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2008年3月22日
レースウイークを通しての悪天候が予想される中、良好なドライ路面に恵まれた3月21日のF1マレーシ・アグランプリ初日のセパン・サーキットにおける各チームの作業内容や車の仕上がり状況、ならびにドライバーのコメントなどをここでは紹介する。
なお、昨年のグランプリ開催後にセパンのアスファルトは全面的に改修されており、この日は新しくなった舗装路面のためにセッティングに苦戦するドライバーも少なくなかった様子だ(マレーシア・グランプリ初日の走行結果一覧と全体の時系列的な概況についてはこちらの記事を参照)。
■マレーシア初日のトップはマクラーレンのハミルトン
マレーシア・グランプリ初日を、この日の総合トップタイムとなる1分35秒055で飾ったのは、オーストラリアでの開幕グランプリを1週間前に制したばかりのマクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンだった。チームメイトのヘイキ・コバライネンの1日目のタイムは総合7番手となる1分36秒512。
2名はこの日に試したプライムとオプションの両方のタイヤにおいて、終日安定して速いタイムを記録しており、2日目以降の予選とレースに向けてのマクラーレン・チームの自信は今回も低くない様子だ。
■ハミルトンのギアシフトに問題が発生したが作業への影響は皆無
コバライネンと共にタイヤと新型パーツの評価検証作業を行っていたハミルトンは、この日の午前のセッション終盤にギアシフトに問題を抱えて若干タイムをロスしているが、午後にはこの問題は解消しており、初日の作業には全く影響は出なかったとしている。
■コバライネン「マレーシアでもマシンは好調」
1日の作業を通して大きくセッティングの改善を進める事ができたとするコバライネンは、「マレーシアの高温多湿の走行条件でも、車の性能面に問題は一切発生しなかった」と述べており、初日の作業内容には満足している様子だ。
■フェラーリは2台揃ってエンジンを新品に交換
開幕戦では2台揃ってエンジントラブルに見舞われ、F2008の信頼性が問われたフェラーリ勢のマレーシア初日のタイムと順位は、フェリペ・マッサが1分35秒206の2番手タイム、キミ・ライコネンがそれに次ぐ3番手タイムの1分35秒428だった。
なお、今週のマレーシア戦にフェラーリの2台はイタリアから届いた新品のエンジンで挑む事になるが、前戦のオーストラリアでは2台が共にエンジン・トラブルにより完走できていない事から、今回のエンジン交換はグリッド降格などのペナルティーの対象とはならない。
■エンジンの基本構造には問題なし
フェラーリ・チームのエンジニアは、オーストラリアでのエンジンの故障原因についてはすでに仮設を立てており、今回のセパンではレースウイーク中にそれを検証ならびに改善しようとしている。また、エンジンそのものはFIAの規約に従い基本的には2007年モデルを今年も流用しているため、先週の故障はエンジンの構造上の問題ではないとフェラーリ・チームは説明している。
■ライコネン「ガス欠のために時間をロスしたが午後に挽回」
マッサと共に2種類のコンパウンドの違いを評価していたライコネンは、この日の午前中にコース上でストップしているが、これはピットウォール側のスタッフとガレージ側のスタッフのコミュニケーション上のミスにより発生したガス欠が原因であり、特にマシンに何らかの故障が発生した訳ではないという。
「午前はガス欠により時間をロスしたが、午後は作業を挽回できた」と述べるキミ・ライコネンは「今日はハード・タイヤを中心に作業を行ったが、ソフトタイヤでの戦闘力も高い筈。ライバルの実力はまだ分からないが今週の残りは自信を持って挑める」とこの日の作業を終えてコメント。
■マッサ「ハミルトンの背後につけてタイムを落とした」
フェリペ・マッサは「この日の2度目のソフトタイヤでのタイムアタック中に、低速走行するハミルトンの背後につけてしまった事から自己ベストを更新できなかった」と説明した上で、「予選とレースに向けてはいい方向性が得られている」と2日目以降への自信を示した。
■ドメニカリ代表「両方のタイヤに満足」
1日目のフェラーリ勢はライコネンのガス欠のトラブル以外には特に大きな問題は発生しておらず、2台の車のセッティング状況にも満足できたとしている。チーム代表のステファノ・ドメニカリは「プライムとオプションの両方の種類のタイヤにおいて、ロングランのペースとラップタイムの両方に満足できる結果が得られた」とこの日の内容について説明した。
■開幕後の好調さをレース結果につなげたいホンダ
オーストラリアでの初戦は揃って不運に見舞われ、好調な開幕レースウイークを過ごしたにもかかわらずレースでは結果を残す事ができていないホンダ勢のこの日のタイムと順位は、ジェンソン・バトンが1分36秒037の4番手タイム、ルーベンス・バリチェロは1分36秒879の12番手タイムだった。
■バトン「新しくなったアスファルトに着目して作業を実施」
セパンの舗装が昨年と変わった事に着目して初日は作業を行ったとするジェンソン・バトンは「タイヤの評価と通常のセッティング作業を行ったが、今日の作業進捗と車のバランスには満足できている」とコメント。
■バリチェロ「予選ではトップ12入りを狙う」
午後はユーズド・タイヤでロングランを行い、その結果に満足ができたとするルーベンス・バリチェロは「メルボルンでは好調なレースウイークを過ごしたが、まだ地に足をつけて必死に作業を続ける事が重要。車は非常に運転しやすく、予選に向けてのセッティングもしやすいので、明日はトップ12入りを狙いたい」と、翌日の予選に向けての目標値を明かしている。
■スティーブ・クラーク「ドライバーの水分補給管理も重要な課題」
ホンダのヘッド・エンジニアを努めるスティーブ・クラークは、「今週のレースウイークは車だけはなく、高温の中で走り続けるドライバーが脱水症状に陥らないようにするための水分補給の管理が重要」だと述べている。また、1日目の車の仕上がり具合についてクラークは「まだ車のバランスが完全ではないので今後も作業は必要だが、燃料を多く搭載した状態でも走行ペースは悪くないので期待が持てる」と説明した。
■トロ・ロッソ、チームのミスによりブルデーのマシンが故障
トロ・ロッソの2名のドライバーのマレーシア初日の総合タイムと順位は、セバスチャン・ベッテルが5番手タイムの1分36秒474、開幕戦においていきなりポイントを獲得したセバスチャン・ブルデーは1分38秒798だった。
■午後に走行できなかったブルデーはギアボックスとエンジンを交換
前回のF1デビュー戦で5位を獲得し、その勢いを今回のセパンでも持続したいセバスチャン・ブルデーだが、この日の午後はチームがギア比を変更した際に犯したミスから最初のアウトラップ途中でエンジンに問題が発生、その後は最後までコースに復帰する事ができなかった。なお、この結果ブルデーの車はエンジンとギアボックスの両方を交換する羽目になったが、初日のフリー・プラクティスは厳密には公式セッションと位置づけられておらず、交換したコンポーネントもテスト専用のものである事から、ブルデーにグリッド降格などのペナルティーは発生しない。
■ブルデー「作業ができなくなり悔しい」
「初めて走るセパンはすごく気に入ったが、この日はグリップが得られず苦戦した」と述べるセバスチャン・ブルデーは、「午後はギアボックスの問題からエンジンが壊れてしまい、路面状況の把握を別のタイヤで行う計画が台無しになってしまい本当に悔しい」とコメント。
■ベッテル「全体的に満足」
また、この日の午後に5番手タイムを記録できて満足とするセバスチャン・ベッテルは、「午前中はブレーキに問題が発生してしまったが、午後は作業がはかどり車のチューニングとタイヤ選択を進める中でいいバランスを見つける事ができた。明日のために多くのデータを収集できたし今日はいい1日だった」と初日の内容には深く満足している様子だ。
■セパン初日のパナソニック・トヨタはトラブル・フリー
先週のオーストラリアではレース中にティモ・グロックが激しいクラッシュを喫して身体に強い衝撃を受けた事から、今回のマレーシアには正ドライバー2名が揃わない事も噂されたパナソニック・トヨタ勢だが、この日の午前のプラクティスから2名のドライバーは無事に揃って走行を開始している。1日目のヤルノ・トゥルーリのタイムは総合6番手となる1分36秒493、ティモ・グロックは17番手となる1分37秒512だった。
セパン初日のトヨタは全くマシントラブルを経験する事なく順調に作業を終えており、終日のセッティング作業を通して車とタイヤ、ならびに新しいアスファルトに関する多くの情報を収集する事ができたとしている。
■トゥルーリ「明日以降の豪雨が心配」
この日のセッションの終盤に好調なペースを記録してロングランを終えたヤルノ・トゥルーリは「もっとマシンの戦闘力を上げる必要はあるが、P1とP2を通して大きな進展が得られたのは確かだし、いつもチームはセパンで調子がいいので、メルボルンでの残念な結果をここで挽回する自信はある」とセパンでの戦いに向けての自信を述べたが、「ただ1つ心配なのは、天気予報によれば週末は豪雨になる可能性がある事。ドライで走りたいが、どちらの気象条件にも対応できるようにしていきたい」と、雨が予想される翌日以降の走行条件に対する懸念も明かしている。
■グロック「身体は大丈夫、初日はグリップが得られず苦戦」
セパンでの走行は2004年のレースウイーク初日に1回経験しただけであり、当然レースでの走行は今回が初めてとなるティモ・グロックは「車は悪くないが、まだ初日の段階ではタイヤの性能を引き出せていないし、全体的に横滑りが激しすぎる」と、初日はグリップが得られずに苦戦している事を明かした。また、先週の開幕レースでの身体のダメージについては「特に後遺症もなく手の調子も問題ない」とコメント。
■ウィリアムズ、翌日の予選結果にペナルティーが課せられる中嶋選手
ウィリアムズの1日目の総合順位とタイムは、開幕戦では見事にF1での初表彰台を獲得したニコ・ロズベルグが8番手タイムの1分36秒578、開幕レースにおける3回目のセーフティーカー導入中のクビサへの追突にペナルティーが課せられ、今回のマレーシアでの予選結果が10グリッド降格させられる事が決定している中嶋一貴選手は1分36秒838の11番手タイムだった。
■午前中は中嶋選手の車にトラブル
ウィリアムズはこの日の午前中に中嶋選手の車のクラッチ・リリース・ベアリングに問題が発生して若干作業時間をロスしているが、その他には大きなトラブルもなく2名のドライバーはこの日の予定の作業を全て完了する事ができた様子だ。
天気予報によれば今後のレースウイーク中のどこかで豪雨に見舞われる可能性は残るが、不安定な気象条件で知られるセパンのレース時の天候は分からないため、ウィリアムズも他のチームと同様に2種類のドライタイヤの比較検証作業とドライ用のセッティング作業をこの日は実施している。
■ロズベルグ「誰もがゼロからのセッティングとなる筈」
「昨年とはアスファルトが異なるため、誰もが今回はゼロからのセッティングを強いられるだろう」と述べるニコ・ロズベルグは、「今日は終日走り込めたのでオーストラリアの状態から改善が進んだし、多くの事を次々と試す事ができた。午後のセッション中は特に滑りやすくてセッティングが難しくなったが、それでも1日の作業内容には満足」とコメント。
■中嶋選手「午後には車のバランスが良くなってきた」
午前中はベアリングのトラブルによるタイムロスはあったものの、その後の残り30分のセッションで遅れを取り戻したという中嶋一貴選手は「まだセッティングについては明日も改善を進める部分が残っているが、今日の午後のセッションでは車の調子が上がりいいバランスも見つかってきている」と初日のマシンの仕上がり具合について説明した。
■BMWザウバーはダウンフォースの調整とデータ分析に集中
オーストラリアでは2名のドライバーが揃って好調な走りを見せ、マシンの基本性能の高さをアピールしたBMWザウバー・チームのマレーシア初日のタイムと順位は、開幕戦では予選で2番グリッドを獲得したロバート・クビサが1分36秒671の総合9番手タイム、開幕レースを2位表彰台で飾ったニック・ハイドフェルドは15番手タイムの1分37秒106だった。
この日のチームは、レースウイーク初日の一般的な車のセッティング作業とタイヤテストに集中すると同時に、エアロパーツのセッティング調整を何種類か試しており、この晩にはそれらのデータ分析を行っている。
■クビサは午前中にギアボックス・トラブル
なお、午前中にクビサの車のギアボックス内の圧力が高すぎる事に気がついたチームは、冷却システムへの悪影響が心配された事からその場で車のリアまわりのパーツを交換しており、この甲斐あってクビサはそのままセッションを続行する事が可能となった様子だ。BMWザウバーのテクニカル・ディレクターを努めるウィリー・ランプは、この大変な作業を迅速に行ったメカニックに対し感謝の気持ちを初日のセッション終了後に述べている。
■クビサ「今晩データを分析、もっとタイムは縮められる筈」
ロバート・クビサはこの日の作業内容と今後の方針について「午前はギアボックスの問題によりかなりの時間をロスした。午後はダウンフォースの調整値を色々試しながら、タイヤの比較作業を行い、大量のデータを収集する事ができたので、今晩はそれを分析して残りのレースウイーク中の作業方針を決めたいと思う。セッティングの改善余地はまだ大きく残っているので、もっとタイムは縮められる筈」と説明した。
■ハイドフェルド「普通の雨ならいいが・・・」
また、初日の2回のセッションを大きなトラブルなく終える事ができたというニック・ハイドフェルドは「まだ完璧とは言えないにしても、最初から車のバランスが良かったし今日の内容には満足。オーストラリアの時みたいに、予選までにさらに大きくセッティングの改善を進めたい」と、この日の作業に対し好感触を示すコメントを残した。またハイドフェルドは「最も心配なのは天気。ここは雨の予測が難しいし、普通の雨なら問題ないけど、熱帯気候独特の豪雨だけは避けたいところ」とセパン独特の豪雨への不安感をコメントにつけ加えている。
■フォース・インディアはスーティルのマシンにエンジン・トラブル
今回のマレーシアでは予選でのQ2進出を狙うフォース・インディアの2名の1日目のタイムと総合順位は、ジャンカルロ・フィジケラが10番手タイムの1分36秒756、エイドリアン・スーティルは18番手タイムの1分37秒614だった。
マレーシアでの初日、チームは車のセッティング作業とタイヤのテストに加えて、今回新しく持ち込んだ改良版のエアロパーツの性能検証テストを実施しているが、この中でエイドリアン・スーティルは午前中に5周回を走行したところでエンジン・トラブルに見舞われてコース上にストップ、午後まで走行を再開する事ができなかった。
■スーティルはセッティングに苦戦「オーストラリアの時の問題が再発」
午前のタイムロスがその後の作業に大きく影響し、午後に入っても車のバランスをあまり改善できなかったというエイドリアン・スーティルは、「午前はエンジンに問題があり、午後の調子もあまり良くなかった。それに新品のタイヤを履いた時の問題が今回も発生しており、車の問題なのか空気圧の問題なのかが分からないが、ソフトタイヤでいいタイムが出せない状態に陥っている」と述べ、オーストラリアの時に抱えていた課題を解消できていない事を明かした。
■順調なフィジケラ「グロックがいなければコンマ3秒は縮まった」
スーティルがセッティングに苦しむその一方、マレーシアでの初日の作業を順調に終える事ができたとするジャンカルロ・フィジケラは「午前から午後にかけて大きく改善が進んだ。午前中はアンダーステアがひどく、その次はオーバーステアにも悩まされたが、午後のセッションでは大きな進歩が得られており、車のバランスは大きく改善されて安定してとても乗りやすい状態になった」と、この日の進捗に満足するコメントを残している。
なおフィジケラは「新品のタイヤで走った時にグロックがコースのど真ん中をゆっくり走っていたのでコンマ3秒はロスしてしまい残念。許し難いところだが、まあ予選じゃなくて良かった」と、苦言をコメントに若干付け加えている。
■あえて壊れたギアボックスのままアロンソを走らせたルノー
ルノーF1チームのセパンでの初日のタイムと総合順位は、1週間前のオーストラリアの予選ではマシンの不調からQ1への進出はならなかったものの、レースでは4番手を確保したフェルナンド・アロンソはこの日の13番手となる1分37秒022、チームメイトのネルソン・ピケはそれに次ぐ14番手タイムの1分37秒034だった。
■2速が使用できないギアボックスのままセッションを続行したアロンソ
この日に2名のドライバーはセッティングとタイヤ評価に忙しい1日を過ごしたが、午後のセッションに入ってからアロンソはギアの2速が使用できなくなるというトランスミッションのトラブルに見舞われている。
ちなみに、各チームがレースウイークの初日に使用しているギアボックスは、今期の新しいFIA規約である4戦連続使用が義務付けられた実戦用のものではなく、テスト専用に用意されたものであり、アロンソはギアボックスを交換する事も本来であれば可能だったが、チームはギアボックスの耐久性能を検証するために2速が使用できない車のままでアロンソをそのまま走行させており、セッション終盤にこのギアボックスは完全に壊れてしまったようだ。
■アロンソ「チームの最重点課題は予選」
午後は壊れたままのギアボックスで走る事になったアロンソは、「午後はギアボックスの故障で少し作業に影響は出たが、セッションの最後まで走りきる事ができたし、明日の予選で役にたちそうな面白いデータを収集する事もできた。予選でいい結果を残す事が今のチームの最重点課題なので、今日のデータを最大限に活用して明日のセッションに挑みたい」とコメント。
■ピケ「経験のあるサーキットは作業が進めやすい」
また、先週の開幕レースウイークに引き続き、今回のセパン初日も学習を続けながら忙しくセッティングとタイヤの評価作業を行ったネルソン・ピケは、「このサーキットは以前にも走行経験があるので今日の作業は大きくはかどったし、学習も進んだ。すごく快適に走れているので、この調子が日曜日まで進んで欲しい。車の挙動にもとても満足できている。まだやる事は多いが、今日の結果はとても励みになった」と述べており、コースレイアウトの学習に苦しんだ前回のアルバート・パークに比べて、走行経験のある今回のセパンでは効率良くセッティング作業が進んでいる事をアピールしている。
■FIAがレッドブルの2日目以降の参加に条件を提示
デビッド・クルサードが午前中に12周回を走行した直後に深刻なサスペンションの故障に見舞われて車の制御が不能となり、午後のセッションはその原因調査のためにクルサードの走行をキャンセルしたレッドブル勢のこの日の総合順位とタイムは、マーク・ウェバーが16番手となる1分37秒346、午前しか走行できなかったクルサードは19番手の1分38秒232だった。
■マシンの安全性が証明できない場合は予選出場不可の可能性も
FIAは先週のオーストラリアでのサスペンションの破損状況、ならびに今回の午前のクルサードのトラックロッドの故障を重く見て、レッドブルが車の安全性能がFIAのF1規約条項を満たしている事を証明し、それをFIAに対し書面で提出しない限り、2日目以降のクルサードとウェバー2名の走行を許可しない旨を通達しており、レッドブルはこれに応じて大至急書面の作成に取り掛かっている。
なお、この日にマシン・トラブルに見舞われたのはクルサードだけではなく、マーク・ウェバーも午前中はエンジン・トラブルのために大きく走行時間をロスしているが、ウェバーは午後にはコースに復帰して予定の作業を再開していた。
■メルボルンに引き続きハードスケジュールをこなすスーパーアグリ
冬季テストが全く実施できていない状態のSA08Aで先週の開幕戦に出場し、レースでの完走はならなかったものの、開幕レースウイークのプラクティス中を利用してマシンのシェイクダウンや基本セッティングをハードスケジュールの中で済ませる事ができたというスーパーアグリF1チームのマレーシア初日の順位とタイムは、佐藤琢磨選手が21番手タイムとなる1分39秒021、アンソニー・デビッドソンは22番手となる1分39秒361だった。
SA08Aでの冬季テストが1日もできないまま先週の開幕戦に挑んだスーパーアグリF1チームは、マレーシアでの初日も冬季テスト中に本来は行うべき作業を並行して行いながら、日曜日のレースに向けての作業項目を忙しくこなした様子だ。
■佐藤選手「明日の午前はタイムの改善を狙う」
今回の初日の作業内容には深く満足できたとする佐藤琢磨選手は「今日もいい金曜日のプラクティスになった。限られた走行時間の中で想定通りの成果を得る事ができたと思う。冷却系の問題は走行を重ねる度に解消する事ができたし着実に改善は進んでいる。グリップが得られるようになってからはいくつか他のセッティングも試したが、おかげでさらに車への理解は進んだので明日の予選までにタイムが縮められるようにしておきたい」とコメント。
■デビッドソン「メルボルンの時よりかなり順調」
また、開幕レースウイーク中はスケジュール上のトラブルなどからあまりSA08Aでの走行距離を伸ばせず落胆していたアンソニー・デビッドソンも、「メルボルンの時に比べてば本当に今日は大きく作業がはかどったと思う。拓磨と共同で効率良くタイヤ関係の作業を行う事ができたし車の信頼性も高まった。車のバランスにも満足できている」とコメントしており、佐藤選手と同様に今回のセパンでの初日の作業状況には満足できた様子だ。
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