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2006年4月22日
前回のフィリップアイランドでのレースから約1ヶ月半の期間を経て、SBKの第3ラウンドがスペインのバレンシアに戻ってきた。3日間の初日となる4月21日は第一予選が行われ、33人のライダーが走行している。
前日の晩は豪雨に見舞われたバレンシア・サーキットだったが、第3ラウンド初日は辛うじて雨は免れた。終日黒い雲に覆われた一日の気温は22度。朝方は路面が若干濡れており、アレックス・バロスがフロントを滑らせて転倒している。また、ドゥカティーのロレンツォ・ランチも路面が改善された後のタイムアタック中に大きな転倒を喫しているが、二人とも特に怪我はしていない。
昨年はバレンシアで3番手を走行し、初の表彰台を目前にしてクラッシュしたノリックこと阿部典史選手は最新仕様のエンジンを今回より投入している。ノリックにとってはGP時代に多く経験しているサーキットだけに、バレンシアをきっかけに過去2戦連続でスーパーポール出場を逃すという低迷状態を払拭し、残りのシーズンに弾みをつけたいところだろう。
尚、ノリックと同じヤマハ・フランスのセバスチャン・ジンバートは、同日に開催の世界耐久ル・マン24時間にギャリー・マッコイやカルロス・チェカの弟のダビデ・チェカと一緒に参戦しており、今回のバレンシアは欠場している。現時点(4/21 22:50)の情報によれば、セバスチャン・ジンバートはル・マンの予選でトップに立ったようだ。前回のミサノの公式テストでもジンバートは好タイムを刻んでいた。
初日トップの暫定ポールはアルスター・スズキのトロイ・コーサーだ。タイムは1分34秒920。ドゥカティーのトロイ・ベイリスが記録した2番手タイムの1分34秒963から僅か0.043秒リードという僅差の戦いとなった。
ちなみに、バレンシアのベストラップは2003年にニール・ホジソンが記録した1分34秒663。レースレコードは同じく2003年のホジソンの1分35秒007。スーパー・ポール・レコードは2002年にトロイ・ベイリスが記録した1分34秒813。
トップタイムのトロイ・コーサーは今回の結果にはとても満足している。過去2戦に抱えていたクラッチの問題もどうやら解決したようだ。
「バレンシアとミサノでいい仕事ができた事が良かったです。」とコーサー。
「最初の2戦で苦しんだいくつかのトラブルを解決したので、いいセッティングを見つける事ができるようになりました。今は正しい方向に進んでいると思います。」
「いつもトップに立つのは気分がいいですよ。前回の2回のテストで仕上げたのでバイクのバランスも良かったですね。明日はリアのスピンを減らせるように少し違ったセッティングを試すつもりです。」
「今日の午後みたいに少し涼しいとグリップは良くなりますが、当然タイヤの持ちは悪くなります。明日も様子をみながら色々試しますよ。」
2番手タイムはトロイ・ベイリス。予選トップタイムをベイリスが逃したのは今シーズン初めての事だが、彼はセッティングの仕上がりに自信を見せている。
「毎回トップにはなれないね。でも全体的に見て問題は特にないです。」とベイリス。
「ミサノでセッティングを少し変えたら全てうまくいくようになり、バイクは前回ここで走ったものに近い状態になりました。ただフロントまわりだけは少し感覚的に足りない感じがします。」
「1台は明日の朝も今日と全く同じセッティングでテストする予定ですが、正直タイムに不満はありませんよ。バレンシアは午後になるとグリップ感が足りなくて苦労するちょっと変わった場所ですが、一番ハードなレースタイヤを使った時には問題ないみたいです。」
「今朝は午前に多く周回を重ね、午後は2〜3のセッティングの変更に集中しました。それほど満足できるセッションではありませんでしたが、まあ問題ないレベルです。」
3番手タイムはフォギー・ペトローナスのベテラン、スティーブ・マーチンが記録した1分35秒653。3気筒マシンのPetronas FP1で果敢に攻め、初日は後続30人のライダーを破った。前回のフィリップアイランドの予選でも1列目4番グリッドにつけるなど好調なスティーブ・マーチンは以下の通りコメントした。
「少し電気系にトラブルはありましたが、今日は調子が良かったです。」とマーチン。
「今日はテストでやり残したところから始めましたが、ここではどのライダーも速いので洒落になりませんよ!そう簡単にはいきませんでした。」
「天気予報だと明日の天気はあまり良くないみたいですから、セッションの終盤はリアにソフトを装着しました。スーパーポールに辿りつけない気がしたので必死で走りましたよ。」
「でもタイムアタックだけじゃなくレース用のテストも多くできました。レースの走行距離に焦点をあてたセッティングもこれから進めます。」
4番手は前回のミサノ公式テストでも3番手の好タイムを見せつけたヤマハ・イタリアの芳賀紀行選手。タイムは1分35秒658。当日のセッション中盤の殆どの時間をトップタイムで走行していた芳賀選手はマシンの開発を進めている。2日目も以前からの課題であるタイヤの持久力改善に取り組むようだ。
「数週間前のここでのテストと比較すると、グリップレベルはだいぶ良くなりました。」と芳賀選手。
「タイムはそんなに悪くありませんが、リアの調子をもっと良くする作業を続けたいと思います。今晩はチームと話し合って明日の大きな変更の計画を練ります。ここは好きなサーキットの一つですから、レース全体をリードできるくらいのセッティングを見つけたいと思っています。」
尚、彼のチームメイトのアンドリュー・ピットはフロントまわりに抱えた問題を解消できず、初日は14位に終っている。
5番手タイムは芳賀選手の親友で知られるアルスター・スズキの加賀山就臣選手が記録した1分35秒670。カタールのレース1と2の両方を完走できなかった事を今でも悔しがる加賀山選手だが、ようやく気持ちの切り替えができそうだと語る。
「今シーズンは自分が夢見てたものとはかけ離れてますからね。」と加賀山選手。
「カタールで2回のDNFは悲惨ですよ。特にレース1は勝利寸前だったんですから!オーストラリアは好調とは言えませんでしたが、オーストラリアからスペインまでの時間は集中力とやる気を回復するのに役立ちました。」
「前回のテストはすごく重要で、バイクとエンジンの両方を改善する事ができました。今は絶好調ですので、今週はレースの主役になってレース1と2の両方を表彰台できめたいです!」
「1列目を狙ってたので今日の順位には全然満足できません。明日の予選とスーパーポールで頑張ります。今日はタイムアタック中に集団の中に入っちゃいましたが、それさえなければ間違いなく1列目でした!」
「まだこのコースには苦手な場所が2箇所ありますが、それを克服すれば表彰台は大丈夫です。」
6番手は怪我で本来の実力がここまで発揮できていないステルリガルダ・ベリック・ドゥカティのルーベン・チャウス。タイムは1分35秒721。
7番手タイムはフランスヤマハのノリックが記録した1分35秒974。海外での報道もノリックの浮上を驚きと共に歓迎している様子だ。初日のセッション中はトップにも一時期浮上している。エンジンが大幅に改善されたと喜ぶノリック。
「チームが凄い真剣に働いてくれて、今回のレース用にエンジン性能を上げてくれたんです。」とノリック。
「前回までの2ラウンドは性能があまり良くなかったので、この前の2回のテストでは6つか7つのエンジンを試したんですけど、あまり効果は得られませんでした。それで今回はもうひとつ別のエンジンを試したんですが、これが凄い進化したんです。」
「タイムアタックしたら遅いライダー何人かにひっかかっちゃって、本当に速いタイムは出せませんでした。今週は自信ありますよ。明日もこのまま改善が進めばいいですね。」
8番手タイムはトロイ・ベイリスのチームメイト、ドゥカティーのロレンツォ・ランチが記録した1分35秒999。ここまでは思うようにレース成績を残す事ができていない印象のあるランチだが、初日はタイムアタック中に転倒している。2日目に噂されている雨天を気にしすぎたようだ。
「明日は雨が降ると聞いたんで、出来る限り高い順位につけておきたくてプッシュしてたんです。」とランチ。
「8番手につけた後、凄い良いタイムが出せそうな周回に2コーナーの右カーブで転んじゃいました。バイクのフロントが浮き上がって、必死でそのままカーブを抜けようとしましたが全然ダメでした。怪我もなかったし、まあ仕方ないです。」
9番手には、先回の公式テスト中に好調だったカワサキのフォンシ・ニエト(1分36秒004)がつけ、10番手には徐々に調子を伸ばしつつあるアルスター・スズキのファビアン・フォーレ(1分36秒026)が続いた。
この他、バレンシアの公式テストでハイサイドを喫して頭を強打し、ミサノの公式テストはキャンセルしたランキング2位のジェームス・トスランドは11番手タイムの1分36秒116と、体調は戻したもののあまりタイムを伸ばせていない。
また、フィリップ・アイランドでは2レースとも表彰台を獲得したアレックス・バロスだが、過去2回の公式テストに続いて今回の予選でも10位以内に入れていない。12番手タイムとなる初日の記録は1分36秒130。
バロスは午前の転倒で時間をロスした事によりタイヤ選択に納得のいく結果を得られなかったとし、午後のバイクのセッティングも思い通りに進まなかったとコメントしている。
残る日本人ライダー、ヤマハ・フランスのルーキーである中冨伸一選手は、初日を17番手タイムの1分36秒794で終えている。初のスーパーポール出場に期待がかかる。
「予選で今までの最高順位です。ここまで進歩できて嬉しいですね。」と中冨選手。
「タイムは僅差ですから、明日は頑張ってスーパーポールを目指します。」
以下に、SBKバレンシアでの第1予選結果を示す。
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SBK バレンシア 第一予選
1. トロイ・コーサー [AUS] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分34秒920]
2. トロイ・ベイリス [AUS] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分34秒963]
3. スティーブ・マーチン [AUS] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分35秒653]
4. 芳賀紀行 [JPN] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分35秒658]
5. 加賀山就臣 [JPN] [Team Alstare Suzuki Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分35秒670]
6. ルーベン・チャウス [SPA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分35秒721]
7. 阿部典史 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分35秒974]
8. ロレンツォ・ランチ [ITA] [Ducati Xerox] [Ducati 999F06] [1分35秒999]
9. フォンシ・ニエト [SPA] [PSG-1 Kawasaki Corse 2] [Kawasaki ZX10R] [1分36秒004]
10. ファビアン・フォーレ [FRA] [Team Alstare Engineering Corona Extra] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分36秒026]
11. ジェームス・トスランド [GBR] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分36秒116]
12. アレックス・バロス [BRA] [Team Klaffi Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分36秒130]
13. レジス・ラコーニ [ITA] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分36秒161]
14. アンドリュー・ピット [AUS] [Yamaha Motor Italia] [Yamaha YZF R1] [1分36秒262]
15. クリス・ウォーカー [GBR] [PSG-1 Kawasaki Corse] [Kawasaki ZX10R] [1分36秒428]
16. ミッシェル・ファブリッツォ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分36秒658]
17. 中冨 伸一 [JPN] [Yamaha Motor France-Ipone2] [Yamaha YZF R1] [1分36秒794]
18. ロベルト・ロルフォ [ITA] [Team Ducati SC - Caracchi] [Ducati 999F05] [1分36秒848]
19. ビットリオ・イアンヌッツォ [ITA] [Celani Team Suzuki Italia] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分36秒975]
20. ジャンルカ・ナンネッリ [ITA] [D.F.X. Treme] [Honda CBR 1000RR] [1分37秒081]
21. マルコ・ボルチアーニ [ITA] [Sterilgarda - Berik] [Ducati 999F05] [1分37秒118]
22. ホセ・ダビィ・デ・ヘア [SPA] [Honda BQR] [Honda CBR 1000RR] [1分37秒157]
23. イヴァン・クレメンティ [ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分37秒308]
24. ノリーニョ・ブリグノラ [ITA] [Team Guandalini] [Ducati 999RS] [1分37秒443]
25. ジョバンニ・ブッセイ [ITA] [Winston Ten Kate Honda] [Honda CBR 1000RR] [1分37秒520]
26. ハビエル・デル・アモール [SPA] [Honda BQR] [Honda CBR 1000RR] [1分37秒665]
27. マックス・ノイキルヒナー [GER] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分37秒691]
28. セルジオ・フエルテス [SPA] [Coronas Suzuki Motorrad] [Suzuki GSXR1000 K6] [1分38秒155]
29. フランコ・バッタイニ [ITA] [Team Bertocchi Kawasaki] [Kawasaki ZX10R] [1分38秒273]
30. クレイグ・ジョーンズ [GBR] [Foggy Petronas Racing] [Petronas FP1] [1分38秒410]
31. ルーチョ・ペデルチーニ [ITA] [Team Pedercini] [Ducati 999RS] [1分38秒668]
32. ジョセップ・モンヘ [SPA] [Yamaha Factory] [Yamaha YZF R1] [1分39秒082]
33. ロレンツォ・アルフォンシ [ITA] [Yamaha Motor France-Ipone] [Yamaha YZF R1] [1分39秒117]
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