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年内最後のトップタイムはペドロサ
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インテリワン編集部
  2007年12月1日

MotoGPクラスの年内最後のテストが、スペインのヘレス・サーキットにて11月27日より3日間の日程で行われた。このテストを終えるとMotoGPはサーキットでのテスト禁止期間に突入し、長かった2007年シーズンを終えた各ライダーやチーム関係者はしばらくの休息期間を経て、冬季テストが解禁される1月22日のマレーシア、セパン・サーキットに再び姿を現す予定だ。もちろん、冬季休暇中も2008年シーズンに向けて新型マシンを開発する各メーカーのファクトリー・スタッフに休みはない。

ここでは、テスト初日の内容に引き続き、年内ヘレス冬季テストの2日目と最終日の結果と各チームの概況、ならびに同日にオーストラリアで単独テストを行っていたリズラ・スズキ・チームのコメントなどをまとめて紹介する。


■玉田選手のSBKフル参戦がほぼ決定?

2007年シーズンはダンロップTECH3ヤマハからMotoGPにフル参戦を果たしていた玉田誠選手が、2008年シーズンはカワサキからSBK(世界スーパーバイク選手権)にフル参戦する事がどうやら決定しそうだ。
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まだ公式発表はされていないが、英国のロードレース誌でありニュースサイトを運営するMCN(http://www.motorcyclenews.com)は11月29日掲載の記事の中で、玉田選手が来期はフルワークス体制となるカワサキPSG-1からレジス・ラコーニのチームメイトとしてSBKにフル参戦するとの情報を伝え、公式発表も間近に迫っているとの噂を報じている。

玉田選手は全日本スーパーバイク時代にホンダからSBKのSUGO戦に2年連続でスポット参戦を果たしており、2001年にはデビュー・ラウンドでダブル・ウイン、2002年には第2レースで優勝した記録を持ち、当時から海外からの注目度や人気は非常に高く、今回の噂が実現すれば、再び圧倒的な強さを誇ったSBKでの活躍に期待する事ができそうだ。


■ヘレス冬季テストの参加チームおよびライダーは3日間を通して同じ

今回の年末ヘレス冬季テストには、リズラ・スズキとプラマック・ダンティーン、ならびに来期の参戦体制がまだ確定していないチーム・ロバーツを除く8チーム(ドゥカティー・マルボロ、レプソル・ホンダ、フィアット・ヤマハ、カワサキ・レーシング、TECH3ヤマハ、ホンダLCR、グレッシーニ・ホンダ、JiRチーム・スコット)が参加しているが、リズラ・スズキは今回の合同テストには参加しなかった代わりに、ヘレス初日と2日目の同日となる11月27日と28日に、オーストラリアのフィリップ・アイランドにて単独テストを行っている。
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■スズキのみフィリップ・アイランドで隠密テストを実施

リズラ・スズキの公式発表によれば、ヘレスではなくフィリップ・アイランドを選んだ理由として、チームにとって現在必要なサーキットの特性を考慮したからだとしている。実際、スズキは2007年2月の冬季テストと10月のレースウイーク中のフィリップ・アイランドでは、他のサーキットよりも苦戦する傾向にあった事から、来年の冬季テストが始まる前に密かに攻略しておきたい部分があったのかもしれない。
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今回のフィリップ・アイランド単独テスト中、クリス・バーミューレンとロリス・カピロッシは2008年型プロトタイプを主に走らせており、2名合わせて2日間で合計400周、距離にして1800キロメートルを精力的に走り込んだという。チームのエンジニアは、どこのサーキットでも戦えるマシンに今後仕上げていく上で、有益な情報をこの2日間で得る事ができたとしている。

■バーミューレン「他のチームのタイムを気にせず作業に集中できた」

このテストでほとんどの新型パーツを試しつくしたというクリス・バーミューレンは、他のチームのライダーがいないので気が散る事なく開発作業に専念できたと語る。

写真「今回はかなりいいテストができたと思います。2日間を通して全てのパーツを試しつくしましたからね!」とバーミューレン。

「ここでは自分たちがどのくらい好調だったのかを他のチームと比較する事はできませんが、逆に他のライダーのタイムを気にせずに作業に集中できたのは良かったと思いますよ」

「今年の10月にここで走った時よりも今の新しいバイクの方が速い事は分かっていますが、今回のテストの目標はタイムを改善する事だけではなく、開発を進めてバイクの仕上がりをさらに高める事でした。実際多くを学んで着実に進歩を得る事ができましたので、今回の成果はフィリップ・アイランドだけではなく他のサーキットでも発揮できると思います」

「今から7週間の休みに入るのは残念です。もっと新しいバイクで作業を続けたいし、3月から新しいシーズンが始まるまでにどのくらい強くなれるか早く確認したいですからね!」

■カピロッシ「冬休みに突入してしまうのが残念」

また、2008年からはリズラ・スズキのライダーとしてMotoGPを戦うロリス・カピロッシは、この2日間でマシンの開発の方向性をつかむ事ができており、開幕までにマシンを目標レベルに仕上げる自信がついたとコメントしている。
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「自分にとってはすごくいいテストでしたね。ほぼ200周回を走り込んですごい量の作業をこなす事ができましたし、今後に向けていい方向性をつかむ事ができたと思います」とカピロッシ。

「山盛りのテストメニューを全てこなしました。まだ改善に向けていくらか作業が必要ですが、それに何が必要なのか明快な考えもありますから、目標に辿り着く自信はあります」

「新しいチームと非常に楽しく過ごしているので長い休みに突入してしまうのが残念で仕方がありませんが、1月末に向けてリフレッシュしながら準備を整えてくるつもりです。スズキでレースをするのが今から待ちきれませんよ!」


■ヘレス冬季テスト2日目の内容

一方、11月28日にスペインで冬季テスト2日目を迎えた8チーム、4名のテストライダーを含む18名のMotoGPライダーたちは、初日に引き続き晴天に恵まれたヘレス・サーキットにおいて、2008年に向けての新型タイヤテストを含む初日よりも本格的な開発作業を開始し、多くのライダーが膨大な距離を走り込んでいる。
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この日も気温は20度を前後の過ごしやすい1日となり、初日と同様に午前中は路面温度が低かった事から、リスクを避けて11時頃から走行を開始するライダーも目立った様子だ。


■怪我人の情報、ストーナーが2日目も転倒し左肩を強打

初日はケーシー・ストーナーが高速走行中に転倒するアクシデントがあったが、2日目も3名の転倒者と怪我人が出ている。

■この日は3名が転倒
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午前中にはフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ、午後にはグレッシーニ・ホンダのアレックス・デ・アンジェリスと、初日に引き続きドゥカティーのケーシー・ストーナーの3名が転倒しており、ロレンソとデ・アンジェリスは軽い転倒のため特に怪我を負わなかったが、この日のストーナーの転倒は若干深刻だった様子だ。

■ストーナーは靱帯損傷の恐れ

初日は右肩を軽く打撲した程度で済んだストーナーだが、2日目は3コーナーで左肩を強打しており、激しい痛みを訴えたストーナーはすぐにクリニカ・モバイルで治療を受け、左肩周辺を包帯で固定し、左腕はひもで吊られている状態だという。ドゥカティー・チームが発表した現地での診断内容によれば、左肩の靱帯を損傷した可能性が高いようだ。

■3日目のテストをキャンセルし、ストーナーは帰国

ストーナーは「明日の朝に具合を見るが、恐らく3日目の参加は無理」と転倒後にコメントしていたが、翌朝に痛みが消えなかったストーナーは3日目のテストをキャンセルしており、主治医の診療を受けるために朝から飛行機でオーストラリアに向かっている。

なお、ストーナーはMotoGPルーキーイヤーだった2006年の冬季テスト中にも肩の痛みを訴えており、この時には7年前にダートトラックで負った怪我がトレーニング中に悪化して肩の靱帯がロープの切れ端のようにほつれて骨にひっかかっていた事が判明し、フィリップ・アイランドでの冬季テストを初日の朝からキャンセルして手術を受けている。当時の怪我は右肩だったが、今回はその反対側の左肩だ。


■2日目の全走行結果

以下に、ヘレス冬季テスト2日目のタイムを各ライダーの自己ベスト順に示す。
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1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分39秒993(53周)
2) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒134(56周)
3) 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒251(71周)
4) アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒332(53周)
5) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分40秒650(69周)
6) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分40秒692(78周)
7) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分40秒820(77周)
8) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP8 1分40秒833(32周)
9) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分40秒838(53周)
10) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒883(49周)
11) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分40秒939(65周)
12) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分41秒278(58周)
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP8 1分41秒424(77周)
14) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒729(53周)
15) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ デスモセディチ 1分42秒188(37周)
16) 岡田忠之 JPN HRC RC212V 1分43秒143(38周)
17) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ デスモセディチ 1分43秒399(37周)
18) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチ 1分43秒869(64周)


ヘレスのサーキット・レコード(990cc)は2005年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベスト・ラップ・レコード(990cc)は2006年にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。

ちなみに2007年の800ccマシンでの記録は、レース中のファーステスト・ラップはバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒905、ポールポジション・レコードはダニ・ペドロサが記録した1分39秒402。


■2日目のトップタイムはペドロサ
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2日目の自己ベスト記録時に予選タイヤを装着していたライダーは、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、グレッシーニ・ホンダの中野真矢選手とアレックス・デ・アンジェリス、JiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾの上位5名。

■レースタイヤのトップはヘイデン
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レースタイヤのみを使用したのはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン、ホンダLCRのランディ・ド・ピュニエ、ドゥカティーのケーシー・ストーナーとマルコ・メランドリ、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソの5名。

TECH3ヤマハのコーリン・エドワーズとジェームス・トーズランド、カワサキのジョン・ホプキンスとアンソニー・ウエストの4名についてはタイヤの種別は不明。

なお、この日のレースタイヤでの最速タイムはニッキー・ヘイデンが記録した1分40秒6だった。


■2日目の各チームの概況やコメント

以下に、2日目のテスト内容を公表している各チームの概況やコメントなどを紹介する。

■調子を増すレプソル・ホンダの新型RC212V
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2日目の作業に入ったレプソル・ホンダの2名は終日2008年型のマシンでのみ走行しており、ダニ・ペドロサのこの日のトップタイムは、ペドロサが初めて新型マシンに予選タイヤを装着してマシンの挙動を確認していた時に記録したタイムだ。

一方、この日6番手タイムのヘイデンは2日目も予選タイヤはテストしておらず、レースタイヤで初日の自己ベストを更新している。終日ヘイデンは様々なセッティングをマシンにテストしていたが、1日を通してラップタイムは安定して速かったという。

■ペドロサ「初めての予選タイヤにしては悪くないレベル」

この日のセッション終了間際の夕方、2008年型マシンに予選タイヤを装着して今回のトップタイムを記録したペドロサは、今回の自己ベストは自身が2007年のレースウイーク中に記録したポールポジション・タイムには0.5秒足りないものの、新型RC212Vの初期の開発が軌道に乗りつつある事は実感できた様子だ。

「今日はトップタイムでテストを終える事ができました。作業もかなり順調でしたし、いい1日だったと思います」とペドロサ。
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「今朝もまた路面が温まるまでは走行を見合わせて、その間はずっとガレージの中でマシンのセッティングを色々変更していました。まあでも、テストの時はこれが普通です。午後には周回数を増やして、昨日の状態からさらにセッティングを調整しました」

「そんなに長く走り続けずに、短い距離を走る事が多かったですね。まだマシンが新しいので色々調整をし直す事が多いんです。もう少しベースセッティングが整ってから、もっと長い距離を走る事になります」

「今日の自己ベストは予選タイヤで記録しました。グリップ性能の高いタイヤを履いた時にマシンの挙動がどうなるかを確かめるのは重要ですからね。ヘレスで予選タイヤをこのバイクで履くのは初めてですから、それを考えれば悪いタイムではなかったと思います。シーズンの最後に連続してポールポジションを取った時のレベルにはまだ到達してはいませんが」

「今日は他のミシュランタイヤを試す時間があまりなかったので、まだ明日もたくさん仕事が残っています」

■ヘイデン「レースタイヤでのトップタイムは励みになる」

初日から飛躍的な進歩があった訳ではないが、2日目もテストは順調だったと述べるニッキー・ヘイデンは、様々なセッティングを試した結果、多くの情報をHRCのエンジニアに提供できたとしている。
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「今日は昨日に作業を中断したところから仕事を再開しましたが、今回もテストは順調だったと思います」とヘイデン。

「特に飛躍的な進歩が見られた訳ではありませんが、タイムは確実に削っていますし、いくつか進展も見られています。今日はそんなに速くはありませんでしたが、新しいバイクでも少しずつタイムは縮まっていますし、以前よりもペースが安定してきています」

「今日自分よりタイムの良かったライダーたちは予選タイヤを履いていたと思いますよ。それにチームの知る限りではレースタイヤで1分40秒6を出していたライダーは1人もいませんでしたから、これはかなり励みになる結果です。昨日はレースタイヤではコンマ何秒か遅れを取っていましたからね」

「今日はいい方向性がつかめていたと思います。チームもいい仕事をしてくれましたから、本当にいい1日でした。今日はシャシーのセッティングにはいくつかとても大きな変更を加えています。マシンの状態を変えてみて、実際に走った時にどういう挙動が得られるのか探っておく事が重要ですからね」

「ここまでにたくさんの有益な情報を収集する事ができていますから、このままの調子で明日も改善を進めていきたいと思います」


■ブリヂストンの予選タイヤにも好感触のフィアット・ヤマハ
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フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは、この日に初めて装着したブリヂストンの予選タイヤで2番手タイムを記録しており、2008年から使用するブリヂストンのレースタイヤと予選タイヤの両方に好感触が得られたとしている。

■ロッシ「最終日があるので余裕を残しておいた」

2日目は初日に引き続きブリヂストン・タイヤに合う2008年型ヤマハYZR-M1プロトタイプのセッティング探しに集中したロッシは、その中で2本の予選タイヤを試して今回の自己ベストを記録している。

バレンシアの最終戦で右手のひらを骨折しているロッシは、もっといいタイムも出せたが、最終日もあるので2日目は力をセーブしたと語っている。

写真「今日は昨日よりも距離を多めに連続して走り込みましたが、それでもペースは安定していましたので、これは今の自分たちが正しい方向性で作業を進められている証拠でしょう。まだタイムの面では何かが欠けている状態ですが、一貫性の面では確実に改善が進んでいます」とロッシ。

「もっと低い温度になる事を予想していたらしく、ブリヂストンはここヘレスにはかなり柔らかめのタイヤを持ち込んでいます。もう少し硬めのタイヤだったら、もっとタイムは伸びたと思いますよ。それでもペースは全然悪くありません。前回のシーズン中にレースで自分が出していたタイムとほぼ同じですね」

「今回のタイヤでも、もっといいタイムを出す事は可能でしたが、今日は明日のために少し『余裕』を残しておきました」

「明日も何本か予選タイヤも試してみるつもりですし、ロングランも行う予定です。もちろんバイクの調整作業も同時に進める必要はありますけどね。バイクの出力特性がかなりタイヤに負担をかけている感じなので、もっと「甘い」感じの特性に調整したいと思います」

「一般的な表現をすれば、今の状況こそが自分の求めていた何かですね。要するに、新しい事にかける意欲と楽しさです。実際に新しいタイヤで今はものすごく楽しんでいますよ」

「来シーズンは白熱した面白いものになりそうですから、今からそれがすごく楽しみです。ただ、その前に1月から再開するテストを最高の形で終わらせて、カタールの開幕戦にはベストと言える状態で挑めるようにしておきたいですね」

■ブリビオ監督「ブリヂストンの世界を探索中」

ブリヂストンを履くフィアット・ヤマハ内のチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、2日目の作業内容について以下の通りコメントしている。

「まだブリヂストンの世界を探検している状態ですね。ブリヂストンの素材を確認しながら、自分たちの目標レベルに到達できるような解決策を探っている段階です。テストは順調ですよ」とブリビオ監督。

「今日も新しいタイヤを自分たちのバイクに適応させる方法を探りながらテストしました。予選タイヤも2本試しましたが、ライダーはいい感触が得られているようですので、このままの調子で作業を続けたいと思います」


■ミシュランタイヤとフィアット・ヤマハのマシンに馴染むロレンソ

ロッシの2008年度のチームメイトであり、ブリヂストンを選んだロッシとは異なりミシュランを履いてMotoGPデビュー・イヤーを戦うホルヘ・ロレンソは、この日は午前に軽く転倒したもののすぐにテストには復帰しており、レースタイヤで全体の10番手タイムを記録している。

■ロレンソ「より正しく乗れるようになった」
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この日も快適にマシンを操れるライディング・ポジション探しに集中したというロレンソは、2日目に入り初日のタイムを0.4秒更新している。課題だったライディング・スタイルの変更も順調に進んでいるとロレンソは語る。

「午前には転倒してしまいましたが、全体的に今日は昨日よりもさらに調子が良かったです。転んだのは11コーナーへの進入速度が速すぎて滑ったからです。でも、幸いどこにも怪我はありませんし、すぐにコースに復帰する事ができました」とロレンソ。

「今はブレーキングを遅らせる事もできていますし、より正しく乗れるようになった感じですね。新しいフロントタイヤを何本か試したらかなりの好感触が得られたので、明日もこのままの方向性で作業を進めたいと思います」

「今日はレースタイヤしか履いていませんが、タイムにはすごく満足です。明日はもっといいタイムが出せるのは間違いないと思いますよ」

■ロマノーリ監督「ロレンソがバイクのオーナーになってきた」

ミシュランを使用するフィアット・ヤマハ内のチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、ロレンソがMotoGPバイクに着実に慣れて自信を高めている事に満足している様子だ。

「残念ながら今日は作業ペースが少し落ちましたが、それでも昨日集めた情報を駆使してセッティングを改善する事はできています」とロマノーリ。

「コーナー進入時とブレーキング時の安定性に改善が見られました。全体のセッティングを見直し、特にサスペンションとジオメトリの変更が効いているようです。本人も自信を高めているようですし、日を増すごとにロレンソはこのバイクのオーナーになってきた感じがしますね。」

「もう少しトラクションを高める必要はありますが、明日にそれを改善するためのデータを今日までに収集できています。いいフロントのレースタイヤも見つかりましたので、明日もこのままの形で作業を続ける予定です」


■2名揃って2日目の上位につけたグレッシーニ・ホンダ
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年内は2007年型のホンダRC212Vでテストを実施しているグレッシーニ・ホンダの中野真矢選手とアレックス・デ・アンジェリスは、2日目の3番手と4番手の好位置につけて満足げだ。

■中野選手「課題はレースタイヤでの走行ペース」

2007年シーズンは冬季テストから本シーズンを通して上位に食い込む事が一切なかった中野真矢選手だが、この日は全体の3番手タイムを予選タイヤで記録しており、マシンとタイヤの両方から好感触が得られる事を大変に喜んでいる。

写真今後はマシンの性能をさらに引き出せるようなライディング・スタイルの改造も行いたいとする中野選手は、3日目に向けての課題はレースタイヤで安定したペースを実現する事だとした。

「すごく満足できています。ガレージの中の雰囲気はリラックスできる親しみやすい雰囲気ですし、作業がはかどります」と中野選手。

「今日は何本か新しいフロントタイヤを試しましたが、いい方向性がつかめました。その後はバランスを調整し直して予選タイヤのテストも行いましたが、その時のラップタイムはすごく嬉しかったですね」

「ただ、レースタイヤでのペースはもっと上げていく必要があると思っています。特にセッティングをもっと改善しなければいけませんが、自分のライディング・スタイルについても、もっとこのバイクの性能を最大限に引き出せるように改良していく必要があります」

■デ・アンジェリス「4番手になれるとは思わなかった」

2日目は電子制御まわりのセッティングを変更しながら、MotoGPマシンに慣れる事に重点を置いて作業したというルーキーのアレックス・デ・アンジェリスは、午後に軽く転倒しているが怪我は一切負っていないという。

4番手は想像もしていなかったとデ・アンジェリスは以下の通りコメントしている。
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「4番手タイムを記録できるとは思っていなかったのでとても嬉しいですね。それに今回の結果はチームにとってもすごい励みになったと思います」とデ・アンジェリス。

「午前は何本か新しいフロントタイヤを試しながらセッティングに取り組みました。今回も電子制御の部分に慣れるよう頑張っていますが、だいぶ自信が持てるようにはなってきました。レースタイヤにもすごく満足できています」

「今日はもっと改善が進められた筈ですが、午後は転倒のせいで少し時間をロスしました。幸い怪我はありませんでしたけどね」

「気象条件が理想的だったので有り難かったです。おかげで多くの周回数を走り込む事ができましたし、効率的なテストだったと思います」


■JiRチーム・スコット、初日のタイムを大きく改善
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初日はヘレスへの苦手意識を前面に押し出し、結果もレギュラー14人中の13番手と決して良くはなかったJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾだが、この2日目に入り、MotoGPマシンへの高い適応能力を一気に見せつける事ができたようだ。

■ドヴィツィオーゾ「まだ予選タイヤについて学ぶ事が多い」

2日目はセッティングの変更が順調に進み、マシンのフロントまわりの信頼性が向上したというドヴィツィオーゾは、この日はミシュラン勢の中ではペドロサに次ぐ2番手の総合5番手タイムを記録している。まだ予選タイヤについては学ぶ事が多いとドヴィツィオーゾは語る。

写真「今日は昨日よりもいい内容でした。ラップタイムもそれほどコースレコードから離れていません。何人かは自分よりも速いタイムを出してはいますけどね。ただ、昨日と同じようにタイムについては今のところそれほど気にしていません」とドヴィツィオーゾ。

「今日の最後に使った2本は予選タイヤでしたが、自分にとってはかなり不思議な感触でした。リアのグリップがあまり良くない上にフロントにはチャタリングの問題があったので、ブレーキを早めにかける必要があり完璧なラップ周回はできていません。まだ予選タイヤの性能を引き出すには色々学ぶ事が多そうです」

「RC212Vのセッティングについては改善が進み、フロントまわりの安定性が良くなりました。まだブレーキング時の安定性についてはもう少し作業を続ける必要がありますが、今日は全体的にかなり満足です」

■ムラローニ監督「予選タイヤでも5番手は嬉しい」

JiRチーム・スコットのチラーノ・ムラローニ監督は、ここまでに着実な手順を踏んでゆっくり改善を進めてきた事が、2日目の高い結果につながったとコメントしている。

「今回は予選タイヤを使用しての5番手ですが、他の多くのライダーもソフトタイヤを使っていたのでこの結果はすごく嬉しいです。ミシュラン勢の中では2番手ですしね」とムラローニ監督。

「恐らく、ここまでに着実な手順を踏んできたのが良かったんだと思います。また、アンドレアがエンジニアに提供してくれている情報も今回の改善に大きく貢献していますね」

■ベルティ「セッティングは初日からあまり変えていない」

JiRチーム・スコットで技術責任者を務めるジャンニ・ベルティは、2日目は初日と比べてそれほど大きなセッティングの変更はしていないので、ドヴィツィオーゾがMotoGPマシンに慣れてきた事が2日目の高い結果の要因だとコメントした。

「今日はミシュランのタイヤテストに多くの時間を使いました。レースタイヤでも改善は進んでいますし、何よりミシュランの技術者とアンドレアが一緒に作業をうまく進めている事が見ていてとても嬉しいですね」とベルティ。

「今日はチームにとって転機となる重要な1日だったと思います。セッティングはエンジンのマッピングを少し変更しただけで、大きな変更は特に加えていませんから、これはMotoGPバイクにアンドレアが慣れたきた証拠でしょう」

「今日は予選タイヤを試しましたが、最も重要なのはレースタイヤです」


■2日目もリアのトラクション不足に苦しむホンダLCR
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前回のセパン冬季テストの最終日に転倒して右手の親指を負傷して以来、ややセッティングに苦戦するようになったホンダLCRのランディ・ド・ピュニエは、この2日目も初日に引き続きリアのトラクション不足に苦しんだ様子だ。

■ド・ピュニエ「いくつか進展は見られた」

写真この日もレースタイヤのみで走行し、2日目の7番手タイムを記録したド・ピュニエは、課題となっているリアのグリップ向上を狙って主にサスペンションのセッティング作業に集中し、同時にミシュランのスタッフと共にリアタイヤのテスを行っている。

「午前中はリアのグリップが良くなるように昨日とは別のサスペンション調整を施し、同時にリアタイヤも何本か試しましたが、結果はあまり良くありませんでした」とド・ピュニエ。

「昼食の後はバイクのバランスを調整してジオメトリを走る度に毎回見直したので、その後は自信が持てるようになり、レースタイヤで速いラップタイムを安定して出す事ができるようになりました。今日はレースタイヤの感触が良かったので、予選タイヤは履いていません」

「今日の作業内容には満足できていますが、もっと速く走れる筈です。2日目のテストはやる事が多くかなり疲れたので、今日は少し早めに作業を切り上げました。いくつかの分野に進展は見られましたが、他の部分についてはまだ明日もやる事が多いですね」


■ドゥカティーはストーナーの怪我により作業を中断
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今回のヘレスから初めて2008年型マシンであるデスモセディチGP8のプロトタイプをテストに投入したドゥカティー・ワークスは、初日にトップタイムを記録していたケーシー・ストーナーが午後に転倒して左肩を強打した事から、午後のセッション後半はその新チームメイトであるマルコ・メランドリのみがテスト作業を続けている。

■ストーナー「明日は無理だと思う・・・」

写真転倒直後にクリニカ・モバイルで治療を受けたストーナーは左肩の靱帯を損傷している可能性があり、左腕を包帯で吊られた状態でこの日は残りのセッションを中断してホテルに戻り休息、翌日の3日目の朝にはテストをキャンセルしてオーストラリアに戻る事になった。転倒前にストーナーが記録していたこの日の自己ベストは全体の8番手。

「今日は全てがとても順調に進んでいました。予定通りタイヤのテストに集中していたんですが、転んだのはその時です」とストーナー。

「左肩を強打した直後に激しい痛みを感じたので、すぐにクリニカ・モバイルに行って肩周辺を吊りひもで固定してもらいました。まだ明日の具合を見る必要はありますが、恐らくテストを続けるのは難しい状態です」

■メランドリ「レースタイヤのタイムは接近していた」

ドゥカティーのマシンに乗り換えてからはライディング・スタイルにマシンを合わせる事に苦労しているマルコ・メランドリは、2日目はシャシーとサスペンションのセッティングに取り組んでおり、調整内容には満足できたとコメントしている
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「今日は長くて疲れる1日でしたが、かなりの作業量をこなす事はできました」とメランドリ。

「朝からシャシーのジオメトリ調整を再開し、自分の納得がいくまで重量配分を変更しました。その後はサスペンションまわりの作業を行いましたが、どちらもうまく調整できたと思っています。ただ、路面温度が下がってしまったので、タイヤのテストは明日に延期しました」

「ここまでに行った作業内容には満足できています。今回の自分の目標はできる限り新しいバイクを理解する事ですからね。それに今日は何人かが予選タイヤを履かなければタイムもさらに接近していた筈です」


■ヘレス冬季テスト3日目の内容
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続いて、2007年内のMotoGPクラスにおけるテストの最終日となったヘレス冬季テスト3日目の模様を紹介する。

今回のヘレスは3日間を通して晴れ渡り、前日までの2日間とほぼ同様の気象条件にこの最終日も恵まれ、ほとんどのチームは予定していた年内の作業を全て完了する事ができた様子だ。


■転倒者はド・ピュニエ1名、ロッシは右手の痛みが悪化

初日と2日目に引き続き、最終日のこの日も転倒者が1名出ている。夕方に予選タイヤを装着したランディ・ド・ピュニエは、初日から問題を抱えていたリアのグリップ不足にこの時も苦しみ、リアを滑らせて2回の転倒を喫しているが、幸い怪我は一切なかったようだ。
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また、転倒者ではないが、バレンティーノ・ロッシは最終日のロングランを中断し、予定していた予選タイヤのテストを取りやめて、早めにテストを終了している。この日のロッシはバレンシアで負った右手の怪我に激しい痛みを訴えており、フィアット・ヤマハ・チームはロッシの手に無駄な負担を与えないようにしたと説明している。

なお、2日目の転倒で左肩を痛めたドゥカティーのケーシー・ストーナーは、この日の朝からオーストラリアに帰国しており、最終日のテストをキャンセルした。


■3日目の全走行結果

以下に、ヘレス冬季テスト最終日のタイムを、各ライダーの自己ベスト順に示す。
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1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒562(72周)
2) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒848(82周)
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒464(90周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分39秒747(69周)
5) 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒121(68周)
6) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分40秒184(50周)
7) アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒185(58周)
8) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分40秒213(63周)
9) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分40秒398(62周)
10) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分40秒984(38周)
11) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分41秒538(32周)
12) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP8 1分41秒619(68周)
13) 岡田忠之 JPN HRC RC212V 1分41秒715(50周)
14) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ デスモセディチ 1分41秒793(53周)
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分42秒343(64周)
16) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ デスモセディチ 1分42秒850(48周)
17) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチ 1分43秒001(71周)


ヘレスのサーキット・レコード(990cc)は2005年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒596、ベスト・ラップ・レコード(990cc)は2006年にロリス・カピロッシが記録した1分39秒064。

ちなみに2007年の800ccマシンでの記録は、レース中のファーステスト・ラップはバレンティーノ・ロッシが記録した1分40秒905、ポールポジション・レコードはダニ・ペドロサが記録した1分39秒402。


■ペドロサが2日間連続のトップタイム、レプソル勢がワンツーを独占

年内のテスト最終日をトップタイムで飾ったのは、2日目連続でトップに立ったレプソル・ホンダのダニ・ペドロサだった。なお、ペドロサは自己ベスト記録時には新型マシンではなく2007年型マシンに予選タイヤを装着して走行しており、自身が記録した2007年度のポール・タイムを1秒近く上回っている。
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一方、2番手タイムにつけたニッキー・ヘイデンは、チームメイトのペドロサのタイムには及ばなかったものの、990cc時代の2006年にロリス・カピロッシが記録したベストラップ・レコード(予選タイヤ)をペドロサと共に上回った。

■3番手と4番手はミシュランを履くMotoGPルーキー

また、レプソル勢に続く3番手につけたMotoGPルーキーのホルヘ・ロレンソはミシュランの予選タイヤで今年のペドロサのポールタイムに0.062秒に迫る好タイムを記録している。4番手には同じくミシュランを履くMotoGPルーキーのアンドレア・ドヴィツィオーゾがつけており、最終日はミシュラン勢がトップ4を独占。

■ブリヂストン勢、最終日のトップは中野選手

ブリヂストンタイヤのトップはグレッシーニ・ホンダの中野真矢選手の5番手。同じくブリヂストンを履くカワサキ勢とドゥカティーのマルコ・メランドリは、この3日間を通してタイムには伸び悩み気味だ。新たにブリヂストンユーザーに加わったバレンティーノ・ロッシは右手の痛みのため、最終日はタイムアタックを行っていない。

なお、この日に予選タイヤを使用した事を公表しているのは上位の4名。


■3日間の総合順位

以下に、ヘレス冬季テスト3日間の総合順位を示す。
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1) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒562
2) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒848
3) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分39秒464
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 1分39秒747
5) 中野真矢 JPN ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒121
6) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分40秒134
7) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分40秒184
8) アレックス・デ・アンジェリス RSM ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分40秒185
9) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分40秒213
10) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分40秒221
11) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 1分40秒398
12) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分40秒939
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分41秒424
14) 岡田忠之 JPN HRC RC212V 1分41秒715
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分41秒729
16) ニッコロ・カネパ ITA ドゥカティ デスモセディチ GP7 1分41秒793
17) ヴィットリアーノ・グアレスキ ITA ドゥカティ デスモセディチ GP7 1分42秒850
18) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチ GP7 1分43秒001



■最終日の各チームの概況やコメント

最後に、ヘレスでの3日間を終えてテスト内容を公式発表した各チームの概況やコメントなどを示す。

■エンジン特性にはまだ課題を残す年内のレプソル・ホンダ

レプソル・ホンダの2名は、3日間を通して2008年型マシンではエンジンまわりの電子制御システム、シャシー、サスペンションのセッティングを中心的に行い、新型マシンの全体的な性能改善を狙ったという。
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なお、最終日に限っては、ペドロサはほとんどの時間を2007年型マシンの上で過ごしており、またヘイデンは3日間を通して2008年型マシンで走行したものの、夕方のセッション終了間際に少しだけ2007年型マシンでも走行している。

2名は新型マシンの開発の方向性にはいい感触が得られたとコメントしており、揃ってエンジンとシャシーの調整に積極的だったという。HRCが冬季期間中にマシンを改良する上で必要な多くの情報を収集する事もできた様子だ。

なお、2名は開発状況は順調だとしながらも、新型エンジンに関しての意見は、性能を最大限に引き出すにはまだ多くの作業を必要とするという点で一致している。

■ペドロサ「開幕までにうまく時間を使って開発を進めたい」

最終日には来年から使用するミシュランの新型タイヤのテストを本格的に開始し、自身の今年のポールタイムを1秒上回るトップタイムを記録したダニ・ペドロサは、終日2007年型マシンを使用して作業を行ったという。ミシュランやHRCが冬季に必要とする多くの情報を提供できたとペドロサは語る。
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「今日はミシュランのためにタイヤのテストに集中しましたが、この3日間は色々と学ぶ事ができましたし、今後の冬季テストに向けてのいい授業になりました。HRCのエンジニアは多くのデータを収穫できたようですから、1月末のテストに向けての準備もこれで整ったでしょうね」とペドロサ。

「まだ自分たちの目標に到達するにはいくらか道のりが残っていますし、今後も多くの作業が必要になると思いますが、今の兆候は悪くありませんし、かなり励みになるものです。2008年シーズンが始まるまでにまだ時間は十分にありますし、さらなる改善に向けては多くの方向性があるので、これから時間をうまく使っていきたいですね」

「HRCにはバレンシアの時から同じような要求を出してきましたが、多くの点でバレンシアのテストの時よりも改良はすでに進んでいますので、今後はそれ以外のまだ改善ができていない分野に焦点をあてていく必要があります」

「今日のタイヤテストは2007年型マシンでのみ行いました。その方が比較できるデータが多いからです」

「この3日間は大量な作業をこなす事ができたので、この年末のテストはとても有意義だったと思います」

■ヘイデン「2007年型マシンの方が速くて残念」

最終日も多くの種類のセッティングを試し、同時にミシュランの新しいコンパウンドを試したというニッキー・ヘイデンは、3日間を通して2007年シーズン中より速く走れたのが励みになり、非常に満足したとコメントしている。ヘイデンのタイムはペドロサに次ぐ3日間の総合2番手だった。
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「今日もいい1日になりました」とヘイデン。

「終日の大半の作業を新型RC212Vで行い、このマシンで予選タイヤを今回初めて試しましたが、ラップタイムはすごく良かったですね。レースタイヤよりここまで速く走れるとは思っていなかったので、かなり満足できています」

「他にはロングランも行いました。自分の一番気に入っているタイヤではありませんでしたが、ミシュランはかなり使える情報を収集できたと思いますよ。この3日間を通して他にも何本かいいタイヤが見つかっているので、今後に向けて期待は持てますね」

「少しだけ残念だったのは、今回のテストは最初からずっと新型マシンの方で走っていたのに、3日目の最後の数時間だけ古い方のマシンに乗ってみたら一瞬にしてレースタイヤでのタイムを0.4秒も上回った事です。要するに、まだもう少しこの点については話し合う時間が必要だという事です」

「新しいエンジンにはまだいくつか課題が残っていますが、ホンダはエンジン開発についての方向性をつかんでいるので、特に心配はしていません。それに新しいマシンのシャシーはすごくいいですからね。この部分は本当に大きく改善されたと思います」

「今年がひどい1年だったのは間違いありませんが、人生を通してひどいという訳ではありませんので、来シーズンも全力で挑みますよ。チームのメンバー全員やスポンサーなど、今年の自分を支えてくれた全ての方々に深く感謝しています」

「このまま調子を上げてカタールのナイトレースで次の開幕を迎えるのが本当に楽しみですね」


■フィアット・ヤマハ・チームが驚いたロレンソのタイム

総合3番手という高い位置で年内最後のテストを締めくくったフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソは、この日も90周回という長距離を精力的に走り込み、ロングランは本人が驚くほどに速いペースで走る事ができたとしている。

■ロレンソ「こんなに速く走れるとは思わなかった」

最終日にはライディング・ポジションなどベースセッティングの調整と同時にミシュラン・タイヤのテストを行ったロレンソは、1月のセパンで試す新しいエンジンではさらにタイムを上げたいとコメントした。
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「今日は昨日よりもさらにいい感触が得られましたし、とてもいいテストだったと思います」とロレンソ。

「初日に大量に走り込んでいたので昨日は身体が少し痛みましたが、今日は体調も完璧に戻り全てが順調でした。レース・シミュレーション中もM1はすごく快適でしたし、印象もかなり良かったですね」

「ラップタイムがどんどん速くなってきていますが、これは正しい方向性がつかめている証拠だと思います。ミシュランが新しいタイヤを提供してくれたおかげでリアのトラクションも良くなりましたから、とても満足です」

「レース・シミュレーションでここまで速く走れるとは思っていませんでしたし、予想をはるかに上回る結果でした。この3日間を終えて言えるのは、今回がすごくいいテストだったという事です。当然ですが全体の感触はこの前のセパンと比べてかなり良くなりました」

「まだやる事は山ほどありますが、ガレージの雰囲気はすごく良くて作業がはかどりますし、リラックスできる上にプロフェッショナルな人たちばかりですから、シーズンが始まるまでに自分たちの目標に到達できるのは確実だと思います」

「1月のセパンが今からとても楽しみです。新しい仕様のエンジンを試す時には、さらに速く走れるように頑張ります」

■ロマノーリ「2007年のレースペースよりも速かった」

ミシュランを使用するロレンソ側のフィアット・ヤマハのチーム監督を務めるダニエーレ・ロマノーリは、今後の作業の起点となるベースセッティングがこの日には見つかり、その後ロレンソは2007年のMotoGPクラスのレースペースよりも速いタイムでロングランを周回していたと語る。

「今日は順調な1日でした。セッティングの改善を今日も進めましたが、作業進める上で基点となるいいベースセッティングが見つかっています」とロマノーリ。

「ミシュランの新しいタイヤを試す中でもいくつかいい素材が見つかりました。特にリアタイヤは全般的に改善されていますし、エンジンのトルクをうまく受け入れていいグリップを提供してくれます」

「ホルヘはバイクの感触をさらに高め続けており、彼はすでにマシンを快適と言えるまでになったようです」

「今日はロングランを行いましたが、かなりいい結果が得られましたね。長距離を続けて走り込むのは今回が初めてにもかかわらず彼は非常に速く走れていましたし、2007年のレースペースさえも上回っていたんです」

「最後に2本の予選タイヤを試しましたが、これまでの自己ベストを1秒も縮める事ができましたから、これはかなり素晴らしい結果だと私たちは考えています」

「多くの周回数を走り込んでくれたライダーに感謝すると同時に、テスト全体を通して素晴らしい仕事をしてくれたチームの全員にも感謝したいと思います。これでしばらく休息に入りますが、新しいチャレンジに向けてまた1月に再開しましょう」

■中島ディレクター「年内の目標は達成」

ミシュランとブリヂストンの両方のフィアット・ヤマハ・チームを統括する中島雅彦ディレクターは、年内のここまでのテストを通してロレンソがMotoGPマシンに合わせたライディング・スタイルの改善に成功している事を伝え、チーム全体が正しい方向に向かっていると以下の通りコメントした。

「今日もホルヘは90周回も走り込みました。この3日間、彼は1日に平均して80周もの長距離を走り続けた事になりますが、何よりもこれが非常に印象的だったと言わざるを得ません」と中島ディレクター。

「ここまでの全てのテストを通して、彼の仕事への姿勢に私たちは言うまでもなく大変に満足しています。それにここでの今年最後のテストでは総合3番手タイムを記録しましたから、これは本当に素晴らしい事だと思います。ライディング・スタイルを新しいバイクに合わせていくという最終的な目標が順調に達成できている証拠ですね」

「ホルヘは十分にその才能と実力を見せつけましたし、私たちに来期の開発に役立つ大変に素晴らしいデータや情報を提供できる高い能力を示しました」

「チームはまだ彼のベースセッティングを探っている最中ですが、彼の走りが他のMotoGPクラスのトップライダーたちに近づいているのは間違いありません。ブレーキングが良くなりましたし、コーナリング・スピードもどんどん高くなりました。まだ最終的なセッティングが完成していないのにもかかわらずです!」

「チームはすでに彼のバイクをどういう方向性に仕上げていくべきか分かっていますし、正しい方向性もつかめていますので、今後はここヘレスで集めたデータの分析を進めて、次回の1月のセパンまでに最終的なセッティングを仕上げておく予定です」


■フィアット・ヤマハ、ブリヂストン側はロングランを中断

ロレンソがミシュランタイヤで総合3番手を記録する一方、2007年シーズンを終えてブリヂストンに履き替えたバレンティーノ・ロッシは、残念ながらこの3日目はバレンシアの最終戦で負った右手の怪我の痛みに苦しみロングランを中断、予定していた予選タイヤの2回目のテストを行わずに年内全ての作業を終えている。この日にロッシがレースタイヤで記録した自己ベストは全体の11番手タイムだった。
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しかしながら、チーム関係者は年内に予定していた全てのテストはすでに完了しているとコメントしており、今回のテストはヤマハとブリヂストンの両エンジニアにとって非常に有益なものだったとしている。

■ロッシ「手が痛くて速く走れなかった」

最終日は手が痛くて腕に力が入らなかったと述べるロッシだが、ブリヂストンとの初テストには非常に満足しており、バレンシアの最終戦ではヤマハに対して述べなかった感謝の気持ちをこの日に改めてコメントしている。

「今日もベストを尽くそうと頑張りましたが、手の具合が悪くて速く走る事はできませんでした。ひどく痛み出してしまい、走っていても手に力が入らない状態だったんです」とロッシ。
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「骨折した部分はまだ痛みます。おまけに1ヶ月近くバイクに乗っていないし、その間トレーニングもできませんでしたから、今日は手が疲れてしまったんでしょうね。ただ、まだ体調が完璧じゃない事は分かっていましたし、今回の初テストではいくらか苦労するとは思っていました」

「今日は残念でしたが、いずれにしてもテストメニューを終える事はできましたし、ブリヂストンとの最初のテストはとても良好だったと思います。もちろん新しいタイヤに合わせてバイクには全般的に多くの作業が今後も必要ですが、この2日間の好感触を最終日にも改めて再認識する事ができていますし、今は今後の改善に向けて作業の方向性もしっかりつかめています」

「この場を借りて、チームの全てのメンバーに感謝の気持ちを伝えたいと思います。自分のメカニックやヤマハのスタッフ全員の、今年1年間を通しての大変な努力に感謝します。今以上はあり得なくても、これまでと同様の高い意欲を持って2008年の初めにまた再開できると思います。全ての方々に感謝しています!」

■ブリビオ監督「ヤマハとブリヂストンの準備は整った」

フィアット・ヤマハのロッシ側のチーム監督を務めるダビデ・ブリビオは、今回はブリヂストンとヤマハのスタッフが交互に貴重な情報を交換し、来年の開発作業に向けてそれぞれに準備を整える事ができたと語る。

「バレンティーノが手の痛みのために100%で走るのは難しい状態だったので、今日は早めに作業を終える決断をしました。バレンシアで激しく転倒してから今まで彼はバイクに乗っていなかったので、これは極めて普通と言える出来事ですよ」とブリビオ監督。

「特に大きな問題ではありません。予定していた作業やテストは終えていたので、早めにテストを中断して余計な負荷を彼の手に与えない事にしました」

「ここヘレスでのテストは非常に面白かったですよ。来シーズンを一緒に戦うブリヂストンの全てのエンジニアの方々と会う機会があり、彼らからは大変に興味深い情報をもらいましたし、新しいタイヤからもデータを色々と得る事ができました」

「また同様に、私たちも今後一緒に作業を続ける上で非常に重要な状況を彼らに提供しました。これからは互いに集めたデータを冬休みの間に頑張って分析し、1月のテストまでに可能な限りの準備を進めておくつもりです」

「これでバレンティーノとチームは連休に入りますが、この1年間は大変でしたからしっかり休みを取るべきでしょう。1月のセパンからは2008年シーズンに向けての最後の準備が始まりますしね」

■中島ディレクター「電子制御システムの分野に進展」

ロッシとロレンソの両方の体制を統括するフィアット・ヤマハの中島雅彦ディレクターは、まだブリヂストンタイヤについて詳細なコメントを述べるのは時期尚早だとしながらも、好感触が得られているのは間違いない事実だと以下の通り述べた。

「今日はバレンティーノの体調があまり良くなく、彼の思い通りの速さで走る事はできていなかったので、テストを早めに切り上げる事にしました。この3日間を通して彼は激しく走り込んでいましたから、これも想定はしていました。まだ彼の体調は100%ではありませんからね」と中島ディレクター。

「私たちにとって初めてとなるブリヂストンタイヤの性能を理解する事ができたので、チームとライダーにとって今回のヘレスのテストは主にその面で非常に素晴らしいものでしたし、来シーズンの開発に向けて今後必要となる多くの情報を集める事ができました」

「今回はまだブリヂストンを試す1回目のテストでしたので、今はまだその分野について細かく申し上げるのは時期尚早かと思います。しかしながら、非常にいいテストになった事だけは間違いありません」

「バイクの面に限って言えば、このヘレスのテストでは電子制御システムの分野に進歩が見られました。また、その分野に関して非常に興味深いデータをいくつか収集する事もできていますので、それらのデータをこれから開発に反映させて、2008年最初のテストに挑みたいと思います」


■苦手意識を克服、さらにタイムを伸ばすJiRチーム・スコット

2日目にヘレスへの苦手意識を克服し、MotoGPマシンへの着実な順応を見せるJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、最終日には総合4番手タイムを記録し、ホンダの2007年型マシンに乗るライダーの中ではトップに立った。
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最終日にドヴィツィオーゾは、さらにライディングが快適になるようにシャシーのセッティングを変更し、その中でミシュランのレースタイヤと予選タイヤの両方をテストしている。ドヴィツィオーゾは両方のタイヤでタイムを大きく改善する事ができており、4ストロークマシンにも慣れてきた事から、バレンシアの最初のテストでは出遅れ気味だったJiRチーム・スコット全体の様子が大きく変わってきたようだ。

■ドヴィツィオーゾ「今日は完璧」

最終日は完璧だったと述べるドヴィツィオーゾは、ヘレスが苦手だっただけに、余計に今回の結果には満足できるとコメントしている。

「今日は本当に良かったですよ。完璧でした!」とドヴィツィオーゾ。
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「レースタイヤでタイムを1秒近く縮める事ができています。セッティングの鍵となる部分をいくつか変更した事でバイクの感触もすごく良くなりました。レースタイヤで1分40秒3が出せたので本当に嬉しいです」

「今回のテストには本当に満足できました。なぜなら、このサーキットはあまり好きではありませんし、特にテストをするのが苦手な場所だったからです。この結果はいい兆候だと思いますし、バイクの改善が進んだので安心して冬休みに入る事ができそうです」

「さらに改善は必要ですが、マシンの剛性感が少し良くなりました。高速コーナーでのフロントまわりの安定性についても、今日セッティングに加えた変更のおかげでだんだん良くなってきています」

■モンティロン「ドヴィツィオーゾの今後の可能性を示す結果」

JiRチーム・スコットの統括ディレクターを務めるジャンルカ・モンティロンは、今回のドヴィツィオーゾのMotoGPマシンへの高い適応能力を喜び、この好調な流れを年明け以降のテストにも持ち越したいとしている。

「非常に満足です。今回も素晴らしいテストになりました」とモンティロン。

「アンドレアの速さは前回のセパンで確認する事ができていましたが、彼が苦手なサーキットだと認める今回のヘレスでも同様でした。これは彼の実力とMotoGPクラスでの彼の今後の可能性を示すものだと思います」

「まだ彼にとっての大きなチャレンジは始まったばかりですので、私たちは今の彼にプレッシャーを与えるような事はしていません。今のアンドレアに必要なのは4ストロークバイクに慣れる事ですし、これにはまだ時間がかかります」

「彼がMotoGPバイクに慣れていくのに必要な冬季のテスト計画は全て準備が整いましたので、これからしばらくは冬休みを楽しみ、また来年のセパンで彼が新しいバイクに乗るのを楽しみにしたいと思います。この好調な流れを2008年の年明け後のテストにもそのまま持ち込みたいですね」

■ベルティ「ライダーのみならずチームが自信をつけた」

JiRチーム・スコットの技術責任者を務めるジャンニ・ベルティは、今回のテストはドヴィツィオーゾのみならず、まだ250ccクラスの経験者がほとんどのチーム・スタッフにとっても、MotoGPクラスに対する自信をつける上で非常に有意義なものだったと以下の通りコメントした。

「今日はミシュランのタイヤテストを中心的に行い、同時にRC212Vのシャシーのセッティングにいくらか調整を加えました」とベルティ。

「非常に小さな調整でしたが、この変更のおかげで以前のセッティングよりも状態はいくらか良くなり、アンドレがバイクの感触を得やすくなったので、このサーキットの攻略も進みました。また、その効果から予選タイヤとレースタイヤでの両方のタイムを縮める事もできています」

「昨日のアンドレアは予選タイヤに慣れるのに苦労していましたが、一度慣れてからは非常に好調な走りを見せていました。全ての分野において彼の進歩が見えましたから、この3日間は私たちにとって非常に有益なものだったと思います」

「今回のテストはアンドレアが4ストロークバイクを扱う上での自信にも結びついていましたね。また、チームが成長する上でもこの数日間は非常に役立つものでした」

「今からは冬季休暇を楽しみ、次のテストに戻ってからもシーズン最初のレースに向けて着実に改善が進められるようにしたいと思います」


■グレッシーニ・ホンダ、最終日はブリヂストンのトップタイム
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グレッシーニ・ホンダの中野真矢選手とアレックス・デ・アンジェリスは、この3日間のテスト内容には大変に満足しており、2名が揃ってレースシミュレーションでのペースとラップタイムにテスト期間中を通して着実な改善が見られたとしている。中野選手は最終日の5番手、MotoGPルーキーのデ・アンジェリスは7番手タイムだった。

■中野選手「長いシーズンだった」

この日はブリヂストン勢の中のトップタイムを記録し、3日間の作業予定を全て終える事ができたという中野選手は、1年ぶりに使用するブリヂストンタイヤへの自信を高めている様子だ。
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「この3日間のテストにはすごく満足できました。作業は順調でしたし、ガレージ内の和んだ雰囲気の中でチーム全員の意欲も非常に高かったです」と中野選手。

「今日は何本かのリアタイヤに関するテストメニューを全てやり遂げて、クラッチまわりの作業も行いました。レースシミュレーションのペースが改善されたのが今日は嬉しかったです。ブリヂストンユーザーの中では一番タイムも良かったですしね」

「これで長いシーズンが終わりましたので、明日は日本に向けて飛び立ち、休みを家族と一緒にリラックスして過ごしたいと思います」

■デ・アンジェリス「チャタリングの問題を解消」

写真年内の3回の冬季テストを通して着実にMotoGPマシンの扱いに慣れてきた様子のデ・アンジェリスは、今回のテストではホンダのRC212Vについて多くを学ぶ事ができたとしている。

「今日はさらに自信がつき、とても嬉しいです」とデ・アンジェリス。

「いくつか以前とは異なる電子制御系のセッティングを試したらバイクの感触が大きく良くなり、特にチャタリングを減らすのに高い効果が得られました」

「今日の進歩は大きかったと思います。レースタイヤでのラップタイムも1分40秒9まで縮まりましたし、意欲がすごく高まりますね。それに新しいメカニックとの人間関係が自分にとっては有り難いです」


■トラクション不足を解消できなかったホンダLCR

前日までの2日間を通してリアのトラクションが得られずに苦しんだホンダLCRのランディ・ド・ピュニエは、最終日に入っても同じ問題に苦しみ、サスペンションの調整を行いながらミシュランタイヤの組み合わせを色々試したものの、今回は最後まで解決策を見出す事ができなかったという。
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■ド・ピュニエ「予選タイヤを履いても同じだった」

この日は2回転倒しているド・ピュニエは、調子の上がらないマシンに予選タイヤを試してみたものの、やはりリアがスピンして転んでしまったとコメントしている。

「今日の内容にはあまり満足できていません。幸い怪我はありませんでしたが2回も転んでしまいました」とド・ピュニエ。

「いまだに初日と同じリアのトラクション不足の問題を抱えていて、バイクは自分にとって乗りやすい状態とは言えません。サスペンションに多くのセッティングを試し、タイヤもミシュランと一緒に色んな種類の解決策を試みましたが、まだ好感触が得られていません」

「今日は予選タイヤで少しだけ攻めて走りましたが、リアが安定しないのでその時に転びました」

「3日間を通してみればバイクへの理解を進める上で自分にとっては有意義なテストでした。ガレージの中の雰囲気もすごくいいです。ただ、今後のテストでもまだやる事は山ほど残っています」


■カワサキ、2008年型マシンの開発に向けて大量な情報を収穫

今回はあまりラップタイムを意識せずにマシンの改善作業に集中したというカワサキ勢は、新型パーツとブリヂストンタイヤをテストしながら、2008年型パッケージの全体性能を上げる事に3日間を費やしたとしている。今回のテストでカワサキが掲げていた目標は、開発の方向性が正しく、各パーツが正しく高い性能で機能するかを確認する事だったという。最終日のホプキンスのタイムは10番手、ウエストのタイムは15番手だった。
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ジョン・ホプキンスとアンソニー・ウエストの2名はこの中で多くのパーツやタイヤのテストに集中しており、2008年型マシンの今後の開発のために必要な多くの貴重な情報を日本のカワサキの技術者に渡す事ができたようだ。

■ウエストのチーフ・メカニックはファン・マルチネス

なお、2008年シーズンに向けてカワサキは、アンソニー・ウエストのチーフメカニックとして、ミック・ドゥーハンとバレンティーノ・ロッシの元サスペンション・エンジニアであり、セテ・ジベルナウのチーフ・クルーを経てしばらくはレプソル・ホンダ小排気量チームの統括エンジニアを務めていたファン・マルチネスをチームに迎えている。

ちなみに2007年シーズン中にウエストのチーフ・メカニックを務めたフィオレンツォ・ファナリは、2008年はジョン・ホプキンスのチーフ・メカニックを担当する。

■フィアンセとの結婚式が楽しみなホプキンス

ジョン・ホプキンスは前回のセパン冬季テストに引き続き、Ninja ZX-RRを彼の望みの仕様通りに完璧に仕上げるために、3日間を通して大量の情報を収集したという。

今回のテストに持ち込まれたマシンも、バレンシアでホプキンスが要求した通りにシャシーとクラッチ、ならびにエンジンが改良されており、このマシンにホプキンスは好感触を持つ事ができている様子だ。来年1月のセパンまでには、今回のテストで得られたデータが再び新型パーツに反映され、さらにホプキンスにとって乗りやすいマシンになる事が期待できるという。

なおホプキンスは、間近に迫った冬季休暇中のフィアンセとの結婚式を、今は非常に楽しみにしていると、カワサキの公式リリースは報じている。

■ウエスト「ミュンヘンで手術を受けてから自宅に戻る」

バレンシアとセパンでの冬季テストに引き続き、アンソニー・ウエストは今回のヘレスでも3日間を通してNinja ZX-RRに可能な全てのセッティングを試し、イギリスGPからMotoGPクラスに参戦した彼にとって2007年シーズン中には中々できなかったマシンの細部に渡っての学習を改めて実施している。

また、ホプキンスもウエストと同様に多くの新型パーツを試しながら、コーナリング中のマシンの安定性を高める努力を続けていた様子だ。

「ラップタイムはずっと自分の望み通りにはいきませんでしたが、3日間を通してヘレスをしっかり走り込む事はできたと思っています」とウエスト。

「セッティングは極端に端から端まで全ての範囲を試しましたが、おかげでバイクに加えた変更がどう走りの挙動に影響するかが良く理解できました。この知識をもってすれば、新しいチーフ・クルーのファン・マルチネスと自分が、バイクの機能や自分のライディング・スタイルに合うセッティングの組み合わせをしっかり把握した状態で、次のセパンのテストには挑める筈です」

「ここからミュンヘンに直接移動して金属片とネジを左の手首ら取り出す手術を受け、それからオーストラリアの自宅に戻ってクリスマスを迎える予定です。シーズンの後半はすごく忙しかったので、家に戻ってからはのんびりしたいですね」

「ただ、今年はMotoGPバイクに乗る上で整った体調がいかに大切かをしっかり学びましたので、テスト禁止期間中はモトクロス・バイクで何百周も走り込んでトレーニングに励む予定です」

■バルトレミー「新チーム体制は順調」

カワサキのコンペティション・マネージャーを務めるミハエル・バルトレミーは、ライダーをはじめ新メンバーが何人か加わったチームが、すでに2008年シーズンに向けて円滑に動き出している事を伝えている。

「バレンシアのレースから今日までの成果に満足してシーズンを終える事ができます」とバルトレミー。

「新しいメンバーたちも既存の組織に問題なく溶け込む事ができているようですし、すでにここでも彼らの経験が活かされつつあります」

「それにジョン・ホプキンスの加入による効果も大きいですよ。彼の情報提供は大変に正確ですし、おかげでエンジニアたちの開発の方向性も非常に明確になりました。彼はNinja ZX-RRに飛び乗ってからすぐに、それほど根本的な部分ではない小さな個所の改良を何点か要求していますが、おかげでエンジニアたちはマシンを彼の望む形に改善していく上で明確に分野を絞って作業を進める事ができます」

「また、ジョンとのこの1ヶ月間の作業成果は、私たちのMotoGPマシンでの最初の冬季テストに備えているアンソニーのためにも役立つ筈です」

「今年はチームの全員が素晴らしく高い意欲を見せつけてきましたので、今日からの6週間の休暇が彼らの充電期間となり、さらに高い意欲を持って来シーズンに戻ってきてくれる事を期待しています」

「今年のカワサキ・レーシング・チームにかかわってきた全ての方々に、深い感謝の気持ちを伝えたいと思います」


■ドゥカティー、最終日はセッティングに苦しむメランドリ1名

ケーシー・ストーナーが2日目に負った怪我のためにオーストラリアへ帰国したため、この日のドゥカティー・マルボロ・チームは、マルコ・メランドリの1名のみがテストを実施している。最終日のメランドリのタイムはレギュラー13人中の12番手だった。
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■メランドリ「ライディング・ポジションがまだ見つからない」

最終日もメランドリはマシンの感触を上げようと終日セッティングを調整しながら走り込んだが、楽に乗れるライディング・ポジションとベース・セッティングは最後まで定まらず、この作業は来年1月のセパンにまで持ち越される事となった。

今回のテスト・データを元に、ドゥカティーのファクトリー・スタッフが冬季テスト禁止期間中にマシンの改善作業を進め、より自分の走りに合うGP8が1月末には仕上がって来る事を、メランドリは期待している。

「今日も休む時間を惜しむ事なく、みんなですごく遅い時間まで一生懸命に頑張りました」とメランドリ。

「ただ、今のところまだ自分に最適と言えるライディング・ポジションが見つかっていませんので、バイクの性能を最大限に使い切れるほど楽な乗り方はできていません」

「セッティングには多くの変更を施しましたが、コーナーの進入でバイクの挙動が良くなると代わりに脱出時の挙動が悪化したり、その逆もまた同じです。タイヤのテストをあまり多くできていないのはそれが理由ですし、やっても正しい情報を返す事ができなかったんです」

「いずれにしても、自分のメカニックには有益な情報をいくらか提供できましたので、1月にテストを再開する時にはバイクの感触をもっと良くできると思っています」

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