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2007年5月22日
以下に、5月20日に行われたフランスGP終了後のMotoGPクラス全ライダー、およびチーム関係者のコメントを紹介する(MotoGPクラスのフランスGPレース詳細記事はこちらを参照の事)。
■優勝)クリス・バーミューレン リズラ・スズキ GSV-R
もう今は天にも昇る気分ですよ!
自分のためにもスタッフのためにも、そしてチームにかかわる全ての人たちのためにも嬉しくて仕方がありません。
レースに入るまで、今週末はなかなか作業が計画通りに進まずに苦しい時間を過ごしていましたが、タイムはどんどん縮まってきていたので、今日がドライだったらさらにタイムは縮むだろうと思っていました。
実際の路面状況は序盤からひどく滑りやすくて、攻めの走りをするには難しい状況でした。雨がひどく降り始めてからはバイクを交換する決心をして、その後コースに戻ってからはひたすら地道にタイヤができる限り早く温まるように走り込みました。
雨の中のバイクからは本当にいい感触が得られましたが、少し重くなったのでトップギアを使ってストレートを走りきるのが難しくなりました。ものすごい水の量でしたから、リアがやたらホイールスピンするんですよ!
ここまでに800ccマシンではあまりウェットのテストをする時間がなかった筈なのに、自分のチーフクルーのトム・オケーン、それに他のスタッフが最高のウェット用バイクを今回は用意してくれたんです。
タイヤの選択も的確でしたし、バイクの状態は優勝を果たすのに十分な性能でしたね!
■2位)マルコ・メランドリ ホンダ・グレッシーニ RC212V
今日は最高ですね。本当に難しいレースでしたが、それと同時に面白かったです。とにかくすごいレースでした。
レース序盤の周回は慎重に走りました。路面は全面が濡れていてつるつるでしたからね。かなり危険な状況でしたし、何人かがすでに転んでいました。スリックタイヤではかなり難しい状況だったのにもかかわらず、普段はトップを争わないような多くのライダーたちが激しい走りをしてましたね。あの時は自分はまったく攻めてません。
周回ごとに路面状況が変わりやすく、コースの半分は濡れたままでそれ以外は乾くという状況でしたから、いったいいつピットに入っていいやら分かりませんでした。それで自分はしばらく様子を見る事にしたんですが、ブリヂストンユーザーのホプキンスがタイヤを交換しに入るのを見て「今だ」と思い、それに続きました。ここではウェットの路面をブリヂストンで走るのは初めてでしたからね。
以前のウェットテストではコースを1周しか走ってなかったのに、ウェット用バイクの調子は最初から本当に良かったです。チームはスペアバイクに最高のセッティングを施してくれていました。フロントにもいい感触が得られましたし、ブリヂストンタイヤの調子は最高でしたので、最終的に2位を獲得する事ができました。
クリスとの距離は縮まったので交わすタイミングを探って様子をうかがうつもりでしたが、6速の高速コーナーで1回ひどく滑りましたし、自分の足は短いのでひざが十分に落とせずフロントのコントロールが難しくなったので、それ以上不要のリスクを冒すのはやめました。去年のオーストラリアのレースではクリスを抑えましたが、今回は彼の番でしたね。
表彰台からしばらく離れていたので今回の結果にはすごく満足です。貴重な成績が残せたと思います。
■3位)ケーシー・ストーナー ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7
ここでも成績をキープできるなんて本当に驚きですよ!
最初は完走も難しいんじゃないかと心配しました。大勢が何の前兆もなく突然滑って転んでいましたからね。
レースの前半は雨もまだ小降りで、多くのライダーが飛ばしていくのを見ましたが、コーナーを2つか3つ過ぎたらみんな地面の中に埋まっているような状態でしたから、実際どのくらいの激しさで攻めたらいいのか全然分からないような状況でした。
その局面はなんとか乗り越えて、正しいタイミングでウェット用タイヤに交換する事ができましたから、そこからはスマートな走りを心がけました。今日は全てを正しくやり通したという風に感じています。
多分一度は8位か9位くらいまで落ちたように思いますが、雨で全くピットボードが見えない状態だったのではっきりは知りません。そこから何とか表彰台圏内まで挽回する事ができて良かったと思います。
雨のコースで練習する時間が全然なかった事を考えれば、今回のドゥカティーとブリヂストンからはウェット環境でも本当にいい感触が得られていました。まだリアのグリップに課題が数点ありますから、明日のテストがまた雨になってくれて、その点を改善するいい機会になる事を願っています。
■4位)ダニ・ペドロサ レプソル・ホンダ RC212V
ええ、今回の結果には本当に満足しています。激しいレースの中でいい走りを維持できましたからね。
去年のオーストラリアのウェットレースで十分にチームは学んでいましたから、今回はバイクの交換作業は非常に素速かったんです。そのおかげでピットに入る以前には自分の前を走っていたライダーたちよりも先にコースに戻る事ができました。最高の仕事をしてくれたチームに感謝したいと思います。
レースの序盤は自分の前にいた殆どのライダーがハードタイヤを選択していたので、オープニングラップが終わるまでに、かなり順位を上げて前に出てくる事ができました。その後に雨はどんどん激しくなっていきましたが、それでも自分のラップタイムはどんどん縮まっていました。
今回はこういう路面状況に慣れる上でいい機会にしようと思いました。交換した新しいバイクに施してあるウェット用のセッティングやギア比、それにサスペンションなどは今までのものとは全然違いましたからね。
ただの4位には違いありませんが、この結果は本当に嬉しいです。こういうウェットのレースでいい結果を残せなきゃいけませんし、かなりの自信にもつながりました。
■5位)アレックス・ホフマン プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7
ここまでの2日間がひどかっただけに、今日は最高に嬉しい大満足のレースでした。気分がとてもいいですね。
今日は変動の激しいレース展開になりました。何周か走ったところで雨が降り始めたので、他のライダーがそのまま走り続けている事にはかまわず、自分だけはピットに戻ってウェット用のバイクに交換する事を決めましたが、間違いなくこの決断は大正解でした。
突然バイクとブリヂストンタイヤに自信が持てるようになり、いいペースで走れるようになりましたが、そんな事になるとは全く予想もしていませんでした!
今回の成績は自分のMotoGP経歴の中での最高位ですから、今日の調子を今後もキープできるようにしたいですね。すごく頑張ってくれたチームに感謝したいと思います。
■6位)バレンティーノ・ロッシ フィアット・ヤマハ YZR-M1
レース序盤のドライ路面では好感触が得られていたので、今回の結果には落ち込んでいます。バイクにはいくつかうまく調整を施す事ができて最高の状態でしたから、優勝が狙えると思っていましたからね。
残念ながら、今日は雨に全てを台無しにされました!
ピットインしてからのレース後半は、雨が本降りにならないだろうと判断した事からハードのレインタイヤを履いて走りました。ところが悲しい事にこの予想は大間違いで、雨が激しくなってからはタイヤが固すぎて攻めて走る事が全然できなくなったんです。リアからは全くグリップが得られなくて、ゆっくり走るしかない状態でした。
最後の5周は本当に危険な状態になっていて、バイクを真っ直ぐ走らせる事すら難しい状態でした。そこから最終ラップまでに周回あたり5〜6秒はロスしたでしょうね。
ここはストーナーの前を走れると思っていたサーキットですし、同時にすごいバトルになるだろうとも考えていました。彼はここでも速かったですからね。ストレートだけじゃないですよ。どんな部分を走っていても彼は速かったんです!
今日は素晴らしい走りでレースを制したクリス・バーミューレンを祝福したいと思います。彼は雨の中ではちょっとしたマジシャンですよね!
■7位)ジョン・ホプキンス リズラ・スズキ GSV-R
まず最初にクリスとスズキによくやったと、よくぞ表彰台の頂点を獲得したと言いたいです。連続2回のレースで表彰台を獲得する事になりましたから、この調子を一緒に維持していけるといいですね。
レースでは、自分たちが選んでいた中で一番硬めのスリックタイヤをリアに選択していたので、最初はタイヤの温度が上がるのを気長に待つ事になりました。一度温度が上がってからは感触に自信が得られたので一気に12番手からトップに浮上する事ができました。
全てが順調でしたね。雨が激しく降り出すまでは。
バイクを交換するタイミングにはいい時を選んだと思います。そこからはウェット走行に慣れようと頑張りながらも悪くない状況に見えましたが、小さなセッティング上の問題に少し苦労しました。
でも今日は最後まで足をつける事なくレースを完走できて、悪くないポイントも獲得できています。
今週は初日から好調でしたし、ドライ用のセッティングをみんなで必死に頑張ってきた後のこの成績は残念ですが、これからは自分が楽しく走れるサーキットのレースが続きますから、今回の連続表彰台の流れをリズラ・スズキのためにもキープしていきたいと思います。
●リズラ・スズキチーム監督:ポール・デニング
クリスと、ウェットとドライの両方で表彰台を獲得する事ができるバイクを提供してくれたスズキに賞賛の言葉を贈ります。
いくつかのコーナーでは「無茶な走り」をしているようにテレビでは見えたかもしれませんが、クリスは全てにおいて自分の制御範囲内において、あの走りを実現していた事を私たちが保証します。私が言うのではなく、実際にあそこで走っていたクリスが言うのですから間違いはありませんよ。
クリスは真に彼が持つバイクのコントロール能力とその才能を再び発揮しました。今回の経験は彼の大きな自信につながった筈ですから、この忙しいヨーロッパラウンドの中のどこかで、どんな路面条件下においても再びトップを狙って激しく攻める走りを見せてくれる事でしょう。
ジョンの7位も悪い結果ではありません。ただ、私は今の彼の実力なら本当は毎回表彰台を狙えるのではないかと感じています。ジョンのバイクには少しウェット走行面での小さな問題が発生していましたが、それでも彼はトップを狙おうとする意欲を失う事はありませんでしたし、雨が本格的に降り出すまでは12番手だったポジションを挽回し、トップを走行していました。
明日のテストではまだやる事がたくさんありますが、メニューを全てこなせるよう、ドライ路面に恵まれる事を祈ります。チームの士気は最高の状態にまで高まっていますから、ムジェロでも同様の成績を狙っていきますよ。
■8位)ロリス・カピロッシ ドゥカティ・マルボロ デスモセディチGP7
今日は雨になったのでいい成績が残せると思ったのに、とても悲しいです。
他のライダーたちがピットインする1周前という最高のタイミングでマシンを交換する事ができましたし、その時に自分の目の前を走っていたのは今回優勝したクリス(バーミューレン)でした。でも、すぐにマシンが何か問題を抱えている事に気がついたんです。非常に乗りにくい状態でした。
チームがミスをしており、エンジンマッピングが正しく施されていなかったんです。こういう場面ではよくある事だと理解はしていますが、すごく残念ですし、気分的には不愉快です。
防衛の走りに徹して最善は尽くしましたが、ブレーキを握る度に転びそうになるという危険な状態でしたので、決して楽ではありませんでした。今は次戦を楽しみにするより他ありません。
●ドゥカティーMotoGPプロジェクト監督:リビオ・スッポ
今回は非常に大変なコンディションだったにもかかわらず、またもケーシーが素晴らしいレースを見せて表彰台を獲得しました。
彼は非常にスマートでしたし、正しいタイミングでバイクを交換しに戻ってきました。彼は必要のないところでリスクを冒すような事は一切しませんでしたから、今回のレース内容にも彼の成長が見てとれますね。
バイクはいい状態でしたし、ブリヂストンが最高でした。表彰台の3人の顔ぶれの理由はそれです。
今回のチームのミスについて、私たちはロリスに謝らなければなりません。彼のスペアバイクに施してあったエンジンマッピングは、今回の路面条件には全く適していないものでした。
これが原因で彼がいい成績を残す事ができなくなり、大変に残念ですが、時としてこのような出来事は発生するものなんです。
■9位)玉田誠 ダンロップ・ヤマハTech3 YZR-M1
すごく難しいレースでしたね。
完走できた事には満足ですが、もっと速く走る事もできる状態でしたから、全体を通して満足しているとは言えません。ただ、状況的には厳しいレース内容でしたから、不満を述べる必要はないと思います。
今回のレースはたくさんの事を学ぶいい機会でした。こういう路面状況だとダンロップタイヤはすごくグリップがいい事も分かりましたからね。路面が軽く濡れていた時にはタイムを大きくロスしていましたし、どのタイミングでピットインするべきかの判断も難しい状態でしたが、フルウェットになってからはラップタイムが急激に良くなり、安心して走れるようになりました。
これから2日間ばかりはここに残ってテストができますから、ドライでもなくフルウェットでもない時の自分たちの悪い点について作業を施す重要な時間が得られます。
今回はチームにいい結果を残す事ができました。ここまでに大きな進歩が得られている事は分かりましたので、これはシーズンの残りの戦いで役に立つ筈ですよ。
■10位)シルバン・ギュントーリ ダンロップ・ヤマハTech3 YZR-M1
すごくおかしなレースにはなりましたが、今週を通しての内容には大満足です。地元の観衆の前で予選とレースの両方で活躍できた事は、自分にとって特別な意味がありますからね。
レースはウイリーをするという最悪なスタートから始まりましたが、走りのリズムをつかもうと頑張りながら、自信を持ってみんなを追い抜いた後、そこにはもう誰も追いかけるライダーが前にいない事に気がつきました。トップに躍り出た周回には先頭を走ろう何て思ってはいなくて、勝手に一番前まで出ていたんです。
リアが浮いた時には本当に驚きました。まだそんなに路面は濡れていない感じだったんです。もしあそこで転んでなかったら、もう2〜3周はピットインせずに、まだコース上を走っていたと思いますよ。ウェット用のマシンに乗り換えるにはまだ十分な湿り方とは言えませんでしたからね。
10位は今までの自己最高位ですから、転んだにしてもとても満足です。それにこのレースウイークはずっと最高の気分でした。色々な成果が得られた上に、自分たちの戦闘力に対して抱いていた疑問もこれで吹っ飛びましたからね。
バイクと自分のライディイングにはすごく自信が持てるようになりましたから、今は次のムジェロでさらに自分の走りを高めるのが楽しみです。
●ダンロップ・ヤマハTECH3チーム監督:エルベ・ポンシャラル
なんとも奇っ怪なフランスGPでした。予選の内容も良かったし、今朝のウォームアップでもいい位置につけましたからね。また、レースの序盤も素晴らしかったです。
レースの前にシルバンは私に「たった1周でもレースをリードできたらいいね」と言っていたんですが、本当にそれを実行するなんて今日の彼は特別ですよ!彼はレースの開始直後は13位につけていたのであまり好調には見えなかったんですが、一気に上位のポジションに駆け上がってきたんです。
雨が激しくなってきた時には「これはちょっとまずいな」と私は思いましたし、チームも彼が転んだ時の覚悟を決めていましたが・・・それは次のシケインでしたね。
サーキットに見に来てくれた全ての人たちがシルバンがトップで走るのを楽しみましたし、彼は転んだ後にも自分でバイクを起こしてコースに戻るという、素晴らしいファイティング・スピリットを見せつけてくれました。
また、同様の素晴らしいファイティング・スピリットを示してくれたマコト(玉田選手)にも、感謝の気持ちを伝えたいと思います。彼が9位に入った事でチームのライダーが同時にトップ10入りを果たすというセンセーショナルな結果となりました。
今週はチームが大きな前進を遂げましたので、今後は全てのレースでトップ10入りを狙って戦えるようになると思います。もう2日間、ここルマンでは色々とテストができますので、次戦のイタリアのレースに向けてさらに何歩か前進しておきたいですね。
■11位)フォンシ・ニエト カワサキ・レーシング・チーム ZX-RR
今日以上に最悪な気象条件はないってくらいの中でのMotoGPデビューになりましたね。人生の中で一番難しいレースだったと言っても過言ではありませんが、それでも今回の経験はものすごく価値のあるものだったと思います。
それに今日は自分のグランプリ100戦目になるんです。だからレースをちゃんと完走できて、年間ポイントを5つも獲得できたのは本当にいい記念になりました。
雨は全員がグリッドについたのと同じタイミングで降り始めましたが、この時にレースを完走できるように安定した走りに徹する事を決意しました。うまくいけばポイントが獲得できるかもしれない状況でしたからね。チームが自分に求めていた事そのものですし、実際にそれを実行しました。
何一つミスを犯したくなかったのでかなりナーバスな状態でしたが、ピットに戻ってバイクを交換するという本当に特殊な経験ができたと思います。レースの最初から安全を確保する上で十分な距離を他のライダーから取りました。自分の目標はできる限り多くの周回を重ねてたくさん学習する事と、無事に完走する事でしたからね。
今回、この目標を達成する事ができました。
チームの方々には本当に良くして頂きました。初日からものすごくリラックスさせてくれたんです。チームのみなさんに、今週して頂いた事全てに感謝を申し上げたいと思います。
■12位)コーリン・エドワーズ フィアット・ヤマハ YZR-M1
レースの開始直前に、去年のオーストラリアや今年の雨のヘレス合同テストで転んだ時と全く同じいくつかの問題に直面しました。
説明は難しいんですが、自分の感触としてはエンジンブレーキに関するものだと思っています。ウェットになってトラクションが得られなくなるとこの問題が発生する感じですし、昨日の転倒に関しても同じ事が原因になっている気がしています。コーナーに進入しようとすると、リアが先に前に進む感じで常に暴れてしまうんです。
バレンティーノと自分はライディング・スタイルがかなり異なります。彼はコーナーでは自分よりクラッチを握っている時間が長いんですが、その違いは今回の自分にとっては大きな問題に発展しました。
もう今日のレースは自分の中ではレインレースではなく氷上レースに等しい状態でした。あれでまともに走る事なんて不可能ですよ。
湿った路面にスリックタイヤを履いた状態が問題をさらに悪化させたので、レースはスタートから最悪でした。そんな状況でしたからギャンブルに出て早めにピットに入り、事態が改善される事を期待して雨があまり降っていない時にレインタイヤに履き替えましたが、本降りになっても全然気分良く走れる状態にはなりませんでした。
多分タイヤが固すぎたんだと思い、若干ソフトなタイヤに履き替えにピットにまた戻りました。おかげでレース終盤には少し感触は良くなっています。
チームの全員と関係者の方々には本当に申し訳なく思います。今日は自分の初のポールをどぶに捨てるような事はしたくありませんでしたし、最高の成績を期待していました。
●フィアット・ヤマハチーム監督:ダビデ・ブリビオ
今日は難しいコンディションで戦う事になりました。チームが両方のライダーに高い期待を抱いていた日だけに、非常に残念な結果です。
バレンティーノは最初から好調な走りを見せましたが、雨が降り始めてからは小雨に適したタイヤを選んでしまい、その後不幸にして豪雨が訪れた事からタイヤ選択は失敗に終わりました。バイクを交換した直後にバレンティーノが好調だった事と、雨脚が強くなるにつれ彼が後退していったのはそれが理由です。
その状況の中で彼がレースに最後まで持ちこたえ、ポイントを獲得したのは、非常に大変な事だったと思います。
コーリンについては言葉もありませんが、今回の気象状況と低い温度が彼のレースを難しくした事は間違いありません。素晴らしいポールポジションの翌日の事はもう忘れるべきでしょうね。
もし今日がドライだったらいいレースができたと思いますが、残念ながらその希望は叶う事なく、彼はバイクに全く好感触が得られないままスタートし、何もうまくいきませんでした。
今はもうルマンの事は忘れてムジェロに視点を向けるのみです。
■DNF27LAP)アレックス・バロス プラマック・ダンティーン デスモセディチGP7
今日は本当に嬉しくない1日でしたね。前日までの2日の間にすごくいいセッティングを見つけていたんですよ。みんな自分の最初のスタートを見てくれましたよね?
残念ながら気象条件のせいでピットに戻ってバイクを変えなければいけなくなり、そこから状況はより難しくなりました。2台目に乗った瞬間にいい感触が全く得られない事に気がつき、自信を持って走る事ができなくなりました。ただ、それと同時にいいポジションをキープして完走しようとも思いました。
多分激しく攻めすぎたんでしょうね。最終ラップでホプキンスを抜ける事は分かっていたんですが、ちょっとプッシュしすぎたためにフロントタイヤがハイドロプレーニング現象を起こして転んでしまいました。
身体の痛みは少しだけですので、次戦のムジェロには100%の体調で挑めると思います。
●プラマック・ダンティーン監督:ルイス・ダンティーン
ホフマンとチームが成し遂げたこの結果を大変に嬉しく思います。今週は出だしがあまり良くありませんでしたが、レースはとてもいい結果に終わりましたね。
ただ、アレックス・バロスの今日の結果は残念に思います。通常の彼はこういう条件でも強い走りを見せるライダーですから、チームが正しいセッティングを彼のマシンに提供できていなかったんだと思います。しかしながら、間違いなく彼は次のレースで今回失ったポイントを挽回してくれる事でしょう。
私たちの全てのパートナーに感謝を申し上げます。今回の良い結果を彼らとも分かち合いたいと思います。
■DNF26LAP)ケニー・ロバーツJr チーム・ロバーツ KR212V
スタートする前から路面が少し濡れていたので、最初からレインタイヤを装着するというギャンブルに出て、雨が激しくなった時に有利な展開に持ち込める事を祈りました。
でも、雨はなかなか激しく降り始めてくれなかったので、周回を重ねる毎に後からレインタイヤに履き替える他のライダーに対する優位性はどんどん消えていきました。実際に雨が降り始めた時の自分のポジションは、もう有利とかそういう話ではありませんでしたね。
最後はエンジンにトラブルを抱えて停止しましたから、結局ノーポイントです。
■DNF25LAP)ニッキー・ヘイデン レプソル・ホンダ RC212V
当然残念です。
あと残り2周で確実に4位という場面でしたし、バイクのウェットでの感触もすごく良かったんです。なのにバックストレートの終端部分でブレーキに触れた瞬間に突然マシンが試合を放棄しました。
スピードがちょっと出ているのは知っていましたが、リアが滑るような挙動は一切感じなかったのに突然地面に放り出されました。本当に最悪です。ただ、あばら骨の接合部の軟骨にダメージはあったようですが、骨はどこも折れていないみたいなのでそれは助かりました。
自分にとってもチームにとってもひどく残念な結果でしたが、今回は自分の失敗ですので誰に文句を言えるものでもありません。
他のライダーは何人か吹っ飛んでいましたが、自分たちのバイクは少し暴れる感じはしたものの、ウェットでも悪くない状態でした。でも、結果的には今日はそれに見合った終わり方ができていません。
たまにはこんな事もあるとは思いますよ。ですから今後も作業は頑張り続けて、次戦のイタリアではまた激しく攻めたいですね。
■DNF20LAP)中野真矢 コニカミノルタ・ホンダ RC212V
レースの序盤は雨が降り始めてしまい、スリックタイヤで速く走るのが難しい状況でしたが、自分の中では「もっと降ってくれ!」と願っていました。
雨が本降りになったところでチームが正しい判断をしてピットに戻してくれて、その後のペースはすごく良くなり数人のライダーを交わして、さらに前の集団を捕らえに入りました。
彼らの姿が見えていたので、激しく攻めて走りすぎたんだと思います。結局シケインの1つに入ったところでフロントを失い、転んでしまいました。
チームがすべてを正しく判断してくれた後の事でしたので残念ですが、ミシュランのレインタイヤで速く走る事ができたのはいい経験でしたし、バイクの感触もすごく良かったです。
今回のようなレースはどうしても少しギャンブルっぽくなりますね。次回のムジェロのレースでは110%の力を出したいと思います。
●コニカミノルタ・ホンダチームオーナー:ジャンルカ・モンティロン
状況が色々と代わり、非常に白熱したレースでした。
最初の何周かは多くのライダーがスリックタイヤを装着しており、問題を抱えて横滑りしている光景がいたるところで目撃されています。
チームに対しては、完璧と言えるタイミングでシンヤをピットに戻すという正しい戦略が取れた事を祝福したいと思います。シンヤもいい走りを見せて前方の3人のライダーを捕らえ、激しく攻めていました。
ええ、彼は転倒する事になりましたが、今回のような条件では起こりやすい出来事ですし、少なくとも彼は高い実力を見せつける事になりました。
私たちは諦めませんし、次回のグランプリのムジェロでは私たちの努力に見合った結果が得られるでしょう。
●コニカミノルタ・ホンダ技術責任者:ジュリオ・ベルナルデッレ
今回のレースについてはいくつかの面で満足しています。今日の自分たちの戦略は優勝チームと同じでしたからね。
シンヤのバイクに対する感触は以前のヘレス合同テストの時とは異なりましたが、これは今回の路面状況が常に変化している状態だったからです。
シンヤはフルウェットの条件でいい走りを見せてくれました。ロリス・カピロッシを交わして、バロスの2秒後方に迫りましたからね。バロスの前方にはジョン・ホプキンスが走行していましたが、その時にシンヤはホプキンスよりも完全に2秒速く1ラップを周回していたんです。
ただ、今回のような走行条件では何が起きても不思議ではありません。悲しい事に、シンヤはシケインの1つの入り口で転んでしまいました。
タイヤ選択が今回は正しくできた事には満足していますし、レースウイークを通していくつかの改善も見られました。次戦からの数レースでは、いい結果を残さなければなりません。
■DNF8LAP)ランディ・ド・ピュニエ カワサキ・レーシング ZX-RR
本当に残念ですし、ものすごく頑張ってくれたチームのスタッフやカワサキ、それにブリヂストンに対して申し訳なく思います。
レースは最初からウェット宣言がなされていましたが、ほとんど全員がスリックタイヤを選択していたと思います。まだこの時点の雨はそれほど激しくありませんでしたし、コース内の一部でしか降っていなかったからですが、ただ、こういうコンディションの時には最後まで何が起こるか誰にも分からないんです。
スタートの時には今回もまたいくつかトラブルが発生し、1コーナーでは順位を少し下げる事になりましたが、バイクには自信があったので素速くポジションを挽回し、レースをリードしました。
そこで雨が激しくなり始め、これからピットに戻ってバイクを交換しようとしていた矢先に転倒しました。多分スピードを出し過ぎていたんだと思います。はっきりとは分かりませんが、いずれにしてもリアがEsses Bleus(最終コーナー手前のクランク)のところで暴れてそのまま転びました。
母国グランプリでトップを走って最高の気分だったのに、残念でなりません。ただ、今日はいい勉強ができたと思います。今シーズンは他にもレースをリードするような機会に恵まれたいですね。その時にはもっと今回とは違う対処ができる筈です。
今日は自分たちの好調さをアピールする事はできたと思いますが、次回のムジェロのレースではもっと結果が残せる走りができるように心がけたいです。
●カワサキ・コンペティション・マネージャー:ミハエル・バルトレミー
ランディーに対しては、高い期待を今回のルマンでは抱いていました。ここでは私たちのZX-RRがかなりの戦闘力の高さを維持できると思っていましたからね。
レースの序盤にランディーはその期待に完璧に応えてくれていました。彼はバイクに自信を持っていましたし、先頭に躍り出るまでに本当にアグレッシブな走りを見せてくれました。
残念な事に、少し自信が過剰になったのか、または路面状況の悪化を読み間違えたかのどちらかだと思いますが、彼がピットに戻ってウェット用のセッティングを施してあるマシンに乗り換える筈だった周回に転倒しました。
ただ、繰り返しておきますが、今回彼は自身の実力を示しましたし、レースをリードするという経験を積む事もできましたので、この次に彼がレースをリードできるポジションについた時には、そのプレッシャーを今回よりもうまく制御できる筈です。
フォンシに関してですが、彼は今回までMotoGPバイクにもブリヂストンタイヤにも経験が一切ありませんでした。バイクに乗ったのは金曜日が初めてであり、ウェットタイヤについても今日が初めての経験でしたが、その状況にもかかわらず彼はライダーとしての学習を繰り返して上達し、トップ10近くでレースを完走しました。今週の彼の成果について、誰1人として不満を述べる事などできませんよ。
ルマンはいつでも多くのプレッシャーを感じるサーキットです。多くのファンに応援を頂ける場所ですから、彼らのために今日はさらにいい結果を残せなかった事を非常に残念に思います。
■DNF7LAP)トニ・エリアス ホンダ・グレッシーニ RC212V
オープニングラップからすごく難しい状況でした。
雨が激しくなってからは、ウェット用マシンに交換しにピットへ戻ろうとしたんですが、その矢先に突然何の前兆もなくバイクが倒れたんです。かなり激しい転倒になりましたし、背中がひどく痛いのでレントゲン検査を受けましたが、幸い骨は折れていませんでした。
2戦連続でノーポイントに終わりがっかりですし、チームにも申し訳ないです。明日もテストでここに残りますから、タイヤとバイクの調整作業に取り組む予定です。
■DNF6LAP)カルロス・チェカ ホンダ・LCR RC212V
コンディションが色々変わって難しいレースでした。
レースの序盤はすごくいい感触が得られていたのに、アウト側を走行していたバレンティーノや他のライダーの集団と一緒にシケインに飛び込んだ時に、バロスが速めに加速をやめたんです。
まわりとの衝突を避けて内側に逃げたんですが、ちょっと速く移動しすぎてバイクを止める事も曲がる事もできなくなりフロントを失いました。
今日は高いレベルで戦えるマシンを仕上げていただけに、残念です。
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