|
2007年6月15日
カタルーニャGPの決勝レース翌日となった6月11日からの2日間、良好な気象条件となったスペインのカタルーニャ・サーキットでは、先週からのレースウイークに引き続きMotoGPクラスの合同テストが行われている。
ここでは、このカタルーニャ合同テスト2日間の全結果と、一部チームのテスト内容やコメントなどを紹介する。
■タイヤテストが中心となったカタルーニャ合同テスト
今回のカタルーニャ合同テストは、上半期の残り4戦に向けてのタイヤテストが中心的なメニューとなっており、1日目の6月11日(月)はチーム・ロバーツを除くMotoGPクラスの全チーム、2日目の12日(火)にはドゥカティー・マルボロ、リズラ・スズキ、レプソル・ホンダの3ワークスのみが参加した。
■オリビエ・ジャックの代役はアンソニー・ウェスト
初日に参加したチームのレギュラー・ライダーの内でその日のテストに参加できなかったのは、カタルーニャGP2日目午前のセッションで転倒し、頭を強打して翌日のレースをキャンセルしたカワサキのオリビエ・ジャックのみであり、代わりにカワサキは、アンソニー・ウェストをこの日のテストに起用している。
■怪我にもめげずド・ピュニエはテストに参加
なお、ジャックのチームメイトであり、ルマンとムジェロで負った左ひざなどの怪我に苦しみながらも前日のカタルーニャのレースでは5位の好成績を獲得したカワサキのランディー・ド・ピュニエは、今回のテストには参加している。
■2日目は少数規模のテストに
2日目に参加した3ワークスのうち、レギュラーライダーの2名が揃って参加したのはドゥカティー・マルボロチームの1チームのみであり、リズラ・スズキはクリス・バーミューレンの1名、レプソル・ホンダはニッキー・ヘイデンの1名のみだった。
■タイヤ開発ライダー、ピットと伊藤真一選手は2日間参加
また、この2日間はタイヤテストが中心という事もあり、ヤマハ・ミシュランとドゥカティー・ブリヂストンはぞれぞれに専属のタイダーも投入している。ヤマハ・ミシュランは、今期はイルモアからのMotoGPフル参戦を予定していたアンドリュー・ピット(ヤマハYZR-M1)を、ドゥカティー・ブリヂストンは、今年の全日本開幕戦に向けての3月20日の事前テストで大怪我を負った事から、それ以降のMotoGPテストへの復帰は今回が初めてとなる伊藤真一選手(デスモセディチGP7)を2日間起用している。
■ニール・ホジソンは不在
なお、伊藤真一選手が今回から復帰した事により、その代役としてドゥカティー・ブリヂストンの開発ライダーを務め、プライベートテストなどで活動していたニール・ホジソンの姿はない。
■スズキの青木宣篤選手も参加
その他のレギュラー・ライダー以外のメンバーとしては、スズキの開発ライダーである青木宣篤選手(スズキGSV-R)が2日間の全ての日程にリズラ・スズキのスタッフと共に参加した。なお、その前日の日曜日には鈴鹿8時間耐久ロードレースの前哨戦として知られる鈴鹿300キロロードレースが行われたが、これに選手として参加していたホンダやヤマハのMotoGP開発ライダーは、今回のカタルーニャのテストに顔を見せる事はなかったようだ。
■ムジェロでグアレスキが右手首を骨折し、ザウスが代役を担当
さらにドゥカティー・ワークスは、このカタルーニャのテストの2日目と同じ6月12日(火)から、イタリアのムジェロで3日間のプライベートテストも実施したが、その2日目の13日(水)にドゥカティーの開発ライダーであるビットリアーノ・グアレスキが転倒して右手首を骨折した事から、最終日となる14日(木)の午前中はSBKミサノ戦の初日を翌日に控えたルーベン・ザウスが、グアレスキの代役としてテスト走行を行っているという。
■カタルーニャ合同テスト1日目の結果
以下に、カタルーニャ合同テスト1日目の結果を、各ライダーのこの日の自己ベスト(非公式)順に示す。1日目のカタルーニャサーキットは前日までのレースウイークと同様に眩しい陽射しに照らされ、気温は30度、路面温度は40度から52度の範囲で上昇している。湿度は14%だった。
1) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分41秒400(-周)
2) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分42秒630(-周)
3) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分42秒680(41周)
4) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分42秒720(77周)
5) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7 1分42秒947(61周)
6) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分43秒000(-周)
6) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分43秒000(-周)
8) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分43秒050(-周)
9) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分43秒120(85周)
10) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分43秒175(89周)
11) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分43秒300(50周)
12) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分43秒410(82周)
13) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分43秒475(76周)
14) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分43秒650(-周)
15) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分43秒800(-周)
16) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7 1分43秒835(68周)
17) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分43秒900(-周)
18) 青木宣篤 JPN スズキ・MotoGP GSV-R 1分44秒200(-周)
19) アンドリュー・ピット AUS ヤマハ・MotoGP YZR-M1 1分44秒490(-周)
20) アンソニー・ウェスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分44秒730(-周)
21) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチGP7 1分47秒000(-周)
■初日の転倒者
1日目はレプソル・ホンダのペドロサが5コーナー、コニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手が10コーナー付近、ダンロップTECH3ヤマハの玉田誠選手も低速コーナーで転倒を喫しているが、幸いどのライダーにも怪我は無かった。
■初日の総合トップはホプキンス、レースタイヤのトップはストーナー
この日に予選タイヤを装着した事が判明しているのは、1日目の総合トップタイムであり、レースウイーク中にフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシが記録したカタルーニャのベストラップを0.4秒以上も上回る1分41秒400を記録したリズラ・スズキのジョン・ホプキンスと、それに次ぐ2番手タイムの1分42秒630を記録したグレッシーニ・ホンダのトニエリアスの2名。
レースタイヤでのトップタイムは、ドゥカティーのケーシー・ストーナーが記録した1分42秒680だった。
■ブリヂストンは16インチのリアタイヤのテストを開始
ブリヂストンは新型予選タイヤの性能をホプキンスの今回の驚異的とも言えるタイムで証明して見せたが、レースタイヤに関する新しい試みもドゥカティー・マルボロ勢と共に開始している。
ストーナーはこの日からブリヂストンが持ち込んだ16インチのレース用リアタイヤのテストを開始しており、1日目はそのリアまわりのセッティングに時間をかけた様子だ。ちなみに、ブリヂストンの16インチのリアタイヤは、昨年のムジェロでカワサキ時代の中野選手も試用していた。
■やっと新型シャシーを投入してきたホンダ
また、ブリヂストンの16インチリア以外の目新しい1日目の作業項目としては、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが、ダニ・ペドロサが前日までのレースウイーク中に初めて使用を開始していたホンダRC212Vの改良型シャシーを試している事があげられる。
■2日目のテストに向けて、明らかに調子を上げるヘイデン
800ccマシンになってからシャシーのセッティングには思いのほか苦しむ傾向のあるホンダ勢だが、ヘイデンはこの日の走行で改良型シャシーには好感触を示しており、2日目も新しい方のシャシーを用いたセッティング調整を継続する予定だという。
■初日の各チームのテスト状況
以下に、初日の作業内容を公式発表しているチームの状況とコメントなどを紹介する。
■ミシュランのテストメニューを大量こなすフィアット・ヤマハ
1日目のみのテスト参加となったフィアット・ヤマハチームは、バレンティーノ・ロッシとコーリン・エドワーズが何種類ものミシュランのレースタイヤのテストを行い、ロッシがレース中の自己ベストを約0.6秒上回る総合4番手タイムの1分42秒720、エドワーズが総合12番手タイムの1分43秒410を記録した。
■ブリビオ監督「ルマン合同テスト時の残課題を消化」
フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、今回はタイヤのテストのみを中心的に行い、ルマン合同テストの続きの作業を行った事を以下の通りあかしている。
「今日のバレンティーノとコーリンは、終日を通してミシュランと共にタイヤテストに集中しました。」とブリビオ監督。
「ルマンの翌日から今回のテストを含め、ここまでの何週間かは非常に多くをテストをこなしてきましたから、ミシュランには膨大なデータを提供できていますし、そのたびに彼らはタイヤの性能を上げてきています。」
「ルマンは非常に重要なテストでしたし、おかげでムジェロに向けての準備は整っていた訳です。ただ、もちろんいつも通り改善の余地は大きく残っていましたから、今回はその残りを達成する事を目標としました。」
「今日は少しだけ以前とは異なる新しい方向性を持って2名のライダーと共にテストを行いましたが、その結果は上々だったと言えそうですし、作業内容には満足できています。」
「もちろん、現段階のような作業レベルにおける実際の改善内容や変更点は非常に些細なものになりますが、それらは常に重要な意味を持つものですし、だからこそ、私たちは厳しい作業をいつまでも続けているのです。」
「今日はテストライダーのアンドリュー・ピットにも参加してもらって、さらに追加のタイヤテストを行いましたから、より多くのデータを収集する事ができました。私たちはこの分野に全力を注いでいますので、共に忙しく働いてくれるミシュランには本当に感謝しています。」
「これで少しの間は休みになりますから、この2週間を頑張ってくれた全てのスタッフがリフレッシュして、ドニントンでまた力を発揮してくれる事でしょう!」
■16インチのリアタイヤのテストに時間を費やすドゥカティー
2日間の日程でテストに参加しているドゥカティー・マルボロの2名も、フィアット・ヤマハと同じく今回のテストはタイヤのテストを中心に行っている。ストーナーの記録はレースタイヤでは初日のトップ、初日の総合では3番手タイムとなる1分42秒680、カピロッシの記録は初日総合11番手タイムの1分43秒300だった。
様々なブリヂストンのレースタイヤをケーシー・ストーナーとロリス・カピロッシはテストしているが、特にストーナーはブリヂストンが持ち込んだ新型の16インチリアタイヤ試しており、この日はそのセッティングに試行錯誤を重ねた様子だ。
■なぜ16インチか
なお、16インチとはタイヤの外径を指すものではなく、タイヤの内径(リムの径)を指すものであり、外径は現行の16.5インチのものと変わらない事からタイヤ本体のゴム側面の幅は大きくなる。これにより、荒い路面のサーキットでも振動の吸収性が高くなる事や、マシンを倒し込んだ時のタイヤ側面側のグリップ力が増す事など、800ccに不可欠な高速コーナーでのクイックなハンドリングを実現する上で有利な特性が得られる事に期待が持たれている。
■新型シャシーに好感触を示すレプソル・ホンダ
2日間の日程で今回のテストに参加するレプソル・ホンダチームは、前日までのカタルーニャのレースウイーク中は改良型のシャシーをダニ・ペドロサのRC212Vのみに導入していたが、この日からはニッキー・ヘイデンも同じ新型シャシーを使用してセッティングの調整を開始している。
特にサテライト勢から疑問の声が上がっていた今期のRC212Vのハンドリング性能だが、その点において今回のシャシーにはさらなる改善が施されている事を2名のライダーは認めており、揃って好感触を示している。ヘイデンのこの日の記録は初日総合10番手タイムの1分43秒175、ペドロサは初日総合9番手の1分43秒120だった。
■ヘイデン「初めて新型シャシーを試した」
1日目の午後にヘイデンはメカニカルトラブルに見舞われて作業時間を若干ロスしているが、レースウイーク中に問題としていた部分の改善は進み、ここまでのカタルーニャでのレースタイヤにおける自己ベストを0.25秒縮める事にこの日は成功している。改良型シャシーの調整以外にも、ヘイデンはクラッチまわりの調整とミシュランタイヤのテストを午後には並行して行ったようだ。
「今日は多くの作業が進み、とても有益な1日になりました。ダニがレースウイーク中に使用していたシャシーを試してみましたが、いくつかの面で優れた部分があり、若干速く走れるようになりました。」とヘイデン。
「今日は午後にマシントラブルがあり時間を少しロスしましたが、今日は改善が何点か進んだので非常に価値のあるテストだったと思います。明日もさらに頑張ってタイムを削り落としていきたいですね。」
■ペドロサ「ドニントンに向けての自信につながった」
また、2日間を通してテストに参加するヘイデンとは異なり、今回は初日のみの参加となるダニ・ペドロサは、日曜日のレースでの経験を基に、マシンの基本的な部分など、様々な分野についてのテストを行い、それぞれに改善を進める事ができたという。
レースウイーク中に使用した改良型シャシーの他に、ミシュランタイヤのテストも行ったペドロサは、この日は5コーナーで軽く転倒しているが、全く怪我はなかった様子だ。
「今日の転倒は普通の転び方です。コースに出て5コーナーに進入したら壁の方角に向かってしまったのでバイクを押し倒さざるを得なくなりましたが、特に大きな事故ではありません。」
「レースウイーク直後の長い1日でしたが、ドニントンに向けての自信にはつながりました。あそこでも天気が持ってくれたら、またいい週末が期待できるでしょうね。」
■プラマック・ダンティーンもタイヤテストに集中
1日の日程で参加しているプラマック・ダンティーンの2名も、この日はブリヂストンのレースタイヤに関するテストメニューを中心にこなしている。
■バロス「ライディング・スタイルに合うタイヤを見つけて満足」
アレックス・バロスは、タイヤのテストメニューをこなす傍らで、午前中はバイクのセッティングに調整を加え、今後のレースに向けてのマシン改善も積極的に行った様子だ。この日のブリヂストンのレースタイヤに非常に満足しているアレックス・バロスは、初日総合の5番手タイムとなる1分42秒947を記録している。
「このテストを終えて大変に満足できました。いい作業ができましたし、全てのタイヤ素材をテストすると同時に、より自分にあったセッティングの色々な解決策を試す事もできましたからね。」とバロス。
「午前中は特にバイクのセッティングに集中しました。午後にはタイヤのテストに焦点をあてましたが、これが非常に満足のいくものでした。今日使用したブリヂストンタイヤならトップレベルの戦いが期待できそうですし、自分のライディング・スタイルにも非常に合っていてラップタイムを縮める事が容易でした。」
■ホフマン「高温路面に使えるタイヤを探した」
また、バロスのチームメイトのアレックス・ホフマンは、マシンのセッティング変更は最小限に留め、ブリヂストンのテストメニューに集中しながら高温路面に適したタイヤを見つける事に1日を費やしており、最終的にこの日の作業内容には満足ができたようだ。ホフマンのこの日の記録は16番手タイムとなる1分43秒835。
「今日は頑張って働きましたし、最終的な結果にも満足できました。」とホフマン。
「昨日(レース)は満足のいく結果が得られませんでしたので、今日はテストはその対策を練る上でとても重要なものになりました。特に今日のテストで焦点をあてたのは、高温になった路面で使えるいいタイヤを見つける事です。」
「今回はブリヂストンのレースタイヤのテストに一日を費やし、高いレースペースを維持できるようなセッティングの調整をマシンに少しだけ加えました。」
「前回のレースについては今でもすごくがっかりしていますが、自分たちのパッケージとタイヤの戦闘力の高さは理解しているので、次回のレースには自信が持てます。他のチームと同様に、次のレースではいい結果を狙っていきます。」
■サスペンション調整に終日を費やしたコニカミノルタ・ホンダ
カタルーニャのレースウイーク中は根本的なセッティングの見直しを1日目からセカンドマシンでテストし、翌日の予選当日にはその試みによってチャタリングの削減に大きな効果が得られたとしていたコニカミノルタ・ホンダチームだが、レース当日の午前と午後の路面温度の変化に対応しきれず、目標としていた8位以内を大きく下回る15位でレースを終える事となった。
カタルーニャではむしろレースウイークよりも翌日の合同テストにセッティング改善のチャンスを見出していたコニカミノルタ・ホンダチームは、この日の午前の3時間と午後の4時間をフルに活用し、ミシュランのタイヤテストを行う中、様々なサスペンションの調整を試し、リアサスペンションとフロントフォークのセッティング改善を模索している。
■中野選手「フロントとリアのバランスが改善された」
中野選手は今回のセッティング調整後のマシンでは、レース時の自己ベストを約1.5秒上回るこの日の総合13番手タイムの1分43秒475を記録しており、今回の合同テスト中の作業内容については満足できている様子だ。
なお、この日のセッション終了間際に中野選手は10コーナーでフロントのグリップを失い転倒しているが、幸いどこにも怪我はなく、15分後にはセカンドバイクで走行を再開している
「怪我はありませんし元気ですよ!」と中野選手。
「仕様の異なる何種類かのフロントフォークを試した結果、フロントまわりの感触にいくつか進展が得られましたので、今日の作業内容には満足できています。それ以外にはリアのサスペンションも今までとは違うものを試しましたが、おかげでフロントとリアのバランスが昨日のレースの時よりも良くなっていると思います。」
「また、6種類のリアタイヤを今日は試しましたが、これらは次戦のドニントンで役に立ってくれる筈です。それに今日は昨日のレースの時よりもいいタイムが記録できましたし、これは自分たちの改善が進んだ証拠ですので、次回以降のレースにはより期待を持って挑む事ができます。」
■ベルナルデッレ技術監督「レースウイーク中だけでは困難だった」
カタルーニャではレースウイーク初日から、ムジェロで抱えたチャタリングの問題を解決しようと精力的にセッティングの改善に努めたチームだが、1日に2時間のプラクティス・セッションだけでは大きなセッティング変更のテストは時間的に苦しい部分があったようだ。
前回コニカミノルタ・ホンダチームが参加したヘレスの合同テストは終日ウェット路面になった事もあり、今回の合同テストでは終日ドライ路面が得られた事で、レースウイーク中だけではできない多くのセッティング変更を試す事ができたと、チームの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは大変に満足している様子だ。
「今日はコースを終日を丸ごと使えるテスト日和になりましたので、テクニカル・パッケージの全体に改善が必要な現状としては大変に重要な一日となりました。」とベルナルデッレ技術監督。
「いくつかの異なるセッティングや調整を試す上で、今回のように多くの時間が取れるのは大変に有り難い事です。レースウイーク中の限られたプラクティスの時間内に全てを試すのは非常に困難ですからね。」
「今日は最初にサスペンションの調整から作業を開始しました。昨日のレースで使ったセッティングに調整を加える事から始めて、リアとフロントの両方のサスペンションに新しい解決策を見いだせないか探りました。」
「午後にはミシュランが新開発した新しい断面構造を持つリアタイヤを装着して作業を継続しましたが、概ね良好な結果が得られています。」
「飛躍的な改善結果が得られている訳ではありませんし、今回の私たちの期待はそこにあるのではありません。今必要なのは、今の段階で私たちの手に届く範囲の小さな改善をテクニカル・パッケージに加える事であり、それを次戦のイギリス戦に向けて施す事です。」
■カタルーニャ合同テスト2日目の結果
以下に、カタルーニャ合同テスト2日目の結果を、各ライダーのこの日の自己ベスト(非公式)順に示す。この日の正確な気象条件は公表されていないが、基本的には1日目とほぼ同じく終日晴天の気温の高い1日となっている。
1) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分42秒400(107周)
2) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分42秒440(-周)
3) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分42秒760(31周)
4) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ デスモセディチ GP7 1分43秒090(56周)
5) 伊藤真一 JPN ドゥカティ・ブリヂストン・チーム デスモセディチ GP7 1分45秒506(-周)
6) 青木宣篤 JPN スズキ・MotoGP GSV-R 1分46秒000(-周)
■レースタイヤでの総合トップはニッキー・ヘイデン
2日目のトップタイムは、レプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが改良型シャシーを導入したRC212Vとミシュランのレースタイヤで記録しており、これは今回のカタルーニャ合同テスト2日間のレースタイヤでの総合トップタイムになる。
■2日目の各チームのテスト状況
以下に、2日目の作業内容を公式発表しているチームの状況とコメントなどを紹介する。
■ドゥカティーは16インチのリアタイヤのデータ収集を継続
初日にレースタイヤでのトップタイムを記録していたケーシー・ストーナーは、2日目には前日のタイムを更新するには至らなかったが、ブリヂストンの16インチの新型リアタイヤへの理解は深まり、セッティングを改良する事でさらに感触は高められたという。
ストーナーと同様に、ロリス・カピロッシもリアの16インチタイヤには好感触を示しており、日本のブリヂストンの技術者に提供する有益なデータを提供できたとしている。
なお、次回のドニントンパーク戦でこの新型リアタイヤが実戦に投入されるかどうかは不明だが、今回のデータを日本に持ち帰ってさらなる改善をブリヂストンの技術陣が進めてくる事は間違いなさそうだ。
■レプソル・ホンダ、新型シャシーが2日目に真価を発揮
ダニ・ペドロサが1日目のみのテストを終えたため、2日目のテストに参加したレプソル・ホンダ勢はニッキー・ヘイデンの1名だが、ヘイデンは2日目も改良型シャシーの調整を続けており、この日は初日のタイムをレースタイヤで0.775秒も大幅に縮める事に成功した。
ヘイデンがレースタイヤで2日目に記録した1分42秒400は2日間の総合トップタイムであり、さらにヘイデンはこの日の予選タイヤでは1分42秒200も記録している。
■ヘイデン「レースウイーク中に同じ結果を出したい」
2日目の大半をミシュランタイヤのテストに費やし、午後にはレースの3/4の距離を安定した速いペースで周回したヘイデンは、予選タイヤに匹敵するタイムをレースタイヤで記録する結果になった新型シャシーの効果に大きな満足を示している。
「2日目は新型シャシーを試してかなり勇気づけられましたね。」とヘイデン。
「もちろんレースウイーク中にも今回のような結果を出さなきゃいけませんけどね。ただ、マシンの感触はすごく良くなりましたから、間違いなくいくつかの分野で改善が進められた筈です。このサーキットでは性能が確実に発揮されていますので、次回のドニントン・パークにもこの調子をそのまま持ち込める事を期待したいです。」
「今回は新型シャシーに予選タイヤも組み合わせました。ドニントンでいきなり驚くような目には遭いたくないですからね。」
「2週連続のレースから続けて頑張ってくれた自分のスタッフに深く御礼が言いたいです。誰1人として諦める様子を見せたりしませんから、これは自分のすごい自信につながりますよ。」
|
|