングをこのまま独走に持ち込みたい開幕2勝を上げたマステルMVAアスパルのアルバロ・バウティスタ。
2列目5番グリッドにはヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシ、6番グリッドにはマステルMVAアスパルのマティア・パッシーニ、7番グリッドには開幕から全く調子の上げられない昨年のチャンピオンであるエリット・カフェラテのトーマス・ルティーが続く。ルティーのポイントランキングは現在15位と低迷している。
マラグーティの小山知良選手は雨の第一予選で25位と低迷したが、2日目ドライの最終予選では10位まで順位を挽回し3列目からのスタートとなった。
■好スタートを決めるKTMの2台
シグナルが消え、2台のKTMマシンが好スタートを決めるが、オープニングラップを制したのは6番グリッドスタートのMVAアスパルチーム、マティア・パッシーニだ。
フリアン・シモンとミカ・カリオの2台のKTMがパッシーニの後ろにつけ、さらに後ろには8番グリッドからスタートしたマルチメディア・レーシング(アプリリア)のラファエレ・デ・ロサ、ヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシが続く。
3ラップ目突入までにミカ・カリオは、フリアン・シモンと先頭を行くマティア・パッシーニを交わしてトップに立った。ランキング1位のアルバロ・バウティスタはタイヤ選択のミスからコーナリングに苦しみ、トップから3秒遅れて7番手を走行している。
その後方からディフェンディング・チャンピオンのトーマス・ルティーが追い上げてバウティスタを交わすが、ルティーはその直後にハイサイドを起こし、転倒は免れたもののバッテリーを壊してしまう。
走れなくなったトーマス・ルティーは15位まで後退。
■序盤に順位を落としたバウティスタ、ルティーは無念のリタイア
好調なスタートを切ったラファエレ・デ・ロサは序盤からペースを維持できず徐々に後退、バウティスタに抜かれて8番手にポジションを下げた。
5ラップ目のホームストレート、ヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシがフリアン・シモンを交わして3番手に順位を上げる。先頭からカリオ、パッシーニ、タルマクシ、フリアン・シモンの4台が後続からややリードを取り始める。5番手デルビのルーカス・ペセックがそれに追いすがるようにペースを上げ、さらに2秒後方には6番手まで順位を上げたアルバロ・バウティスタが迫る。
エリット・カフェラテのトーマス・ルティーは走行を断念、ピットインした。
■追い上げるバウティスタ
8ラップ目、デルビのルーカス・ペセックがヒューマンゲストのガボール・タルマクシとKTMのフリアン・シモンを交わして3番手に踊り出た。0.3秒下がった4番手のシモンとタルマクシが前を争いながらそれを追う中、追いついたバウティスタが2台の間に割り込み5番手へ。
ホームストレート入り口での先頭は変わらずミカ・カリオ、それを追う2番手のマティア・パッシーニ。
12ラップ目、後半戦に突入すると、ミカ・カリオを交わしてパッシーニがトップに立つ。2台は熾烈な攻防戦を繰り返しラップごとに順位を入れ替える。後方からはアルバロ・バウティスタがついにデルビのルーカス・ペセックも交わし3番手に浮上。
先頭の3台、KTMのミカ・カリオ、MVAアスパルのパティア・パッシーニ、同じくMVAアスパルのアルバロ・バウティスタが後続を引き離し始める。0.5秒後方にペセック、タルマクシ、フリアン・シモンが並び、その10秒後方には別の6台が第二集団を形成している。
マラグーティの小山知良選手は第二集団の中で徐々に順位を上げ、集団内2番手となる8位を走行。ストレートではトップスピードが伸びないマシンをコーナーで激しく加速させる。
■ミカ・カリオとパッシーニの先頭争いに加わるバウティスタ
15ラップから17ラップ目、先頭はマティア・パッシーニとなり、2番手と3番手のミカ・カリオとアルバロ・バウティスタが順位を入れ替えながらパッシーニを追う。すぐ後方には4番手のルーカス・ペセック、0.5秒後方ではタルマクシとフリアン・シモンが5番手を争っている。
残り2周の18ラップ目、ホームストレートでランキングトップのアルバロ・バウティスタがトップに踊り出る。交わされたパッシーニとミカ・カリオが接近してこれを追撃にかかる。
小山選手は第二集団の中で一つ順位を落とし、9番手を走行している。
ファイナルラップ、ミカカリオとパッシーニがバウティスタを交わして再びトップに踊り出た。バウティスタはミスをして二人に追いつけない。
■KTM、125cc今期初優勝
最終コーナーからミカ・カリオとパッシーニがコントロール・ラインを目がけて飛び込み、僅か0.09秒差でKTMのミカ・カリオが今期初の優勝を飾った。2位はマステルMVAアスパルのマティア・パッシーニ、その0.3秒後方にはレース序盤からの熾烈な追い上げを見せて表彰台を獲得した3位のアルバロ・バウティスタ。
さらに0.5秒程遅れて4位にヒューマンゲスト・ホンダのガボール・タルマクシ、5位にはKTMフリアン・シモン、続けて最終ラップで順位を落としたデルビのルーカス・ペセックが6位でチェッカーを受けた。
マラグーティの小山知良選手は9位で中国GPを終えている。
■各ライダーのコメント
以下にレース後の各ライダーのコメントを示す
優勝 ミカ・カリオ FIN レッドブル・KTM
今日は大変なレースでしたので本当に嬉しいです。
フロントが滑る問題に悩まされましたが、マシンのスピードが速かったお陰で優勝できました。最終ラップでとった作戦がうまくいきましたね。計画通りに走れてラッキーでした。
2位 マティア・パッシーニ ITA マステル‐MVA・アスパル(アプリリア)
また表彰台に戻れて嬉しいです。最後のペセックがちょっと気の毒でしたね。
カタールとトルコでは問題ばかりでしたでので、今回はまわりと戦えるレベルに調子を戻す事が重要でした。問題も上海では大丈夫でした。
午前のウォームアップからレースにかけて、バイクに殆ど不満はありませんし、全体を通して満足しています。タイヤ選択を少し固めにしすぎましたが、ここまでの不調から一気に表彰台に戻れたのでまずは良かったです。
3位 アルバロ・バウティスタ SPA マステル-MVA・アスパル(アプリリア)
レースでは他のプラクティスより固めのタイヤを選択したので序盤に少し苦しみましたが、全体的にいいリズムで走れたと思います。先頭のライダーたちに追いつくまでは厳しいレースでした。
最後にミスをして順位を一つ落としてしまいましたが、ポイントが追加できて良かったです。レースウイーク中の状況を思えば今回はいい結果だと思います。
4位 ガボール・タルマクシ HUN ヒューマンゲスト・ホンダ
今回はまわりと同レベルで戦えた初めてのレースでした。前回までは全くプッシュして走れませんでしたからね。
ここでは金曜日の午前から速く走れましたので、正しい方向性が得られたと思います。まだ100%の状態とは言えませんが、エンジンの戦闘力が上がったので90%くらいのセッティングにはなってきたと思います。
今日のレースは盛りだくさんの展開で面白かったですね。ただ一つ残念だったのはサスペンションのセッティングがまだ完璧じゃなくて思い通りのラインを通れなかった事です。
でもあと一歩のところまでは来ました。
5位 フリアン・シモン SPA レッドブル・KTM
先頭集団で激しいバトルをしたのに表彰台には乗れず、5位に終って今は少しがっかりしてます。
でもバトルの多い面白いレースでしたし楽しかったです。バイクの調子は凄く良くて、1位から6位のどの順位でも今日は可能だったと思います。次戦ではトップも夢じゃないでしょうね。
9位 小山知良 JPN マラグーティ・アジョ・コルセ
第二グループの中での順位争いになりました。
今日のバイクは5速と6速では他のバイクほど速くありませんでしたが、コーナー出口での加速は強力でした。結果にはとても満足してます。
DNF トーマス・ルティ SUI エリット・カフェラテ(ホンダ )
スタートにも成功して最初は先頭集団にもつけたんです。
バウティスタの後ろで見てたら、彼はタイヤのコンパウンドが固すぎたらしく所々で苦戦していました。
それでバウティスタをパスしたんですが、そこでミスしてハイサイドを起こしてしまいました。転倒はしなかったんですが、弾みでバッテリーボックスを膝で蹴って壊してしまったんです。
バッテリーはエンジンの上でショートしてしまい、もうバイクを停める以外方法がありませんでした。今日はバイクの調子が良かったので凄く残念ですが、今週は大きな進歩があったと思います。
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