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2007年7月12日
多くのホンダのサテライト勢と同様に、2007年MotoGPシーズンの前半戦を通してホンダの新型800ccマシンであるRC212Vのセッティングに苦しみ続けたコニカミノルタ・ホンダチームは、低速のサーキットとして有名なザクセンリンクでの戦いとなる今週末のドイツGPにはトップ10入りの可能性を見出している。
■中野選手が好感触を抱くザクセンリンク
チームが期待を抱く理由は、ライダーである中野真矢選手のザクセンリンク・サーキットとの相性だ。ドイツGPの舞台となるザクセンリンクは、中野選手が2001年の最高峰クラスデビューイヤーにヤマハのYZR500で初の表彰台を獲得し、その年のルーキー・オブ・ザ・イヤーとなるランキング5位を決定付けた中野選手にとっての思い出の場所であり、得意とするサーキットだ。
■マシンに大きな改善が得られないまま突入する後半戦
2007年MotoGPシーズンの半分を終えての総合ランキングは15位、全6台のホンダ勢の中では6位という、シーズン序盤の期待からは予想もつかなかった苦しいホンダ移籍1年目をすごしている中野選手だが、ランキングの同じ位置で争うホンダLCRのカルロス・チェカと同様に、チームがデータ分析を要請したHRCからは現状のマシンのセッティングに関する抜本的と言える改善策はここまでに得られていない様子だ。
■当面はミシュランの協力に期待、抜本改善は夏休み以降?
毎レースごとに改善は進んでいるものの、フロントのチャタリングが解消しにくく、コーナリングの難しいマシンのまま、今週末のドイツGPからの後半戦に突入する事になったコニカミノルタ・ホンダチームは、当面はシーズンの前半戦と同じくミシュランと密接に協力し、少しでも中野選手の希望の走りができるマシンに近づけるべく、各レースウイークごとにミシュランがチームに向けて用意した新しいタイヤのテストを続ける構えだとしている。
■希望はワークスチームが検証中の新型パーツ
なお、現在のチームがシーズン後半戦に向けて最も希望を抱いている点は、シーズン序盤からホンダの今期800ccマシンとの相性に苦しんでいたホンダのワークスチームであるレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが、新型シャシーを投入後に前回のアッセンで表彰台に返り咲いた事のようだ。
時期は不明だが、後半戦のどこかでサテライト勢に投入されるであろう新型パーツにコニカミノルタ・ホンダチームは大きな期待を抱いており、それまではできる限り多くのポイントを毎回のグランプリで獲得しながら、現在の苦しい時期を乗り切ろうとしている。
■モンティロン「来期交渉の前にいい結果を残したい」
コニカミノルタ・ホンダのチーム・オーナーであるジャンルカ・モンティロンは、現在の苦しい戦いは、パッケージ全体の改善が抜本的に進む前の一時的なものである事を、スポンサーやパートナーに訴えている。
またモンティロンは、スポンサーとの来期交渉が活発化する夏休みの直前、すなわち今週末からのドイツとアメリカの2連戦中に、できる限り大きな改善を進めておきたいとコメントした。
「新しい800ccマシンで戦うMotoGPのレースは毎回が新しい挑戦です。」とモンティロン。
「ザクセンリンクは非常にレースが白熱するサーキットです。ライダーの走りが戦いに大きな影響を与える場所ですから、私たちはここでも再びラップタイム争いや予選などで、かなりの接近戦を見る事になると思います。」
「以前にも申し上げました通り、現在の私たちは移り変わりの過程の中にありますが、チームのテクニカル・パートナーであるミシュランは新製品を開発するなどして非常に頑張ってくれていますので、それらが前回のアッセンでのチームの改善状況と合わさる事で、ここでの良い結果につながるでしょう。」
「良い天気に恵まれ、シンヤとチームがレースウイーク中のできるだけ早い時期にベースセッティングを仕上げられるように祈りたいと思います。スポンサーやパートナー企業との2008年シーズンについての交渉が夏休みには始まりますから、その直前となるこの2連戦の間に、大きく改善を進めておきたいところです。」
■中野選手「ドイツへの好印象をレースの結果につなげたい」
チームのためにも自分のためにも、今回の得意のドイツでいい結果を残しておきたいとする中野真矢選手は、最近のレースウイーク中に苦しめられた不安定な気象条件に今週末は見舞われない事を祈っている。
「チームの誰もが自分と同様にザクセンリンクでの好成績を望んでいる事は間違いありませんし、その望みを達成するのが今回の目標です」と中野選手。
「期待が持てるのは、ここは自分にとってすごく楽しめるコースレイアウトだという事です。あまり高速なサーキットではありませんが、面白いコーナーがいくつもありますし、去年の順位や2001年の表彰台など、過去にいい成績を残した場所でもありますからね。この好印象が今週のチームのいい結果につながればいいなと思っています。」
「ここ最近はレースがあまりいい天候に恵まれていませんし、コンディションもウェットからドライに変化するなど不安定でしたので、今回はレースウイークを通して安定したいい気象条件に恵まれるように祈っています。」
■ベルナルデッレ「トップ10入りが可能になる筈」
チームの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは、中野選手がドイツを得意とする事と、ここまでの地道なチームのセッティング改善状況とミシュランタイヤの協力を持ってすれば、ザクセンリンクではトップ10入りが狙えるとしており、それを今週末の目標としたいと語った。
「ザクセンリンクは決してパワー・サーキットではありませんが、丘の高い位置にあるメインストレートやコントロール・ライン付近では余裕のあるエンジンパワーが有効なんです!」とベルナルデッレ。
「コースの中で最も重要なのは、マシンを長時間傾けっぱなしにするいくつかのロングコーナーです。これはこのサーキット独特の特徴と言えるでしょうね。」
「今回非常に期待が持てる点は、以前の500ccマシンとMotoGPマシンの両方で、シンヤがこのサーキットでは常に楽しんでいい結果を残してきた事です。それに前回のアッセンではチームも一貫性の面でいくつか改善成果を得られましたし、さらにミシュランもシンヤのライディング・スタイルに合わせた開発をさらに進めていますから、これらの要素がここでのトップ10入りを可能にしてくれる筈です。それが今週の私たちの目標です。」
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