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2007年11月19日
MotoGP2008年シーズンに向けての2度目の冬季テストが、マレーシアのセパン・サーキットにおいて3日間の日程を11月17日に全て終えている。ここでは、セパン冬季テスト初日の内容に引き続き、2日目と最終日のテスト結果と各チームの作業内容などを紹介する。
■高橋選手、昨年のバレンシアの怪我の手術は無事に成功
セパン冬季テスト2日目の11月16日、2008年シーズンはJiRチーム・スコットから4年目のグランプリ250ccクラスへの参戦を果たす高橋裕紀選手が、日本での手術を終えて無事に退院している。
高橋裕紀選手は1年前となる2006年シーズン最終戦のバレンシアの転倒において右足を数箇所骨折する大きな怪我を負っており、2007年シーズンはその怪我の影響により苦しいシーズンを送る事になったが、今回高橋選手は転倒当時の手術で埋め込んだ金属ピンを右足から取り出す手術を日本で受け、この手術が無事に成功して11月16日に退院した事を、JiRチーム・スコットは同日に発表した。
チームは高橋選手に対して「ユーキの全快を祈る!」とのメッセージを送っており、高橋選手がグランプリ初優勝を見せた2006年の好調な走りを、2008年シーズンにも再び披露してくれる事への期待感を示している様子だ。
■セパン冬季テスト2日目の内容
セパン冬季テストの初日となった11月15日はあいにくの豪雨となり、数時間程度しかドライ路面に恵まれなかったが、2日目の16日は前日の雨の影響により午前の路面は水浸し状態だったものの、正午前に晴れ間が見えてから路面が乾きだし、午後から各チームのライダーは本格的にコースに出て初日の雨に中断された作業を再開している。
■2日目以降も参加ライダーの顔ぶれは初日と同じ
2日目以降の参加レギュラー・ライダーも初日と変わりはなく、レプソル・ホンダからはニッキー・ヘイデンの1名、フィアット・ヤマハからはホルヘ・ロレンソの1名、リズラ・スズキからはクリス・バーミューレンとロリス・カピロッシの2名、カワサキからはジョン・ホプキンスとアンソニー・ウエストの2名、JiRチーム・スコットからはアンドレア・ドヴィツィオーゾの1名、ホンダLCRからはランディー・ド・ピュニエの1名、TECH3ヤマハからはコーリン・エドワーズとジェームス・トーズランドの2名という7チームの合計10名。
■目立った転倒者や怪我人はいないがコブラが重傷
1日目は湿った路面にフロントを取られて合計4名のライダーが無傷の軽い転倒を喫しているが、2日目は特に大きな転倒や怪我人はなく、昨年のフィリップ・アイランドでのカモメに続き、蛇のコブラが一匹大変な事になっただけだった。
■ヘイデン「必死で避けたのに・・・」
2日目の午後、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは11コーナーに差し掛かったところでコース上に蛇を一匹確認し、慌ててそれを避けようとしたが、時すでに遅かったという。高速走行するヘイデンのひざに衝突したその蛇は、一瞬にして姿が見えなくなった様子だ。
「蛇をすごい勢いで跳ねてしまったのがかわいそうでした」とヘイデン。
「11コーナーに入るところで蛇が頭を持ち上げる瞬間は見えたんですが、もうコーナリングの最中だったんです。それでもマシンを持ち上げて避けようとはしたんですが、結局ひざでうまくとらえてしまいました。あれは絶対コブラです。気の毒な事をしました」
なお、これについてレプソル・ホンダ・チームは「最終日のヘイデンの進歩の状況をコブラに見てもらえなくて残念」と、2日目のテスト内容発表時につけ加えている。
■セパン冬季テスト2日目のタイム
以下に、気温は30度、午後から徐々にドライの路面が得られた11月16日のセパン・サーキットで行われたMotoGPクラス冬季テスト2日目の走行結果を、各ライダーの当日の自己ベスト順に示す。
1) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒200(63周)
2) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒344(70周)
3) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 2分02秒550(81周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 2分02秒591(57周)
5) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒698(65周)
6) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分02秒800(65周)
7) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分02秒831(52周)
8) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分03秒093(71周)
9) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 2分04秒021(48周)
10) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分04秒278(60周)
セパンのサーキットレコード(800cc)は2007年にケーシー・ストーナーが記録した2分02秒108、セパンのベストラップレコード(990cc)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した2分00秒605。
■2日目のトップタイムはカワサキのホプキンス
この日のトップタイムは、カワサキに移籍して通算4日目の走行となるこの日にマシンを自分のライディング・スタイル近づける事ができたというジョン・ホプキンスだった。
■独特のライディング・スタイルにマシンを合わせたカワサキ
前回のバレンシア冬季テストはでチャタリングに苦しんだホプキンスだが、カワサキのスタッフは短期間にクラッチ、エンジン部品、シャシーをホプキンスのライディング・スタイルに合うように変更したマシンを今回のセパンには持ち込んでおり、ドライ路面でセパンを走行したホプキンスは問題が大きく解消した事をチームに伝えている。
■落ち込むウエスト
なお、ベース・セッティングなどの基本的な部分をこの冬季テスト中に見直そうとしているチームメイトであるアンソニー・ウエストは、カワサキの発表によればホプキンスとのタイム差には若干落ち込んでいるようだ。
■今年のマシン開発も前倒し的に好調なリズラ・スズキ
カワサキのホプキンスに次ぐ2番手につけたのは、その元チームメイトと同じくブリヂストンタイヤを履くリズラ・スズキのクリス・バーミューレンだった。バーミューレンは初日に引き続きこの日も2008年型のプロトタイプで走行しており、その新型マシンで今シーズンのマレーシアGPでのレースタイムを0.6秒縮めている。
また、バーミューレンの新チームメイトであるロリス・カピロッシはこの日から初めて本格的な2008年型マシンでのテストを開始し、いきなりマシンに好感触を示して初日のタイムを1秒縮める2日目の5番手タイムを記録した。
■ミシュランは今回のセパンから新型タイヤを投入
雨のために初日はあまりどのチームもスリックタイヤのテストができていないが、2日目の午後にミシュランは2008年シーズンに向けての新型タイヤを提供しており、これを試したミシュランユーザーの多くはフロントタイヤに以前よりも好感触が得られるようになったと述べている。
■ミシュラン・ユーザーの中で常に好調のド・ピュニエ
そのミシュランユーザーの中で、初日のトップタイムに引き続き特に好調なのが、2日目の3番手タイムを記録したホンダLCRのランディ・ド・ピュニエだ。2008年に向けてのオーリンズの新型サスペンションとミシュランの新型タイヤ(コンパウンドとコンストラクションの両方)を組み合わせて20周回のロングランを試したというド・ピュニエは、この日もホンダ・ミシュランのパッケージへの高い順応性を見せて初日の自己ベストを0.8秒更新している。
「午後の暑い時間帯に81周も走ったので疲れました。レースタイヤを4種類試して、その内の1本がすごく気に入っていて2分2秒5から2分2秒8のタイムを何回も記録しています」とド・ピュニエ。
「今日のベストラップは最新型のミシュランタイヤで記録していますが、昨日よりもタイムが0.5秒も良くなりました。ホンダのマシンでオーリンズのサスペンションをテストしたのは今回が初めてですが、感触がとても良くて速く走れるセッティングも見つかっています」
「トラクション・コントロールの機能レベルを減らして、もっとブレーキングの時の安定性を高められるようなエンジン・マッピングの調整も行っています」
「今回一番嬉しかったのは、多くの周回をこなしてもホンダのマシンは体力的に楽で、以前に乗っていたバイクよりも疲れにくい事です」
■まだエンジン・パワーが不足気味のホンダワークス
ホンダ・ミシュランの先輩として、2日目はド・ピュニエに前を譲る結果となったレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンは、初日に引き続き最初は2007年型マシンで走行し、そこで1日目の自己ベストを1秒更新してこの日の5番手タイムを記録している。
■ヘイデン「新品のマシンに課題はあって当然」
2007年型マシンのエンジン特性のデータを十分に収集できたヘイデンは、続いて2008年型プロトタイプのRC212Vに乗り換え、2007年型エンジンとの比較検証に必要なデータを午後のドライ路面で大量に収集する事ができたとしているが、新型エンジンのパワーについてはまだ若干不足気味だという。
「全体的に今日はすごく満足できましたし、順調でしたね」とこの日は5番手のヘイデン。
「今日も路面が乾くまで3時間も待ったので、コースをあまり有効に使う事ができませんでしたが、結果的にはとてもいい1日だったと思います」
「最初は2007年型マシンで走り何点か新しい事を確認しました、その時の周回はあまり多くありませんが、今シーズンよりも1秒速く走れたのでかなりの励みになりましたね。」
「その後、午後の大半は2008年型マシンで走り、エンジン・マッピングの調整とかミシュランのフロントタイヤの何本かをテストしました。まだ少しパワーに不足感はありますが、チームも一緒に学習を進めている段階ですから、出来上がったばかりの新品のマシンに色々難しい点はあって当然ですよ」
「バレンシアのテストは僅か1週間前の話ですし、今回もまだ色々と作業は大変だろうと全員が覚悟してきましたが、今日を見る限りではあれからかなりの進歩が得られていると思います。午後に2007年型マシンとほぼ同じタイムが出せた事はかなりいい兆候ですしね」
■250ccマシンからの乗り換えにやや苦戦気味のルーキー
前回のバレンシア冬季テストと今回の初日に引き続き、250ccクラスからのステップアップ組であるフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソとJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、この2日目も4ストロークマシンに特有のエンジン・ブレーキやスリッパー・クラッチの調整に若干苦しんでいる様子だ。
昨年の250cc出身のMotoGPルーキーだったペドロサなどは、初のMotoGPクラスでの冬季テスト中はマシン特性の違いよりも体力面での違いを大きな課題として述べる場面が多かったが、2008年のルーキーたちはブレーキまわりの調整や電子制御システムの分野に関しての250ccマシンとの違いを大きく意識したコメントが目立つようだ。
■ドヴィツィオーゾ「250ccに比べてセッティングが難しい」
この日はフロントまわりのセッティングを変更し、その結果フロントタイヤの挙動を初日よりも把握しやすくなったというアンドレア・ドヴィツィオーゾは、250ccマシンからの乗り換えの難しさについて2日目のテスト終了後に以下の通りコメントしている。
「引き続き今日もRC212Vに慣れる事に集中し、理解が深まりました。ただ、250ccマシンに比べてやはりまだセッティングが難しく感じます。4ストローク800ccマシンの一番大きく異なる点はエンジン・ブレーキですが、250ccの2ストロークマシンではあまり意識しない部分ですからね!」とドヴィツィオーゾ。
「この部分がコーナー進入時の走りに影響が出てしまっています。それでもコーナー中央のを抜ける時のスピードは十分に速いんですけどね。いずれにしてもタイムが全てを表していますから、今晩はチームとしっかりデータを分析してもっとタイムが上げられないか検討します」
「コーナーの中央から脱出にかけては250ccマシンよりも電子制御システムのおかげで800ccマシンの方が楽です。セッティングにいくらか調整を加えて新しいミシュランタイヤを試した後はホンダのマシンのフロントまわりの感触がどんどん良くなってきていますから、今回はそれが重要だったと思います」
なお、ドヴィツィオーゾは慣れないMotoGPマシンのセッティングには苦戦していると述べながらも、初日と同じく2日目も10人中の4番手につけており、マシンのセッティングの方向性自体は決して悪くはないとチーム関係者はコメントしている。
■ロレンソ「フロントまわりの感触は良くなってきている」
また、ライディング・スタイルをMotoGPクラスに合わせて変更していく必要があると述べるホルヘ・ロレンソは、2日目は6時間をほぼ休みなく走り、その中で2008年型マシンを少し試すなどして体力的には疲れたとコメントした。
「今日はかなり忙しかったので、この暑さの中での6時間走行は正直本当に疲れましたね!セッティングの面で新しい事をたくさん試したおかげで、多くの分野で色々な進展が得られました」とロレンソ
「ただ、まだブレーキング時の問題は残っていますし、フロントまわりにはあまりいい感触が得られていません。この分野も改善は進みましたが、まだやるべき事は多く残っています。まだまだ学習する事だらけですし、自分のライディング・スタイルも何ヶ所か変えていく必要がありますからね」
「少しだけ2008年型のマシンでも今日は周回しました。ほんの少しの走行距離でしたが楽しかったですよ。感触はかなり良かったです」
「今一番重要な事はフロントまわりの感触が徐々に良くなってきている事ですから、明日も頑張りたいと思います。明日は1日を通してドライ路面に恵まれたいですね。最終日をいい1日にしたいです」
■セパン冬季テスト3日目の内容
セパン冬季テスト3日目の最終日となった11月17日、この日は前日までの不安定な天候とは異なりやっと終日の晴天に恵まれ、前日までの天候にややフラストレーションを感じていた各チームのライダーは、心おきなく熱帯のドライ路面を終日楽しんだようだ。
■3日目の転倒者や怪我人の情報
この日は初日と同じく4名の転倒者が出ている。昼食後の午後1時頃にホンダLCRのランディ・ド・ピュニエ、夕方のセッション終盤にはカワサキのジョン・ホプキンスとアンソニー・ウエスト、およびリズラ・スズキのクリス・バーミューレンなどが切り傷や打撲などを負う転倒を喫した。
夕方に転倒した3名の怪我は特に深刻なものではないが、昼過ぎに転倒したド・ピュニエはやや痛みが激しいようだ。ド・ピュニエは7コーナーでフロントを滑らせて転倒した際に右手の親指を強打しており、治療を受けた後は夕方まで走行は続けているものの、ヨーロッパに戻ってからは骨などに異常がないかを再検査する模様だ。
■セパン冬季テスト3日目のタイム
以下に、終日のドライ・セッションとなり、気温は2日目よりもやや低めだったものの路面温度は55度にまで達した11月17日のセパン・サーキットで行われたMotoGPクラス冬季テスト3日目最終日の走行結果を、各ライダーの当日の自己ベスト順に示す。
1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ RC212V 2分00秒592(85周) ※予選タイヤ
2) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分01秒811(45周)
3) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒047(46周)
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 2分02秒128(54周)
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒447(62周)
6) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒587(72周)
7) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ YZR-M1 2分02秒643(83周) ※予選タイヤ
8) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒659(74周)
9) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 2分02秒700(60周)
10) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ YZR-M1 2分03秒044 ※レースタイヤ
11) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分03秒550(53周)
セパンのサーキットレコード(800cc)は2007年にケーシー・ストーナーが記録した2分02秒108、セパンのベストラップレコード(990cc)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した2分00秒605。
■コブラに見せたかったトップタイム
コブラに見せたかったという最終日のトップタイムは、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが予選タイヤで記録した2分00秒592だった。
■990ccと800ccのセパンでの公式ベストラップを上回ったヘイデン
ヘイデンは午前中に2007年型マシンに予選タイヤを装着して今回の自己ベストを記録しており、これはバレンティーノ・ロッシの持つ990ccマシンにおけるセパンのベストラップ(予選タイヤ)である2分00秒605を0.013秒更新、およびダニ・ペドロサの持つ800ccマシンにおける最速ラップ(予選タイヤ)である2分01秒877を1.285秒更新している。
■ミシュランの新型タイヤが好調か
ヘイデンに次ぐ2番手には同じくミシュランを履くTECH3ヤマハのコーリン・エドワーズがつけており、セパンから新型タイヤを持ち込んだミシュランが最終日は好調と言える。また、冬季に吹き荒れる傾向が強いテキサス・トルネードは今回も勢いがありそうだ。
なお、ミシュラン勢の中でここまでに最も好調だったド・ピュニエは、昼の転倒で負傷した右手の痛みの影響により、最終日は2日目のタイムを更新できずに9番手で全ての走行を終えている。
■予選タイヤの使用が判明しているのはヘイデンとロレンソ
ヘイデンと同様にフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソも予選タイヤで最終日の自己ベストとなる7番手タイムを記録しているが、その他のライダーは基本的には最後までレースタイヤを使用した様子だ。
■3日間の総合タイムと総合順位
セパン冬季テスト3日間の総合結果は以下の通りとなる。
1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分00秒592 ※予選タイヤ
2) コーリン・エドワーズ USA ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分01秒811
3) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒047
4) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiR・チーム・スコット RC212V 2分02秒128
5) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒344
6) ランディ・ド・ピュニエ FRA ホンダ・LCR RC212V 2分02秒550
7) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分02秒587
8) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 2分02秒643 ※予選タイヤ
9) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒659
10) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分03秒550
■最終日の各チームの概況とコメント
以下に、最終日のテストを終えてセパンでのテスト内容を公式発表した各チームの概況、およびコメントなどを紹介する。
■レプソル・ホンダ、2008年型RC212Vの開発に向けて好調
最終日にセパン冬季テストの総合トップタイムを記録したニッキー・ヘイデンは、この日は午前に2007年型マシンで22周回を走行、続いて2008年型マシンに乗り換えてテスト終了時刻までに63周回を走行しながら、エンジン・マッピングと電子制御関係の調整、ならびにミシュランの新型レースタイヤのテストを行い、HRCに2008年型マシン開発に向けての多くの有益な情報を提供できたようだ。
■ヘイデン「今日はスネーク・フリー!」
2007年マシンに別れを告げる前に最後の確認を行ったというヘイデンは、今回のテストを通して着実にマシンの改善が進み、今後の開発の方向性が明確になったとコメントしている。スネーク・フリーの素晴らしい天気だったとヘイデンは語る。
「全体を通していい最終日になりました。それにトップタイムを記録できて嬉しいですね」とヘイデン。
「2007年マシンにお別れを言う前の最後の作業として、今日は細部に渡り古いマシンの方のいくつかの点をチェックしました。リアに予選タイヤを装着して走りましたが、バイクの調子はものすごく良かったです。それに10月のグランプリの時よりも確実に今回は路面がきれいでしたし、路面温度もレースウイーク中に一番暑かった土曜日の予選の時よりも今朝の午前中の方がはるかに走りやすい条件でしたからね」
「今日はさらに2008年型マシンでも色んな事を試しています。主にエンジン・マッピングと電子制御まわりの作業でしたが、次のテストに合わせたシャシーの調整を行う前はタイヤも何本かテストしました」
「何もかも新しくなったマシンですから今後も山ほど作業があるのは分かっていますが、ここまでの何日間かは新しいマシンで走れてすごく嬉しかったですよ。着実に改善が進みましたし、今後の作業の方向性もしっかり見えていますからね」
「今日は天気も良くスネーク・フリー(蛇なし)の1日でしたから有り難かったです!これで家にも帰れますし、しばらく休息の時間が取れるのが楽しみですね。この6週間のうちに家には4日間しか帰れていませんでしたし、サンクスギビング(感謝祭)には兄のトミーの結婚式も控えていますから、今は家に戻れるのが嬉しいです」
■バレンシアテストの不調を一気に解消したカワサキ
ド・ピュニエのチーフ・メカニックを担当していたクリストフ・ブルギニョンがド・ピュニエと共にホンダLCRに移動した事から、昨シーズンは中野真矢選手、今シーズンはアンソニー・ウエストのチーフ・メカニックを担当していたフィオレンツォ・ファナリがジョン・ホプキンスのチーフ・メカニックに移るなど、メカニック部隊に大きな変動が見えるカワサキ・レーシング・チームは、今回のセパン冬季テストをホプキンスの総合3番手タイムで終えて十分に満足ができた様子だ。
ちなみに今シーズンにホンダLCRのチーフ・メカニックを務めていたラモン・フォルカダは現在フィアット・ヤマハに移ってホルヘ・ロレンソのチーフ・メカニックを担当している。
■ホプキンス「次回のヘレスでセッティングを完璧にする」
前回のバレンシア冬季テストではホプキンスのライディング・スタイルとNinja ZX-RRのマシン特性に合わない部分が何点か見つかったというカワサキ・レーシング・チームは、2日目の内容にも記した通り今回のセパンにはホプキンスのスタイルに合わせた改良パーツを投入しており、問題だったチャタリングがほぼ解消している。
この結果、ホプキンスはマシンのフロントまわりに自信が持てるようになり、今回はカワサキの過去のセパンでのレースタイムを上回って上機嫌だという。独特のライディング・スタイルをカワサキのマシンでも取れるようになったホプキンスは、次回のヘレス冬季テストでは、セッティングをより完璧な形に近づけたいと意気込んでいる。
■ウエスト「タイムアタックする時間がなくて残念」
一方、ホプキンスのチームメイトのアンソニー・ウエストは、今回のセパンではラップタイムを意識する事なく、シーズン中に一度も行う事ができなかったベースセッティングの見直しを試み、様々なセッティング・パラメーターをマシンに施して来期に向けての準備を進めているという。とは言うもののウエストは、本気でタイムアタックをする時間が今回取れなかった事については若干悔やんでいる様子だ。
「この3日間を通して速いラップタイムを出す事は今回意識していませんが、その代わりに多くの種類のセッティングを試す事に集中し、それらの調整内容がバイクの挙動にどう影響するのかをしっかり把握する事に時間を費やしました」とウエスト。
「これはすごく大切な作業ですし、今年の中盤から参加する事になったシーズンを通して自分にできていなかった事です。ただ、来シーズンを迎える上で今回の作業がいかに重要だったかは理解しているつもりなんですが、一回も本当の意味でのタイムアタックをする時間がなかった事にはちょっとがっかりしています。自分の中にあるレーサーの意地みたいな部分だとは思いますが」
「この3日間全体を通しての作業はすごく好調でした。新しいクルーたちとバイクの改善を大幅に進めようと頑張りましたし、作業は楽しかったです。ヘレスでNinja ZX-RRを走らせて事は一度もありませんが、速いラップタイムでシーズンを終える事ができれば嬉しいでしょうね。それを次の月末のテストの目標にしたいと思います」
■バルトレミー「開発がさらにもう一歩先に進む筈」
カワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは、まだカワサキに移籍して間もないホプキンスが、過去のカワサキ勢が記録したセパンでのラップタイムを上回った事を大変に喜んでいる。
「この3日間を全体を通して非常に満足できる結果が得られたと思います」とバルトレミー。
「ジョンはZX-RRではまだ2度目の走行にもかかわらず、すでにレースタイヤで私たちカワサキ勢が一度も出した事のない速いタイムを記録していますから、これは大変な励みになりましたね」
「彼はこのテストに対して非常に前向きな姿勢を絶えず示し、チームのクルーやカワサキのエンジニアに向けて多くの情報を提供してくれていますから、今年最後のヘレスでのテストに向けてマシンの開発はさらにもう一歩先に進む筈です」
「アンソニーもここではすばらしい作業をこなしています。彼のNinja ZX-RRに異なる多くのセッティングをいくつも試しており、その調整内容がマシンの感触にどう影響するかについて多くを学んだようです。これは彼の今後の走りに役立つ事でしょう」
「ただ、いかに今回のテストが好調だったといっても、自分たちの今後に幻想を抱いたりはしていません。今回のセパンがカワサキと相性のいいサーキットである事は理解しているつもりですから、こことは全くサーキットの特性が異なる次回のヘレスで、どのくらいの進歩が得られるかが楽しみですね」
■今後に向けての自信を深めるJiRチーム・スコット
バレンシアではややタイムの伸び悩みに苦しんだJiRチーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾは、最終日にも前日までのタイムを更新し、3日間連続となる4番手の好位置でセパンでの3日間のテストを終えた。
最終日のJiRチーム・スコットは、ドヴィツィオーゾのライディング・スタイル合うようにベースセッティングを最適化する事に務め、現在の課題としているエンジン・ブレーキまわりの調整を行ったとしている。また、同時にミシュランの様々なコンパウンドを試す中で、チームとミシュランのエンジニア間での相互理解はさらに深まり、着実にそれがラップタイムの改善に反映されていった様子だ。
■ドヴィツィオーゾ「バイクに自信が持てるようになった」
3日間を通してタイムシート上の4番手でセパン冬季テストを終えたドヴィツィオーゾは、最終日は多く走り込み疲れたが、MotoGPマシンでのライディングがどんどん楽しくなってきたとコメントしている。
「今日はすごく多くの周回数を走り込みましたが、250ccマシンよりもMotoGPマシンはやっぱり疲れますね!いずれにしても、この高温多湿の気象条件はトレーニングには最適ですし、この環境にも慣れていく必要があると思います」とドヴィツィオーゾ。
「走っていてどんどん楽しくなってきました。これはバイクに対する自信がついてきた証拠ですからいい兆候ですし、日に日に感触が良くなっています」
「まだホンダのマシン性能を完全に使えるようにするにはさらに理解を深めていく必要がありますし、山ほど作業は残っています。それにエンジン・ブレーキに早く慣れないといけませんね。でも、今回のテストではいい仕事ができましたから、自分もチームも満足して家に帰る事ができそうです」
■モンティロン「まだ重要ではない筈のラップタイムが良かった」
JiRチーム・スコットのディレクターを務めるジャンルカ・モンティロンは、今回のセパンではラップタイムも着実に改善され、一貫した進歩が見られたと以下の通りコメントしている。
「この3日間は新しいチームの体制を確立する事と、バイクの技術特性を評価する上で非常に重要なものとなりました」とモンティロン。
「非常に良い兆候と言えるのは、まだこの新しいバイクに乗り始めたばかりのアンドレアがきめ細かい情報を提供して、HRCとミシュラン、それにショーワ(SHOWA)の技術者たちを驚かせた事でしょう」
「まだこの初期段階においてラップタイムはそれほど重要ではない言ってきましたが、にもかかわらず、その点においても今回の私たちの進歩は安定していましたし、一貫性がありましたね」
「今重要な事は、今回の素晴らしいアンドレアの成長を11月27日からの3日間のヘレスでも継続させる事です。それが終われば2008年シーズンを前にしての最初の準備が整い、冬季休暇が得られる事になります」
■ベルティ「微妙な調整を繰り返していく事が重要」
JiRチーム・スコットのテクニカル・コーディネーターを務めるジャンニ・ベルティは、今回のテストはライダーとチームがMotoGPマシンの学習を進める上で非常に有益だったと以下の通りコメントした。
「アンドレにとってだけではなく、バイクへの自信をつける意味で今回のテストはチームにとっても大変に重要なものでした」
「アンドレアはコースに出る度に何か新しい発見をしていましたが、それが今回の冬季テストの一番の成果だと思います。私たちはまだMotoGPクラスの入り口に差し掛かったばかりの状況ですから、技術面での状況を深く分析するのには時期が早すぎるでしょうね」
「今日はライダーのライディング・スタイルに合う基本条件を探るために、タイヤテストを中心的に行いました」
「電子制御システムを調整する中で、それが走りに良い影響をもたらしている事が分かりましたし、非常に微妙な調整が有効なんだと思いました。ホンダのマシンはいいバイクなので、あまり大きなセッティングの変更は必要ないと信じていますし、細かな変更を加えていく事で改善は進む筈です」
■セパンの結果に大満足のリズラ・スズキ
リズラ・スズキ・チームは、この3日間の作業内容は大変に満足いくものだったとセパンの最終日に表明している。クリス・バーミューレンの最終日のタイムシート上の順位は5番手、ロリス・カピロッシはそれに次ぐ6番手だった。
■バーミューレン「バイクは大きく進歩している」
最終日の大半を2008年型プロトタイプの上で過ごしたバーミューレンは、来期のマシン開発に向けて必要な進化の方向性を探る上での判断材料を広範囲に渡り試したとしている。
「素晴らしい3日間をここセパンで過ごす事ができました」とバーミューレン。
「最初だけレースの時と同じセッティングを施した2007年型マシンで走りましたが、その後はずっと2008年型のプロトタイプマシンで作業しています。バイクの進歩はすごく大きいですよ。ロリスと話したら彼も同じような感想を述べていましたから、これは素晴らしい事だと思います」
「ここではすごく多くの事を試し、エンジン・マッピング、トラクション・コントロール、それにシャシーのセッティングや新しいオーリンズのサスペンションなどの調整を行いました。もちろんブリヂストンのタイヤテストもいっぱいしましたよ。忙しい3日間でしたが、今回得られた進展にはとにかく満足です」
「今日はロングランに集中しましたが、路面が一番熱くレースの時と同じくらいの高温だった午後2時頃には誰よりも長距離を走り込んでいたと思いますね。その時もバイクの調子は本当に良くてレースの時よりも速く走れていました」
■カピロッシ「全てが順調だったので驚いた」
また、チームメイトのロリス・カピロッシは、初日はスズキのマシン特性への理解をより深めるために2007年型マシンで走行し、2日目以降は2008年型プロトタイプを中心にテスト作業を行っている。この3日間でグリップがしっかり得られるようになったと述べるカピロッシは、一貫して2008年型マシンの走行時に2007年型マシンの時よりも速いタイムを連発する事ができた様子だ。
「今回のテスト内容にはすごく満足できています」とカピロッシ。
「かなりの周回数を走り込みましたが、走る度にバイクの感触はどんどん良くなりました。多くの種類の事をテストする中でバイクへの理解も深まりましたし、自分が速く走る上で何を重要視するかについてチームも理解してくれたと思います」
「コースに戻る度に色々違うセッティングやエンジン・マッピングを試しました。最終日にはかなり大きな改善点も見つかりましたが、それについて作業をする時間は残念ながらありませんでした」
「テスト全体を通してずっと好調でしたし、全てが順調だったので驚きましたね。冬季を通してこのまま頑張り続けますし、今はさらに多くの改善が見込めそうな次回のテストが楽しみです。作業が楽しいし、本当に面白いんですよ!」
■デニング監督「開幕戦までにさらに強くなる」
今回のセパンでは2008年型マシンの改善が飛躍的に進んだと述べるリズラ・スズキのチーム監督であるポール・デニングは、バーミューレンとカピロッシの2008年プロトタイプへの見解が一致している事から、スズキのマシンの開発の方向性は今後さらに明確化されるだろうと以下の通りコメントした。
「両方のライダーにとっていい3日間だったと思います。かなりの作業量をこなしましたが、2008年型GSV-Rの開発には飛躍的な進歩が得られました」とデニング監督。
「このテストを通して、クリスはレースタイヤで一貫して速いタイムを記録していましたし、今日は非常に暑くて湿度が高い中でのロングランも行いましたが、ここでのレース中のタイムを上回ったのは大変に良い兆候です。この結果は新しいバイクの開発の方向性が正しい事を示すものですからね」
「今回はロリスが2008年型マシンで走るのを見る事もできましたし、彼がチームに与えてくれる情報やコメントはほとんどクリスの内容と同じでしたから、これらのデータをスズキのスタッフが持ち帰れば正しい方向で改善を進めてくれる事は間違いないでしょう」
「まだ来シーズンが始まるまでの道のりが非常に長い事は分かっていますが、ここまでの2回の冬季テストを通して非常に好調ですから、このままの調子で前に進んでいく事ができれば、来年のカタールの開幕戦までには可能な限りの強さを発揮できるようになる筈ですよ!」
■ロレンソの学習を全力支援するフィアット・ヤマハ
好調だったバレンシアとは異なり、セパンでは3日間を通してタイムシート上の順位はあまり高くなかったフィアット・ヤマハ・チームだが、ホルヘ・ロレンソは最終日に2日目のタイムを約1秒更新しており、チームは現行マシンで改善できる範囲としては大きな進歩が得られたとの見解を示している。
■ロレンソ「先ずはMotoGPマシンに慣れる事が最重要課題」
最終日は予選タイヤで7番手、レースタイヤでは10番手を記録したホルヘ・ロレンソは、まだ課題は残るものの目標としてきたライディング・スタイルの変更は順調に進んでいるとして、以下の通りコメントしている。
「全体を通してこの3日間のテストには満足できています。大変な作業内容でしたが、毎日改善が進みましたし、特に今日はレースタイヤで昨日のタイムを1秒近く縮める事ができました」とロレンソ。
「テストを通して自分のライディング・スタイルを変える事に集中し、ブレーキを遅らせてアクセルを早めにするよう心がけてきましたが、データを見る限りでは非常に大きく進歩しています。まだまだ改善を進める必要はありますけどね。長い高速コーナーについては大丈夫ですが、低速コーナーでまだ少し問題があるんです」
「タイヤについてはあまり多くの作業をしていません。バレンシアの時と同様に違う種類のタイヤを1本試しただけですが、その時にはタイムが0.5秒縮まりました」
「今日は新しい方のバイクは試していませんが、昨日少しだけ乗る時間が得られたのは良かったと思います。今はMotoGPバイクに慣れる事が最重要課題ですから、本格的に新しいバイクで作業するのは1月以降です」
「楽しい3日間でした。進歩の状況にも満足ですし、今は次回のヘレスが楽しみです」
■ロマノーリ「マシンの乗りやすさを追求」
フィアット・ヤマハ・チームのミシュラン側のチーム・マネージャーを務めるダニエーレ・ロマノーリは、最終日はロレンソのライディング・ポジションを変更するなどしてマシンの乗りやすさに改善を加えたとしている。
「今回のテストで重要視したのは、ホルヘが可能な限り快適にバイクを操れるようにする上で役立つ情報をいかに多く収集するかでした」とロマノーリ。
「今回は彼のライディング・ポジションを少し後ろに下げたり、他にもいくつかの調整を加えていますが、今は新しいパーツがこれから供給されるのを待つ段階です。それらが届けば、彼のポジションをより良くする事ができるようになります」
「ホルヘのブレーキングポイントはかなり良くなりましたし、コーナー進入時の感触も改善されてきた様子です。ただ、今はまだ発展途中ですから、次回のテストでも同じ作業を続けていく予定です」
「非常に頑張って多くの周回数を走り込んでくれたホルヘとチームに感謝しています。今回のテストで行った内容の全てが今後の活動に役立ちます」
■中島雅彦ディレクター「シャシーセッティングに良い兆し」
ブリヂストンを使用するロッシとミシュランを使用するロレンソの両方のチームを統括するフィアット・ヤマハのチーム・ディレクターである中島雅彦氏は、最終日にはシャシーのセッティングに良い方向性が見つかり、有益なテストを終える事ができたとしている。
「いい天気のおかげで今日は非常にいいテストができました。ホルヘは多くの周回数を走り込みましたし、その間チームも大量に作業をこなしましたね。シャシーのセッティングにいい方向性が見つかったので、これはチームにとっても大変な励みになりました」と中島ディレクター。
「ホルヘとチームのクルー、それにヤマハのエンジニアの全員が一丸となって作業を進めましたから、開発の状況と学習の進み具合を正確に共有できていますので、次回のヘレスまでに進めておく作業の内容も大変に明確になりました」
「ここでは多くを学びましたし、チームにとって非常に有益なテストでした」
■ド・ピュニエ転倒の原因を分析するホンダLCR
前日までの2日間はミシュラン勢のトップタイムを維持していたホンダLCRのランディ・ド・ピュニエは、最終日には午後のセッション序盤に7コーナーで転倒して右手の親指にひどい打撲を負っており、それ以後は大きくタイムを更新する事なく2日目のタイムを更新できないままセパンでの全てのテストを終えた。
データ・レコーダーによれば、転倒前の周回と転倒時の周回のド・ピュニエのマシン操作に違いは一切なかったが、チームのメカニックが転倒の原因を調査した結果、摩耗したフロントタイヤとグリップのいいリアタイヤタイヤを組み合わせていた事により、フロント側に過度の荷重がかかってそのままタイヤが滑った可能性が高いと見ている。
なお、ド・ピュニエは治療後にはコースに復帰して最後までテストを継続しており、新しいオーリンズのサスペンションと新しいミシュランタイヤのテストを行ったとしている。
■ド・ピュニエ「新型マシンならさらに速く走れる筈」
冬季テストに入ってからも好調な走りを見せ続け、LCRに移籍できた事が本当に嬉しいと語るド・ピュニエは、ホンダの2008年型RC212Vが手に入ればさらにタイムは上げられるだろうと以下の通りコメントしている。
「今回のテストではとてもいい結果が得られたと思います」とド・ピュニエ。
「スロットルを開ける時にリアの接地感が若干不足気味だったので、今日はオーリンズのサスペンションを試してセッティングの最適化を図りました」
「他にもミシュランのタイヤを数多く検証しています。昨日はリアタイヤにいい進歩が得られていたので、今日はフロントタイヤに違う種類のコンパウンドをいくつか試しました」
「転んだ時は奇妙な感じでした。ブレーキングのタイミングもスピードもその前の周回と同じだったのにフロントが滑ったんです。午後には走行を続けましたが、最新型のレースタイヤだけで走り、予選タイヤは使っていません」
「ホンダLCRのマシンとミシュランで走ってまだ5日目ですが、LCRに移籍してきた事を本当に嬉しく思います。2008年型の新型RC212Vが手に入ればもっと速く走れる事も間違いありませんしね」
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