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マクラーレンがMP4-23を発表、発表式典の模様と技術諸元
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インテリワン編集部
  2008年1月9日

フェラーリF1チームが2008年型車両を公開した翌日の1月7日、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームも、2008年F1グランプリを戦う新型車両のMP4-23を世界のプレスに向けて初披露した。

ここでは、ドイツで行われたマクラーレン・チームの2008年型F1車両発表式典の模様とその際のチーム関係者のコメント、ならびにMP4-23の主要諸元やここまでの車両開発の流れと今後の改善予定などを紹介する。


■式典前日に完成したばかりのマクラーレンMP4-23
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ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームは、クリスマス休暇を返上して1月6日に完成させたばかりの2008年型F1車両であるMP4-23を輸送トラックに積み、イギリスのマクラーレン・テクノロジー・センターからその日の午後6時に出発し、今回の発表式典の会場となった世界でも最大規模の自動車博物館であるメルセデスベンツ博物館のあるドイツのシュトゥットガルトの街に翌日の1月7日午前10時に到着したという。

■ステージ上の顔ぶれは全ドライバーとチームおよびメーカー首脳陣
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メルセデスベンツ博物館に用意された発表式典のステージには、2008年の同チームの正ドライバーであるルイス・ハミルトンとその新チームメイトヘイキ・コバライネン、テスト・ドライバーのペデロ・デ・ラ・ロサとゲイリー・パフェット、ならびにロン・デニス代表などのチーム首脳陣はもちろんの事、ダイムラーおよびメルセデスベンツの社長であるディーター・ツェッチェ博士、メルセデスベンツ・モータースポーツの副社長を務めるノルベルト・ハウグ氏など、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのF1プロジェクトに関係する重要メンバーが一斉に姿を見せた。

■周囲の工場で働く700名のメルセデスベンツ社員も参加
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また、今回の発表式典がメルセデスベンツの本拠地で行われた関係から、博物館の周辺に位置するメルセデスの自動車工場の従業員700名が、この日は特例として早めに作業を切り上げ、400人のメディア関係者やVIPゲストが訪れた新車発表会場に大挙して加わっている。さらにその中で行われた抽選会に勝ち残った幸運な社員の何名かは、マクラーレン・メルセデスのドライバーであるハミルトンとコバライネンの2名との面会が許可され、しばらくの時間を一緒に過ごす事ができたようだ。


■ここまでのMP4-23開発の流れ

写真この日のボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームの発表によると、今回初公開されたMP4-23の設計着手は2006年の11月にさかのぼるという。

翌年となる2007年の5月末には風洞試験が開始され、そこでの3000時間以上の検証を経て最初のシャシーが決定したのが同年の11月。この間、9月には正ドライバーのルイス・ハミルトンやテストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサならびにゲイリー・パフェットが暫定的にシート合わせなどを行っている。

■実車両の製造期間は僅か1ヶ月、2009年型車両の設計にも並行着手

シャシーなど車体全体の製造作業が開始されたのはつい最近の2007年12月の初旬であり、本当に車両が仕上がったのは発表前日の1月6日だ。この過酷とも言える短期間の車両製造に関わったエンジニアの人数は150名であり、冬季のクリスマス休暇を返上して延べ1万4千時間を費やしている。

また、今回発表のあった2008年型マシンであるのMP4-23の開発と並行して、KERSプロジェクト(エネルギー貯蔵)に沿う形での2009年型コンセプトマシンの設計にマクラーレン・チームは2007年11月より着手している事も明かした。

■サーキットデビューは1月9日から始まるヘレステスト

こうして無事に1月7日にプレスの前に姿を現したマクラーレンMP4-23は、式典終了後はすぐにスペインのヘレス・サーキットに搬送され、週末を除く6日間の日程で1月9日から開始されるプライベート・テストにおいて、本格的なサーキットでの走行デビューを果たす予定だ。

なお、テスト初日の1月9日にMP4-23での走行を担当するのは正ドライバーのヘイキ・コバライネンと第3ドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサの2名であり、2007年のF1デビューイヤーにランキング2位を獲得したルイス・ハミルトンが初めて新車を体験するのはその翌日の1月10日となる。


■発表式典におけるドライバーおよびチーム関係者のコメント

今回のメルセデスベンツ博物館で行われたMP4-23発表式典におけるボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チーム関係者のコメントを以下に紹介する。

■ルイス・ハミルトン

写真ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスMP4-23は誕生日プレゼントとしては最高すぎますよ。いずれにしても、これは自分の車ですからね!

メルセデスベンツ博物館のような素晴らしい場所で新車を初めて見る事ができるなんて、今日は忘れられない1日になりそうです。

この3週間の休暇中はトレーニングをしながら、家族や友人たちと一緒にリラックスして過ごしていましたが、その間にブリックスウォースとここシュトゥットガルトでどれだけの仕事が行われていたかが良く分かります。本当に素晴らしい外観の車に仕上がりましたね。自分のエンジニアに聞いたところによると、生産にかかわった人たちが今日の発表のためにおよそ1万4千人時間をかけたそうです。

この車を初めてテストするのは木曜日になります。忙しい時間を過ごす事になると思いますが、自分や新しいチームメイトとして歓迎するヘイキ、そしてチームの誰もが、これからの作業を前に推し進めていくのが楽しみでならない筈です。


■ヘイキ・コバライネン
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ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスのドライバーとして公式イベントに参加するのは今日が初めてですが、本当に待ち遠しかったですよ。

12月14日にチームに参加してからはマクラーレン・テクノロジー・センターでしばらく過ごし、一緒に働くみんなや自分のエンジニアたちとの親睦を深めました。

また、今日はチームのドライバーとして初めて、ここシュトゥットガルトのここメルセデスベンツ博物館でメルセデスの従業員、ならびにメディア関係者やVIPゲストの方々とお会いできて本当に嬉しかったです。

去年は多くの事を学ぶ事ができたので、その経験を2008年に活かしたいと思っています。この車の開発にこれからメルボルンまでの6回の主要なテストを通じて貢献するのが今から楽しみです。

ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスに参加してのすごく楽しい時が本当に始まったんだと、今は実感しています。


■ディーター・ツェッチェ(ダイムラー社長兼メルセデスベンツ社長)
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ヘイキとルイスが、サーキットでの強豪ドライバー体制になる事はまず間違いありません。

わたしたちダイムラー関係者の全員が、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームのこれまでの素晴らしい実績を大変な誇りに思っていますし、彼らは再びその力を証明してくれる事でしょう。

最高を狙うもののみが、ダイムラーやメルセデスベンツと共にある事ができるのです。これは会社のDNAに刻み込まれ、受け継がれるものであり、モータースポーツの世界においてもそれに何の変わりもありません。


■ロン・デニス(マクラーレン・グループ代表)
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ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス・チームの究極の目標は、両方のドライバーがドライバーとコンストラクターズの世界タイトルを狙って戦う事です。

昨年のチームと同様に、今年もトップレベルでの戦いができる事を大変に楽しみにしています。チームのメンバー一人残らずが、今回のMP4-23を可能な限り早くサーキットに持ち込んでオーストラリアの開幕戦までに残された時間をテストに最大限費やせるよう、2007年シーズンの終了直後からここまで必死の努力を重ねて頑張ってきました。

わたしたちは、新車の発表をシュトゥットガルトのメルセデスベンツ博物館で行う機会が得られた事を本当に喜ばしい事だと考えています。これは同社との協力体制の強さを証明するものです。


■マーティン・ウィットマーシュ(ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス、チーム管理責任者)

写真MP4-23の開発が本格的に始まったのは10ヶ月前の事です。ブリックスウォースとシュトゥットガルトで働くメンバーの全員がこの数週間は本当に頑張りましたし、今日のシュトゥットガルトでの発表のために特にクリスマス期間中は必死でしたね。

また、全ての技術パートナーの方々からの弛まぬご支援がありました事を、ここにつけ加えさせて頂きます。

総合的な開発作業を通してのシミュレーションと解析作業に基づき、MP4-23の発展状況にわたしたちは自信を持っています。もちろん、これからも開幕戦のオーストラリアに向けて開発作業を引き続き行い、来るべきシーズンに期待通りと言える十分な戦闘力を発揮できるよう、検証を重ねて参ります。

今日からオーストラリアGPまでに68日間の作業日数が残っていますが、可能な限り戦闘力の高まったマシンを手にしたチーム全員のメルボルンに向けてのモチベーションは大変に高いですよ。


■ノルベルト・ハウグ(メルセデスベンツ・モータースポーツ副社長)
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わたしたちの博物館はイベント会場としては他に類のないものです。

ここには160台以上のメルセデスベンツの自動車と、メルセデスベンツ・モータースポーツが100年以上に渡り製造した30台の歴史あるレーシングカーが展示されていますので、ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスの新車であるMP4-23を披露する場所としは最も素晴らしく適した場所と言えるでしょう。

わたしたちの多くの同僚が働く製造工場のすぐ側で、今回の新車を発表するという新年の思いがけないイベントを実施する事ができて本当に嬉しく思っています。

今日の小さな式典にお集まりいただいたメディアの方々の人数は本当に膨大でしたから、1ポイントに破れるのではなく1ポイントをリードして2008年シーズンが終えられる事を目標に戦うチームの全員にとっては、おかげさまで今日は本当に励みになる1日となりました。


■デビッド・ウェルドン(ボーダフォン社グローバル・ディレクター)
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ボーダフォンはマクラーレン・メルセデス・チームのタイトル・スポンサーならびに公式モバイル・パートナーとして2年目のシーズンを迎えられる事を大変に喜ばしく思っています。

フォーミュラワンは常に『今を最大限に活用』する世界ですので、同様にわたしたちの全ての顧客の皆様にも、ご自身の持つ時間を最大限に活用して頂きたいと考えています。

この円滑な協力関係を今後も続けられる事が大変に楽しみです。2008年シーズンにチームが最高の活躍を見せる事を心よりお祈りします。


■MP4-23の主要諸元
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以下に、1月7日にマクラーレンが発表したMP4-23の主要諸元を掲載する。

エンジン
  ・型式:メルセデスベンツ FO 108V(V型8気筒32バルブエンジン)
  ・排気量:2.4リットル
  ・回転数上限:19,000rpm(FIAの2007年規定による)
  ・バンク角:90°
  ・ピストン最大ボア:98mm(FIAの規定による)
  ・ボアスペース:106.5mm
  ・エンジン重量:95kg

燃料などの油脂類
  ・ガソリン:Mobil 1 無鉛 (バイオ燃料含有率5.75%)
  ・潤滑油:Mobil 1(2008年フォーミュラ用低摩擦&耐摩耗性オイル)

トランスミッション
  ・ギア:7速+リバース
  ・タイプ:セミオートマティック
  ・ドライブシャフト:マクラーレン製
  ・クラッチ:手動操作式

シャシー他
  ・モノコック構造:成型カーボンファイバーおよびアルミニウム製ハニカム構造
   (正面および側面からの衝撃吸収構造)
  ・前後サスペンション:プッシュロッド付き内蔵トーションバーとダンパーシステム
   およびベルクランク/ダブルウィッシュボーン
  ・サスペンションダンパー:コーニ(Koni)製
  ・電子制御:マクラーレン・エレクトロニック・システム制御ユニット
   (シャシーとエンジン制御ならびにデータ収集機構を含む)
  ・ボディー構造:一体成形エンジンカバー、分離式サイドポッドカバー、
   分離式フロア、フロントウイング統合型ノーズ
  ・タイヤ:ブリヂストン・ポテンザ
  ・無線:ケンウッド(Kenwood)製
  ・ホイール:エンケイ(Enkei)製
  ・バッテリー:GSユアサ(GS Yuasa Corporation)製
  ・ステアリング:マクラーレン製パワー・アシスト付き
  ・計器類:マクラーレン・エレクトロニック・システム製


■今後、開幕戦までに車両の外観は大幅に変化

なお、今回発表のMP4-23は昨年のMP4-22の進化形マシンと位置づけられており、現状を見る限り外観上は昨年のマシンと大差ないが、約60日後となるオーストラリアでの開幕戦までにはエアロパーツなど空力パーツの大半であるウイング類やボディー、バージボード(整流板)が新開発の部品に置き換えられ、さらにボディーを構成する他のパーツ類にも新たなものが加えられる事をマクラーレン側は表明している。

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