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2007年6月1日
レースは完走できなかったものの、昨年のオーストラリア以来となるレースでトップに立ちリードを取るという目覚ましい活躍を前回のルマンで見せたカワサキ・レーシング・チームは、昨年はロングストレートでのトップスピードの足り無さに苦しんだイタリアのムジェロ・サーキットに、今年はブリヂストンタイヤとエンジンの性能にも大きな自信が持てるNinja ZX-RRと共に戻ってきた。

■ド・ピュニエの肩の負傷は完治
雨が本格的に降り出す前の母国フランスでの前回のレースにおいて、6ラップ目から7ラップ目にかけてトップのバレンティーノ・ロッシを交わして先頭に立ち、9ラップ目までは激しい走りでレースをリードしたものの、ウェット用マシンへの乗り換え直前に転倒して右肩を負傷したランディー・ド・ピュニエは、すでに医師の治療により完全な状態に肩の具合は回復しているという。

ド・ピュニエは本日から開催されるイタリアGPでも、前回のルマンと同様の攻めの姿勢でレースに挑み、今回は完走して自身最高位を狙おうとしている。
■右腕の筋力がほぼ元に戻ったジャックは予定通りムジェロから復帰
また今回のムジェロより、中国GP初日の午前のセッションで右腕を負傷し、その次戦となった前回のルマンを欠場していたオリビエ・ジャックも、激しいトレーニングの末に右腕の筋力を回復して予定通りレースに復帰する事が決定している。
■雨天のルマンが走りたかったジャック

2005年にはカワサキの代役ライダーとして出場した雨の中国で2位表彰台を獲得しているオリビエ・ジャックは、得意のウェット・コンディションとなった前回の母国GPをテレビで観戦する事になった事態を大変に残念がっているが、今週末のムジェロは雨になりそうな気配もあり、もしかすれば、彼にとっては恵みの雨となるのかもしれない。
■パワーサーキットにも自信を持って戦える今期のZX-RR
いずれにしてもカワサキ・レーシング・チームは、パワーサーキットであり、且つテクニカル・サーキットのムジェロでこそ、中国から投入した改良型Ninja ZX-RRは本領を発揮すると考えており、高いセッティング能力も要求される今回のサーキットではチームの総合力を示す事に高い意欲を燃やしている。

■ルマン翌日のテスト欠場も特に影響なし
ルマン翌日の2日間のテストはド・ピュニエの右肩の治療のためにキャンセルしており、今回のムジェロに向けてのタイヤ調査やセッティングの事前シミュレーションができていないカワサキ・レーシング・チームだが、ルマンでは実際にド・ピュニエがレース序盤の走りで示したように、レースウイーク中の限られた時間の中、高い仕上がりのセッティングを完成させていた。また、タイヤについてもブリヂストンの今期の仕上がり状況からすれば、ムジェロでも心配はいらないといった様子だ。
本日からのグランプリがいかなる天候になろうとも、今年のカワサキはムジェロにも自信を持ってレースに挑む事になりそうだ。
■ド・ピュニエ「今年のバイクはムジェロでも大丈夫」
昨年はフェアリングの空力特性の改良でムジェロに挑んだが、レースではあまりその効果が得られなかったという経験を持つランディー・ド・ピュニエは、中国GPから投入された改良型Ninja ZX-RRであれば、ムジェロで必要とされるハンドリング性能およびトップスピードの面でも、申し分ない威力が発揮できると考えている。

「ルマンでの転倒は本当に残念でした。」とド・ピュニエ。
「自分のホームグランプリではいい成績を残す自信がありましたし、レースをリードする事もできましたが、最後まで走りきる事ができませんでした。さらに転倒の影響で右肩を痛めてしまい、翌日からの2日間のテストにも参加できなかったんです。」
「医師と物理療法士の方々のおかげで、今はほぼ完全と言える状態にまで回復しました。金曜日にバイクに乗った時に具合を再確認する必要はありますが、走る上で特に問題は生じないと思います。」
「ムジェロは年間シーズンの中でも最高のレースができる場所です。雰囲気も最高ですしね。ファンの応援を全身で感じる事ができますし、コースレイアウトもすごく刺激的です。」
「去年はバイクの状態は悪くなかったんですが、トップスピードが足りない状態でした。ムジェロでは高いトップスピードといいハンドリングのバイクがすごく重要ですが、今年のNinja ZX-RRはそのどちらの要求も満たしていると思います。」
「その他にはブレーキング時の安定性も重要です。特に高速のメインストレートの直後の部分です。」
「ルマンではテストの機会を逃しましたが、タイヤに関してはそれほど難しい部類のサーキットではありませんし、すごく頑張ってくれてくれているブリヂストンを信じています。」
「ムジェロではいいレースをする自信があります。もちろん、金曜日からのレースウイークを通してすごく頑張らなければいけませんけどね。今回の目標もトップ8以内の完走ですが、自分的にはイスタンブールと中国よりもいい成績が狙いたいです。」
■ジャック「雨は得意だったのに・・・」
ホーム・グランプリを欠場するという辛抱の甲斐があり、中国での大怪我から1戦のみの欠場でレースに復帰する事になったオリビエ・ジャックは、先週に右腕の抜糸を済ませて以来、筋力回復のために集中トレーニングに時間を費やしてきたという。
「ムジェロに水曜日に到着するのが楽しみです。」とジャック。
「ルマンは自分のホームグランプリでしたから、右腕の怪我で欠場する事になり本当に辛い思いをしましたが、物理的にどうしてもレースは不可能な状態でした。」
「状況はテレビで見ていましたが、カワサキ・レーシング・チームがプラクティスの間中ずっといい走りを見せているのを誇りに思いました。予選もレースの序盤もそうです。ただ、その一方で本当にがっかりもしていました。ああいう路面条件は自分にとって大好きな分野ですからね!それにいい結果を残すチャンスだったランディーがすごく気の毒でした。」
「いずれにしても、これでまたバイクに乗る事ができます。腕の抜糸が先週済みましたので、それからは物理療法士の方の集中メニューに従い、トレーニングに真剣に励んできました。腕の力は回復してきていますし、まだ動きが固い状態ですが、ほぼ完全な状態にまで腕を伸ばす事ができるようにもなっています。MotoGPバイクで走るのには十分な体調ですよ。」
「Ninja ZX-RRはここまでに力を発揮していますし、ブリヂストンタイヤはシーズンの序盤からすごい強さを見せつけていますので、今度は自分が大好きなムジェロのコースで頑張る時です。あのサーキットは素晴らしい場所にあって雰囲気も最高ですし、コースレイアウトはすごいの一言です。」
「高速で長いカーブがあり、上り下りの高低差やブレーキングの要求されるコーナーもありと、今週はいったい何が起きるか予想もつかないくらいですが、全てのプラクティスを通して休まずに働き、自信とスピードを取り戻してから万全な状態でレースに挑みたいと思います。」
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