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2007年9月15日
MotoGPの2007年シーズン第14戦目となるポルトガルGPが、晴天に恵まれた9月14日のエストリル・サーキットで行われた。すぐ側に面する大西洋からの強風と、その影響で巻き上がった砂がアスファルトの上に積もる事が毎年心配されるエストリルだが、この日は比較的穏やかな気象条件となり、路面の砂は例年に比べて少なかったようだ。
ここでは、ポルトガルGP1日目の午前と午後の2回に渡り行われたMotoGP最高峰クラスのフリー・プラクティスの状況を紹介する。
■転倒者や怪我人の情報、チェカは2回転倒したが無傷
天候が穏やかだった事もあり、この日は午前と午後に6コーナーでホンダLCRのカルロス・チェカが転倒しているものの、チェカは無傷であり、最高峰クラスでは他に目立った大きな転倒や怪我人の情報は入っていない。
■ミサノで肋骨を骨折していたド・ピュニエ
以前のグランプリで負傷したライダーたちについては、カワサキのランディ・ド・ピュニエが前回のサンマリノGPのオープニング・ラップの転倒で肋骨を一部骨折していた事が先週の検査で改めて判明しているが、ド・ピュニエ本人はそれまで骨折の事実には全く気がついておらず、少し痛みはあるものの、この日の走りへの影響は殆ど出なかった様子だ。
■麻酔を打たなかった事を後悔するエリアス
オランダGPで左大腿骨を骨折し、夏休み明けのブルノからレースに復帰しているトニ・エリアスは、現在の体調は8割程度まで回復したとしており、この日は負傷後初めて麻酔注射を打たずに午前と午後のセッションに参加したが、結果としては痛みのためにライディングには苦労しており、2日目以降はこの痛みに対して何らかの対策を講じたいとしている。
■前回のミサノよりも左手の具合に苦しむホフマン
アメリカGPで左手のひらの骨に深刻なダメージを負い、前回のミサノからレースに復帰したプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマンは、ミサノは低速サーキットである事から前回は怪我による走りへの影響はあまりなかったが、身体的に激しい負担がかかる今回のエストリルでは、左手の怪我が大きく走りに影響してしまった様子だ。
しかしながらホフマンは、体調は100%ではないものの、2日目以降はタイムを改善して日曜日はトップ10を狙いたいと述べており、レースへの高い意欲に変わりはないようだ。
■MotoGPクラス初日のフリー・プラクティス総合タイム
以下に、午前と午後に1回ずつ行われたMotoGPクラスのフリー・プラクティス(FP1,FP2)の、1日目の総合順位を示す。午前のセッション開始時の気温は21度、路面温度は20度、湿度は75%、午後のセッション開始時の気温は23度、路面温度は35度、湿度は59%だった。なお、2日目以降はさらに路面温度が上がるとの気象予報もあるが、一部の予報では午後の予選時間帯に雨の恐れもあるとされている。
1) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分37秒950
2) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分37秒989
3) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分38秒120
4) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒201
5) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分38秒287
6) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分38秒471
7) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 1分38秒481
8) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 1分38秒518
9) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分38秒613
10) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 1分38秒630
11) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 1分38秒655
12) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 1分38秒669
13) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 1分38秒677
14) アンソニー・ウエスト AUS カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 1分38秒723
15) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 1分38秒761
16) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分38秒843
17) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 1分38秒919
18) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 1分39秒117
19) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 1分42秒227
ちなみに990cc時代のエストリルの記録は、サーキットレコード(決勝)は昨年にケニー・ロバーツ・ジュニアが記録した1分37秒914、ベストラップレコード(予選)は昨年にバレンティーノ・ロッシが記録した1分36秒200。
■今回の総合トップもストーナー
今回も午前と午後の両方でトップタイムを記録したのは、場合によっては今回のポルトガルGPで年間タイトルを決める可能性もあるドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。
■玉田選手が予選タイヤで健闘
また、前々回のブルノではTECH3ヤマハのシルバン・ギュントーリが予選タイヤで初日の総合トップを飾り話題をよんだが、今回は同じくTECH3の玉田誠選手が予選タイヤを装着し、ストーナーのタイムを追っていたロッシを3番手に抑えて総合2番手につけている。
なお、今年はタイヤレギュレーションの影響から予選のセッション以外で予選タイヤを装着するライダーは少なく、トップのケーシー・ストーナーをはじめ、他のライダーの記録は全てレースタイヤによるものだ。
■17名のライダーが1秒以内の僅差
初日はストーナーから17番手のメランドリまでが1秒以内の僅差という接近戦になっており、ミシュランとブリヂストンのライダーは共にタイヤの性能には好感触を示している。
■飛躍的な改善状況のブリヂストン
特に昨年はエストリルのアスファルトに苦戦を強いられたブリヂストンだが、ブリヂストンを履く多くのライダーは今年のタイヤの飛躍的な改善状況に満足している。
■ポルトガルでの改善状況に期待を示すコニカミノルタ・ホンダ
最近はレースウイークの初日にタイムが伸び悩み、苦しむ傾向から脱出できていなかったコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手は、午前中は9番手の好位置につけており、マシンにも好感触が得られたようだ。
中野選手は、午後には今シーズンの他のレースウイーク初日とあまり変わらない総合15番手に順位は落としたものの、ここ最近は初日にトップとのタイム差が1秒以上開いていた事を考えれば決して悪い状況ではない。タイム的には今シーズンの1日目の中では最も調子が良く、レースウイーク中のさらなる改善にも期待ができる様子だ。
■低温路面を想定しなかったメランドリが苦戦
今回特にタイヤの面で苦しんでいるのはグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリであり、彼は木曜日の31本のタイヤ選択の中で、あまり低温路面を意識したタイヤ選びは行っておらず、初日は思うように温度が上がらなかった事から、1日目はチャタリングなどの問題を解消できず、セッティングに苦しんだ様子だ。ただ、2日目以降は路面温度の上昇が期待される事から、メランドリは翌日以降の状況改善には期待を示している。
■午後にタイムを更新できなかったのはエドワーズのみ
この日は午後に午前中のタイムを更新できなかったのは、セッティングに苦しみリアのトラクション不足に苦しんだフィアット・ヤマハのコーリン・エドワーズだけであり、その他のライダーは全員が午後に入り自己ベストを更新している。
午後に調子を落としたエドワーズだが、午前中には4番手につけて好調な走りを見せていたため、2日目にはセッティングをこの日の午前の状態に戻す予定だという。
■各チームの状況とライダーのコメント
以下に、初日のフリー・プラクティスを終えての各チームの状況やライダーのコメントなどを紹介する。
■ドゥカティー勢、全てにおいて好感触のストーナー
この日も2回のフリー・プラクティスを通してトップタイムを維持したドゥカティーのケーシー・ストーナーは、エストリル1日目の作業内容には大変に満足しているという。午前から午後にかけてハイペースでタイムを伸ばしたストーナーの1日目のタイムは、990時代のサーキット・レコードに0.036秒差まで迫っている。
また、ストーナーのチームメイトのロリス・カピロッシは、シーズンを通して苦しんでいるエンジンの過激な特性に苦しみ、エンジン制御などの電子制御系システムを終日かけて調整しており、午後のセッション終盤には翌日以降に期待の持てる結果が得られた
としている。
■ストーナー「全てに大満足」
前回のミサノまでに4連続のポールポジション、ならびに3連続のポール・トゥー・ウインを達成しているケーシー・ストーナーは、この日は午前と午後の一部で若干セッティングに苦戦したものの、それ以外の全てにおいて満足いく結果が1日目から得られたとしている。ストーナーの記録したこの日の総合トップタイムは1分37秒950。
「今日の作業内容にはすごく満足です。午前中と午後の終盤だけは少し苦戦しましたが、それ以外についてはこのサーキットに合うセッティングができたと思うのでとても満足しています。このサーキットは路面のでこぼこが多くて非常にテクニカルなコーナーがいくつかありますから、年間カレンダーの中でも一番難しい部類のコースですからね。」とストーナー。
「タイヤについてはほぼレースの距離を走り込みましたので、全てがものすごく順調と言えます。明日はもう少し調子が上がるようにトラクション面の改善を行うだけです。それがうまくいけばもっとラップタイムを縮められる筈ですし、レースに向けての全体のペースも上げられると思います。」
■カピロッシ「エンジンの出力特性が過激すぎた」
エンジンの過激すぎる特性にエストリルの初日は苦しんだとするロリス・カピロッシは、午後には満足のいくエンジン調整ができたとしており、最終的には総合7番手タイムの1分38秒481を記録している。
「ここではかなり苦しんでいます。」とカピロッシ。
「午後のセッションの終盤に入ってからはセッティングの調子があがり、それほど悪くないタイムになりましたが、まだ安心できる状態ではありません。エンジン出力が過激すぎる感じです。それで色んな問題を抱えているので、まだエンジン制御システムまわりや電子制御部分に関しての調整を進めていく必要がありますね。」
「ここは完璧なバイクが必要とされる典型的なコースです。エンジン出力の調整がうまくいってない場合、シャシーが正しく機能しませんし、余計に問題の特定が難しくなるんです。」
「いずれにしても、今日のセッション終盤には改善が進み出したので、明日はもっと状況が良くなるように願っています。」
■フィアット・ヤマハ、好調のロッシと方向性をしくじるエドワーズ
ミサノに引き続き新型エンジンを投入しているフィアット・ヤマハとバレンティーノ・ロッシは、今回のエストリルでは1日目から満足のいく結果が得られたようだ。ロッシは午前と午後を通してレースタイヤではストーナーに続く2番手タイムを記録しており、最終的には予選タイヤで2番手につけた玉田誠選手に次ぐ総合3番手タイムの1分38秒120を記録している。
ロッシのチームメイトのコーリン・エドワーズは、午前にはタイムシート上の4番手につけて好調に見えたが、午後にはセッティングの方向性を見失い総合13番手に順位を落としている。午後にタイムを更新できなかったエドワーズが午前中に記録した自己ベストは1分38秒677だった。
フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、新型エンジンの調整は順調に改善が進んでおり、ミシュランタイヤの調子もいい事から、2日目以降も同じ方向性で作業を進めたいとしている。また、エドワーズの午後の不調については、午前にはいいタイムを出せていたので、翌日以降はその時と同じ方向性で作業を進めれば問題はなくなる筈だと述べた。
■ロッシ「進歩への実感が持てる」
1日目の総合3番手タイムを記録し、レースタイヤでは実質2番手、ストーナーとのタイム差も小さい事に満足するバレンティーノ・ロッシは、翌日以降はレース後半の耐久性を意識した作業に集中したいと述べている。最近のレースではYZR-M1との相性に問題が発生していたミシュランタイヤも、今回のエストリルでは好調だという。
「今日の内容には大満足です。新しいエンジンまわりにいくつか進展が得られたので今後の作業がうまく進みそうですし、前回のミサノ合同テストで見つけたタイヤもここではすごく好調でした」とロッシ。
「まだ少しだけ解決しなきゃいけない小さな問題を抱えていますが、それでも今日はかなり調子良く乗れたと思います。朝からすごく速く走れましたし、正しいセッティングを見付ける上での作業も順調でした。」
「午後は玉田が予選タイヤを履いたので、実質的にはレースタイヤの自分たちが2番手ですし、ストーナーのタイムにもだいぶ近づく事ができました。今日はかなりいい結果が得られたと思います。バイクは悪くありませんし、進歩が得られたという実感があります。」
「今の段階で自分たちが考えなきゃいけないのはレースの後半です。問題が発生する心配があるのはその部分ですからね。でも、明日になればアスファルトの状態はもっと良くなるでしょうから、自分たちのタイヤの調子がさらに上がる事に期待が持てます。」
■エドワーズ「予選ではいい結果を狙う」
「午前中はすごく調子が良かったですね。完璧とは言えませんが、決して悪いレースウイークのスタートではありませんでした。」とエドワーズ。
「それで午後に向けての目標も描けていたんですが、残念ながらそれは思うように進まず、結果としては最悪な順位で初日を終える事になっていました。」
「トラクションが不足していて、バイクを自分の思い通りの方向へ進められないような感じなので、これにはひどくイラつきました。午後の時間をいくらか無駄にしましたが、今晩チームと一緒に全てのデータを確認してセッティングを今日の午前の状態に戻すつもりですから、明日がどうなるかですね。」
「正しい方向性を見つけ出せると思っていますし、明日の予選ではいいグリッドの位置を確保できる筈です。」
■概ね好調のレプソル・ホンダ勢
レプソル・ホンダのダニ・ペドロサは、午前中は路面の砂のために慎重に作業を進め、午後に入って路面状況が良くなってからは大幅にタイムを縮める事に成功している。ペドロサのこの日のタイムはストーナーから0.251秒差となる総合4番手タイムの1分38秒201だった。
また、ニッキー・ヘイデンは順位的には8番手であり、本人が期待したほどの結果ではなかったしながらも、今回記録した1分38秒518はトップとの差は0.5秒程度であり、過去のレースウイーク初日と比べれば悪くない状況だとヘイデンは考えている様子だ。
■ペドロサ「課題はグリップと安定性の強化」
午前中は路面の砂を気にして若干苦しみ7番手につけていたが、午後には総合4番手タイムを記録したダニ・ペドロサは、午後には路面がきれいになった事から全力で走れるようになったとコメントしている。
「今日の作業状況にはすごく満足できました」とペドロサ。
「午前中は少しだけ路面が汚れていたので、全力ペースで走れるようにするまでに少し時間がかかりました。でも、午後には路面状況が大きく改善されて走りやすくなったので、午前から1秒近いタイムを午後には縮めています。」
「午前中には調子良く走れるタイヤ探しに若干苦労しましたが、午後になってからはすぐにいいものが見つかり、十分な速さが維持できるようになって良かったです。まだ耐久性の面でレースに使えるものかどうか確認を続ける必要はありますけどね。」
「他にはバイクの安定性を強化する作業も進めています。このサーキットのでこぼこ路面ではバイクが大きく振動しますから、グリップと安定性の両面で最高と言えるセッティングを仕上げておく必要があります。」
■ヘイデン「タイトシケインがやっかい」
エストリルの初日にしては砂の少なめだった路面に満足するニッキー・ヘイデンは、全体的に速くは走れてはいるものの、9コーナーと10コーナーの低速シケインについては、翌日以降も攻略を進める必要があるとしている。
「今日は典型的な初日の作業の繰り返しでした。」とヘイデン。
「順位は自分たちの希望よりも少し低くなりました。0.5秒のタイム差も大きいです。ただ、今シーズンの他のレースウイーク初日の状況と比べれば、それほど大きく引き離されてはいないと思います。午後から午前のセッションにかけて改善はうまく進みましたし、バイクのセッティングの方向性も明確につかめていますから、さらにやる気が出てきますね。」
「まだ第3区間でタイムを上げる必要がありますし、今はかなりそこで苦戦していますが、全体的には今日はいい進展がいくつか得られています。それに今日のコースのコンディションは両方のセッションを通して完璧でしたね。午前のセッションの時から路面もそれほど汚れていませんでした。」
「ぱたぱたと切り返さなきゃいけない小さなシケインがこのサーキットでは一番やっかいな部分ですから、明日はあそこの部分をもっとすんなり通れるようにできないか確認する必要があります。」
■新パーツとトップエンドパワーに満足のカワサキ
前回のミサノ合同テストで試したばかりの新しいパーツやエンジンを今回のエストリルから投入したカワサキ・レーシング・チームは、1日目のマシンの仕上がりにほぼ満足ができている様子だ。特に新エンジンのトップスピードへの満足度がライダーにとって大きかったようだ。
レースウイークを好調に過ごしていたミサノでは、決勝のオープニング・ラップで他のライダーを巻き込み転倒するという最悪な結果に終わったランディ・ド・ピュニエは、その後の検査で肋骨を骨折していた事が判明しているが、今回の走りにはその影響を全く見せる事なく午前には3番手タイム、午後には総合5番手となる1分38秒287を記録している。
また、チャタリングとリアのグリップ不足に1日目は苦しんだアンソニー・ウエストは順位的には総合14番手となったが、この日の自己ベストの1分38秒723はトップのストーナーとの差は1秒以内の0.773秒であり、翌日以降は改善が見込める様子だ。
ウエストは終日を通して自身のライディング・スタイルを見直し、マシンの性能を最大限に引き出せるようMotoGPマシンの学習を現在も続けている。
カワサキのテクニカル・マネージャーである金子直也氏は、両ライダーともに心配のない状況であり、ブリヂストンタイヤからも好感触が得られているので、1日目の全体的な仕上がりには満足できたと述べている。
■ド・ピュニエ「骨折しているとは思わなかった」
朝のセッションからすぐにマシンから好感触が得られたとするランディ・ド・ピュニエは、すでにレースに向けてのマシンの仕上がり状況は高いため、翌日以降は微調整を続けてレースに備えたいとしている。
また、ミサノで骨折していた肋骨については、先週に検査を受けるまでは全く気がついていなかったとド・ピュニエは語る。
「午前の最初からすぐにいいセッティングが見つかったのでとても満足できています。」とド・ピュニエ。
「最初のセッションではリアタイヤを変えずに24周走りましたが、タイムはとても良かったですね。より硬いコンパウンドも試しましたが、横滑りが激しくなったので最初のタイヤに戻したんです。」
「先週に検査を受けるまでは自分の肋骨が折れているなんて全く気がつきませんでした。今日の午前中はバイクに乗る時に少しだけ痛みましたが、午後にはだいぶ治まったので、さらに自信を持って走る事ができています。」
「日曜日に向けて、ZX-RRの調子をもう少し上げられるように頑張りますが、今の状態でもすでにレース用の仕上がりはかなり高いと思います。後は細かな部分をそれぞれ完璧にしていくだけですね。」
■ウエスト「ストレートパワーがすごい」
イギリスGPからMotoGPクラスへの参戦を開始し、現在もMotoGPバイクの学習と自身のライディング・スタイルの研究に取り組むアンソニー・ウエストは、この日はマシンのセッティングには若干苦しんだものの、新エンジンには好感触が得られており、翌日以降はタイムを縮められるだろうとコメントしている。
「まだ少しチャタリングとリアのグリップ不足に苦労はしていますが、明日には確実に改善できると思っています」とウエスト。
「それと今日は各コーナーを曲がる時のバイクの位置と自分の体重移動を色々変えながら、もっと安定した感触が得られないかを試していました。」
「すごくマシンが振られる感じがする13コーナーにはあまり自信が持てていませんが、その他の部分ではタイムをロスしていません。ほんの一部の箇所だけですから、その問題さえ解決できれば、もっと安定してタイムを上げる事ができると思います。」
「ストレートでのトップスピードはすごくいいですよ。総合的に見て新しいエンジンは素晴らしいし、本当に強力ですね。」
■初日に大量の作業をこなすリズラ・スズキ勢
ポルトガル初日のリズラ・スズキ勢は、GSV-Rのエストリルにあったセッティング探しを集中的に行っている。ホプキンスのこの日のタイムは総合6番手となる1分38秒471、バーミューレンのタイムは総合11番手となる1分38秒655だった。
ホプキンスのチーフ・メカニックであるスチュアート・シェントンは、今年のブリヂストンタイヤの飛躍的な進歩に感銘を受けており、日曜日のレースに使用するタイヤは簡単に見つかりそうだと述べた。またシェントンは、ホプキンスは午後には2台目のバイクで作業を行ったが、1台目のマシンとは微妙に感触が異なるとようなので、2日目はその点についての作業を進めたいとしている。
また、バーミューレンのチーフメカニックのトム・オーケンは、2日目以降は天候が崩れる可能性があるので、この日のうちの大量の作業をこなしておく必要があったとコメントしている。
■ホプキンス「明日はかなりの進歩が期待できる」
エストリルにあったマシンのセッティングを模索する中で、ブリヂストンと共にタイヤ選びの作業にも集中したというジョン・ホプキンスは、午後には小さなメカニカル・トラブルに悩まされたものの、セッションが終了するまでに全ての問題は解消できたとしている。
「午前中はブリヂストンと一緒にタイヤの方向性を見極める作業に集中し、低い路面温度でもいい結果が得られるように頑張りました。」とホプキンス。
「午前にミッションとサスペンションのセッティングを変更しましたが、これは最近走ったどのサーキットよりも、ここのコース特性にセッティングを合わせるのは難しいからです。でもスチュアートやクルーたちが必死に頑張ってくれたおかげで、それに必要な方向性は把握できました。」
「午後には小さなメカニカルトラブルが数点発生しましたが、セッションを終わるまでには全ての問題を解決する事ができましたし、明日に向けての自信はありますよ。今日の午後の調子をそのまま維持する事ができれば、明日にはかなりの進歩が期待できるでしょうね!」
■バーミューレン「今年は走りやすい」
昨年に比べて楽にエストリルを走れるようになったとするクリス・バーミューレンは、午後には午前の自己ベストを0.8秒更新しており、翌日の予選ではいいグリッド位置が確保できるだろうと述べた。
「ここに来るのはまだ2度目ですが、以前よりも走り方が少し分かっている分、かなり楽に走れる感じがします。」とバーミューレン。
「特に最近走ってきたサーキットと比べると、ここの路面はかなり自分には滑りやすく感じますね。でも去年を考えればブリヂストンが素晴らしい仕事をしてきてくれたので、タイヤの調子は本当に好調です。」
「バイクはすごく乗りやすく感じますし、自分たちのベースのセッティングの調子は悪くなさそうです。順位は11番手でしたが、全体のラップタイムはすごく接近しているので、明日は順位を確実に上げていけると思います。」
「タイムが接近しているので、予選でいいグリッドを確保するには土曜日にもう少しセッティングに調整を加える事が重要ですね。それがうまくいけば、日曜日には上位の列からスタートできるようになる筈です。」
■午前中には2名が揃って低迷していたプラマック・ダンティーン
午前中は2名のライダーが揃って低迷したプラマック・ダンティーン・チームだが、午前の18番手タイムという結果に落ち込んでいたアレックス・バロスは午後には大きく順位を上げ、1分38秒613の総合9番手タイムを記録している。
バロスのチームメイトのアレックス・ホフマンは、この日の午後にはアメリカGPで負った左手の怪我の具合に苦しみ、1分39秒117の総合18番手タイムで作業を終えたが、2日目に向けての意欲は高い様子だ。
■バロス「午前は落ち込んだ・・・」
午前に結果にはすっかり落ち込んだというアレックス・バロスは、午後に入ってからマシンのセッティングを大きく変更し、ほぼ満足のいく状況にマシンの仕上がりを改善する事ができたという。
「午前のフリー・プラクティスには本当に落ち込みました。だから午後にタイムを上げられるように必死に頑張りました。」とバロス。
「バイクの色んな部分のセッティングを大きく変更したおかげで、その後はすぐにデスモセディチから好感触が得られるようになったんです。終盤のタイムアタックでは1分38秒台の前半に入りそうでしたが、コーナーで小さなミスをおかしてしまい、それは成りませんでしたが。」
「明日はさらに色んな部分に変更を加えますので、自分のタイムを0.5秒は縮められるようにしたいと思っています。日曜日までには可能な限り高いレベルで戦えるようにしておきたいですからね。」
■ホフマン「レースではトップ10入りを狙う」
ミサノの時よりも左手の具合が辛いというアレックス・ホフマンだが、2日目にはさらなる改善に努め、日曜日のレースではトップ10を狙いたいとしている。
「もちろん今日の結果は期待通りのものではありません」とホフマン。
「セッティングに関してはいい作業を進める事ができたと思いますが、このサーキットは何ヶ所かのブレーキングでかなり身体に負担がかかるコースレイアウトですので、負傷している手の具合に苦しむ事になってしまいました。」
「まだ体調は100%ではありませんが、明日はもっと大きくタイムを縮められるように頑張ります。また、レースではトップ10を狙えるようにしたいと思います。」
■ミシュランタイヤにに好感触を示すホンダLCR
午前中には5番手につける好調さを見せ、最終的にはこの日の総合12番手となる1分38秒669を記録したホンダLCRのカルロス・チェカは、午前と午後に6コーナーでそれぞれ1回ずつ転倒しているが、ミシュランタイヤには好感触が得られたとしており、初日の作業内容には満足が得られたとしている。
■チェカ「フロントとリアの両方に期待が持てる」
ミシュランと共にタイヤのテストをミサノ合同テストに引き続き行ったとするカルロス・チェカは、特にフロントタイヤの改善状況に満足できたと語る。
「今日はタイヤのテストが中心の一日でした。フロントとリアの両方の作業を進めましたが、先週のミサノ合同テストに続き期待の持てる結果が得られています。」とチェカ。
「午後に転倒してしまいましたが、フロントタイヤの選択については確実に自分たちは正しい方向性をつかむ事ができています。それに今回ミシュランはリアタイヤについても、このサーキットにより適したものを何種類か持ち込んでくれています。」
「明日も今のテストを続けます。フロントまわりのセッティングの細かい調整はまだ必要ですが、今日の作業内容には全体を通して満足できました。」
■午前中は9番手につけたコニカミノルタ・ホンダ
午前のセッションではトップ10以内の9番手につけるという、レースウイークの1日目から今シーズンの中では順調と言える滑り出しを見せたコニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手は、午後には順位的には15番手まで後退したが、タイムはトップから1秒以内に入る1分38秒761を記録しており、2日目以降のさらなる改善に期待を示している。
コニカミノルタ・ホンダのチーム・オーナーであるジャンルカ・モンティロンは、中野選手が午前と午後の両方のセッションで安定して速いラップタイムを刻んでいる事が明るい兆しだと述べ、予選では2列目以内、レースではトップ8入りを狙うとコメントしている。
また、チームの技術責任者であるジュリオ・ベルナルデッレは、この日はミシュランのリアタイヤが非常に好調であり、2日目以降にセッティングが進めばさらにタイムは縮むだろうと述べた。なおベルナルデッレは、今のマシンではストレートでのトップスピードが不足しており、このサーキットはストレートエンドが追い抜きポイントとなるためにレースでは不利だとつけ加え、翌日は何らかの改善を進めたいとコメントした。
■中野選手「コーナリング速度を維持しやすくなった」
順位的にはここ最近のレースウイーク初日と大差はないが、リアタイヤの進歩によりコーナリング速度を維持しやすくなったと中野選手は述べており、全体的に満足が得られる1日目となった様子だ。中野選手は、翌日にはさらに改善が進められる事を期待している。
「いいレースウイークの1日目でした。午前はとても好調でしたし、午後も同様です。順位的にはここまでの他の金曜日と大差はありませんでしたけどね。」と中野選手。
「一番の改善点は、リアタイヤの感触がとても良くなった事です。これは大きな進歩ですし、コーナリング速度を維持する上でいい効果が得られています。」
「コースは楽しめていますので、明日はもっとタイムが縮められるようにしたいです。レースタイヤについてはすでに好感触が得られていますし、日曜日の午後のレースで性能を発揮しそうなものを2〜3本見つけました。」
■初日は低迷したグレッシーニ・ホンダ勢
ホンダのサテライト勢の中では常に上位につける事の多かったグレッシーニ・ホンダ勢だが、今回のエストリル初日はホンダ勢の中では最も低い16番手と17番手に低迷している。
トニ・エリアスは怪我が8割程度にまで回復しており、この日は午前中の体調が良かった事から麻酔を打たずに走行したが、結果としては痛みに苦しんでおり、タイムは総合16番手となる1分38秒843だった。
また、マルコ・メランドリはチャタリングに悩まされており、午前には10番手につけていたものの、最終的には総合17番手となる1分38秒919で初日の走行を終えている。
■エリアス「やっぱり痛み止めが必要?」
昨年はMotoGPクラスでの初優勝をエストリルで飾ったトニ・エリアスは、今年も高い成績を狙いたいとしながらも、この日はオランダで負った怪我に麻酔を打たなかった事から痛みに苦しんだとしている。
「今日はミサノの時に比べれば体調がだいぶ良かったんです。だから今回は麻酔なしで頑張ってみたんですが、それで少し苦しみました」とエリアス。
「今の回復状況は80%くらいですが、痛みはまだあるので、明日はやはり何か対策を取る必要がありそうです。」
「このサーキットは大好きですし、何度か素晴らしい経験もしましたので、ここでは高い成績が狙えると思っています。ただ、まだやるべき作業はたくさん残っていますし、今日はあまりいいバイクのセッティングが見つからなかったので、特に激しいブレーキングの時に苦労しました。」
「明日もバイクのセッティングを中心に作業を進めるつもりです。」
■メランドリ「思い通りに走れなかった」
この日のメランドリはミサノで使用したベースに近いセッティングから作業を開始しているが、想定よりも低い路面温度が選んでいたタイヤと合わず、セッティングの改善は思うように進まなかった様子だ。
「ミサノの時のベースセッティングから今回は作業を開始しました。月曜日のミサノ合同テストではいいアイデアが色々見つかりましたからね。」とメランドリ。
「ただ、残念ながらここではチャタリングの問題を抱えてしまい、自分の思い通りに走る事ができていません。このサーキットの一番の特徴と言える激しいブレーキングの必要な部分で苦労していますので、明日も作業を続けたいと思います。」
「天気予報によれば路面温度は上がりそうなので、自分たちにとっては好都合です。今回自分たちが選んでいるタイヤは、今日の路面にはほんの少し硬すぎたみたいですからね。」
「ここは色々な面できついサーキットなので、チームと一緒に最良の解決策を見つけていきたいと思います。」
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