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2007年5月31日
冬季シーズン中からホンダRC212Vのセッティングに苦しむコニカミノルタ・ホンダにとって、明日の6月1日から開催されるイタリアGPはチームのホームグランプリだ。
■チームの本拠地に戻ったコニカミノルタ・ホンダ
チャタリングの問題などフロントまわりの好感触が得られずに苦しみ、800ccマシンでは不可欠となるコーナリング中のスピードを十分に確保できないままの状況で厳しいシーズンの3分の1を過ごす事になる中野真矢選手は、チームの本拠地があるイタリアでは、最大限の力を発揮して、チームのために好成績を残したいとしている。
■2003年に中野選手はミシュランタイヤで1列目を獲得
イタリアGPの舞台となるムジェロは、2003年の予選結果を見れば、中野選手にとっては相性の悪くないサーキットと言えるだろう。中野選手の所属していたダンティーン・ヤマハのみが実質のヤマハのサテライトであり、その他のヤマハ勢の全てがワークスおよび準ワークスとしてのサポートを受けていたと言われた当時のムジェロの予選で、中野選手は全てのヤマハ勢の中でのトップタイムを叩き出し、強豪の地元勢に割って入る1列目の3番グリッドを獲得している。
この時のポールポジションはレプソル・ホンダのバレンティーノ・ロッシ、2番グリッドはドゥカティーのロリス・カピロッシ、3番手の中野選手に次ぐ4番グリッドはキャメル・プラマック・ポンスに所属する地元の強豪マックス・ビアッジだった。
ちなみに、2001年の年間ランキング5位につけた最高峰クラスデビューからこの2003年当時の中野選手のタイヤは現在と同じくミシュランであり、当時も今も彼のスムーズなライディング・スタイルは基本的に変わりはない。
■2004年は悪夢のタイヤバースト事件
翌年にカワサキに移籍した2004年のムジェロでは、中野選手は悪名高いレース中のホームストレートでの時速280キロにおけるタイヤのバースト事件に遭遇するが、特にこの時の記憶がムジェロへの苦手意識として残る事はなく、今でも中野選手はムジェロには好感触を示しているようだ。
■ミシュランに期待するコニカミノルタ・ホンダ
ここまでにセッティングをHRCと共にゼロから見直し、結局トルコ以前の状態に戻すという結論に至ったコニカミノルタ・ホンダチームは、ライダーを含めたチームの全ての総合力が試される高速でテクニカルなムジェロ・サーキットにおいて、新たにミシュランから提供されるタイヤに現在は大きな期待を寄せている。
今回のムジェロはその次戦となるカタルーニャとコース特性が似ているため、ムジェロで好感触が得られた場合には、今後のレースにも期待が持てるという。
■現時点におけるチームの最重点課題は綿密な情報連携
また、チームが現在の最重点事項としているのは、HRCやミシュランとの綿密な情報連携であり、それが今後のパッケージ改善に向けての最優先課題だとスタッフは考えているようだ。
■モンティロン「プレッシャーを感じる」
コニカミノルタ・ホンダのチームオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、スポンサーなど多くのゲストが現場で観戦するイタリアの地元のレースはより緊張感が高いとコメントしている。
「ムジェロは自分たちにとってはホームグランプリですから、高成績の獲得に向けて、意欲はさらに高まっています。」とモンティロン。
「今週はスポンサーの方々など多くのゲストが見に来ますから、イタリアGPの雰囲気はいつもよりもさらにプレッシャーを感じるものになるでしょうね。」
「ここのコースは非常にテクニカルですし、異なる種類のコーナーが目白押しですから、いいラップタイムを得るためには、ライダーは全ての区間で最高の走行ラインを探さなければなりません。」
「もしシンヤ(中野選手)がムジェロで安定した走りを見せる事ができれば、私たちの次戦での調子にも期待が持てます。カタルーニャのサーキットはこことは非常に良く似た特性を持っていますからね。」
「フランスGPの後、私たちのレーシング部門はチームのスタッフとミーティングの場を設け、レースウイーク中の成績を高める事を目的とした検証作業を行いました。現段階において必要なのは、より詳細な情報を私たちの技術パートナー(ホンダやミシュランなど)に伝える努力を集中して続けていく事です。トップ集団の中での戦いに復帰するには、彼らと協力して正しい方向性を見つける事が重要だからです。」
「6月にはレースが4回あります。今年は異なるメーカーのライダーがそれぞれに調子が良く、最高峰クラスの戦いは非常にハイレベルであり、さらには新しいレギュレーションによる大きな影響もあって年間タイトル争いは大変に熾烈なものになっています。」
■中野選手「セッティングが重要なサーキット」
2004年には激しい転倒があったものの、ムジェロは好みのサーキットだと語る中野真矢選手は、チームの実質のホームのイタリアではできる限りの好成績をチームにプレゼントしたいと語る。
「実質的にムジェロはコニカミノルタ・チームのホームグランプリですから、今週末は最大限に力を発揮したいと思っています。」と中野選手。
「みんな2004年のムジェロでのクラッシュを取り上げますね。超高速のメインストレートでしたから、今でも覚えていますがあれは本当にすごいスピードでした!すごく怖い思いをしましたが、それ以後ムジェロで走っても特にコースへの恐怖感はみたいなものは残っていませんでした。それに今年はチームもバイクも新しく、タイヤも違いますよ。」
「今年のここまでの問題が何なのかは分かっています。自分の思い通りにコーナリングスピードを上げられない事ですが、今回のレースでは以前よりも良くなると信じています。ムジェロは大好きですし、いいセッティングさえ見つかれば楽しめる場所ですね。ただ、超高速サーキットですから、セッティングが良くないといいラップタイムは望めません。」
「2000年には250ccクラスのムジェロで優勝していますが、あれは自分のライダー経歴の中では最高のレースでした。だから当然800ccでもいい成績が狙えると思いたいですね。」
■ベルナルデッレ技術監督「上海ほどにトップスピードの差は出ない」
コニカミノルタ・ホンダの技術監督であるジュリオ・ベルナルデッレは、チームのホームでの頑張りに期待感を高めている様子だ。また、ベルナルデッレ監督は、ムジェロのストレートは独特の特性があるため、上海ほどにはマシンごとのトップスピードの差が現れないと考えている1人だ。
「今回は自分たちのホームグランプリですから、絶対に何かいい仕事ができると信じています。」とベルナルデッレ技術監督。
「ミシュランからまた新しい素材が提供されると思いますが、それを使用する事でレースウイーク中に重要な効果を発揮し、チームの成績に貢献する事を期待しています。これが今回のムジェロでの技術面における私たちが一番注目すべき点でしょうね。」
「ムジェロは非常に高速なサーキットですし、世界で最高と言えるサーキットのうちの1つでしょう。メインストレートは終端部分が丘を下る形になっており、本当の意味でストレート(真っすぐ)ではありませんから、私の考えでは、ここのレイアウトは上海やロサイルほどにはトップスピードに勝る800ccマシンが優位性を保つ事はないと思います。」
「ここでは金曜日の最初のプラクティスから上位集団の近くに位置できる事を期待しましょう。」
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