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MotoGP第7戦カタルーニャ、ロングストレートに不安のないヤマハ
インテリマーク編集部
2007年6月8日

前回のイタリアGPからオフウイークを挟まずに、MotoGP第7戦カタルーニャ・グランプリが本日6月8日よりスペインのバルセロナにあるカタルーニャ・サーキット(モントメロ・サーキット)にて開催される。
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ここでは、カタールニャ・サーキットの特徴と必要とされるマシンのセッティングの方向性、ならびに各チームのカタルーニャGPに向けてのコメントや、オープニングラップでの大事故により多くの怪我人が発生した昨年の波乱のレース内容などを紹介する。

■カタルーニャ戦を待ちわびた地元ライダーは3名

今回のカタルーニャで2007年シーズン中に最も忙しい時期とされるヨーロッパ戦は3戦目に突入する。9週間のうちの6ヶ国を転戦し、この期間中の10人のヨーロッパ出身のレギュラー・ライダーのうちの誰かに必ずチャンスが各グランプリごとに訪れる訳だが、今回のカタルーニャがホームグランプリとなり、心待ちとしているのはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、グレッシーニ・ホンダのトニ・エリアス、ホンダLCRのカルロスチェカの3名だ。
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また、チームとしてスペインがホームとなるのは、スペインの巨大石油会社であるレプソル社をタイトル・スポンサーとするレプソル・ホンダチームと、チームの運営母体がスペインにあるプラマック・ダンティーンチームの2チーム。


■カタルーニャ・サーキットの歴史:政府が建造を指揮

カタルーニャ・サーキットは、カタルーニャ州自治政府により1986年に建築が立案された国際サーキットであり、その自治政府の指導の下、スペインのバルセロナから20キロの距離に位置するモントメロ地区に造られた。

■昨年はガウディーの建造物をMotoGPライダーが見学
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ちなみにスペインのバルセロナは、サクラダ・ファミリア聖堂など、ガウディーの建造物が観光名所としても有名だが、昨年はカタルーニャGPに訪れたMotoGPライダーの何人かはガウディーの建造物の1つとして知られるカサ・バトリョ邸を訪問しており、ガウディー独特の曲線が用いられた外観や内面の造りを見学して楽しんだようだ。
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■1991年にF1グランプリが開催

カタルーニャ・サーキットが公式にオープンしたのは1991年の事であり、同年の9月上旬にはスペイン・ツーリングカー選手権が最初のレースとして行われ、その9月下旬にはカタールニャ地区では16年ぶりとなるF1のスペインGPが開催されている。

■WGPの初開催は1992年

カタルーニャはF1などの4輪レースだけではなく、スペインの2輪ロードレース界においては常に中心的な役割を担う主要サーキットとしても知られており、翌年の1992年にはF1に続きWGP(現MotoGP)のスペインGPがカタルーニャで初めて開催されている。ちなみに、この年の最高峰クラス(500cc)の勝利者は、ケニー・ロバーツ・シニアが率いるチーム・ロバーツ(マルボロ・ヤマハ)のウェイン・レイニーだった。
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なお、この1992年にはバルセロナ・オリンピックの会場としても活用されており、カタルーニャ・サーキットの建造目的には当初からその目的もあったという。

■2輪ロードレースに適した普遍のコースレイアウト

1995年以降はスペインGPではなくカタルーニャGPの名称でWGPが開催されるようになり、そのまま現在に至っている。90年代後半はF1の安全面での問題から小さな改修が相継ぐが、2輪のコースとして使用する上での優れたコースレイアウトの特性に悪影響を及ぼすような事はなかったようだ。
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■近年の再舗装工事がMotoGPライダーには不評

しかしながら、F1のテストコースとして使用される事も多い事からアスファルトの劣化が2000年以降には深刻化しており、2005年から2006年には全面的な再舗装が行われているが、この時から路面のがたつきはより悪化したと言われており、工事前の方がスムーズに走れたのではと2輪関係者からは不評を買っている。
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■ムジェロと同様にハイスピードでテクニカルなサーキット

いずれにしても、毎年迫力あるレース展開が期待できるテクニカルかつ高速なコースレイアウトを誇り、2001年にはベスト・グランプリ賞を獲得しているカタルーニャ・サーキットは、前回のムジェロと同様に総合的なマシン性能とライダーの技量を要求するサーキットであるため、ライダーにも観客にも大変に人気が高く、F1とMotoGPの両方のテストコースとしても頻繁に使用される。

■今年はIRTAテストから外されたカタルーニャ

ちなみに、今年は開幕戦となったカタールのロサイル・サーキットがIRTAテストの会場となったため、冬季のプレシーズン中は例年とは異なり一度もカタルーニャでのMotoGPのテストは行われていない。従って、マシンとライダーに過酷なコースレイアウトのカタルーニャで各チームが800ccマシンを走らせるのは、今週のカタルーニャ・グランプリが初めての事となる。


■コースレイアウトの特徴

カタールニャ・サーキットは高速ロングストレートと、長い半径で描かれた横滑りを誘発しやすいバラエティーに富んだ曲線を持つ中高速コーナー、および2つのタイトな左ヘアピンなどを特徴とするサーキットだ。
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■マシンの性能差が顕著に表れるテストコース

総合的なマシン性能が必要とされる面など前回のイタリアGPが開催されたムジェロとコースレイアウト上の特性が似ており、テスト・コースとしても最適であるのと同時に、MotoGPバイクの各チームの性能差や総合的に完成度が顕著に表れるサーキットだと言われている。

■再びドゥカティーに有利なロングストレート?

コース全長4,727メートルのこのサーキットは1,047メートルのロングストレートを誇り、990cc時代には時速335キロのトップスピードが記録されている事から、カタールや上海、ならびにトルコや前回のムジェロで強さを発揮したマシン、特に今シーズン序盤はトップスピードで圧倒的優位に立ったドゥカティーにとって有利なコースの1つとなるかもしれない。
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■昨年まではドゥカティーとブリヂストンが苦しんだサーキット

ちなみに、ドゥカティーがMotoGP参戦後に初めて勝利を経験したのは2003年のカタルーニャだが、ドゥカティーがブリヂストンタイヤにスイッチしてからはあまり相性の良いサーキットとは言えなくなっている。昨年はリズラ・スズキ勢、特にジョン・ホプキンスが予選で2番グリッド、決勝レースでは4位という活躍を見せてはいるものの、過去のブリヂストン勢があまり得意とはしていなかったサーキットだ。

■両者の本領発揮は今年から
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しかしながら、昨年はドゥカティーの2台がオープニングラップの大事故に巻き込まれてレースそのものができなかった事や、今期はエンジン・パワーに自信を示すカワサキが昨年はトップスピードで大きく不利な状況にあった事を考えれば、今シーズンここまでの多くのサーキットで好調のブリヂストンが、同じく好調のドゥカティーなどと今年は本領を発揮してくる可能性は十分にある。


■必要とされるセッティングの方向性

カタルーニャでの勝利に向けては、予選では特にマシンのエンジンパワーが重要視され、レースではスリップストリームの効率的な利用が勝利の鍵となるようだ。最初の区間では各ライダーの差はつきにくいが、第2区間での争いが激しく、コントロールラインで前に出るには最後の2つの右コーナーでのライン取りが非常に重要となる。
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■要求されるトップレベルのセッティング能力

セッティングに関しては、トップレベルでマシンやタイヤ性能を引き出す必要がある。前回のムジェロと同じく最高のシャシーバランスと高いタイヤ性能を大前提とし、ロングストレートではトップスピードの高いパワフルなエンジンとリアのトラクション、10コーナーからそれ以降のコーナーではフロントまわりの感触とハンドリング性能に優れたマシンが要求される。

パワーサーキットの特徴としてタイヤの消耗も激しく、ライダーとメカニック、およびチームクルーは慎重にこれを考慮し、マシンの仕上げとタイヤ選択を行わなければならない。また、13あるコーナーのうちの大多数は右コーナーであり、タイヤメーカーにとっては右側面の劣化を考慮した素材の準備が不可欠となる。


■各チームのカタルーニャGPに向けての状況

続いて、各チームのカタルーニャGPに向けての準備状況を紹介する。

■フィアット・ヤマハ「今のM1なら十分に戦える」
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フィアット・ヤマハチームは先週のイタリアGPでのロッシの勝利の晩に祝賀パーティーを設けているが、その後は4日後に控えた今回のカタルーニャGPに向けての準備に休む間もなく入ったようだ。

■ムジェロと同様にロッシが強さを発揮するカタルーニャ

母国イタリアでの勝利により現在ポイントリーダーであるストーナーに9ポイント差まで迫ったランキング2位のバレンティーノ・ロッシは、今回のカタルーニャも前回のムジェロと同様に非常に得意とするサーキットだ。ロッシはカタルーニャではヤマハ時代の過去3年間の連続勝利を含む8回の勝利を自身のグランプリ経歴の中で記録している。
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今回のカタルーニャもストレートが長く、今期のライバルであるドゥカティーにとっては有利となる可能性もあるが、ロッシはイタリアから投入された新仕様のエンジンパーツの効果には自信を示しており、ムジェロと同様に現在のM1は十分に戦えるレベルにあると考えているようだ。

■ロッシ「ここでもダニとストーナーは強い」

また、ロッシは最高峰クラスでのダニ・ペドロサの昨年からの活躍後も、彼にとってライバルとなる自分にスペインのファンが変わらぬ声援を送り続けてくれている事に深く感謝しており、スペインのファンの前で今年も最高のレースを見せたいとコメントしている。
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「スペイン人のライダーとはライバル関係になる事が多いのに、スペインには自分を応援してくれるファンがいて本当に嬉しい。今週はダニもすごい声援を受けると思うし、ムジェロでのいいバトルと同様に今回も彼は強敵になると思う。」とロッシ。

また、ロングストレートでのドゥカティーの優位性に関してロッシは「今回もストーナーは強いだろうし特にロングストレートが彼には有利。でも、ヤマハもミシュランもここまでに頑張ってライバルたちとの差を縮める事ができているので、今後はどんなコースでも戦えるだけの準備は整っている」と述べ、ムジェロで経験したマシンの改善状態に自信を示した。

■エドワーズ「同じ失敗は許されない」

また、チームメイトのコーリン・エドワーズは、今期はスペインと前回のムジェロ以外では予選で1列目を確保するという好調さを見せながらも、トルコではオリビエ・ジャックからの追突、中国ではリアタイヤにトラブル、その他の多くは悪天候の影響によるセッティング不良などが原因となりレースで結果を残す事ができずに、現在はランキング10位となっている。
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しかしながら、今シーズン序盤は悪天候に泣く事になったエドワーズだが、2006年のプレシーズン中には雨のカタルーニャのBMW杯で勝利を記録している。その経験からもエドワーズは、今回のレースウイーク中はどんな天候になってもいい走りができるだろう述べ、好印象を持つカタルーニャでのレースには期待を抱いている様子だ。

「ムジェロでは貴重なたった2回のドライ・セッションを使って役に立たない事を試してしまい、時間を無駄にした。今回は同じミスは許されない。自分たちのパッケージの性能の高さは分かっているから、勝負は都度正しい判断ができるかどうかにかかっている。再び自信を取り戻して前進したい」とエドワーズ。


■昨年のレースデータが欠落しているドゥカティー

ドゥカティーにとってカタルーニャは2003年にMotoGPでの初勝利をロリス・カピロッシと共に獲得した記念すべきサーキットだが、今年は彼らにとって1つの懸念事項があるようだ。

ドゥカティーのMotoGPチーム監督であるリビオ・スッポは、「去年はカピロッシとセテ・ジベルナウの両方が1コーナーのアクシデントで揃って怪我をしてしまい、再スタート後もレースに参加できていないので、レースに関する最新のデータがこのコースにはない」と、今年は冬季テストが行われなかったカタルーニャでのデータ不足に不安を抱いている。
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■ストーナー「もう少しリラックス」

しかしながら、ここまで好調にシーズン序盤を過ごしてきたストーナーは、カタルーニャにはリラックスする事も忘れずに挑みたいと述べるなど、今週の戦いに向けてさらに自信を高めている様子だ。

「ムジェロではいくつか新しく学べたので、それがバルセロナで役に立つ筈。今期はすごく順調なので、自分の力に自信を持って少しずつリラックスして戦いに挑んでいきたい。ここはドゥカティーが初めて勝ったサーキットなので、さらに勝利数を増やせれば嬉しいけど、自分たちの目標は今まで通り全てのレースに全力を尽くす事だけ。」とストーナー。

■カピロッシ「新マシンの熟成を進めたい」
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また、前回のムジェロからは彼のライディング・スタイルにより適した専用マシンを投入されたものの、悪天候の影響からあまりエンジンの調整が進まなかったカピロッシは「今回はいい天気になって欲しいし、新しい仕様のエンジンまわりの作業が進められる事が楽しみ。新しいマシンは出力特性がよりリニア(直線的)だから、すごく自分の乗り方に合っている。ただ、自分は他のライダーよりもコーナリング中にマシンを倒し込む角度が深いので、コーナー脱出時にアクセルを開けた時にはもっとエンジン出力が優しい感触になるようにする必要がある。」とコメントし、カタルーニャでの新マシンの調整作業に向けての高い意欲を示した。


■ブリジストン勢の中で昨年はトップだったリズラ・スズキ

昨年は多くのブリヂストン勢が苦しむ中、リズラ・スズキ勢の2名だけはカタルーニャで好調なレースウイークを過ごしていた。ジョン・ホプキンスは予選で2位、レースでは当時の自己最高位だった4位を獲得、チームメイトのクリス・バーミューレンも予選で4位、レースでは6位を獲得している。
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■ホプキンス「去年の4位よりも上の成績を狙う」

カタルーニャを大好物とするジョン・ホプキンスは、「バルセロナではいつもいい走りができる。自分の楽しめる全てが揃っているサーキットと言ってもいい。990ccバイクの時でも調子がすごく良かったから、飛躍的に改善が進んだ新しい800ccマシンもカタルーニャと相性がいい事は確実。昨年よりもさらに上の成績を狙いたい」とコメントし、得意のサーキットでの今年2度目の表彰台獲得に期待感を示した。

■バーミューレン「余分に応援がもらえるかも」
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また、現在はカタルーニャに近いアンドラの街に住居を持つクリス・バーミューレンは、「家も車ですぐだし今回のグランプリは自分のホームグランプリみたいなものだから、スペインの人たちから余分に応援がもらえるかもしれないね!ムジェロは厳しい戦いだったからすぐに好きなサーキットに来れて嬉しい。初日の最初のセッションから好位置が狙いたいし、今週はいい結果に期待が持てる。ジョンも自分も今期はここまでに高い成績でバイクの仕上がりの高さを証明したから、今の調子をこのまま維持していきたい。」と述べ、好印象を持つカタルーニャに向けての自信をアピールしている。
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■連続表彰台を地元で狙うプラマック・ダンティーン

タイトル・スポンサーのホームグランプリとなった前回のムジェロでは、アレックス・バロスが念願の表彰台への復帰を果たして喜びに沸いたプラマック・ダンティーンチームは、チームの実質の本拠地となるスペインでもイタリアで見せた実力を再びホームのファンに見せつけようと張り切っている。
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チームオーナーのルイス・ダンティーンは、「モントメロのサーキットはブリヂストンとドゥカティーにとってこれまであまり相性のいいサーキットとは言えなかったが、今年は両者の戦闘力が高まっているので、今回のレースではそれを証明するいい機会になる」とコメントし、スペインの地元ファンの前でシーズン序盤の不運の連続を再び拭い去り、チームの本当の実力を示す時だとその意欲に燃えている。

■バロス「ドゥカティーのエンジンパワーを最大限に活用」
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念願だった今期初の表彰台を前回のイタリアGPで獲得する事に成功したアレックス・バロスは「ここはいつでも速く走れる大好きなサーキット。前回走ったのは2005年のMotoGPだが、その時には4位を獲得しているし、今回はもっと速く走って見せたい。今回も長いストレートがあるので、ドゥカティーのエンジンパワーを最大限に活用すれば有利な戦いができると思う。今年は全ての若手ライダーが速いので簡単じゃない事は理解しているが、高い成績を全力で狙っていきたい。」と述べ、今年はドゥカティーとブリヂストンがカタルーニャでも好調さを発揮する事に期待を抱いている様子だ。

■ホフマン「ムジェロで抱えた問題を解消していいレースに期待」

また、チームメイトのアレックス・ホフマンは「前回のレースは全く満足できなかったので、熱狂的なファンの声援がもらえるカタルーニャでは高い成績を取りたい。ムジェロではリアまわりの感触に問題を抱えたが、ここではその問題を解消してレースを楽しみたい」とコメントしている。


■今期2度目のホームを迎えるレプソル・ホンダ

写真スペインの大手石油会社であるレプソルをタイトルスポンサーに持つレプソル・ホンダチームにとって、今回のカタルーニャGPは第2戦のヘレスに続く今期2度目のホームグランプリだ。また、同チームのライダーの1人であるスペイン人のダニ・ペドロサにとっても、カタルーニャは多くの地元ファンからの声援に力にできる重要なホームグランプリとなる。

ペドロサもセテ・ジベルナウ、ロリス・カピロッシ、マルコ・メランドリ、ランディー・ド・ピュニエ、ジョン・ホプキンスなとど同様に、昨年のカタルーニャではオープニングラップの1コーナーでの大事故に巻き込まれてコースアウトしたライダーの1人だ。重傷を負ったジベルナウやカピロッシ、メランドリの3名とは異なりペドロサは無傷だったが、再開後のレースでは11ラップ目に転倒して地元レースをリタイアに終わるという悔しい経験をしている。

■ペドロサ「今回はストレート競争がどうなるか見もの」

ペドロサは、「自分のホームのバルセロナでレースができるのが本当に楽しみ。去年は1コーナーの大事故に巻き込まれてしまい悲惨だったが、怪我をしなかったのは幸運だったと思う」と、完走ができなかった昨年のレースを振り返っている。
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また、今年のレースに向けてペドロサは「中国とトルコの時に比べ、前回のムジェロではミシュランタイヤが大きく改善を進めてくれていたから、今後もいい戦いができるようになると思う。レイアウトの観点からバルセロナは好きなコース。テクニカルだし挑戦しがいのあるコーナーもある。ムジェロのような長いストレートがあるから、ストレート競争がどうなるか今回も見もの」とタイヤとマシンの改善状況に自信を示すコメントを残した。

■ヘイデン「ここでトンネルから抜け出したい」

ペドロサのチームメイトであり、昨年度のチャンピオンであるニッキー・ヘイデンは、プレシーズン中からセッティングに苦しみ、開幕後も調子が上がらずにランキング11位に低迷している現在の状況から、昨年は2位表彰台を獲得した得意のカタルーニャで脱したいと考えている様子だ。
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「バルセロナは好きなコースだし、去年の2位表彰台を含めて過去には何回かいい結果を残せた。だからここで問題を解消していい走りができる事に期待している。ここは安全面にも優れていて、スペインの人はオートバイレースを本当に愛してくれているから雰囲気もすごくいい。冬季にカタルーニャでテストをしないでシーズンを迎えるのは今回が初めてだから、プラクティス中に頑張って新しい800ccマシンのベースセッティングを見つけなければならない。今シーズンは苦しい戦いを強いられているが、自分もチームもこのトンネルから抜け出せるように全力を尽くしている。」とヘイデン。


■ホンダ・グレッシーニ、カタルーニャはエリアスの本当の地元

グレッシーニ・ホンダのスペイン人ライダーであるトニ・エリアスにとってカタルーニャは本当に馴染みの深い土地だ。今回グランプリが開催されるカタルーニャ・サーキットはエリアスの自宅から約30キロメートルの近距離に位置しており、カタルーニャGPは彼のまさにホーム中のホームグランプリと言える。
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■エリアス「ストレートでは苦戦する」

前回のムジェロでは6位を獲得し、マシンの仕上がりと自分の走りに自信を取り戻す事に成功したエリアスは、「ここはムジェロと同じくらいにテクニカルなサーキット。前回のレースの成績が良かったので、フランスと中国の悪い記憶はだいぶ薄れたし、自信を取り戻す事ができた。ホームで戦えるからスペイン人にとっては調子を取り戻すチャンスになる。バルセロナのたくさんのファンの前で走れるのは最高だし、意欲も高まるので最高の成績を取れる気分にさせてくれる」とコメントし、地元での戦いを残りのシーズンに向けての起爆剤にしたいとしながらも、「モントメロは全てにおいて高いレベルが要求されるサーキットなので、厳しい戦いになる事は分かっている。すごく長いストレートには苦戦するだろう」と述べ、今年のホンダのマシンがストレート面で決して有利ではない事への不安ものぞかせた。

■メランドリ「ムジェロの結果が忘れられるように頑張る」

また、前回の地元レースでは予想外に低い9位という成績に落ち込んでいたマルコ・メランドリは「バルセロナはMotoGPで最初の表彰台を獲得した大好きなサーキットだが、去年の事故の悪い思い出もある」と述べ、昨年のオープニングラップでの大事故に巻き込まれて重傷を負った事を少し振り返りながらも「ここは素晴らしいサーキットだし、これから自分の好きなサーキットが何戦か続く。前回のムジェロの事を忘れられるくらいに頑張りたい」とコメントし、ムジェロでのフラストレーションを今回のカタルーニャにぶつけてくる構えを示している。


■コニカミノルタ・ホンダ「ムジェロで発生した問題を究明する」

今シーズン序盤はホンダRC212Vのセッティングに苦しみ、前回のイタリアGPでは好調だったレースの中盤にフロントまわりのチャタリングが再発して走行ペースを落とさざるを得なくなったコニカミノルタ・ホンダチームは、今回のカタルーニャが前回のイタリアGPの舞台となったムジェロと良く似た特性を持つサーキットである事を利用し、前回のレース中に抱えた問題の究明を行う予定だ。
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■レース翌日のテストでさらなる分析用データの収集を予定

また、開幕後のトルコとルマンでの合同テストには不参加だったコニカミノルタ・チームだが、今回のレース翌日の月曜日にはカタルーニャに残って終日のテストを予定しており、忙しいヨーロッパラウンドの最中、さらなるセッティング改善に向けてのデータ収集を急ぐ構えだ。

なお、シーズン中の次回の公式合同テストは夏休み明けのブルノが予定されていると以前には報じられていたが、今回の週明けのテストの位置づけや、他のチームの参加情報などは現在のところ明らかになっていない。

■中野選手「ムジェロで抱えた問題の解消が急務」

中野選手は「ムジェロではフロントまわりに問題を抱えてコーナーを激しく攻める事ができなくなったので、今はその問題の解決が急務。ただ、問題点はクリアなので、今後の作業の方向性は明確になっている」とコメントし、チームの現在の最優先課題がムジェロで抱えたフロントまわりの問題解消である事を明かしている。
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また、中野選手は、「スペインはどのサーキットで走るのも好き。スペインのファンはバイクレースに本当に熱心だし、特にMotoGPにかける情熱がすごい。カタルーニャはコースレイアウトが楽しめる自分の好きなサーキット。だから今回はドライ路面が長時間得られると嬉しいし、日曜日もいいレースができるようにドライになって欲しい。月曜日のテストの時もドライがいい。」と述べ、スペインの熱狂的なファンの中で走れる嬉しさを伝えると同時に、少しでもレース用のセッティング改善が進められる良好な走行条件を求める切実な気持ちを示した。

■ベルナルデッレ技術監督「ペースが持続できるよう改善を急ぐ」

また、コニカミノルタ・ホンダチームの技術責任者でるジュリオ・ベルナルデッレは、「過去2戦でシンヤ(中野選手)はトップライダーたちに近いタイムをレース中に記録しているので、チームはできる限り長くそのペースをレース中に一貫して維持できるように改善を進めなければならない。MotoGPシーズンは忙しい時期を迎えているが、HRCやミシュランなどのテクニカルパートナーと協力して頑張り、成績を上げていきたい」とコメントしている。


■ホンダLCR、チェカの地元にかける意欲に期待

ホンダLCRのカルロス・チェカも、今回のカタルーニャでホームグランプリを迎える3名のライダーのうちの1人だ。2戦連続の転倒となった前回のムジェロでのリタイアを悔しがるチェカは、ムジェロの事は早く忘れて今週のホームグランプリに集中したいとコメントしている。
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■チェカ「ファンが自然に意欲を高めてくれる」

「ムジェロの事は早く忘れて今週のレースに集中したい。ここでは頑張らなくても自然に意欲が高まるし、コースに出た途端に多くのファンがその力をくれる。ここではどのライダーも800ccマシンでは走った事がないのでみんな条件は同じだし、フリー・プラクティスと予選で無駄にする時間は一切ない。」とチェカ。


■チームロバーツは今回も2名体制

前回のムジェロではセカンドライダーとしてカーチス・ロバーツを投入し、その甲斐あってシーズン序盤からのシャシーの問題点をついに究明する事ができたチーム・ロバーツは、今回のカタルーニャでも前戦に引き続きロバーツ・ジュニアとカーチス・ロバーツの2名体制でレースに出場し、これまで難航してきたマシンの改善作業の効率をさらに上げる構えだ。
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■ロバーツ・ジュニア「まだ目標にはほど遠い」

「カーチスはチームの開発作業を楽にしてくれているが、まだ2名そろってやらなければいけない事は山ほどある。もうすぐシーズンは半分を過ぎるが、まだ自分たちのの現状は目標から大きく離れている。」とロバーツ。


■カワサキ「まずは完走する事と、体調を元に戻す事」

前回のムジェロでは、中国の大怪我から復帰したばかりのオリビエ・ジャックと、ルマンで右肩を負傷して体調が万全ではなかったランディー・ド・ピュニエの2名のライダーを抱えて苦しい戦いを強いられたカワサキ・レーシング・チームだが、先週からの短い期間ながらも2名はトレーニングなどを通して身体の回復の集中し、より整った体調で今回のからカタルーニャには挑めるとしている。
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ド・ピュニエの2戦連続の転倒など、ムジェロでの2名の苦戦ぶりに落胆していたチームのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは今回のカタルーニャ戦に向けて「両ライダーの目標は非常に明確。最後まで走りきってレースを完走する事。ランディーとオリビエの今シーズンのここまでのレースを2人分合計すると、12回が想定される中の6回しか完走できていないし、結局ワークスチームとしてこの時期に期待されるようなポジションに現在つけていない。2名が本来のNinja ZX-RRの性能を発揮する事を考えるのは自分の体調をしっかり元に戻してから」と述べ、まずは体調を元通りにする事と完走する事を両ライダーに命じている。

■ド・ピュニエの左ひざはフットボールサイズに

なお、ド・ピュニエのルマンでの右肩の負傷はほぼ完治に向かっているが、ムジェロで新たにダメージを受けた左ひざは関節部分を中心に大量の水がたまり、フットボールのサイズに膨れあがっているという。しかしながら、傷そのものの痛みはすでにほとんどなく、水をぬけば特にレースへの影響はでない事から、金曜日の午前のフリー・プラクティスの前にド・ピュニエはクリニカ・モバイルを訪れ、余分な水を抜く処置を受けてからバイクに飛び乗るようだ。
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2名のライダーにとって、カタルーニャは非常に相性の良いサーキットだ。ド・ピュニエとジャックはともに250cc時代にカタルーニャでは優勝を経験している。オリビエ・ジャックは2000年の1回、ド・ピュニエは2003年と2004年の連続2回だ。

■ド・ピュニエ「今年は走りきる」

ド・ピュニエは昨年のレースでは不幸にして1コーナーの大事故に巻き込まれ、転がって迫り来るジベルナウのバイクを避けるべくグラベルに逃げて転倒している。幸い怪我を負わなかったド・ピュニエは再開後のレースには無事に出場したが、6ラップ目にブレーキングミスを犯して再び転倒、リタイアを喫している。

ド・ピュニエは「誰もが去年の1コーナーの惨劇を覚えていると思うが、自分もあの事故に巻き込まれた1人だった。再開後のレースはセカンドバイクで戦ったが、9位を走っている時に玉田を交わそうとして攻め込んだ時に転倒してしまった。去年の大きな問題はマシンのトップスピードの欠如だったが、今年の800ccとなったNinja ZX-RRは大丈夫。カタルーニャは大好きだし、今年は去年の転倒を挽回する意味でも楽しみなサーキット。肩の調子はもう全然問題にはならないし、ムジェロで痛めたひざも数日でよくなると思う。レースではいい戦いができる筈」とコメントし、昨年の雪辱を今回のレースで果たす意気込みを示している。
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■ジャック「体力強化に専念した」

前回のムジェロからレースに復帰し、無事に完走を遂げたオリビエ・ジャックは、「ムジェロでは完走できたので自分の体調を確認するのにいい機会になった。実際に問題となったのは体力だけだったので、バルセロナに向けてはその対策を進めてきた。あまり時間はなかったが、レースでは効果が出ると思う。モントメロはムジェロに比べれば体力の消耗は少なくてすむ。ハードブレーキングが比較的に少ないし、テクニカルじゃない部分では身体を休める事もできる」と述べ、ムジェロで課題となった体力の強化をカタルーニャに向けて行ってきた事を明らかにした。

■今週のカワサキのナンバーは追悼を表す黒色

なお、今回カワサキの2名は、数週間にわたる病院での闘病の末に6月4日に亡くなったヨーロッパのカワサキ・モトクロスチーム(Kawasaki Racing Team MX1)の監督であるヤン・デ・グルート氏への追悼の意を表し、黒色のバイクナンバーでカタルーニャのレースウイークを過ごす予定だ。


■昨年のレース内容
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最後に、昨年のカタルーニャでのレース内容を簡単に振り返ってみよう(写真上は予選結果:ポールポジションがバレンティーノ・ロッシ、2番グリッドはジョン・ホプキンス、3番グリッドはケニー・ロバーツ・ジュニア)。
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■セテ・ジベルナウの前転

2006年のカタールーニャGPは、オープニングラップから目を覆いたくなる大事故が発生している。ホールショットをホンダLCRのケーシー・ストーナーが奪い、その後ろにキャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシとカワサキの中野真矢選手が続いた直後のホームストレート、5列目からの追い上げを開始していたドゥカティーのセテ・ジベウルナウのバイクが右側を走行していたチームメイトであるカピロッシのバイクに接触し、ジベルナウは後輪から宙を舞って時速200km/hで転倒。ジベルナウにはじかれる形となったカピロッシはさらに右側を走行していたフォルツナ・ホンダのマルコ・メランドリに接触し、2台は共に転倒した。
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カワサキのランディー・ド・ピュニエはセテ・ジベルナウの暴れるバイクを避けて自らグラベルに飛び込み難を逃れたが、事故はさらに連鎖し、アスファルトを滑るマルコ・メランドリの身体とバイクはレプソル・ホンダのダニ・ペドロサとリズラ・スズキのジョン・ホプキンスに接触し、この3人も絡まりながらグラベルに直行している

■合計6人のライダーが連鎖転倒し3人が重傷
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この大事故により、ジベルナウ、カピロッシ、ド・ピュニエ、メランドリ、ペドロサ、ホプキンスの計6人のライダーが1コーナー横グラベルに投げ出されてレースは赤旗中断となり仕切り直しとなったが、ジベルナウは鎖骨を骨折、カピロッシは肺を強打、メランドリは左肩を脱臼した事から、この3名は再開後のレースには出場せずにそのまま病院に搬送されている。

■両方のスタートでホールショットを奪ったストーナー

2回目のスタートはクリス・バーミューレンのエンジン・ストール、中野選手のオーバーヒートなどのアクシデントにより再び仕切り直しとなり、3回目のスタートでようやくレースは再開された。この時にホールショットを奪ったのも1回目と同じくストーナーだったが、後続の顔ぶれは最初とは異なり、2番手にホプキンス、3番手にはレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンがストーナーの後に続いた。

■カワサキ勢の全滅後、ロッシが先頭に立ちストーナーが転倒
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ランティー・ド・ピュニエがブレーキングミスを犯してして6ラップ目に転倒し、そのチームメイトの中野選手がオーバーヒート後にマシンを乗り換えた後のスターティング・グリッドの位置がレギュレーションと異なったという理由により無念の失格となった直後の9ラップ目、後方から追い上げてきたロッシがストーナーを交わしてトップに立ち、それを必死に追ったストーナーは左コーナーで無理をして転倒、そのままリタイアした。
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■ペドロサが転倒、ロバーツ・ジュニアは表彰台圏内に
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11ラップ目には、5番手を走行していたペドロサが横滑りをしてグラベルに飛び込みリタイア。12ラップ目には先頭集団のロッシとヘイデンについていけなくなったジョン・ホプキンスをチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアが交わして表彰台圏内の3番手につけた。
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その後は2番手のヘイデンがロッシを追うが、残り2周の23ラップ目までにヘイデンはロッシから3秒近く差を広げられてしまう。トップ2台の約10秒後方では、ロバーツ・ジュニアとホプキンスが3番手のポジションを奪い合って僅差のバトルを繰り広げている。
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■ロッシが余裕の勝利、2位のヘイデンはポイントリーダーに
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24ラップを走りきりトップでチェッカーを受けたのは、キャメル・ヤマハのバレンティーノ・ロッシだ。続いてチェッカーを受けたのは、この2位表彰台により転倒したロリス・カピロッシを抜いてランキングのトップに躍り出たレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデン。

■ロバーツ・ジュニアが3位表彰台を獲得
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ヘイデンから4.5秒遅れて3位のチェッカーを受けたのは、ホプキンスを抑えてチームロバーツにMotoGP990ccクラスでの初の表彰台をプレゼントする事になったケニー・ロバーツ・ジュニアだった。


■カタルーニャのラップレコード
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カタルーニャのサーキットレコードはニッキー・ヘイデンが2006年に記録した1分43秒048、ベストラップレコードはバレンティーノ・ロッシが同じく2006年に記録した1分41秒855。


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