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ロッシ「あれは正しい抜き方じゃない」
インテリマーク編集部
2007年4月24日

4月22日にイスタンブール・サーキットで行われたトルコ・グランプリは、予選でポールポジションと2番グリッドの両方を獲得していたフィアット・ヤマハ勢にとっては、昨年と同様に非常に悔しいレース展開となってしまった。
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■昨年の雪辱を果たせると信じていたフィアット・ヤマハ勢

写真昨年は予選タイヤ装着時のマシンのチャタリングが解消できずに予選は9位、レースではオープニングラップの後半で危うくコースアウトという大回りを喫して14位まで順位を下げ、その後は怒濤の追い上げを見せたもののぎりぎり表彰台には届かなかったという苦い経験を持つバレンティーノ・ロッシは、今年の絶好調とも言えるレースウイークは予選でポールポジションを獲得しており、この日のレースでも昨年のマシンとは異なる好調のYZR-M1で雪辱を果たしてトルコでの無敗記録を塗り替えようとしていた。

また、同じく問題を抱え続けた昨年のマシンで苦しんだチームメイトのコーリン・エドワーズにとっても、表彰台が狙える今年のイスタンブールには好成績への特別な思い入れがあった。しかしながら、レースは彼らの期待とは裏腹に、今年も思わぬ方向に発展した。


■好調に見えたオープニングラップ前半
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オープニングラップのスタートで2番グリッドから激しい加速を見せて先頭に躍り出ようとしたが、タイヤが温まらずに1コーナーまでの速度が伸び悩んだエドワーズを交わしてホールショットを奪ったのはバレンティーノ・ロッシだった。ロッシはそのまま2番手につけるチームメイトのエドワーズを背後に従えてレースの大半をリード。
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エドワーズがタイヤが温まるのを待って無理をせずに5番手まで順位を下げていた1周目の最終区間、トップを行くロッシは超高速の11コーナーでミスを犯し、砂煙を巻き上げながらコースの外側を走行し、エドワーズのいる5番手付近までポジションを落として先頭をドゥカティーのケーシー・ストーナーとロリス・カピロッシの2名に奪われた。

■今年もロッシは大回り

ロッシは今年もイスタンブールではオープニングラップに大きなミスを犯したが、今回は本人にとっては特に致命的なミスとはなっておらず、そのままトップを奪い返すべく12コーナーのハードブレーキングゾーンに向かい、エドワーズをはじめとする後続のライダーたちも一斉にロッシの後ろに続いた。

■グラベルに吹っ飛んだエドワーズ

ここで大きなハプニングが発生する。ブレーキングポイントを見失ったカワサキのオリビエ・ジャックが不十分な減速のまま12コーナーの低速コーナーに進入し、5番手付近から切り返しに入ろうとしていたエドワーズのテールに激突。エドワーズは破損したマシンと共に12コーナーのグラベルに吹っ飛び、ひざを強打して期待の持てるレースを1周も終える事なくリタイアした。
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ロッシは4ラップ目に3番手を行くリズラ・スズキのジョン・ホプキンスを12コーナーで交わし、9ラップ目には2番手につけていたドゥカティーのロリス・カピロッシから前を奪ってそのままトップで逃げるドゥカティーのケーシー・ストーナーとの距離を縮めに入った。

■リアの不調が露呈した瞬間、小悪魔の攻撃を受けるロッシ
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しかしながら、昨年から開幕戦ではロッシに追突して転倒させ、年間タイトルのかかった重要なポルトガル戦ではロッシから優勝を奪い、そのポイント差から2006年の年間優勝をロッシから間接的に奪ったロッシの言う「小悪魔」であるトニ・エリアスは、4番手のポジションからロッシを追い回した後、リアタイヤのグリップが極端に悪くなりペースの上がらなくなってきたロッシのインを、やはり12コーナーに向けてのブレーキングエリアからシケインにかけて意を決して奪いに入った。この結果はロッシは3番手に。
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この後、ストーナーはレースを逃げ切り優勝。ロッシを交わした後に追い上げに入ったエリアスは2位表彰台を獲得したが、ロッシは悪化するタイヤの調子に苦しみながら完走だけを狙う走りに切り替え、最終的に10位でチェッカーを受けている。


■タイヤの問題を調査中のミシュラン

なお、イギリスのロードレースサイトであるMCN(www.mortorcyclenews.com)は、レース後にミシュランが行ったロッシのリアタイヤの調査結果を報じている。それによれば、ロッシは14周目からリアタイヤが激しく振動したと訴えており、タイヤの内側の構造に問題がある筈だとコメントしているという。ミシュランはロッシの言葉などからタイヤを調査し、僅かではあるが、通常よりも大きな傷(へこみ)が検出されたとMCNに語ったようだ。ミシュランは現在も本格的な調査を継続中だという。
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残念なトルコでの結果を受けてバレンティーノ・ロッシは、ヘレスで奪ったポイントリーダーの座をケーシーストーナーに奪い返されており、現在はトップと10ポイント差の51ポイントを保持してランキング2位につけている。


■ロッシ「エリアスの件は不愉快」

好調な序盤の走りから一変してレース後半はタイヤの不調に苦しんだバレンティーノ・ロッシは、タイヤからグリップが全く得られずに非常に怖い思いをしながら走行し、最後は完走を狙うのが精一杯だったと述べる。

「今日はすごく残念でした。レースでは高い成績を期待していましたが、実際はタイヤに予想外の問題をいくつか抱える事になり、自分たちにとっては災難とも言える結果に終わりました。」とロッシ
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「昨日の午前中にとても感触の良かったタイヤと同じものを使用しましたが、今日のは運悪く何周か走ったところで問題が発生し始めてしまい、期待通りの成果を残す事ができませんでした。まだ原因は分かっていませんが、ミシュランは事態を把握するために調査を始めています。」

「スタートがすごくうまくいってオープニングをリードしましたが、11コーナーでミスをしてしまい、大回りをして5位まで後退しました。ただ、この段階ではまだバイクの調子はとても良くて、すぐに2位まで戻せました。ストーナーとはそのままいいバトルができると信じていたんですけどね!」

「でも10周を走ったくらいのところで突然タイヤのグリップ力が全くなくなってしまい、ペースを落とさざるを得なくなりました。走っていてひどく怖い状態だったんです。タイヤに大きな問題が発生したのは分かっていましたから、その後はすごく慎重に走って、完走だけを狙うという感じでした。」

「今日は自分たちにとってひどく運のない日ですよ。自分がトップでコーリンは2位につけてレースを開始したのに、コーリンは誰かに追突されるし、自分はこのトラブルですからね。」
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「それに今日はエリアスの事についても不愉快です。彼の行為はすごく危険だったと思います。1度だけではなく何度も内側から自分を抜きに入ってきて、そこから走行ラインを変更していました。あれは正しいレースの走り方とは言えません。」

「今晩はみんな本当に悲しい気分ですよ。でも、まだ今後もレースはたくさん残っていますから、今は中国を楽しみにしたいと思います。」


■エドワーズ「ひざが腫れ上がっている」

タイヤが温まるまでは無理を避けようとしていたコーリン・エドワーズは、思いもよらぬ背後からの追突によりリタイアした後、期待が持てる展開だっただけに非常に残念だったとコメントしている。事故直後にはピット内を自分の足で歩く姿を見せたエドワーズだが、ひざは現在腫れ上がっているようだ。

写真「スタートは大成功でしたが、リアタイヤがなかなか期待していたように温まらないという問題などを抱えました。そのせいでコーナリングが難しく、オープニングラップでは少し順位を落としてしまいましたね。」とエドワーズ

「その時にバレンティーノが高速コーナーーで少しコースを外れましたが、恐らく全員がびっくりしてバレンティーノの方を見ていて、次のコーナーの事を少し忘れてしまったんだと思いますよ!」

「自分のまわりのライダー全員が少し大回り気味になって12コーナーに突入した感じでしたね。自分は通常通りのブレーキングで彼らの隙間を抜けるところでしたが、そこでジャックが背後から追突してきて転倒しました。」

「ひどい怪我はしていませんが、片足のひざはちょっと衝撃を受けていて、今は腫れあがっています。バイクの調子がいいのは分かっていたし、タイヤさえ温まればいいレースができていた筈なので本当に残念です。」


■ブリビオ監督「経験を今後に活かしたい」

タイヤの選択には細心の注意を払ったつもりだがライバルたちと戦う上で十分とは言えなかったとレースの結果を残念がるフィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、今回の経験を次戦以降のレースに活かしたいとコメントしている。

「自分たちにとって、難しい残念なレースでした。」とブリビオ監督
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「コーリンはひどく運がなかったですね。彼は何もミスを犯してないのに背後から追突されましたし、あれでは避けようがありませんよ。彼のひざはひどい打撲を負っていますが、深刻な怪我にはならない事を今は祈るのみです。」

「バレンティーノはオープニングラップでミスを犯しましたがすぐに挽回しており、その後はいいレースを見せてくれそうな雰囲気でしたが、タイヤの方に何か問題が生じてしまいました。確保したタイヤの中では最もハードな最良のものを選んでいたつもりですが、今日のライバルたちと戦うには不十分だったようです。」

「明日のテストではミシュランと共に作業して、問題の発生の原因を理解し、今後のミスを避けるために学習したいと思います。」

「あの状態では、バレンティーノは最後まで走りきるのがかなり辛い状況でした。でも、彼は諦める事なく貴重なポイントを持ち帰っています。まだランキングは2位ですからここからまた頑張り、中国を楽しみにしたいと思います。」


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