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2008年8月24日
ここでは、ヨーロッパGPの予選においてQ3まで進出した10名のドライバーの予選終了後の概況と詳細コメントを紹介する(全暫定グリッドと予選各セッションの結果はこちらの速報記事を参照)。
■自己100戦目のグランプリをポールポジションで飾ったマッサ
F1ヨーロッパGP2日目となる8月23日の午後、初のバレンシア市街地コースにて開催された予選を制したのは、自身にとって100戦目のグランプリを自己通算13回目のポールポジションで飾ったフェラーリのフェリペ・マッサだった。
■予選2位のハミルトンは第1区間でのマッサの速さを警戒、クビサは3番グリッド
マッサに次ぐ1列目2番グリッドを獲得したのはマクラーレンのルイス・ハミルトン。ハミルトンは決勝レースには自信を示しているが、予選中にマッサが見せた第1区間での飛び抜けた速さを警戒しており、レースまでには何らかの対策を講じたいとしている。2列目3番グリッドは、午前のフリー・プラクティス3ではトップタイムを記録、予選でも終始安定した速い走りを見せたBMWザウバーのロバート・クビサが獲得。
■4番グリッドから優勝を狙うライコネン
初日のフリー・プラクティスでは総合トップにつけていたフェラーリのキミ・ライコネンは、Q3での最後のタイムアタック中にタイヤを数回ロックするミスを犯し4番グリッドとなったが、ライコネンは車の仕上がりに高い自信を示しており、今回は優勝を狙っていくとコメントしている。
■ベッテルがF1デビュー戦の7番グリッドを上回る予選自己最高位を獲得
5番グリッドはマクラーレンのヘイキ・コバライネン、6番グリッドはF1デビュー戦での7番グリッドを上回る予選自己最高位を獲得したトロ・ロッソのセバスチャン・ベッテル。
■トヨタに苦言を述べるハイドフェルド
Q1でのタイムアタック中に低速走行中のトヨタのティモ・グロックに進路を妨害される形となったBMWザウバーのニック・ハイドフェルドは、結果的には無事にQ3まで進出し8番グリッドを獲得している。ハイドフェルドは「自分たちのチームだったら無線で背後の車の情報を知らせる。どうやら全てのチームが同じ配慮をしている訳ではないらしい」と、トヨタに対する苦言とも取れるコメントを残した。
■トロ・ロッソは2台揃ってQ3進出
9番グリッドはウィリアムズのニコ・ロズベルグ、10番グリッドはF1デビュー・イヤーにして初のQ3進出を果たしたトロ・ロッソのセバスチャン・ブルデーが獲得した。
■予選上位10名のドライバー詳細コメント
以下に、ヨーロッパGP2日目午後の予選においてQ3セッションへの進出を果たした予選上位10名のドライバーの詳細コメントを暫定グリッド順に示す。
●ポールポジション)フェリペ・マッサ フェラーリ F2008
ブダペスト(ハンガリーGP)が残念だっただけに、今回のポールポジションは本当に嬉しいですね。ただ、本当の戦いが明日だという事は忘れていませんよ。まだ道のりは長いです。Q3では最初のタイムアタックからとてもうまくいき、2回目の時は第1区間のタイムをさらに縮める事ができたので今回のポールにつながりました。
今日の路面は昨晩の雨のせいですごく滑りやすかったです。午前のフリー・プラクティスが終わった時点では、予選ではハードタイヤの方が戦いやすいと思っていましたが、実際にセッションが始まってからは思ったような感触が得られなかったのでソフトの方に履き替えました。
チームは今回の戦いに向けて素晴らしい準備を進めてくれました。ここまで速い車を用意してくれた彼らには本当に感謝していますし、明日はいいレースができる事を願っています。
●2番グリッド)ルイス・ハミルトン マクラーレン・メルセデス MP4-23
素晴らしい車に仕上がっている事は分かっていましたし、予選中にも一切問題は発生しませんでした。すごく乗りやすかったですよ。
予選ではオプションタイヤを使用する事に決めました。一回目のアタックは完璧とは言えず、2回目の時よりもタイムを1秒ほどロスしていましたが、最後のアタックでは全てがうまくいきました。
2番グリッドは明日のレースを開始する上でいい位置だと思いますね。ただ、フェリペ・マッサが第1区間でとにかく速いですから、明日は自分たちもその部分が改善できる事を願っています。チームは素晴らしい作業を進めてくれたので、明日は強さを発揮できる自信があります。
●3番グリッド)ロバート・クビサ BMWザウバー F1.08
今回はチームと自分の両方にとっていい予選だったと思います。最近は不運なレースが続いていましたが、ここバレンシアでの車のペースはそれほど悪くありません。まだフェラーリとマクラーレンには少し差をあけられていますけどね。
予選中の流れはとても順調でした。天候は少し不安定でしたし、Q2セッションの終盤に少し雨は降りましたが、走りに影響は全く出ていません。
昨日の状況から今日のタイヤ選びの方針は明確に決まっていました。Q1ではハードタイヤを装着し、Q2とQ3ではソフトを使っています。
●4番グリッド)キミ・ライコネン フェラーリ F2008
4番グリッドは今回自分が狙っていた位置ではありませんが、これで全てが終わった訳じゃありませんよ。
もっと上のグリッドが狙えた筈ですが、Q3の最後のアタック中に何回かタイヤをロックさせてしまい、貴重なタイムをロスしてしまいました。それほど大きなミスではありませんでしたが、このサーキットはみんなが僅差ですから小さなミスでも影響は大きいですね。
まだ自分は優勝が狙えると思っていますよ。特にスタートがうまくいけばね。今の車は非常に調子が良く、特にレースで強さを発揮する状態に仕上がっていますからね。
●5番グリッド)ヘイキ・コバライネン マクラーレン・メルセデス MP4-23
自分の車のバランスはとても良く、ここまでのセッションを通してどんどん調子が上がっていきました。ただ、全くミスをせずに最大限の走りができたと思っていたので、この5番グリッドという結果には少しがっかりです。
今はポイントを可能な限り獲得する事が必要な時ですから、汚れていない側の路面からいいスタートを決めたいですね。自分たちの戦略通りにいけば、レース中にはポジションを上げていけると思います。
●6番グリッド)セバスチャン・ベッテル トロ・ロッソ STR3
これは予選の自己最高位ですから嬉しいです。グランプリ初参戦の時の7番グリッドを上回るまでに、随分と時間がかかってしまいました。
今日はチームにとっても素晴らしい1日になりましたね。昨晩セッティングを何点か変更した事で好感触が得られるようになったんです。チームがデータを最大限に活用して必死に頑張ってくれたおかげですよ。
ここまでいい結果は予想していませんでしたが、チームの2台が揃ってQ3に進出できたのは本当にいい事だと思います。最後のタイムアタックはもう少し速く走れる筈でしたが、12コーナーのブレーキングでミスを犯し、リアをロックさせてしまいました。
このまま浮かれずにいきたいです。まだ明日は多くの周回を走り切らなきゃいけませんからね。ポイント獲得のチャンスなので、今から明日のレースがとても楽しみです。
●7番グリッド)ヤルノ・トゥルーリ トヨタ TF108
昨日のプラクティスが難しい状況だったので、今日はセッティングを全て変更しましたが、ギアボックスの給油ポンプに問題が発生してしまい午前中は車をテストする事ができませんでした。
だから午後は何も分かっていない状態でしたが、過去の経験を活かしながら必死に走りに集中し、なんとかQ3まで到達する事ができました。最後のアタック中にはミスを犯しましたが、今日の結果にはとても満足できています。
車の開発の進み具合についても満足です。今は常にトップ10圏内で争う事ができるようになりましたし、明日の目標もまた同じです。現実的に考える事が大切ですが、明日のレースは面白くなると思いますね。
ここは他のサーキット以上に何か起きても不思議ではありませんので、すごいレースが期待できると思いますよ。
●8番グリッド)ニック・ハイドフェルド BMWザウバー F1.08
8番グリッドはあまりいい位置とは言えませんが、燃料搭載量の影響もあったので今日はこれが最大限の結果だったと思います。
Q1でティモ・グロックが目の前に現れた時はデジャブかと思いましたね。自分たちのチームだったら、速い車が背後に迫っている時には無線でその位置を事前に知らせて、追い抜きをさせるように指示してきますが、どうやら全てのチームが同じ事をしている訳ではなさそうですよ。
自分の予選があそこで終わってしまうのではないかと心配しましたが、幸い次の周回で十分なタイムを残す事ができました。Q2は順調でしたね。3番手でしたし、自分のペースが悪くない事は良くわかりました。
全体的に言えば、今日の自分の車にはものすごく満足できています。金曜日にはかなり苦労しましたが、あれから大きな変更を加えたのがうまくいきました。
●9番グリッド)ニコ・ロズベルグ ウィリアムズ FW30
以前にトップ10入りしてからだいぶ時間がたってしまっているので、自分たちにとってはいい結果だったと思っています。常にもっと上の成績を狙ってはいますが、今回は自分たちが正しい方向に進んでいるのを証明できたので満足です。
今週は改善の方向性をより正しく把握できたので、その内容を反映した結果、今日は戦える車に仕上りました。いい戦略がありますからレースでは何が起きても不思議じゃないですよ。明日のポイント獲得のチャンスが見えてきましたし、今日はいい内容だったと思います。
●10番グリッド)セバスチャン・ブルデー トロ・ロッソ STR3
悪くない結果ですね。まだオプションタイヤ装着時にグリップが得られない問題を抱えているので作業は今後も続ける必要はありますが、自分たちの成績がどんどん良くなってきている事にはとても満足です。
初めてQ3に進出できて本当に嬉しいです。11番手か12番手に落ちていくのを覚悟しながら待っていたので素晴らしい気分ですよ。今回の新しいサーキットでは、いくつかのチームは正しい方向に進んでいますが、その他のチームは苦戦していますね。
チームが本当に頑張ってくれたおかげで今日の車は最高でした。後はレースで自分が力を出し切るだけです。厳しいレースになるでしょうが、いいスタートを決めてポイント圏内を狙っていくつもりです。
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