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250cc KTM博一選手が連続表彰台、ロレンソ「何も語りたくない」
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2006年5月16日
5月14日、天気予報は外れ、中国の上海サーキットはMotoGP250ccクラスの決勝日を迎えた。
250ccレース開催時の気温は24度で路面温度は23度、路面はドライとなり格好のレース日和となったレース当日の上海だが、初日の雨や、いつ降り出してもおかしくない最終予選の天候にセッティングの方向性を惑わされたライダーも多い。
■スターティンググリッド
250ccの予選を制した1列目ポールポジションは、トルコで2位表彰台を獲得したフォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラ、2番グリッドは同じくフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ。
トルコGP決勝のオープニング1コーナーでクラッシュに巻き込まれ、独走中だったランキングの1位を明け渡したロレンソの中国にかける意気込みは高い。
3番グリッドはそのロレンソにトルコで追突したレプソル・ホンダのルーキー、青山周平選手。不調のチームメイトのセバスチャン・ポルトがマシンセッティングに悩み21番グリッドに沈む中でのフロントロースタート。
上海サーキットのスターティンググリッド1列目でにこやかに日の丸の扇子を振る周平選手。
4番グリッドにはランキングトップ、ヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドビツィオーゾ。実力者でありながらも優勝経験が一度もないドビツィオーゾは中国GPでの初優勝を狙う。
2列目5番グリッドにはトルコでエクトル・バルベラに高速コーナーで追突し、一時は各方面での物議をかもし出したマステルMVAアスパルチーム(アプリリア)のアレックス・デ・アンジェリス。
ドビツィオーゾのチームメイトである高橋裕紀選手は6番グリッド、続いて前回のトルコGPで優勝を飾ったKTMの青山博一選手は7番グリッドスタートとなった。
初日雨の予選ではトップタイムをマークし、レインマンと称されたキーファー・ボス・レーシングのアンソニー・ウェストは、2日目ドライの最終予選では8番グリッドまでポジションを下げている。
■ドビツィオーゾが先頭に
オープニングラップを制したのはヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドビツィオーゾ。後ろにはマステルMVAアルパルのアレックス・デ・アンジェリス、フォルツナ・アプリリアのエクトル・バルベラが続く。
今期好調のチームトースのベテラン、ロベルト・ロカテリは4番手に浮上。
周平選手、1コーナーでトルコの記憶が蘇る
レプソルホンダの青山周平選手は好スタートを決めたが、1コーナーへ向かう途中にトルコGPでの追突劇が脳裏をよぎったという彼は慎重過ぎる程のコーナリングに徹し、11番手まで順位を後退させた。
5番手以降にはスタートに出遅れたフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ、同じくスタートに失敗してタイムをロスしたヒューマンゲスト・ホンダの高橋裕紀選手が続いた。高橋選手の後ろをKTMの青山博一選手が追う。
成績の安定しないデ・アンジェリス
アレックス・デ・アンジェリスは3ラップ目に2番手を走行中、自身のミスからコーナーで転倒。慌ててマシンを起こそうとするデ・アンジェリスだったがハンドルが根元から折れて走行を断念した。
トップ争いはドビツィオーゾとバルベラの2台に
デ・アンジェリスが戦列を離れ、トップ争いはアンドレア・ドビツィオーゾとエクトル・バルベラの2台に絞られる。3番手まで順位を挽回したホルヘ・ロレンソは先頭の2台にはついていけない。
青山選手は4ラップ目までにロカテリと高橋選手を交わして4番手につける。KTMのオレンジのマシンが前を行くロレンソの追撃にかかる。5ラップ目には高橋選手もロカテリを交わし5番手に浮上した。
6ラップ目のホームストレートではバルベラが先頭に立ち、2番手となったアンドレア・ドビツィオーゾがそれを追って1コーナーに飛び込む。
9ラップ目のホームストレートでは再びドビツィオーゾがトップに立ち、バルベラがその背後につけた。
ロレンソと3位を争う博一選手と高橋選手
2番手のバルベラの3秒後方では、KTMの青山博一選手がついにホルヘ・ロレンソを交わし、表彰台圏内の3番手につけている。
11ラップ目、ロレンソが再び博一選手の前に割り込み3番手に復帰。ロレンソの後ろは青山選手と高橋選手の4番手争いとなり、12ラップ目には高橋選手が博一選手の前に立つが、14ラップ目には再び博一選手が高橋選手を抑える。
ベテランのロカテリをパスしたい周平選手
レプソルホンダの青山周平選手は、5番手の高橋選手の7秒後方を走行中だったロベルト・ロカテリの背後まで順位を挽回し、ベテランイタリア人との熾烈な6位争いを開始する。
16ラップ目のホームストレートでは再びバルベラがドビツィオーゾを交わしてトップに立った。コース中盤ではトップを奪い返すドビツィオーゾだが上海サーキットの高速ストレートでは明らかにバルベラの加速に負けている。
ストレートで勝てないドビツィオーゾ、博一選手は表彰台へ
19ラップ、KTMの博一選手が再びロレンソを交わし3番手に浮上。ラスト2ラップのホームストレートでは高橋選手もロレンソを交わし4番手に。
最終ラップで全開の走りを見せるアンドレア・ドビツィオーゾだが、やはりバルベラのストレート加速に交わされ、最後は0.26秒後方という僅差でコントロールラインを抜けた。エクトル・バルベラは念願の250cc初優勝を果たした。
続いて第二集団での争いを制したKTMの青山博一選手が昨年の中国GPと同じく3位でチェッカーを受け、前回のトルコGPに続く今期二度目の表彰台を獲得した。
博一選手に続いて、ほぼ同時にチェッカーを受けたのはホルヘ・ロレンソと高橋裕紀選手。結果は0.016秒差でホルヘ・ロレンソが4位となり、高橋選手は今回も表彰台間近の5位でレースを終えた。悔しそうな仕草を見せる高橋選手。
2回連続で表彰台を逃したホルヘ・ロレンソは憮然としている。
高橋選手の後方、バトルで互いにタイムを落としたロカテリと周平選手は、6番手のポジションをジレラの250ccルーキーであるマルコ・シモンチェリに最終ラップで奪われてしまう。
トップ争いに加われないレプソル・ホンダ勢
結局、高橋選手から12秒遅れで6位チェッカーを受けたのはジレラのマルコ・シモンチェリ。それに続いてロベルト・ロカテリがコントロール・ラインを抜け、青山周平選手は8位で中国GPを終えた。
また、周平選手のチームメイトのセバンスチャン・ポルトはレースウイーク中に納得のいくマシン・セッティングを得られておらず、19位を走行中の14ラップ目にピットインし、レースをリタイアしている。
■各ライダーのコメント
以下に、レース後の各ライダーのコメントを示す。
優勝 エクトル・バルベラ SPA フォルツナ・アプリリア
本当に嬉しいです。この勝利をいつも自分を支援してくれる人たち、それに家族とチーム全員に捧げたいです。
2回のレースで250cc最初の表彰台と優勝を達成しましたし、優勝自体は今回が初めてです。これ以上何を望めますかね?!
ストレートでのアンドレアとのバトルですが、アプリリアのお陰で全くストレスがありませんでした。トルコで5人のライダーと抜きあってた時に比べれば本当に楽なレースでしたね。
彼の動きを観察しましたし、ストレートでは自分の方が速い事は知っていましたから最後に抑える事ができました。色々戦略はありましたが、表彰台の真ん中に運よく上れて良かったです。
シーズンの先はまだ長いですが、トップとのポイント差は3ポイントしかありませんから自分にも可能性が見えてきました。
2位 アンドレア・ドヴィツィオーゾ ITA ヒューマンゲスト・ホンダ
2台のバイクに差があった事は明らかですよ。特に最終ラップでは差が詰められるようにベストをつくしましたからね。
1位でチェッカーは受けられませんでしたが、自分の走りには満足です。ホンダのバイクで先頭には辿り着けるようになりましたが、高速サーキットではまだ厳しいですね。
いずれにしろポイントランキングでは1位ですし気分的にも明るいですが、優勝できたらもっと嬉しいでしょうね。そんな訳であんまり笑顔にはなれませんけど。
残り2周の時点でバルベラが凄い加速で自分のラインについてくるのが分かりましたから、最終ラップでは前を維持しながらミスを避けようと思いました。でも結局ダメで2位フィニッシュでしたね。
次のGPはル・マンですがとても好きなコースです。低速部分の多いサーキットですしね。
3位 青山博一 JPN レッドブル・KTM
連続2回の表彰台は嬉しいですね。チームやKTM、それに色んなパートナーやスポンサーの努力があっての結果ですよ。
バイクは速く走りましたし感触も良かったです。1日遅れになりましたがチームのボスのハラルドにいい誕生日プレゼントができたと思います。
今は新しいシャシーのテストを開始したところですが、今回はデータ収集の時間が足りなくてレースには間に合いませんでした。でもこの調子なら、情報さえ集まればさらに改良が進むと思います。
今日僕はハッピーマン(happy man)です。
今はもうル・マンを楽しみにしています。レッドブルKTMでのレースは楽しいし、開発も面白いですからね。
4位 ホルヘ・ロレンソ SPA フォルツナ・アプリリア
今は何にも言いたくないです。
今回の出来事を調査して、またル・マンの後にでも話します。
5位 高橋裕紀 JPN ヒューマンゲスト・ホンダ
スタートがあまりうまくいかず最初にタイムを少しロスしました。ドライでのテストは昨日と今朝しかできていませんが、チームが頑張ってくれたのでセッティングとタイヤ選びは最高だったと思います。
残念なのはストレートでアプリリアほどのエンジンパワーがない事でしたが、追い抜きのタイミングを学べましたし、それほど差はつけられなかったので満足です。
今回の5位はいい結果だと思います。
8位 青山周平 JPN レプソル・ホンダ
今回はそんなに悪い部分はありませんでしたが、今度こそ何もミスしたくなくてちょっと慎重になり過ぎました。他のライダーと接触したり転倒したくなかったんです。
その結果たくさんのライダーに1周目に抜かれてしまい、11番手まで順位が落ちてしまいました。でも前の3つのレースのうち2回も1周目に転倒してますから、今日は絶対にそんな事はしないと決めてたんです。
今日のレースではチームにも自分にも今後役立つ情報をたくさん集められたので満足ですが、8位フィニッシュで嬉しいとは全然言えません。
DNF セバルチャン・ポルト ITA レプソル・ホンダ
本当に最悪ですよ。レースまでに解決できなかった問題が山のようにあり、レースではベストをつくしましたが走り続けるのは厳しい状態でした。まだやる事だらけです。
ただ、自分はいつでも楽観的な姿勢でいますし、問題が解消できることを期待しています。レースは終わりましたのでターゲットを次に絞りますよ。
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