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2007年8月30日
ここまでの3戦連続して表彰台を逃し、ポイントリーダーのストーナーに60ポイントの大差をリードされて非常に厳しい終盤戦を迎える事になったフィアット・ヤマハ・チームとバレンティーノ・ロッシは、今年2度目の母国GPとなるイタリアのミサノで可能な限り多くのポイント挽回を狙う。
■昨シーズンよりも厳しくなった残り6戦
バレンティーノ・ロッシはアッセン以降のドイツGP、アメリカGP、チェコGPの3回連続して表彰台を逃し、この3戦だけでもストーナーから39ポイントの差を開かれている。この結果、残り6戦となるミサノを前にして、ロッシは合計60ポイントの大差をストーナーに奪われているが、これは昨年の残り6戦でニッキー・ヘイデンから51ポイントの差を開かれた時よりも難しい状況に陥ったと言えるだろう。
■背後に迫るペドロサ
さらには、ランキング2位のロッシの背後には、僅か18ポイント差のランキング3位にレプソル・ホンダのダニ・ペドロサがつけており、こちらもロッシにとっては油断のできない状況となっている。
■いいレースを地元のファンに見せたいロッシ
ミサノ・サーキットはロッシの実家があるタブリアの街から僅か15kmの距離に位置しており、熱心な地元のロッシファンが観客席を黄色く埋め尽くす事は間違いない。厳しい状況に陥ったロッシにとって、地元の大歓声は大きな味方となる筈だ。ロッシは新しくなったミサノ・サーキットでは、地元ファンのためにいいレースをする事だけを今は考えているという。
■過去のミサノの経験を忘れるエドワーズ
また、ロッシのチームメイトのコーリン・エドワーズは、SBK時代にミサノでは4回の表彰台を獲得しているが、反時計回りだったサーキットが今年からは時計回りになり、コースレイアウトにも一部変更が加えられている事から、全く異なるサーキットと考えた方が良いとしている。
■ロッシ「金曜日のミシュランに期待」
チェコGPの翌日に行われたブルノ合同テストでも、あまり期待したような結果は得られなかったとするロッシは、ミシュランが今回のミサノに持ち込むタイヤを金曜日の午前中に試し、戦略を練りたいとコメントした。
「ホームのファンの前でレースするのは自分にとっていつも特別な事ですが、ミサノは自宅にもすごく近いので、さらに何か素晴らしい物を感じますね!」とロッシ。
「ただ、ここ数戦は残念なレースが続いていて、あまり好調とは言えない状態で今回のミサノを迎える事になりました。ブルノの2日間の合同テストでも、自分たちが期待した奇跡と呼べるようなタイヤは見つかっていませんが、ミシュランには多くのデータを提供する事ができています。そのデータを使ってミシュランはこの1週間に多くの仕事を進めてくれた筈ですので、金曜日の午前中には、自分たちの最新の状況を把握する事になるでしょうね。」
「ミサノのコースについては、周回方向が逆回りになりましたから、誰にとっても新しいサーキットと同じです。SBK時代にミサノを良く知っていたコーリンでさえ、過去の知識は役に立たないだろうと予想していますから、全員が同じ条件で戦う事になると考えるのが妥当でしょう。」
「自分たちはいつも通りベストを尽くすだけです。イタリアのファンが喜べて活気に満ちるようなレースができる事を心から願っています!」
■エドワーズ「SBK時代の知識は使えない」
ブルノでの合同テストの後はテキサスの実家に戻り、少しリラックスしてからミサノに移動したというエドワーズは、SBK時代のミサノの知識は使えないので、金曜日の午前中に新しいミサノの周回方向を頭にたたき込みたいとしている。
「SBK時代には当時のコースをもちろん良く知っていましたし、レースでもいい戦いが何度もできたので大好きなサーキットでした。」とエドワーズ。
「でも、もうあの頃の知識は全て使えないでしょうね。周回方向が逆転しましたから、どこから見ても新しいサーキット同然です。もちろん街の周辺については今でも詳しいですよ。どの店でアイスクリームを買えば一番おいしいとかね。でも、それ以外の記憶は全部忘れなきゃいけないと思っています。」
「前回のブルノのテストでは、タイヤに関するより多くのデータを収集できるように頑張る事が重要でした。新しいタイヤルールの関係上、今年はグランプリの最中に新しい事を試すチャンスがあまりありませんからね。」
「ブルノではフロントタイヤにはかなり満足できるものが見つかりましたし、リアに関してもいくつか改善を加える事ができたので、今回のレースで役に立つ事を期待しています。簡単に奇跡が起きるとは思いませんので、信念を持って着実に頑張り続けるしかありません。」
「数日間は(アメリカの)自宅に戻って休みをしっかり取りましたから、今はミサノに戻って再びコースを頭にたたき込むのが楽しみです!」
■ブリビオ監督「新型エンジンの投入は延期」
フィアット・ヤマハのチーム監督であるダビデ・ブリビオは、地元ファンの声援がロッシに力を与えるので、サーキットにはたくさんのファンに応援に来て欲しいと語った。
なお、ブルノ合同テストで検証した新型エンジンは、今回のミサノ戦には投入しない事をブリビオ監督は明かしている。
「ムジェロでのレースは常に自分たちにとって重要でしたが、ミサノも自分たちの新しい特別な場所と言えます。サーキットの歴史的に考えても大切な場所ですからね。」とブリビオ監督。
「ここはバレンティーノにとっては第2のホームですから、地元観衆からのすごい声援が彼に送られる事は間違いないでしょう。タブリアからもすぐ側ですし、オートバイに対する情熱も非常に強い土地柄ですから、たくさんのファンが応援に駆けつけてくれる事を期待しています。」
「両方のライダーの状況を改善できるよう、私たちはパッケージの改良に全力で取り組んでいますし、今回ミサノでレースができる事によりチーム全体のモチベーションはより高まっていますから、さらにいい仕事ができる筈です。」
「ブルノでテストした新エンジンは現在日本に戻され、さらなる開発作業が加えられていますが、次戦以降のできる限り早いうちにレースに投入される事を願っています。」
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