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2008年9月28日
栃木県のツインリンクもてぎサーキットにて本日9月28日に行われたMotoGP2008年シーズンの第15戦目となる日本グランプリ決勝レースは2列目4番グリッドからスタートしたバレンティーノ・ロッシが最高峰クラスでの自己通算70回目となる勝利を獲得。この瞬間、ロッシはグランプリ最高峰クラスでは6回目、小排気量時代を含むグランプリ経歴では8回目となる年間チャンピオンの座に輝いている。
ここではMotoGPクラスのレース内容、小排気量クラスを含む全カテゴリのレース結果、ならびに日本GPレースウイーク最終日の新着トピックなどを紹介する。
■新着トピック、2009年からのシングルタイヤ化が決定
今シーズンからバレンティーノ・ロッシが昨年に不調だったミシュラン陣営から離脱してブリヂストンにスイッチ、および昨年の終盤からミシュランタイヤの性能に不信感を示し続けてきたダニ・ペドロサが今シーズン途中の14戦目にして突然ブリヂストンにスイッチするなど、これまでに様々な論争や異例の事態を巻き起こしてきたタイヤ問題だが、日本GP決勝レース当日のこの日に一応の決着の方向が決まった。
FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の公式発表によれば、本日9月28日に会議が行われたグランプリ・コミッションの場において、来期の2009年シーズンからはMotoGPクラスのタイヤサプライヤーを現在の自由競争形式ではなく、レースの安全性向上ならびに費用高騰の防止策として、F1と同様に特定のメーカー一社に限定するシングル・タイヤ・ルールを導入する事を満場一致をもって決定している。
なお、来期のタイヤサプライヤーの選択についてはこれからコンペが行われ、10月3日のFIMとMotoGPの商業権利元であるドルナ社(DORNA SPORTS S.L.)への入札締め切りを持ってブリヂストンやミシュランなど、2009年以降にどのメーカーがタイヤ供給を行うのかが決定される。最終決定の内容は遅くともマレーシアGP直前の10月18日までに発表される模様だ。
■背骨を骨折してから自己ベストタイムを更新、その後に動けなくなったバルベラは欠場
日本GPのレースウイーク中、250ccクラスのライダーに深刻な怪我人が1名発生している。2日目午前の250ccクラスのフリー・プラクティス中に転倒、壁に頭から叩きつけられてヘルメットを破損するという激しい転倒を喫したチーム・トース所属のエクトル・バルベラは、その直後にはセカンドバイクに乗り換えて走行を継続して自己ベストタイムを更新したが、そのセッション終了直後には背中に激しい痛みを訴えて身動きが取れなくなり、サーキット内の医師の診断を受けた後はさらなる精密検査のために水戸市内の病院にヘリコプターで搬送されている。
病院での検査の結果、バルベラは胸椎(背骨の内、首の頸椎と腰の腰椎の間にある12個の骨)の4番目と5番目を骨折していることが判明しており、脊髄などの神経系にはダメージがなかった事から最悪の事態は現時点において免れてはいるものの、月曜日の9月29日には再び別の精密検査を受ける予定になっている。
バルベラは絶対安静のまま今後1週間は日本にとどまり、その後に様子を見てから母国のスペインに戻る見込みだ。なお、バルベラは今回の日本GPに引き続き次戦のオーストラリアGPとその翌戦のマレーシアGPを欠場する事がほぼ決定しており、最終戦の母国グランプリであるバレンシアGPからの復帰を目指すという。
■MotoGPクラスの決勝内容とレース結果
晴天に恵まれた前日の予選と比較して路面温度が17度低い23度となった曇り空のMotoGPクラス決勝全24周回のレース開始直後は、トップに立ったドゥカティーのケーシー・ストーナー(BS)、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサ(BS)とニッキー・ヘイデン(MI)、フィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソ(MI)とバレンティーノ・ロッシ(BS)、リズラ・スズキのロリス・カピロッシ(BS)までの6名が抜け出しトップ集団を形成したが、2ラップ目にはトップを奪ったペドロサと2番手のストーナーの2名がさらにその集団から抜けだし、それを3番手に浮上したバレンティーノ・ロッシが追う形となった。
■6周目以降はストーナーとロッシのマッチレース、ロッシは14周目にトップに
ロッシは6ラップ目に先頭の2台に追いつくとペドロサを交わし2番手に浮上、その後に3番手のペドロサが後退を始めてからはファーステストラップを記録しながら逃げる先頭のストーナーの背後に7周回の間つけ、14ラップ目に入ると3コーナー付近でストーナーを交わしついにトップに立った。
■ロッシは2年ぶりのタイトル奪還、ランキング上位3名が表彰台に
この直後にロッシはストーナーから1秒以上のリードを奪うと最後までトップのポジションのキープ、最終ラップとなる24周目の最後にはストーナーの2秒前でチェッカーを受け、ラグナ・セカから5連勝となる今期8回目のレース優勝を果たし、今回のレースを2位で終えたランキング2位のストーナーから92ポイント差となる合計312ポイントを確保して、シーズン残り3レースを前に2年ぶりとなる年間チャンピオンの座に輝いている。
■ポールポジション・スタートのロレンソは最後に抵抗するも4位
ストーナーに次ぐ3位表彰台は前回のインディアナポリスGPからブリヂストンタイヤにスイッチしたダニ・ペドロサが獲得。ポールポジションからスタートしたホルヘ・ロレンソは最終ラップ中にダニ・ペドロサの背後からインを奪いにかかるが失敗、そのまま4位でチェッカーを受けた。
■5位集団の中を走り続けた中野選手は地元グランプリ8位を確保
レース終盤の5位集団は頭からヘイデン、カピロッシ、TECH3ヤマハのコーリン・エドワーズ(MI)、サンカルロ・ホンダ・グレッシーニの中野真矢選手(BS)、JiRチームスコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(MI)の並びとなったが、最終ラップまで順位に変動はなく全員がそのままチェッカーを受けており、これにより中野真矢選手は日本でのホームGPを8位で終える結果となった。
■レース終盤の順位変動は10位のホプキンスと11位のトーズランドのみ
TECH3ヤマハのジェームス・トーズランド(MI)とカワサキのジョン・ホプキンス(BS)は最後までトップ10圏内を2台で争い、最終ラップで前に出たジョン・ホプキンスが結果的に10位を獲得、トーズランドは11位に終わった。
■秋吉選手はオープニングラップ序盤に無念の転倒リタイア、DNFは2名のみ
また、3年連続となる日本GPワイルドカード出場をリズラ・スズキから果たした秋吉耕佑選手(BS)は、午前のウォームアップ中に他のライダーに接触されて夜通しのセッティング作業で仕上げたメインマシンを大破。レースには急遽スペアマシンを調整して出場したが、レース開始直後のオープニングラップ中にタイヤを大きく滑らせて単独転倒し、そのままリタイアしている。
秋吉選手以外のDNFは、ブレーキに問題が発生して17ラップ目のコースアウト後にピットに戻ったリズラ・スズキのクリス・バーミューレンのみ。なお、予選のあった2日目から極度の体調不良に苦しむアリーチェ・チームのトニ・エリアス(BS)は8ラップ目にコースアウト、10ラップ目にはカワサキのアンソニー・ウエスト(BS)とサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのアレックス・デ・アンジェリス(BS)、ならびにドゥカティーのマルコ・メランドリ(BS)も連続してコースアウトを喫しているが、この4名はそのままレースに復帰して無事に完走を遂げた。
●MotoGPクラスのレース結果(気温19度、路面温度23度、湿度51%)
1) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分09秒599(24周)
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 43分11秒542(24周)
3) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分14秒465(24周)
4) ホルヘ・ロレンソ SPA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分15秒764(24周)
5) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分34秒192(24周)
6) ロリス・カピロッシ ITA リズラ・スズキMotoGP GSV-R 43分35秒284(24周)
7) コーリン・エドワーズ USA ヤマハTech3 YZR-M1 43分35秒517(24周)
8) 中野真矢 JPN サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分35秒602(24周)
9) アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA JiRチーム・スコット RC212V 43分35秒818(24周)
10) ジョン・ホプキンス USA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分46秒730(24周)
11) ジェームス・トーズランド GBR ヤマハTech3 YZR-M1 43分47秒173(24周)
12) ランディ・ド・プニエ FRA ホンダLCR RC212V 43分47秒619(24周)
13) マルコ・メランドリ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP8 43分49秒367(24周)
14) シルバン・ギントーリ FRA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 43分55秒445(24周)
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 44分05秒347(24周)
16) トニ・エリアス SPA アリーチェ・チーム デスモセディチ GP8 44分08秒919(24周)
17) アレックス・デ・アンジェリス RSM サンカルロ・ホンダ・グレッシーニ RC212V 44分21秒997(24周)
-) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキMotoGP GSV-R 29分15秒247(16周)
-) 秋吉耕佑 JPN リズラ・スズキMotoGP GSV-R -分-秒-(0周)
■250ccクラスのレース結果
気温18度、路面温度22度、湿度54%のドライ・コンディションとなった250ccクラスの日本GP決勝レースは、序盤に集団から抜け出したジレラのマルコ・シモンチェリとマプフレ・アスパルのアルバロ・バウティスタの2名の争いとなりシモンチェリがレース全体をリード。終盤のチャンスをバックマーカーの2台により走行ラインを妨害される形となったバウティスタは追い抜きのチャンスを失い、結果的にポイントリーダーのマルコ・シモンチェリが今期4回目の勝利を獲得、ランキング2位のバウティスタは2位となった。3位表彰台はロータス・アプリリアのアレックス・デボンが獲得している。
来期のMotoGPクラス昇格が決定しているJiRチーム・スコットの高橋裕紀選手は6位を獲得。予選では1列目2番グリッドを獲得する健闘を見せていたKTMの青山周平選手は9位で地元グランプリを終えた。その他のワイルドカード日本勢の結果は以下の結果一覧を参照の事。
1) マルコ・シモンチェリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 43分09秒385(23周)
2) アルバロ・バウティスタ SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 43分09秒733(23周)
3) アレックス・デボン SPA ロータス・アプリリア アプリリア 43分17秒799(23周)
4) フリアン・シモン SPA レプソルKTM 250cc KTM 43分18秒536(23周)
5) ミカ・カリオ FIN レッドブルKTM 250 KTM 43分26秒426(23周)
6) 高橋裕紀 JPN JiRチーム・スコット250 ホンダ 43分29秒017(23周)
7) アレイックス・エスパルガロ SPA ロータス・アプリリア アプリリア 43分29秒277(23周)
8) マティア・パッシーニ ITA ポラリス・ワールド アプリリア 43分29秒827(23周)
9) 青山博一 JPN レッドブルKTM 250 KTM 43分31秒688(23周)
10) ロベルト・ロカテリ ITA メティス・ジレラ ジレラ 43分31秒772(23周)
11) エクトル・ファウベル SPA マプフレ・アスパル・チーム アプリリア 43分42秒236(23周)
12) ルーカス・ペセック CZE オート・ケリー-CP アプリリア 43分58秒006(23周)
13) ラタパー・ウィライロー THA タイ・ホンダPTT SAG ホンダ 43分58秒188(23周)
14) 富沢祥也 JPN ProjectμFRS ホンダ 43分58秒957(23周)
15) ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング ジレラ 44分07秒430(23周)
16) アレックス・バルドリーニ ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 44分07秒747(23周)
17) 高橋巧 JPN バーニングブラッド・レーシング・チーム ホンダ 44分24秒447(23周)
18) ドニ・タタ・プラディタ INA ヤマハ・プルタミナ・インドネシア ヤマハ 44分59秒315(23周)
19) マヌエル・エルナンデス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 45分07秒988(23周)
20) ダニエル・アルカス SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 43分25秒958(22周)
21) 遠藤卓実 JPN SEV.spruce/PRO-TEC ヤマハ 43分26秒261(22周)
22) イムレ・トース HUN チーム・トース・アプリリア アプリリア 44分05秒874(22周)
23) 伊藤勇樹 JPN DOG FIGHT RACING ヤマハ 43分39秒227(20周)
-) シモーネ・グロティスキ ITA カンペテーラ・レーシング ジレラ -分-秒-(0周)
欠場) エクトル・バルベラ SPA チーム・トース・アプリリア アプリリア
欠場) 渡辺一樹 JPN RT森のくまさん佐藤塾 ヤマハ
■125ccクラスのレース結果
気温17度、路面温度20度、湿度57%のドライ・コンディションの中で行われた日本GP125ccクラスの決勝レースを制したのは、現在のランキング3位につけるグリズリー・ガス・キーファー・レーシングのステファン・ブラドル。2位はポイントリーダーのマイク・ディ・メッリオ、3位表彰台はランキング4位につけるバンカハ・アスパルのガボール・タルマクシが獲得した。
ISPA KTMアランの小山知良選手は11位、IC.チームの中上貴晶選手はフル参戦後初となる地元グランプリで13位を獲得している。その他のワイルドカード日本勢の結果は以下の結果一覧を参照の事。
1) ステファン・ブラドル GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 39分57秒228(20周)
2) マイク・ディ・メッリオ FRA アジョ・モータースポーツ デルビ 39分57秒379(20周)
3) ガボール・タルマクシ HUN バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 39分57秒509(20周)
4) ジョアン・オリベ SPA ベルソン・デルビ デルビ 40分03秒173(20周)
5) ニコラス・テロール SPA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 40分03秒300(20周)
6) サンドロ・コルテセ GER エミー・カフェラテ アプリリア 40分03秒363(20周)
7) シモーネ・コルシ ITA ジャック&ジョーンズWRB アプリリア 40分03秒683(20周)
8) スコット・レディング GBR ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア 40分22秒621(20周)
9) セルジオ・ガデア SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 40分22秒765(20周)
10) ダニー・ウェッブ GBR デグラーフ・グランプリ アプリリア 40分23秒420(20周)
11) 小山知良 JPN ISPA KTMアラン KTM 40分24秒535(20周)
12) ラファエレ・デ・ロサ ITA オンデ2000KTM KTM 40分36秒764(20周)
13) 中上貴晶 JPN I.C.チーム アプリリア 40分40秒973(20周)
14) エフレン・ヴァスケス SPA ブルセンス・アプリリア・ジュニア アプリリア 40分48秒857(20周)
15) アレックス・マスボー FRA ロンシン・レーシング ロンシン 40分49秒127(20周)
16) Jonas Folger GER レッドブルKTM 125 KTM 40分49秒159(20周)
17) ロレンソ・サネティ ITA ISPA KTMアラン KTM 40分49秒190(20周)
18) パブロ・ニエト SPA オンデ2000KTM KTM 40分49秒817(20周)
19) ドミニク・エジャーター SWI アジョ・モータースポーツ デルビ 40分54秒065(20周)
20) スティーヴィー・ボンセー USA デグラーフ・グランプリ アプリリア 40分54秒205(20周)
21) Marco Ravaioli ITA マテオーニ・レーシング アプリリア 40分55秒854(20周)
22) 柳沢祐一 JPN 18 GARAGE RACING ホンダ 40分57秒154(20周)
23) ロビン・ラッサー GER グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 41分07秒010(20周)
24) 尾野弘樹 JPN BATTLE FACTORY ホンダ 41分12秒111(20周)
25) Adrian Martin SPA バンカハ・アスパル・チーム アプリリア 41分23秒348(20周)
26) Cyril Carrillo FRA FFMホンダGP125 ホンダ 41分26秒358(20周)
-) ブラッドリー・スミス GBR ポラリス・ワールド アプリリア 32分06秒414(16周)
-) 渡辺一馬 JPN TEAM PLUS ONE ホンダ 33分30秒166(16周)
-) ミヒャエル・ランセデール AUT I.C.チーム アプリリア 28分44秒077(14周)
-) 浪平伊織 JPN Honda鈴鹿レーシング ホンダ 22分48秒796(11周)
-) 岩田裕臣 JPN DyDo MiU Racing ホンダ 21分02秒920(10周)
-) Bastien Chesaux SWI WTRサンマリノ・チーム アプリリア 16分40秒395(8周)
-) ロベルト・ミュアサン ROU グリズリー・ガス・キーファー・レーシング アプリリア 12分38秒629(6周)
-) エステベ・ラバト SPA レプソルKTM 125cc KTM -分-秒-(0周)
-) ジュール・クルーセル FRA ロンシン・レーシング ロンシン -分-秒-(0周)
-) アンドレア・イアンノーネ ITA I.C.チーム アプリリア -分-秒-(0周)
-) ポル・エスパルガロ SPA ベルソン・デルビ デルビ -分-秒-(0周)
-) ヒューゴ・バン・デン・ベルグ NED デグラーフ・グランプリ アプリリア -分-秒-(0周)
-) マルク・マルケス SPA レプソルKTM 125cc KTM -分-秒-(0周)
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