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■MotoGPクラスのレース内容
●MotoGP午後決勝
不安定な気象条件により分単位で路面状況が変化し、走行を開始するタイミングにより大幅にラップタイムが異なるというくじ引き状態となった前日の予選を経て、6月3日にMotoGP第6戦のイタリアGPは決勝レースの日を迎えた。
ここでは、恒例となったミス・イタリアのスターティング・グリッドへの登場などのお祭りムードの中、カピロッシに新型マシンを準備するなど、地元ドゥカティー・ワークスが勝利への強い執念を見せた2007年イタリア・グランプリのMotoGPクラス決勝レースの詳細内容を紹介する。
なお、全てのライダーや一部チーム関係者のレース後の詳細コメントはこちらの記事を参照の事。
■決勝レースの当日は奇跡的なドライ・コンディション
最後まで路面状況の予測がつかないという難しいレースウイークとなった今年のムジェロ・サーキットだが、決勝当日のこの日は奇跡的に終日ドライ路面に恵まれ、8万5千480人の熱狂的な大観衆が見守る中、各チームは午前中の20分間という短いウォームアップの時間を使い、悪天候によりプラクティス中はあまり順調に進まなかった最後のタイヤ選びとマシンのセッティング調整を、ドライ路面での午後のレースに向けて慌ただしく行ったようだ。
各ライダーがウォームアップ・ラップを終えてスターティング・グリッドに並んだ午後2時の気温は24度、ドライに保たれた路面の温度は29度、湿度は20%。
■ホールショットを奪ったのは今回もストーナー
シグナルが消え、1コーナーまでの長いストレート加速で先頭に立ったのはポールポジションからスタートしたドゥカティーのケーシー・ストーナーだった。そのままホールショットを奪ったストーナーに続いたのは2番グリッドからスタートしたリズラ・スズキのクリス・バーミューレン。
■ロッシはスタートに失敗
1列目3番グリッドからスタートしたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシはスタートに失敗して8番手まで後退。2列目4番グリッドからの好スタートを見せたカワサキのオリビエ・ジャックは1コーナーまでの2速ギアと3速ギアへのシフトアップ時に大きく失速し、そのまま後続に飲み込まれていった。
■悪天候の予選で好調だったカワサキ勢も後退
同じ頃、オリビエ・ジャックのチームメイトであり、7番グリッドからスタートしたランディー・ド・ピュニエもスタートから1コーナーまでの加速に失敗し、ジャックと共に大きく順位を後退している。
ムジェロのコース前半の高速カーブを先頭からストーナー、2番手にバーミューレン、3番手にドゥカティーのロリス・カピロッシ、4番手にプラマック・ダンティーンのアレックス・バロス、5番手にグレッシーニ・ホンダのマルコ・メランドリ、6番手にレプソル・ホンダのダニ・ペドロサ、7番手にリズラ・スズキのジョン・ホプキンス、8番手にフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシ、9番手にレプソル・ホンダのニッキー・ヘイデンが次々と通り過ぎる。
■完走よりもマシンの調査を優先したチーム・ロバーツ
800ccマシンの開発にシーズン序盤から苦しみ続け、レースウイーク中からタイムの伸び悩みに苦しんでいたチーム・ロバーツのケニー・ロバーツ・ジュニアは、オープニングラップから激しく前を争う他のライダーたちについて行く事ができず、後ろに今回のムジェロでチームロバーツの2人目のライダーとしてエントリーした弟のカーチス・ロバーツを従え、まわりに誰もいない静かな環境でマシンの抱える問題の原因究明作業を開始した。
■ジュニアはマシンのスイッチをがちゃがちゃと変更
ロバーツ・ジュニアは序盤にある程度のタイムを記録した後は、マシンの制御パネル上にある様々な電子制御系スイッチのオン/オフを繰り返して、その都度限界走行を試しながらマシンの問題点を探ったようだ。
■最初からピットインが命じられていたカーチス
また、難航しているチームのマシン開発を支援する目的で今回のグランプリに参加したカーチス・ロバーツは、あえてテスト用のギャンブルセッティングを施して今回のレースには出場しており、もしバイクの調子が悪くなるようならその場で走行を中断し、耐久性限界がシビアなレーシング・エンジンの走行距離をいたずらに増やさないよう、直ちにピットインする事が命じられていた。
ジュニアを追って1コーナーに飛び込んだ際、特に速度が出ていない状態にもかかわらずカーチスのマシンはオーバーラン気味となり、その後はハンドリングに問題が発生して走行ラインをキープする事が難しくなった事から、カーチスは約束通り3周を走行後にピットインしている。
■カーチスの協力により判明したシャシーが抱える根本的な問題
今回のカーチスの協力により、シャシーに根本的な問題を抱えている事をついに突き止めたチーム・ロバーツは、早速新型シャシーの開発に取りかかったが、それが実際のレースに投入されるのは夏休み明けになりそうとの事だ。
■ロバーツ・シニア「そう簡単な世界じゃないね」
チームオーナーであるケニー・ロバーツ・シニアは「もう3〜4戦前に原因を突き止められれば良かったが、冬季シーズン中と第2戦目は調子良さそうに見えたからね。中途半端な連中と戦ってる訳じゃないから、マシン開発のスタート時期が遅れた事もあるし、そう簡単にうまくいくほど楽な世界じゃないね」とコメントし、冬季テスト中に半月程度の短期間で組み上げる事になった現行マシンの開発の方向性に根本的な誤りがあった事を初めて認めている。
■ロバーツ・ジュニア「トラコンを切ったら速くなった」
なお、シーズン序盤はいっこうに進まないマシンの改善作業に苦しいコメントが目立ったロバーツ・ジュニアは、今回のレース中にトラクション・コントロールの制御機能をほぼゼロに切り替えた際に、かえってラップタイムが上がった事を明かしている。
ロバーツ・ジュニアも、マシンの不調の原因究明の大きな力となったこの週末のカーチスの働きには、深く感謝している様子だ。
■今期初のドゥカティー・ワンツー体制
カーチス・ロバーツが走行継続を断念する2ラップ目のストレート、ロリス・カピロッシはホームストレートでクリス・バーミューレンを過激な加速で交わして一気に先頭のストーナーに並びかけると、そのままストーナーの背後につけて2番手のポジションで1コーナーを抜けた。ドゥカティーの今年初のワンツー体制が、ドゥカティーの本拠地イタリアでこの瞬間にようやく実現した事になる。
ストーナーとカピロッシの後方ではバーミューレンとメランドリが激しく3番手のポジションを奪い合い、その背後ではバロスとペドロサが5番手を奪い合っている。ペドロサはバロスを交わして5番手となり、その後にメランドリはバーミューレンを交わして3番手に浮上した。
■無理な追い上げがたたり、ド・ピュニエが今回も転倒
スタートの失敗を挽回しようと限界走行を重ねていたド・ピュニエは、コニカミノルタ・ホンダの中野真矢選手とオリビエ・ジャックを交わした後、アレックス・ホフマンに並びかけたところの8コーナーでフロントを失い転倒。コース左側のグラベルに激しく飛び込んだ。
ド・ピュニエは左ひざを少し痛めたものの、ルマンで負傷した右肩や他の部分への深刻なダメージは幸いなかったが、改良後の好調なNinja ZX-RRの性能を発揮する事なく2戦を連続してノーポイントで終える事になった。
■カワサキ「まず完走する事から始めよ」
ド・ピュニエの今回のスタート失敗に関してカワサキのコンペティション・マネージャーであるミハエル・バルトレミーは、「彼はスタートの改善に目を向けるべき。グリッド位置と同じ順位で1コーナーを抜けていれば、あんなに危険な追い上げは不要だった筈」と、彼のあまり得意分野ではないスタートへの課題を指摘している。
さらにバルトレミーは2戦連続の転倒についても「彼はまずレースを完走するところから始めるべき。古いことわざに『1番を取りたければ成し遂げる事から始めよ』とあるが、これ以上の真実はない」と厳しいコメントを残した。
■今期初めて先頭に躍り出たカピロッシ
再びホームストレートでカピロッシとストーナーが先頭で横並びとなった4ラップ目の1コーナー争い、カピロッシはストーナーを抑えるとついに先頭に浮上し、今期初めてとなるレースのリードを開始した。2番手にはストーナー、3番手にメランドリ、4番手にペドロサ、5番手には1コーナーでチームメイトのバーミューレンから前を奪ったホプキンスが続く。
■タイヤが温まり、着実に順位を上げるロッシ
ロッシは後退したバーミューレンから前を奪い6番手にポジションを挽回。7番手となったバーミューレンの背後にはバロスが迫る。
5ラップ目のメインストレート、先頭を行くカピロッシの背後を走るストーナーの真横にメランドリが並びかけ、メランドリはトップのカピロッシに続き2番手で1コーナーを通過。3番手にはストーナー、4番手にはペドロサが続く。
■序盤に好調な追い上げを見せ、トップをうかがうメランドリ
5番手のホプキンスは真後ろのロッシを従えて1コーナーからの脱出加速に入ったが、ホプキンスはロッシに前を奪われて6番手に後退。ロッシはそのまま前方のペドロサの背後に接近する。先頭の地元イタリアン人ライダーであるカピロッシの背後では、同じく地元出身のメランドリがムジェロでの初表彰台を狙って果敢にカピロッシの前をうかがっている。
■カピロッシ「これ以上は無理」、トップはストーナーに
新型マシンのセッティングが出ていない状態で無理をしていたというカピロッシは、6ラップ目の1コーナーで大回りを喫し、転倒は免れたものの順位をロッシの手前の5番手まで後退させてしまう。一瞬先頭に立ったメランドリも、3ラップ目以降はマシンが前後に飛び跳ねるというトラブルを抱えており、1コーナーでストーナーとペドロサに前を奪われて3番手に後退した。
■ロッシが3番手に浮上、ペースの続かないメランドリ
カピロッシは転倒を恐れてこの周回から一気に走行ペースを意図的に落とし、それを見たロッシはすかさずカピロッシを交わして5番手に浮上、続けてホプキンスを交わすと3番手のメランドリにも並びかけた。
■激しく前を争うペドロサとストーナー
ペドロサは高速右コーナーでストーナーを交わして先頭に立つが、続く7ラップ目のストレートではストーナーに交わされて2番手に後退。食い下がるペドロサは3コーナーで再びストーナーから前を奪うとトップに浮上。
ここでロッシはひるんだストーナーの隙を縫って先頭を行くペドロサの背後の2番手につけた。この時点の順位は先頭からペドロサ、2番手にロッシ、3番手にストーナー、4番手にメランドリ、5番手にホプキンス、6番手にバロス、7番手にカピロッシ、9番手にはバーミューレン。
■ロッシの追撃から逃げるペドロサ
最終コーナーでロッシはペドロサから前を奪おうと並びかけるが、ペドロサはこれを許さない。8ラップ目にロッシはペドロサの真後ろにつけ、逃げるペドロサに圧力をかけ続ける。
■安定して高いペースのバロス
1コーナーでバロスがメランドリを交わして5番手に浮上した9ラップ目、2番手のロッシは前半区間の高速コーナーでペドロサに並びかけると、一気に前を奪いついにトップに立った。
■前を奪い合うロッシとペドロサ、3番手で静観するストーナー
2番手に後退したペドロサは必死にロッシを追いかけ、10ラップ目のホームストレートでの加速競争ではロッシの前に一瞬出るが、1コーナーではロッシがこれを奪い返す。やや遅れて3番手のストーナーがこの前方2台の争いを見ている。
■チェカが前戦に引き続きグラベルに直行
マシンの不調からペースの続かなくなった6番手のメランドリがトップ集団から引き離され、5番手のバロスが4番手のホプキンスへの追撃を開始した頃、12番手を走行する中野選手と13番手を走行するエドワーズの後方でマシンの感触が得られずに苦しんでいたホンダLCRのカルロス・チェカが、無理をして4コーナーのシケイン進入時にグラベルに単独直行。チェカ本人に怪我はなかったが、マシンのダメージが大きい事からレースの継続をここで断念した。
■中野選手のマシンにチャタリングが再発
また、この頃からフロントのチャタリングに苦しみ出した中野選手はエドワーズの追撃を受け、ポジションのキープが徐々に難しくなってきている。エドワーズは湿った路面で苦しんだレースウイーク中とは異なり、ドライとなったこのレースではトップ集団に近いラップタイムを記録している。
先頭のロッシがペドロサを0.5秒引き離した12ラップ目、中野選手はエドワーズに交わされて13番手に後退。6番手のカピロッシと7番手のメランドリは先頭集団となったロッシ、ペドロサ、ストーナー、ホプキンス、バロスの5台について行くことができずに大きく距離を開けられている。
■コニカミノルタ・ホンダ「分析用のデータが欲しい」
フロントのチャタリング再発の問題に対してコニカミノルタ・ホンダチームのオーナーであるジャンルカ・モンティロンは、「チャタリングが発生するまではトップ集団に近いラップタイムを刻んでいたので非常に残念。チャタリングの原因を追及するのにもっと分析用のデータが欲しい。他のライダー(ミシュラン・ホンダ)にも同じ問題が発生していたのか自分たちだけの問題なのかをミシュランとこれから調査する」とコメント。
■中野選手「序盤の調子は悪くなかった」
また中野選手は「エドワーズに抜かれた時にはチャタリングのせいでコーナリング速度を落とさざるを得ない状態だった。来週のレースまでには改善を進めておきたい」と述べ、レースウイーク中で最高のセッティングだったというこの日のマシンのレース後半の不調を悔しがっている。
■今シーズンは後半の追い上げが激しいエリアス
レース中盤に入ってからハイペースを持続するグレッシーニ・ホンダのトニ・エリアスは、チームメイトのメランドリの背後につけると最終コーナーで外側からメランドリの前を奪い、7番手に浮上した。
■トップ集団にゆっくりと近づくバロス
ペドロサがロッシに食い下がる13ラップ目、先頭のロッシと2番手のペドロサは1分50秒台後半、3番手のストーナーと4番手のホプキンスは1分51秒台中間、5番手のバロスは1分51秒台前半の速度で飛ばしている。この結果、バロスとホプキンスの距離が周回ごとに縮まっていった。
■必死に食い下がるも距離が縮められないペドロサ
14ラップ目と15ラップ目、一度はロッシに空けられた距離を縮めようとペドロサがコーナーでブレーキを遅らせるが、常にやや大回り気味となりストレートで縮めた距離を再びロッシに空けられてしまう。ここまでに先頭集団は完全にロッシとペドロサの2台となり、3番手のストーナーはペドロサの2秒後方を走行している。
ペドロサが今シーズン序盤から抱えている高速走行中にリアとフロントの両方が滑り出すという問題が顕著になった16ラップ目、先頭のロッシはペドロサを約1秒引き離して悠々とトップを走行。ペドロサの3秒後方には3番手のストーナー、その1秒後方にはホプキンスとバロス、さらに10秒後方にはカピロッシ、バーミューレン、ヘイデン、エリアス、メランドリが前を奪い合っている。
■バロスがホプキンスを交わしてストーナーの追撃態勢に
最終コーナーではドゥカティーのサテライト・チームに所属するバロスがついにホプキンスを交わして4番手に浮上し、1秒前方を走るワークス・ドゥカティーのマシンを操るストーナーの追撃体制に入った。
ロッシとペドロサが1秒の間隔を維持してトップと2番手を独走する中、19ラップ目にバロスは3番手のストーナーの0.2秒後方に迫り、20ラップ目にはホームストレートで真横に並びかけるが、1コーナーに最初に飛び込んだのはストーナーだった。最終コーナーで再びバロスはストーナーのインをうかがう。
■バロスが念願の表彰台圏内に浮上
残り3周の21ラップ目の1コーナー、ついにバロスはストーナーから前を奪い、プラマック・ダンティーンカラーのマシンが真紅のドゥカティー・ワークスマシンに排気ガスを浴びせかける事になった。この直後にストーナーは一瞬バロスから引き離され、バロスは遙か4秒前方のペドロサを狙い加速する。
■ムジェロ6連覇に向けて加速するロッシ
残り2周のホームストレートを、先頭からロッシ、1秒後方に2番手のペドロサ、4.5秒後方に3番手のバロスと4番手のストーナー、さらに4秒後方に5番手のホプキンス、ホプキンスから18秒後方には6番手のカピロッシ、7番手のエリアス、8番手のメランドリ、9番手のバーミューレン、10番手のヘイデン、11番手のプラマック・ダンティーンのアレックス・ホフマン、12番手のエドワーズ、13番手の中野選手、14番手にTECH3ヤマハのシルバン・ギュントーリ、15番手に同じくTECH3ヤマハの玉田誠選手、16番手のジャックが通り抜ける。
さらにその遙か後方にはマシンの調整とタイムアタックを交互に繰り返すケニー・ロバーツ・ジュニアが続いた。
23周目の最終ラップ、ロッシは怒濤のラストスパートに入り、2番手のペドロサから一気に数秒の差を広げた。3番手のバロスの背後では、サテライト・ドゥカティーから表彰台圏内を奪い返そうとするストーナーが必死の追撃を見せている。
■ロッシが今期2度目の優勝
最終コーナーを余裕で抜けたロッシは最後の加速を開始し、ペドロサから3秒先にチェッカーを受け、今期2度目の勝利をイタリアGP連続6年制覇で飾った。最後までロッシを追い続けたペドロサは2位表彰台を獲得。
■2位はペドロサ、3位はワークスを抑えたバロス
プラマック・ダンティーンのアレックス・バロスは、タイトル・スポンサーであるプラマックの地元イタリアで今期初の表彰台となる念願の3位を獲得。地元イタリアのバイクメーカーであるドゥカティーのワークスライダーであるケーシー・ストーナーは、バロスを最終的には0.05秒差まで追い詰めたものの、惜しくも4位となり表彰台を逃している。ストーナーのチームメイトのロリス・カピロッシは最終ラップでグレッシーニ・ホンダのトニ・エリアスに交わされ、7位で地元グランプリを終えた。
■ドゥカティー「ドライ用のセッティングが間に合わなかった」
ドゥカティー・コルセのCEOであるクラウディオ・ドメニカリは、どうしても欲しかった地元での勝利を逃す事になった今回の結果に対し、「トップ4に2台のドゥカティーマシンが入ったが、もっと上の成績を本当は期待していた。今週は気象条件の変化が激しく、ライダーが最大限の力を発揮できるようなセッティングに到達できていない。特にバイクとタイヤの組み合わせが完璧とは言えず、ムジェロで不可欠な高速コーナーでのスピードが十分に確保できなかった」と述べ、その悔しさを表現している。
■ストーナーは速さと安定さを兼ね備えたライダー
ただし、ドメニカリはストーナーの走りについては「ケーシーの冷静さと表彰台にかける強い意気込みには今回も感銘を受けた。彼は速さと安定性の両方を兼ね備えたライダーである事を今回も証明した」とその健闘ぶりを称えており、カピロッシについては「ロリスは序盤に強さを見せてくれた。彼のためには、バルセロナに向けてさらに新エンジンの完成度を高めておきたい」と述べ、今回からカピロッシ用に投入した新型マシンの今後の熟成に期待を示した。
■ロッシ「全員が自分を応援している気がした」
エンジンパワーの差や悪天候、度重なるタイヤトラブルなど、今シーズンも思い通りとは言えないシーズン序盤を過ごしてきたフィアット・ヤマハのバレンティーノ・ロッシは、地元で再び表彰台の頂点に戻れた事を大変に喜んでいる。
「ムジェロのレースには何か特別なものを感じるし、ファンから余分に力をもらった気がする。全員が自分を応援してくれている気がした。ムジェロは自分にとっては魔法のようなサーキット。今回の勝利は最高の瞬間だった」とロッシ。
■ロバーツ「誰もひき殺さなくてよかった」
なお、毎年恒例となっているムジェロでのレース直後の観客のコース内への侵入だが、最後尾を走っていたロバーツ・ジュニアが最終ラップの最後のストレートに進入した時には、大量の観客がすでにコース上を走っていたようだ。
ロバーツ・ジュニアは「観客が壁をよじのぼってコース側に出てきているのが見えたので、最終コーナーを曲がった後は全く速度を上げる気にはならなかった。もしあれが事前に見えてなかったら罪のない人々を傷つける事になっていたでしょう」とレース後にコメントしている。
■イタリアGPレース結果
以下にイタリアGP決勝レースの結果を示す(全ライダーの詳細コメントはこちらの記事を参照の事)。
1) バレンティーノ・ロッシ ITA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 42分42秒385(23周)
2) ダニ・ペドロサ SPA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 42分45秒459(23周)
3) アレックス・バロス BRA プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 42分48秒341(23周)
4) ケーシー・ストーナー AUS ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 42分48秒397(23周)
5) ジョン・ホプキンス USA リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 42分55秒629(23周)
6) トニ・エリアス SPA ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分01秒640(23周)
7) ロリス・カピロッシ ITA ドゥカティ・マルボロ・チーム デスモセディチ GP7 43分02秒031(23周)
8) クリス・バーミューレン AUS リズラ・スズキ・MotoGP GSV-R 43分05秒195(23周)
9) マルコ・メランドリ ITA ホンダ・グレッシーニ RC212V 43分05秒222(23周)
10) ニッキー・ヘイデン USA レプソル・ホンダ・チーム RC212V 43分06秒798(23周)
11) アレックス・ホフマン GER プラマック・ダンティーン デスモセディチ GP7 43分07秒166(23周)
12) コーリン・エドワーズ USA フィアット・ヤマハ・チーム YZR-M1 43分10秒386(23周)
13) 中野真矢 JPN コニカミノルタ・ホンダ RC212V 43分19秒118(23周)
14) シルバン・ギュントーリ FRA ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 43分27秒483(23周)
15) 玉田誠 JPN ダンロップ・ヤマハ・Tech3 YZR-M1 43分27秒530(23周)
16) オリビエ・ジャック FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 43分27秒602(23周)
17) ケニー・ロバーツJr USA チーム・ロバーツ KR212V 44分09秒607(23周)
-) カルロス・チェカ SPA ホンダ・LCR RC212V 16分59秒065(9周)
-) カーチス・ロバーツ USA チーム・ロバーツ KR212V 6分00秒621(3周)
-) ランディ・ド・ピュニエ FRA カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR 2分00秒523(1周)
・決勝日の気温は24度、路面温度は29度、湿度は20%。路面状況はドライ。
・ムジェロのサーキットレーコード(990cc)は2005年にM.ビアッジが記録した1分50秒117
・ムジェロのベストラップレコード(990cc)は2006年にS.ジベルナウが記録した1分48秒969
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