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セパン初日、ショックを隠しきれないロッシ
インテリマーク編集部
2007年10月20日

今期のMotoGP第17戦目となるマレーシア・グランプリが、亜熱帯の高温多湿で有名なセパン・サーキットにて10月19日にレースウイークの初日を迎えている。
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■難しい気象条件となった初日のセパン

1日目のMotoGPクラスは午前と午後の合計2回のフリー・プラクティスが行われたが、この日は朝から不安定な天候となり、午前のセッション終盤には雨が降り出して路面がドライからウェットに変わり、午後はウェットの路面がセッション終盤にかけてドライに変わるという難しい走行条件に見舞われている。
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■新しいアスファルトに違和感を感じる各ライダー

また、今年は数ヶ月前にセパン・サーキットのアスファルトが改修され、ほぼ全面的に再舗装が行われた事から、グリップ特性が以前と変わる事や、好評だった路面状況が結果として以前よりも悪くなる事がレースウイーク前には各チームから心配されていた。
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初日の走行を終えた各ライダーは、新品のアスファルトはタイヤのゴムの付着が全くない事などから実際にグリップレベルは低下したと述べており、質感も走り慣れた以前の路面とは異なる事から、全般的に1日目はその違和感に慣れるのに苦労した様子だ。

■アスファルトの状態は午後に改善の兆し

以前よりも悪くなった可能性が高いと事前に心配されていた表面のがたつきに関しては深刻と言えるレベルの問題は特になく、初日の各チームにとっての問題点は過去のデータがあまり役に立たなくなった点のようだ。
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この日の午前はアスファルトが新品のために表面が粗かった事や、最近の悪天候の影響などから泥で表面が激しく汚れていた事もグリップ・レベル低下の原因となっているが、これは時間の問題と言えそうだ。

実際、午後には汚れが解消され、タイヤのゴムが付着し始めた事などからグリップは大きく改善の兆しにあり、全てのライダーが午前のタイムを更新する事に成功している。したがってレースに向けては、まだ2日目以降の路面状況を慎重に把握しながら、新しいアスファルトを正しく評価をしていく必要があるという。


■マレーシアGP初日の走行結果
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以下に、マレーシアGP初日に行われた2回のフリー・プラクティスの総合順位を示す。午前のセッション(FP1)開始時の気温は29度、路面温度は32度、湿度は67%、路面状況はドライ-ウェット、午後のセッション(FP2)開始時の気温は29度、路面温度は31度、湿度は70%、路面状況はウェット-ドライだった。

1) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分02秒917
2) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 2分02秒928
3) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 2分03秒661
4) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分03秒767
5) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分03秒825
6) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 2分04秒031
7) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分04秒094
8) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分04秒455
9) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分04秒494
10) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 2分04秒752
11) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 2分04秒770
12) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分04秒774
13) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 2分04秒940
14) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 2分05秒162
15) 青木宣篤 JPN リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 2分05秒234
16) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 2分05秒421
17) チャズ・デイビス GBR プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 2分05秒897
18) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 2分05秒939
19) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 2分06秒429
20) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 2分07秒033


ちなみにセパンのサーキットレコード(990cc)は2006年にロリス・カピロッシが記録した2分02秒127、ベストラップレコード(990cc)は2006年にバレンティーノ・ロッシが記録した2分00秒605。


■初日のトップはド・ピュニエ
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1日目のフリー・プラクティスを制したのは、日本GPと同じくマレーシアでの表彰台を狙うカワサキのランディー・ド・ピュニエだった。今シーズンは僅差のタイム争いとなる事が多いが、今回はド・ピュニエのタイムから1秒以内の差につけたのはチームメイトのアンソニー・ウエストまでの5名のみ。

午前のセッションでは多くのライダーが全くタイヤからグリップを得る事ができずに苦しんだが、セッティングを変更しなくても午後には路面のグリップが大きく改善されたと初日に調子の良かったライダーはコメントしている。

■ブリヂストン・ユーザーの多くが初日の感触に満足
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特にブリヂストン勢は今回硬めのコンパウンドのタイヤを持ち込んでおり、その中の数種類のバリエーションを試すチームが多かったが、ほとんどのライダーは新しいセパンの路面に適合するタイヤを午後までに見つけており、非常に満足できたという。


■新しいアスファルトにも特に大きな不満のないカワサキ

この日のトップタイムを記録したド・ピュニエは「午後の序盤は路面が難しい状況だったので20分ほどピットで待機し、路面が乾いてから走行を開始した。そこで硬めのコンパウンドのレースタイヤを試したが、すごくいい感触が得られてので満足している。安定して速いタイムを維持する事ができた。明日にもまだ少し改善は進むと思うが、初日の内容だけでもかなりうまくいっている」とかなりの自信を示している。
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ド・ピュニエは初日の作業メニューの中で2回のロングランを行い、午前と午後を通して同じセッティングで走り2種類のレースタイヤをテストしたという。バイクのセッティングはすでに満足のいく状態にあるが、エンジン・マッピングとエンジン・ブレーキに関しては2日目以降も改善を進める事ができるようだ。
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雨の中ではトップタイムを記録していたド・ピュニエのチームメイトのアンソニー・ウエストも、総合5番手とこの日は好調であり、カワサキ勢は揃ってマレーシアの初日の作業内容に満足している。ウエストは「明日に入って路面にゴムが付着すればもっとタイムは上げられる」とコメント。


■ストーナー「今日は量より質で勝負」

トップのド・ピュニエと同様に午後は15分待ってから走行した総合2番手につけたドゥカティーのケーシー・ストーナーは「今日は天気が悪かったので量より質の勝負にしてみた。こんな路面状態でタイヤを無駄に消費しても仕方ないからね」と述べている。実際、ストーナーは午後にはタイムアタックを3周しか行っておらず、その中で今回の2番手タイムを記録している。ちなみに、午前中のトップタイムはストーナーだった。
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セッティングの状況については「いずれにしてもバイクのセッティングには満足している。午前からセッティングはほとんど変更していないし、タイヤも朝から変えていないのでレースの距離に近い周回数も走り込んでいる」と、ストーナーもド・ピュニエと同様に朝から大きくセッティングを変更する事なく納得のいく感触が得られたとしている。

新しくなった舗装路面についてストーナーは「でこぼこが増えて以前よりも滑りやすくなったし、今日は泥だらけだった。だからグリップを得るのが難しかったが、もっとみんなで走り込めば状態は改善されると思う」とコメントした。

■好調なストーナーとは対照的なカピロッシ
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好調なストーナーとは対照的に、チームメイトのロリス・カピロッシは新しい路面に馴染む事ができずに、セッティング作業は難航したという。「新しいアスファルトはグリップが良くないし路面がでごこぼしてる。ただ、今日はそれとは関係なくマシンの挙動が暴れる感じになっており、エンジンなのかシャシーのセッティングなのか、その原因が特定できていない」とカピロッシ。


■ブリヂストンタイヤに満足するメランドリとエリアス
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この日の3番手となったマルコ・メランドリは、ブリヂストンがマレーシアに持ち込んだタイヤに非常に満足しているという。「今日は全体的に順調だった。路面は少しでこぼこしているがグリップは悪くない。タイヤの選択が正しかったのでセッティングはとても順調に進んだ」とメランドリ。

総合6番手となったチームメイトのトニ・エリアスも、「悪天候のせいで作業ははかどらなかったので、まだ多くのセッティング作業が残っているが、今日の作業内容には満足できた」と述べており、天候が不安定だった事以外に特に大きな問題は抱えなかったとしている。


■ミシュラン勢はペドロサのみ絶好調

その中で、午前と午後を通して好調だったミシュラン勢は、レプソル・ホンダのダニ・ペドロサのみだったようだ。
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午前の2番手にはダニ・ペドロサ、3番手にはペドロサのチームメイトであるニッキー・ヘイデンがつけており、ミシュラン勢とブリヂストン勢にそれほど大きな開きはなかったが、ブリヂストン勢が調子を上げた午後にヘイデンはミシュラン2番手となる総合10番手まで順位を落としている。

■すでに3回連続ポールを意識しているペドロサ
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ペドロサは「今日はすごくうまくいったし、セッティングの改善も大きく進んだ。でこぼこが増えたとは思うけど深刻なレベルではないし、新しい路面は悪くないとと思う。グリップも悪くない。確かに感触が変に思える区間もあるが、これはアスファルトが新しいせいだと思うので、路面にこれからゴムが付着すれば状態はさらに良くなると思う」と述べ、1日目の作業内容にも新しいアスファルトにも特に不満はないといった様子だ。

さらにペドロサは「3回連続でポールポジションが取れれば最高だけど、今回もライバルが強そうだから、まだ必死に頑張る必要はある」とコメントするなど、2日目の予選に向けても高い意欲を示している。

■ヘイデン「以前の路面に慣れてて違和感」
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また、午後に順位を落としたヘイデンの方は、「すごくいいペースで走れたし午前の調子は全く悪くなかった。でも、午後はちょっと調子が狂った感じ。路面もフルウェットと乾きかけの中途半端な状態が長かったので時間を無駄にしてしまったし、午前のタイムを更新する事はできたが理想とするタイムにはまだほど遠い。もう少しタイヤまわりの作業を進めないといい走りはできない筈」と述べ、セッティングが午後には進まず納得のいく状況にはない事を明かしている。
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新しいアスファルトについてヘイデンは「コースがもっときれいになればタイヤの感触も良くなると思う。以前のアスファルトに慣れ親しんでいたし、ここではかなりの周回数を走り込んでいるので、今日は新しい路面が奇妙に感じた。でも、ゴムが付着すれば状態は改善されていくと思う」との感想を述べた。


■ミシュラン勢は全体的にフロントの接地感に不満
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この日の全ての内容に満足できたというペドロサは例外だが、ミシュラン勢は全体的にはリアタイヤには満足できているものの、フロントタイヤに全く接地感が得られなかったとするライダーが多いようだ。


■最悪な1日を過ごしたフィアット・ヤマハとロッシ

特に重傷なのがフィアット・ヤマハの2名だが、バレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズは午後に入ってもフロントのグリップを全く得る事ができず、初日は何一つ改善が進まない最悪な1日になったと述べている。
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■ショックを隠しきれないロッシ

写真真面目に作業して総合16番手という結果に、ロッシはショックを隠しきれない。「すごく大変な初日になってしまった。とにかく自分の好きなサーキットで今回の結果は非常に残念。16番手なんて」と、来期はブリヂストンの使用が決定したと噂されるロッシ。

作業状況についてロッシは、「グリップが全然得られない。特にフロントがひどくて今日はこんなに低いタイムでしか走れなかった。タイヤはたくさん試したし、セッティングも色々変えてみたけど改善はあまり進まなかった」と述べ、ほとんど午前からマシンに進展が得られなかったとしている。

また新しいアスファルトについては「新しい舗装があまり良くない。でも、他のライダーは自分たちほどの問題は抱えていないみたいなので、これに文句を言っても仕方がない」と述べ、今後の改善作業に向けては「明日のために何か解決策を練らなきゃいけない。今晩は会議を開いて対策を見つけられるようにしたいと思う。雨の時はこういう辛い状態をさらに難しくするから、明日はドライになって欲しい」としている。

■エドワーズ「フロントが全くだめ」

初日を総合14番手で終えたチームメイトのエドワーズも「正直かなりひどい状態」と述べており、「ミシュランが持ち込んでくれたリアタイヤが好調なのは分かっていたし、実際に問題はなかったが、残念ながらフロントに全くグリップが得られなくて自信を持って走る事が全くできなかった」と、ロッシと同様にフロントまわりの問題が深刻である事をコメントしている。


■2回の転倒を喫した中野選手「今日はついてない1日」
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同じくミシュランを履く中野選手は初日は午前と午後の1回ずつ、合計2回転倒しており、午前の転倒はメカニカル・トラブルを抱えたプラマック・ダンティーンのチャズ・デイビスが目の前で突然スローダウンしたためにその背後から追突する形になったのが原因だが、午後の転倒はフロントの接地感が全く得られない中で激しく攻めた事がフロントを滑らせる原因となったようだ。中野選手の初日の総合順位は18番手だった。
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「今日はついてない1日だった。午後は激しく攻めすぎてフロントを失ってしまったが、多分タイヤとサスペンションの組み合わせが完璧じゃなかったせいだと思う」と中野選手。

なお、中野選手は新しいアスファルトについては好感触が得られており「天気のせいで全てのライダーに難しい走行条件だったが、以前よりもでこぼこが減って良くなったと思う。グリップも悪くない」とコメントしている。


■2008年型GSV-Rに期待のリズラ・スズキ
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今回のマレーシアにはリズラ・スズキからのスポット参戦ライダーとして、スズキの開発ライダーである青木宣篤選手が2008年型GSV-Rのテストを兼ねて出場している。初日の順位は15番手となった青木選手だが、トップスピードはこの日全体の4番手の速度を記録しており、空力特性の向上に開発努力を注いだという2008年型フェアリングの成果を大きく見せつける結果となったようだ。

■青木選手「空力特性の改善状況が結果に反映された」

「2008年型のプロトタイプでレースをするのは今回が初めてなのでシャシーのセッティングをしっかり進めておきたい。日本ではテストをたくさん行ってきたが、レースウイークで行う作業とはだいぶ異なる。今は順調に作業が進んでおり、トップタイムを見てもらえば分かるが、エンジニアたちは空力特性の改善に必死に取り組んできたし、それがスピードに反映されている」と青木選手。
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青木選手は今週の目標について「まだ改善の余地はあるし、レースでクリスやジョンと争えるレベルにしたい」と述べ、2日目にどこまで改善が進むか様子を見たいとしている。

■2日目に期待のスズキレギュラー

なお、リズラ・スズキのレギュラー陣は、クリス・バーミューレンが8番手、ジョン・ホプキンスが9番手と、特に好調と言える状態ではないが、特に取り立てて大きな問題にも1日目は直面していないという。
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ホプキンスは「午前中はガラスの上を走っているような感じだったが、午後の路面状況はだいぶましになった。明日はもっと頑張りたい」と述べ、バーミューレンは「ブリヂストンが頑張ってくれたので、いいコンパウンドが見つかったし作業の方向性はつかめたと思う。新しいアスファルトにも慣れたので翌日は大きくタイムを改善したい」としている。


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