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MotoGP第17戦、全員が黙々と完走したセパン
インテリマーク編集部
2007年10月21日 【10月26日掲載】
写真第17戦マレーシアGP最終日
・各クラス全ライダー走行結果表は、以下のリンク先をご覧下さい。
マレーシアGP事前情報
MotoGPクラス初日の詳細情報
MotoGPクラス予選後の続報
MotoGPクラス決勝後のライダーコメント


全クラス)決勝レース結果一覧
ポイントランキング

全クラス)フリープラクティス結果一覧
全クラス)予選結果一覧
全クラス)ウォームアップ結果一覧

現地天候および走行スケジュール
2007年全レース日程と結果
冬季プレシーズン全テスト結果


現地情報(天候、アクシデント、他概要)
■MotoGPクラスのレース内容
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MotoGP午後決勝
MotoGP第17戦マレーシアGPが、灼熱のセパン・サーキットにおいて10月21日に決勝レースの日を迎えた。今年はレースウイーク1日目のセッションがハーフウェットの難しいコンディションに見舞われたものの、昨年のような熱帯雨林気候の独特の大豪雨に見舞われる事なく、予選のあった2日目と最終日の決勝レースは終日良好なドライ・コンディションに恵まれた。ここでは、マレーシアGPにおけるMotoGPクラスのレース内容などを紹介する(レース後の全ライダーや関係者の詳細コメントはこちらの記事を参照の事)。
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■レースウイークを通して新しいアスファルトに苦しんだミシュラン

決勝レースを迎えるまでのレースウイーク最初の2日間はブリヂストン勢がドライやウェットの走行条件にかかわらず好調な走りを見せており、FP総合1位にドゥカティーのケーシー・ストーナー、FP総合2位にカワサキのランディー・ド・ピュニエ、FP総合3位にリズラ・スズキのジョン・ホプキンスがつけるなど、対するミシュラン勢はセパンでも今期の傾向通りに苦しい戦いを強いられている。

■苦しみに拍車をかけた初日のハーフ・ウェット路面

写真初日の雨交じりの天候では、新しくなったセパンのアスファルトに苦戦し、フロントのグリップが全く得られずに苦しんだロッシが1日目の16番手に低迷するなど全くいい所がなかったミシュラン勢は、ドライとなった2日目午前のフリー・プラクティスではトップ10にレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン(FP総合4位)、フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ(FP総合7位)、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサ(FP総合9位)の3名が食い込み、やや復調の兆しを見せていたものの、その日の午後のドライの予選では3戦連続でポールポジションを獲得したペドロサを除いては、ヘイデンがミシュラン2番手となる6番グリッド、予選タイヤを履くまではトップ10入りもままならなかったロッシがミシュラン3番手の9番グリッドという散々な結果となった。

■フリーと予選を通して安定した走りのブリヂストン勢
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ちなみに2番グリッドはドゥカティーのケーシー・ストーナー、1列目最後の3番グリッドはグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリ、4番グリッドはレースウイークを通して絶好調と言えるカワサキのランディー・ド・ピュニエ。
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5番グリッドはMotoGPクラスにイギリスGP以後参戦を開始し、シーズン中に苦しんでいた予選タイヤでの走りを完全に克服したカワサキのアンソニー・ウエストが獲得しており、ポールポジションのペドロサと6番グリッドのヘイデンの間のグリッドは全てブリヂストン・ユーザーに占められている。
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■路面の温度変化への対応の遅れ

冬季テスト中とはアスファルトが異なるためにセッティングのデータが再利用できなくはなったにしても、「新しいシャシーとエンジンになったのに、冬季テストの時よりも2秒遅いっていうのは異常事態」と、予選16番手に低迷したミシュランを履くホンダLCRのカルロス・チェカは2日目の走行を終えてから漏らしている。実際、ミシュラン勢はセパンでは今シーズンの不調に輪をかけるように午前と午後の温度変化に対応する事ができておらず、浮き沈みの激しいレースウイークを過ごす事になった。
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■ミシュラン勢の中では例外的に好調なペドロサが気にする耐久性

なお、ミシュラン勢の中では常に例外的な好調さを見せる事の多いペドロサも、今回はレース・シミュレーション時のタイヤの耐久性には全く自信が持てない状態だったと後にコメントしており、彼はレースの序盤から猛ダッシュで後続を引き離し、最後まで逃げ切る戦略を立てていたようだ。
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■ウォームアップまでに仕上げてきたヤマハとホンダ

また、レース当日午前のウォームアップにかけたヤマハとホンダは、前日までの2日間のデータを徹底的に分析しており、レース直前のセッティング変更でロッシとヘイデンのマシンには納得のいく改善作業を施す事ができた事から、やや期待を持って午後のレースには挑めるようになった様子だ。
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■苦しむ日本人レギュラー

日本勢のレース前の状況としては、前々回の日本GPとオーストラリアGPではマシンのセッティングが若干改善されたものの、今回のマレーシアではホンダLCRのカルロス・チェカと同様に再びフロントまわりのチャタリングと接地感不足に苦しむ中野選手は、不調のマシンでコーナーを果敢に攻めたもののコースアウトと転倒が相継ぎ予選は14番グリッド、セパンの新しいアスファルトにまったくダンロップタイヤからいい感触が得られなかったというTECH3ヤマハの玉田誠選手が18番グリッド。
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■青木選手は予選の不運がたたり19番グリッドに

フリー・プラクティス総合では日本人レギュラーの2名を抑えて16番手タイムを記録し、2008年型スズキGSV-Rのシェイクダウンを順調に進めていたリズラ・スズキのワイルド・カードライダーである青木宣篤選手は、予選中にメインマシンがメカニカル・トラブルを抱えた事から19番グリッドと、予選結果は振るわなかった。
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■250ccクラスはマレーシアで年間チャンピオンが決定

小排気量カテゴリの250ccクラスでは、オーストラリアでのMotoGPクラスに続き、2007年度の年間チャンピオンが確定している。
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MotoGPクラスのレース直前に行われたこの日の250ccクラスの決勝レースでは、終盤にポイントリーダーであるフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソ、ランキング2位につけるコプロン・チーム・スコットのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、KTMの青山博一選手とミカ・カリオ、チーム・トースのエクトル・バルベラがトップ集団を形成。年間タイトルを争う2台とKTMのチームメイト間でのバトルが白熱していた。
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■ロレンソがシーズン2連覇、ドヴィツィオーゾは不運な結果に
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この5台の中で突如ロレンソが後退を始める中、左コーナーに進入しようとしたドヴィツィオーゾは後方イン側からやや強引に飛び込んできたミカ・カリオのマシンに接触。ドヴィツィオーゾはここで転倒して最終的に順位を11番手に落とし、その影響からポジションを2つ戻して3位表彰台を獲得したロレンソが2年連続の年間タイトルを獲得している。
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なお、このレースの勝利者はKTMの青山博一選手、2位はエクトル・バルベラが獲得した。

■最終戦でタイトルが決まるのは125ccクラスのみ
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これで最終戦のバレンシアでチャンピオンが確定するのは、バンカハ・アスパルのチームメイト間でポイントリーダーのガボール・タルマクシとランキング2位につけるエクトル・ファウベルが10ポイント差で年間タイトルを争う125ccクラスのみとなった。


■レース直前に異例の事態、致命的なミスを犯したウエスト
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ウォームアップラップを終えて各ライダーがスターティング・グリッドにつく中、ここで異例の事態が発生してしまう。5番グリッドという予選の自己最高位を獲得していたカワサキのアンソニー・ウエストが、MotoGPクラスの5番グリッドと間違えて、小排気量クラスの6番グリッド(MotoGPクラスの5番グリッドの右斜め前)にバイクをつけてしまった。結果として所定のスタートラインからはみ出した状態になっていたウエストは、それに気がつく事なくレースを開始。


■レース開始、ホールショットはストーナー
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シグナルが消えて一斉に各マシンが1コーナーに向かう中、2番グリッドからの好スタートを見せたドゥカティーのケーシー・ストーナーが勢い良く1コーナーの進入に向けて抜け出しホールショットを奪った。2番手にはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、3番手にはグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリがつける。

■ドリンクホルダーから水が噴き出しナーバスなメランドリ
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メランドリはスタート直前にスーツ内蔵のドリンク・ホルダーの蓋を緩めようとした時に誤って蓋を引っこ抜いてしまっており、この時はブレーキングのたびにストローに溜まった水が噴き出してヘルメットの内側にかかり、精神的にナーバスな状態だったという。


■ド・ピュニエ「初めての会心のスタート」
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1コーナーを抜けようとするメランドリの斜め後方には「今シーズンの中ではじめていいスタートができた」と自身を絶賛するカワサキのランディー・ド・ピュニエがつけ、メランドリから前を奪い3番手に浮上。4番手に後退したメランドリの背後にはグレッシーニ・ホンダのトニ・エリアス、カワサキのアンソニー・ウエストが続き、ウエストに前を奪われたエリアスをリズラ・スズキのバーミューレンが交わす。
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■ストーナー、ペドロサ、ド・ピュニエ、メランドリが序盤をリード
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オープニング・ラップの最終コーナーを先頭からストーナー、2番手にペドロサ、3番手にド・ピュニエ、4番手にメランドリ、5番手にウエスト、6番手にバーミューレン、7番手にはエリアスを交わしたリズラ・スズキのジョン・ホプキンスが通り抜ける。
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ホプキンスの後方からは8番手にはエリアス、9番手にはドゥカティーのロリス・カピロッシ、10番手にはスタートでポジションを1つ落としたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、11番手にはスタートの失敗が続くレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン。
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12番手にはプラマック・ダンティーンのアレックス・バロス、13番手にはフィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズ、14番手にはホンダLCRのカルロス・チェカ、15番手にはスタートでポジションを4つ挽回したリズラ・スズキの青木宣篤選手、16番手にはコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手、17番手にはプラマック・ダンティーンのチャズ・デイビス、18番手にはTECH3ヤマハの玉田誠選手、19番手にはTECH3ヤマハのシルバン・ギュントーリ、20番手にはチーム・ロバーツのカーチス・ロバーツが続いた。
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■抜け出すトップ4台、ホプキンスは突如後退

2ラップ目に突入すると、トップのストーナー、2番手のペドロサ、3番手のド・ピュニエが2分3秒台前半のラップタイムで長い1列から揃ってやや抜けだし、少し隙間を空けてそのトップ3台をメランドリが追う中、ホプキンスがミスを犯してぺースダウン。後退するホプキンスをエリアス、ロッシ、バーミューレン、ヘイデン、カピロッシが交わす。


■ジャンプ・スタート扱いにされ、事態が把握できないウエスト
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ここでスターティング・グリッドを間違えたカワサキのウエストにジャンプスタートの裁定が下る。ウエストはシグナルが消える前にスタートをした訳ではなく、本人にとっては全く晴天の霹靂だが、MotoGPクラスの5番グリッドからマシンが大きく斜め前にはみ出していたのはぬぐい去れない事実だ。


■コニカミノルタ・ホンダ、今回のチャタリングはレースの序盤から

なお、ここで中野選手のマシンには今期は全く解消されなかったフロントまわりのチャタリングが再発し、コーナーを激しく攻める事が全くできなくなった中野選手は、チェカと青木選手のペースについて行くのが難しくなる。

■中野選手「本当に苦しんだ」
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「レース中は今回もまたチャタリングがフロントに出てしまい、マシンが自分の思い通りには曲がらなかった。この影響でコーナリング速度が落ちてしまい、本当に苦しんだ」と中野選手。

■ベルナルデッレ「マシンに問題、あれではライダーが攻められない」
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また、コニカミノルタ・ホンダの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは「状況が悪くなったのはシンヤが数周を走行してからまたバイクのフロントにチャタリングが発生したのが原因。この状態になるとライダーはコーナーで攻めの走りができなくなるし、シンヤにとっては彼の走りのスタイルが実現できなくなる。序盤にポジションを争っている時であれば尚更」とコメント。

■今回も「ライダーの問題」を主張するモンティロン
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不調の原因はライダーのモチベーションにあるとの考えや、ライダーがマシンに適応できていないなど、昨シーズンの中頃と同様の意見を今シーズンの後半にも述べる事が多くなったコニカミノルタ・ホンダのチームオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、「今回のレースを終えてピットに戻った後のシンヤの態度が許せない」とのコメントをレース後のプレスリリース内に残しているが、その詳細は何も明らかにはしていない。

なお、グレシーニ・ホンダの10月25日の公式発表によれば、中野選手は来期のシートをグレッシーニ・ホンダに確保している(公式発表の内容はこちらの記事を参照)。


■トップ集団と同じペースで後方6番手に浮上するロッシ

3ラップ目、トップ集団にメランドリが加わり、トップのストーナー、2番手にペドロサ、3番手のド・ピュニエ、4番手のメランドリが後続を引き離しにかかる。この先頭集団が2分2秒台の後半というハイペースで逃げる中、後方集団の中で唯一4台と同じ2分2秒台で追い上げるロッシが前方のエリアスを交わして6番手に浮上。
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4ラップ目、先頭で逃げるストーナーをペドロサが追い詰めた頃、3番手を走行していたド・ピュニエは右コーナーで危うくハイサイドという危ない挙動を見せて大きく後退。4番手のメランドリがすかさずド・ピュニエを抜きかけるが、すぐに慌てて加速に入ったド・ピュニエはこれを抑えて3番手をキープ。


■ウエスト「いったい何に対するペナルティー?」
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5番手を行くウエストの目にはピットボードからの「ライド・スルー・ペナルティー」のサインが目に入る。「いったい何に対するペナルティーなのかさっぱり分からなかった」と動揺するウエスト。

■動揺を隠せないウエストが危うくロッシと接触
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5ラップ目、中速コーナーを先頭のストーナー、2番手のペドロサ、3番手のド・ピュニエ、4番手のメランドリがマシンを右に傾けて通過し、やや遅れて5番手のウエスト、6番手のロッシがマシンを倒し込みながらコーナーに進入したその直後、ウエストがマシンのバランスを崩して外側に流れながら、イン側を抜けるロッシとの接触を危うく避けて順位を後退。好調に高いポジションをキープし、序盤からマシンに好感触を得ていたウエストは動揺を隠しきれない。

■へこむウエスト
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6ラップ目にウエストは意味も分からないままライド・スルー・ペナルティーに応じ、ポジションを6番手から20番手に後退した。「その後も何人かとはバトルしたが、精神的にすっかりへこんでいた」とウエスト。


■先頭の3名からやや遅れ気味のド・ピュニエ、それを追うロッシ

7ラップ目のバックストレートをトップのストーナー、2番手のペドロサ、3番手のメランドリが0.5秒間隔で通過。3台からはやや遅れ気味になる4番手のド・ピュニエは各コーナーでメランドリの背後にはつけるが、ストレートに入ると再び離される。
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5番手のロッシはド・ピュニエの4秒後方を走行。ラップタイムではド・ピュニエよりもロッシの方がやや上だ。


■カーチス・ロバーツがコースアウト

先頭集団が8ラップ目に突入すると、ウエストに交わされ最後尾となったカーチス・ロバーツが、レースウイークを通してフロントのグリップ不足に苦しんだKR212Vと共にコーナーを曲がりきれずにコースアウト。再びグラベルからコースに復帰した時には、前を行くウエストから30秒も離されてしまう。
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■レースを諦めてエンジン・コントロール・ユニットの学習を開始

レースでのポイント獲得をここで諦めたカーチス・ロバーツは、その後もコースを走り続け、手元の電子制御系のスイッチを調整しながらホンダのエンジン・コントロール・ユニットまわりのセッティング学習を開始。

■トラクション・コントロールをオフにしたら良好

写真「そのままコースに残り、もっとバイクに慣れる事に時間を使おうと思った。セッティングを色々変更したりしながら、バレンシアでは何をどうすればもっと調子が良くなるかを考えたりしてね。トラクション・コントロールのセッティングを変更しているうちに、これがどう作動しているのかが分かるようになった。次に機能をオフにしてみたら、普段よりもっとうまく曲がれるようになって、ラップタイムが上がった」とカーチスはコメントしているが、実際に彼はこの時にレースウイーク中の自己ベストタイムを更新している。

「トラクション・コントロールのついたバイクで走ったのは今年が初めてだし、一度も気に入った事はなかったが、理解を深めた上で使用を諦めるなりセッティングをもっとうまく調整するなりすれば、恐らくもっと速く走れるようになる筈」とカーチスはバレンシアに向けて前向きなコメントを残した。

■ホンダの新エンジン供給を諦め、吹っ切れたアクスランド監督
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このカーチスのコメントを聞いたチーム・ロバーツのチャック・アクスランド監督は「私も以前にはジュニアと一緒に色々とスイッチをいじって試したものだ。カーチスが言うには、何かいい事をいくつか見つけたらしいので、バレンシアに行ったら彼が今回走りながら試したセッティングにして様子を見てみようと思う。だめならバレンシアに合うセッティングをまた探すだけだしね」と、すっかり吹っ切れた感じのコメント。


■ストーナーがペドロサから1.5秒のリード
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10ラップ目の順位は先頭からストーナー、1.5秒引き離された2番手のペドロサ、その0.5秒後方には3番手のメランドリ、さらにその1秒後方には4番手のド・ピュニエが続く。

■エリアスとヘイデン、バーミューレンとヘイデンが熾烈なバトル
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その背後にはストーナーに迫るペースでド・ピュニエの2.2秒後方に迫った5番手のロッシ、その1.5秒後方には6番手を激しく争うエリアスとヘイデン、さらに5秒後方にはチームメイト間で8番手を争い、順位を目まぐるしく入れ替えるバーミューレンとホプキンスのリズラ・スズキ・バトル。
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スズキの2名の背後にはエドワーズがつけ、その7秒後方にはバロス、カピロッシ、チェカ、青木選手、中野選手が続き、さらに5秒後方にはチャズ・デイビス、ギュントーリ、玉田選手、失意のウエストがつけ、そのさらに50秒後方にはアンチ・ホイールスピンの制御を解除してホイール・スピンを楽しむカーチス・ロバーツ。
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■2番手のポジションを狙うメランドリ

11ラップ目に入るとストーナーはペドロサを引き離しにかかり、ペドロサはこれについて行く事ができない。2番手のペドロサの背後には3番手のメランドリが迫り、鋭く抜きにかかる。
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■ヘイデンは勢い余ってコースアウト

メランドリがペドロサを交わして2番手に浮上した続く12ラップ目、6番手を奪い取ろうとエリアスの後ろに食らいついていたヘイデンが、バックストレート・エンドの15コーナーで激しくブレーキングを遅らせてエリアスの前に出るが、エリアスを通りこしたヘイデンはそのまま縁石も通りこしてグラベルに突入。調子に乗りすぎたとヘイデンは語る。

■ヘイデン「馬鹿やった」
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「バックストレートの終端でエリアスを交わそうとしたが、ちょっと熱くなりすぎて馬鹿なミスを犯してしまった。あれは良くなかったね。調子に乗ってコーナーへの進入スピードを高くしすぎた」と10番手に後退したヘイデン。


■各ライダーが黙々と走り続ける静かなレース展開
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そのまま大きな順位変動が発生しないまま長い1列となったレースは17ラップ目に突入。青木選手はチェカを交わして13番手に浮上し、その前方で激しいバトルを演じていたいぶし銀の2名、カピロッシがバロスを交わして11番手に浮上した。
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■ヘイデンに交わされる体調不良のエドワーズ

多くのライダーが体力の極端な消耗を感じていたという18ラップ目、コースアウトにより一度後退したヘイデンが、暑くて気分の悪くなっているエドワーズを交わして9番手に浮上した。ヘイデンを抑えきれなくて残念だったとエドワーズは語る。
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■エドワーズ「頭痛もひどかった」

「レースウイーク前半に体調を崩していた影響が出たのかもしれないが、レースの終盤に入ってからは頭がひどくくらくらする状態になってしまい、残り数周の時には周囲がぼやけて見える感じだった。暑さのせいでひどい頭痛もあり、体調が100%とは言えない中で走りに集中するのは辛かった」とエドワーズ。
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■ストーナー「一時的に後続との差が縮まった理由」

体力的に辛かったという先頭のストーナーは時折後続のメランドリに1秒差まで迫られるが、これについてストーナーは以下の通りコメントしている。
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「いつもより体力と集中力が必要だったので、最後までペースを維持して走るのは本当に大変だった。後続との差が広がったり縮まったりと不安定だったのは、少し体力を回復するために周回を休みながら走ったから」とストーナー。


■中野選手をポイント圏内から追い出すウエスト
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残り2周となった20ラップ目のコントロールライン、順位は先頭からストーナー、2番手にメランドリ、3番手にペドロサ、4番手にド・ピュニエ、その1.5秒後方の5番手には表彰台到達までの時間が足りなくなってきたロッシ、6番手にエリアス、7番手にバーミューレン、8番手にホプキンス、9番手にヘイデン、10番手にエドワーズ、11番手にカピロッシ、12番手にバロス、13番手に青木選手、14番手にチェカ、15番手に中野選手、16番手には中野選手の0.1秒後方にまで迫ったウエスト、17番手にデイビス、18番手に玉田選手、19番手にギュントーリ、20番手にはバレンシアに向けてのセッティングを試しご機嫌のカーチス・ロバーツが続く。
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ここで中野選手は背後に迫ったウエストからポイント圏内最後となる15番手を守るべく必死の走りを見せて自己ベストを更新するが、コーナリング速度を上げられない不調のマシンでは最後までウエストを抑えきる事ができずに16番手に後退。悔しいポイント圏外となった。
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■ストーナーが今期10度目の優勝、2位はメランドリ、3位はペドロサ
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その後の順位が全く変動しない最終ラップを終え、先頭でチェッカーを受けたのは今期10勝目をあげたドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。2位はグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリ、3位は3戦連続のポールポジションの中でやっと表彰台を獲得したレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、4位はカワサキのランディー・ド・ピュニエが獲得している。フィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシはスターティング・グリッドとオープニングラップ中の低いペースが災いし、ド・ピュニエに1秒届かずレースを5位で終えた。
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日本勢では、スズキの開発ライダーである青木宣篤選手が13位と健闘。コニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手は16位、ダンロップTECH3ヤマハの玉田誠選手は18位だった。
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■優勝)ストーナー「楽なレースじゃなかった」

写真今回のレースを終えて、ここまでの17戦の全てでポイントを獲得しているたった1名のライダーとなったストーナーは、このレースは決して楽ではなかったと語っている。

「バイクもタイやも含めて全て調子が本当に良かった。ただ、レースはものすごく大変だった。最大のバトルは自分との戦いであり、他のライダーに気持ちを移す事はなかった」とストーナー。

「マルコとダニは最初から最後まで速かった。全然離れてくれないので、ものすごく彼らにはプレッシャーを与えられた。チェッカーを受けてからは少し目まいがするくらい疲れているのを感じた。本当に厳しいレースだった」


■2位)メランドリ「自信はあった」

今期3回目の表彰台となる2位を獲得し、リズラ・スズキ勢からランキング4位のポジションを今回は守る事に成功したマルコ・メランドリは、この日のレースには最初から自信があったと語っている。
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「今回はまるで優勝でもしたような気分。セパンでは以前に一度も表彰台に乗れていなかったので、あまりここは自分のライディング・スタイルや今のバイクと相性がいいとは思っていないが、いずれにしても、バイクとタイヤが素晴らしい状態にに仕上がれば、どこでも速く走れる事を今回は証明できたと思う。それに午前のウォームアップから調子が良かったので、今日のレースには自信があった」とメランドリ。


■3位)ペドロサ「今回はミシュランに感謝」

3戦連続のポールポジションを経てやっと今期6回目となる表彰台に辿り着いたレプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、フリー・プラクティスを通して不安だったミシュランタイヤのレースでの耐久性が、最後まで問題なかった事を喜んでいる。
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「レースの終盤になってもすごく高いペースが維持できた事には本当に驚いた。というのは、プラクティス中にはあんなに速いラップタイムは想像もつかなかったから。だから今回の表彰台を可能にしてくれたミシュランには感謝している」とペドロサ。


■4位)ド・ピュニエ「最後は4番手確保を優先した」
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惜しくも今期2度目の表彰台を逃したものの、今回の4位でポイントラインキングの11位に浮上したカワサキのランディー・ド・ピュニエは、「レース中に数回小さなミスを犯したが、自分と後続の差には何も影響がなかったし、前を走行していたペドロサからは1秒以上離される事なくレースを終える事ができた。ただ、ブレーキング時の剛性感に少し問題を抱えていたので、激しく攻める事よりもリスクを冒さずに自分の順位を維持する事を優先した。今日のバイクの調子はとても良かった。今回の成績にはすごく満足している」と述べ、最後は無理をせずに4位のポジションを確保する事に集中していた事を明かしている。


■翌日のセパン合同テストはあいにくの大豪雨

今回のレース翌日の月曜日には、レプソル・ホンダとリズラ・スズキの2チームがセパンにそのまま滞在して来期に向けての合同テストを行っているが、この日はあいにくの豪雨となり、ほとんどのライダーはレイン・セッティングの調整を行った程度で、あまり多く周回する事なく1日の作業を終えたようだ。
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なお、リズラ・スズキは今回の合同テストに今期のAMAチャンピオンであるベン・スピーズを招いており、GSV-Rに乗るチャンスを与える予定だったが、この雨のために残念ながらスピーズは走行を断念した様子だ。


■マレーシアGP決勝レースの結果

以下に、マレーシアGPのレース結果を示す(全てのライダーやレース関係者の詳細コメントはこちらの記事を参照の事)。
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1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ デスモセディチGP7 43分04秒405(21周)
2) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分06秒106(21周)
3) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分06秒731(21周)
4) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分08秒170(21周)
5) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分09秒178(21周)
6) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分22秒072(21周)
7) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 43分25秒355(21周)
8) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 43分26秒603(21周)
9) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分26秒855(21周)
10) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分34秒151(21周)
11) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ デスモセディチGP7 43分39秒328(21周)
12) アレックス・バロス BRA ダンティーン デスモセディチGP7 43分40秒072(21周)
13) 青木宣篤 JPN リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 43分48秒518(21周)
14) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 43分48秒891(21周)
15) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分54秒063(21周)
16) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 43分56秒131(21周)
17) チャズ・デイビス GBR ダンティーン デスモセディチGP7 44分03秒310(21周)
18) 玉田誠 JPN ヤマハTech3 YZR-M1 44分04秒001(21周)
19) シルバン・ギュントーリ FRA ヤマハTech3 YZR-M1 44分27秒524(21周)
20) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 44分55秒365(21周)



予選気温は32度、路面温度は38度、湿度は51%。路面状況はドライ。
・セパンのサーキットレコード(990cc)は今回C.ストーナーが記録した2分02秒108
・セパンのベストラップレコード(990cc)は2006年にV.ロッシが記録した2分00秒605



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