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250cc 開幕2連覇を確信していたロレンソ
インテリマーク編集部
2007年3月17日

3月10日に行われたMotoGP250ccクラスの開幕レースは、アプリリアの公式サポートを受けるチームとライダーが表彰台を独占している。ここでは、簡単に250ccクラスの開幕レースを振り返りながら、主要ライダーたちのコメントなどを紹介したい。
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■今年も開幕戦は圧倒的有利に立ったアプリリア・ワークス勢

冬季テストから今回の開幕戦までを通して、アプリリアのワークス・マシンの仕上がりは高く、その公式ライダーたちの成績も順調だ。

アプリリアのマシンで戦うピアジオ・グループ(ジレラを含む)が大半を占めるこの小排気量クラスにおいて、圧倒的優位に立つアプリリア勢に立ち向かうそれ以外のメーカーと言えばホンダおよびKTMの2メーカーのみだが、開幕レースではこの2メーカーは表彰台を獲得する事ができなかった。
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■開発が進むアプリリア、年々開く他メーカーとの差?

そもそもストレートが長く、低速カーブそのものが少ないロサイル国際サーキットは、エンジンパワーを誇るアプリリア・ワークス勢にとっては有利なサーキットだったとも言えるが、今シーズンも初戦から、特にフルワークス体制を小排気量クラスには持たないホンダ勢は、少なくともカタールでは昨年以上とも言えるマシンの進化の差を見せつけられたという感は否めないだろう。ホンダがNSRの開発をストップし、グランプリへの投入を中止してから既に5年の歳月が経過している。
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逆に、アプリリア・ワークスからの公式サポートを受けるチームにとっては、残りの年間シーズンに向けての期待が大きく膨らむ開幕戦となった筈だ。


■MotoGP250ccクラス、開幕戦カタール・グランプリの結果

3月10日にカタールのロサイル国際サーキットで行われた250ccクラスの決勝レース結果を以下に示す。
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1) ホルヘ・ロレンソ SPA フォルツナ・アプリリア アプリリア 40分23秒753(20周)
2) アレックス・デ・アンジェリス RSM マステル-MVA・アスパル アプリリア 40分24秒977(20周)
3) エクトル・バルベラ SPA チーム・トース・アプリリア アプリリア 40分26秒664(20周)
4) トーマス・ルティ SWI エミー・カフェラテ アプリリア 40分26秒987(20周)
5) アンドレア・ドビツィオーゾ ITA ヒューマンゲスト・レーシング・チーム・250cc ホンダ 40分36秒451(20周)
6) ロベルト・ロカテリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ 40分45秒321(20周)
7) 高橋裕紀 JPN ヒューマンゲスト・レーシング・チーム・250cc ホンダ 40分55秒293(20周)
8) フリアン・シモン SPA レプソル・ホンダ・250cc  ホンダ 41分04秒220(20周)
9) マルコ・シモンチェリ ITA スクアドラ・コルセ・メティス・ジレラ ジレラ 41分09秒945(20周)
10) 青山周平 JPN レプソル・ホンダ・250cc  ホンダ 41分22秒431(20周)
11) アレイックス・エスパルガロ SPA ブルセンス・アプリリア アプリリア 41分26秒515(20周)
12) ファブリツィオ・ライ ITA カンペテーラ・レーシング アプリリア 41分31秒468(20周)
13) アンソニー・ウェスト AUS チーム・シチリア アプリリア 41分34秒375(20周)
14) ラタパー・ウィライロー THA タイ・ホンダ・PTT-SAG  ホンダ 41分35秒347(20周)
15) ディルク・ハイドルフ GER キーファー・ボス・ソティン・レーシング アプリリア 41分36秒252(20周)
16) ジュール・クルーセル FRA アンガイア・レーシング アプリリア 41分47秒504(20周)
17) アレックス・バルドリーニ ITA キーファー・ボス・ソティン・レーシング アプリリア 41分56秒896(20周)
18) ユージェーヌ・ラバティ IRL ホンダ・LCR ホンダ 42分02秒211(20周)
19) イムレ・トース HUN チーム・トース・アプリリア アプリリア 42分02秒301(20周)
DNF) ミカ・カリオ FIN レッドブル・KTM・GP250 KTM 36分43秒436(18周)
DNF) アルトゥロ・ティソン SPA ブルセンス・アプリリア・ジャーマニー アプリリア 29分21秒099(14周)
DNF) 関口太郎 JPN カンペテーラ・レーシング アプリリア 21分11秒863(10周)
DNF) カレル・アブラハム CZE カルディオン・AB・モーターレーシング アプリリア 14分42秒349(7周)
DNF) アルバロ・バウティスタ SPA マステル-MVA・アスパル アプリリア 4分12秒302(2周)
DNF) 青山博一 JPN レッドブル・KTM・GP250 KTM 4分12秒914(2周)



■アプリリアの筆頭ライダーは今年の開幕戦も逃げ切り勝利

晴天の下、気温28度、路面温度47度のロサイルサーキットで行われた2007年度の250ccクラス開幕レースの全体をリードしたのは、昨年度チャンピオンであるフォルツナ・アプリリアのホルヘ・ロレンソだった。2ラップ目までに先頭に立ったロレンソは、そのまま最後まで快調な走りを見せると、2年連続となる開幕戦での独走勝利を手にしている。マックス・ビアッジを崇拝する彼にとっては、正に理想的な逃げ切り型の勝利だった。

■ロレンソ「自分では勝てると思っていた」

写真「ミスをまったくする事なく走り切れて嬉しかったですね。この勝利を誇りに思います。」とロレンソ

「自分がここでは勝てないというのが大方の意見だと聞いていました。でも、テストの時のマシンの仕上がりから、勝てるだろうと自分では思っていましたけどね。実際、レースの中盤から逃げ切り体制に入れたので、後半は勝利を確信して走っていました。」

「全力を出し切って強さを再び証明できて良かったです。バイクにナンバーワンの文字を貼っている事で、自分のやる気が今年はさらに高まっている事をお見せできたと思います。今週カタールに到着するまでは、ジムに通って何キロも減量したりして大変でしたが、おかげで今は去年と同じくらいに体調の仕上がりも万端です。」

「次戦のヘレスはスペイン人にとっては特別ですから今から楽しみです。去年みたいに勝ちたいですね!」

■昨年に引き続き力を見せるデ・アンジェリスとバルベラ

ロレンソ以外にも、昨シーズン中に目立った他のアプリリア勢も開幕戦から健在だ。
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オープニングラップで先頭集団内での軽い接触により順位を落とし、レース全体を通して後方からの追い上げを見せるという昨年の彼のパターンを今回の開幕戦でも再現したマステルMVAアスパル(アプリリア)のアレックス・デ・アンジェリスは、14ラップ目には今回の3位表彰台を獲得したチーム・トース(アプリリア)のエクトル・バルベラを交わし、ロレンソの3秒後方で2位チェッカーを受けている。

■公式アプリリア勢に加わり、期待される2名の125ccチャンピオン

また、好調なのは昨年度からのアプリリア公式ライダーだけではなく、今年度から250ccクラスにステップアップしたばかりの元125ccチャンピオンたちも、アプリリアのマシンで勢いを増している。

2005年度にホンダで125ccクラスを制覇したエミー・カフェラテ(アプリリア)のトーマス・ルティーはレース序盤にはトップに立ち、2ラップ目にロレンソに交わされた後も先頭集団内でのポジションをキープしており、最終的に250ccデビューレースとなった今回は4位を獲得している。
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また、2006年度125ccチャンピオンのアルバロ・バウティスタは6位を走行中の3ラップ目終盤に転倒して初戦をリタイアしているものの、レースウイークを通して他の250ccライダーを圧倒するタイムをたたき出しており、次戦のヘレスでは表彰台争いに加わってくる事が十分に予想される。

今年のアプリリアはマシン性能だけではなく、選手の層も非常に厚くなっており、昨シーズンよりもさらにハイレベルな戦いが、2007年の250ccクラスには期待できそうだ。


■カンペテーラと関口選手、今後に向けて前向きな姿勢

なお、アプリリアのマシンであっても、上記のアプリリア公式ライダーたちとは境遇の全く異なるチームもある。関口太郎選手の所属するカンペテーラ・レーシングがその1つだが、彼らは昨年までと同様に今年も市販のキット車で戦っている。

今年から125ccクラスではホンダのライダーとして活躍したファブリツィオ・ライを迎えたカンペテーラは、開幕レースでは2名のライダー揃って納得の行く結果が得られなかった様子だが、今後に向けての姿勢は前向きだ。

■IRTAテスト中の怪我の影響に苦しんだライ

ライはカタールでのIRTAテスト中の3月1日に転倒してひざを痛めており、その怪我の影響からレース中は12番手のポジションをキープする事が精一杯となり、攻めの走りが一切できていないという。ライはマシンのハンデをあまり感じさせない2分1秒台の好タイムを今回の開幕レースウイーク中に記録しており、怪我が完治した後のヘレスに向けては、さらなる高い順位の獲得に意欲を燃やしている。

■関口選手「マシンが速い事は分かった」

また、過去2年連続して開幕レースウイーク中に足に大怪我を負い、今もその怪我の回復を待ちながらの忍耐の走りを続ける関口太郎選手は、マシンに電気系トラブルが発生したために久しぶりの出場となった開幕レースを完走をする事ができていない。しかしながら、関口選手は今回のレースを通して、今シーズンに向けての自信を取り戻す事はできた様子だ。

「残念ながら些細な電気系トラブルが発生してレースを走りきる事はできませんでした。ただ、今回はバイクが速い事も分かったし、完走できていれば最後尾じゃなかった事も分かったので、あまり気にしすぎないようにします。」と関口選手

「あと何レースかが終わって足が100%完全な状態になれば、自分が本当に戦えるレベルになる事は分かっていますから、今はその日を目指して走り続けるだけです。」


■開幕レースは不幸な結果に終わったKTM

昨年から青山博一選手と共に250ccグランプリへのフル参戦を開始したKTMは、今回のカタールにおける第1戦では所属する2名のライダーが共に不幸な結果に終わっている。
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KTM2年目の青山博一選手は8位を走行中の3ラップ目に単独転倒、125ccクラスからステップアップしてきたばかりのミカ・カリオは7位を走行中のレース終盤にエンジントラブルに見舞われており、2名とも完走には至らなかった。

■青山博一選手の手術は成功
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転倒して小指まわりの皮膚組織や靱帯を負傷した青山博一選手は、レースの翌日には自宅のあるバロセロナに戻り、昨年はセテ・ジベルナウやエクトル・バルベラの骨折を治療した事でも有名なデシェウス病院のザビエル・ミール医師による手術を受け、2日後には無事に退院している。なお、10日間は指をピンで固定され、その後も皮膚が再生するまでの期間は患部を動かす事ができないため、次戦のヘレスの欠場はすでに決定している。
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■カリオ「先頭集団にはついていけなかった」

デビューレースとしてはまずまずの内容だったとKTM監督のハラルド・バートルからは評価されるミカ・カリオだが、完走できなかった本人にとっては当然の事ながら納得のいかない開幕レースウイークとなった様子だ。

「スタートはうまくいったんですが、先頭集団についていくのは難しかったです。」とカリオ
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「ロベルト・ロカテリだけは自分と同じようなペースだったので、1秒遅れくらいの位置でレースの間はずっと彼を追いかけていまいたが、タイヤのグリップが足りなくて最後までアタックはできていません。」

■新マシンの開発に取り組むKTMの評価は次戦に持ち越し

開幕レースは不本意な結果に終わったが、メーカーが誇る独自の燃料噴射システムを持ち、昨年は時としてストレートでもアプリリアに迫る加速性能を見せ、エンジンのみならずシャシーも日々進化しているという小排気量クラスに本腰を入れているKTMだけに、まだ次戦のヘレス以降のレース内容を見てみない事には、2007年仕様のマシンや、新ライダー体制となったチームの今後の勢いは分からないだろう。
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昨年は真っ向からアプリリア軍団に立ち向かって世界からその開発能力の高さが注目された青山博一選手と、実力派のカリオの今後の動きには要注目だ。


■ホンダ勢は今年も高速サーキットでは苦戦?

冒頭にも述べた通り、今回の高速サーキットのカタールでの開幕戦はストレート加速に有利なアプリリア勢に表彰台を独占されたホンダ勢だが、そのマシンパワーの差を最も痛感していたのは、レース序盤は2位のポジションからロレンソを追い、タイヤの消耗から中盤以降は先頭集団の最後尾となり、5位でレースを終えたヒューマンゲスト・ホンダのアンドレア・ドヴィツィオーゾだったようだ。
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■ドヴィツィオーゾ「先頭集団に離されないように全力で走った」
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「先頭集団についていくために、最後まで全力を尽くしました。」とドヴィツィオーゾ。

「アプリリアとホンダのライダーの両方が同じようなフロントまわりのトラブルを抱えていましたが、それに加えて自分たちのマシンはアプリリアほど加速力がないので、レース中は常に限界走りを強いられました。」とドヴィツィオーゾ

「それでタイヤが終わってしまい、その後はいいラップタイムを出す事ができていません。次のヘレスに期待します。」

■高橋選手は怪我からの復帰戦に満足

なお、ドヴィツィオーゾのチームメイトの高橋裕紀選手にとっては、今回の開幕戦は昨シーズンの最終戦のバレンシアで足を4箇所骨折するという大怪我からの復帰戦であり、安定したペースで苦手だったカタールをホンダ勢の中での2番手となる7位で完走できた事に、冬季中の過酷なリハビリメニューをこなしてきた高橋選手は満足しているという。

「この結果はすごく嬉しいです。」と高橋選手
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「スタートはあまりうまくいきませんでしたが、レース中には全力を出し切ってそれを挽回できたと思います。去年までこのコースとの相性は良くありませんでしたが、今年は十分な走りができたのでとても満足できています。」

「ヘレスではもっと上を狙います。先頭集団には入りたいですね。」


■レプソル・ホンダ期待のシモンは痛み止めを打っての参戦

冬季のメーカー合同テスト中はアンドレア・ドヴィツィオーゾのタイムを上回るホンダ勢の中でのトップタイムを記録し、今シーズンからの250ccクラスでの活躍に大きな期待のかかる125ccからのステップアップ組の1人であるレプソル・ホンダのフリアン・シモンは、開幕レースを8位の成績で終えている。これはホンダのライダー中3番手の成績だ。
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今回のシモンにとっての不本意な成績は、ホンダのマシンの加速力云々ではなく、ヘレスのIRTAテスト中の転倒で負った左肩の脱臼と、その後に発覚した肩周辺の骨折による痛みの影響が大きいようだ。シモンは今回のレース前に痛み止めの注射を受けているが、レースの後半には痛みが悪化し、走行ペースを上げる事ができなくなったという。

■回復後の躍進が期待されるシモン

なお、シモンはレース前半には全体のファーステストを記録しており、このレプソル期待のスペイン人ライダーは、怪我の回復後はホンダにとっての大きな戦力となる事は間違いなさそうだ。
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「今週のチームの協力には本当に感謝しています。痛みが少しでも柔らぐようにバイクのセッティングを何度も調整し直してくれましたからね。おかげでレースに入るまでに、少しずつ改善を進める事ができました。」とシモン

「スタートはあまりうまくいきませんでした。多分その影響もあって1コーナーで大回りをしてしまい、オープニングラップ中は順位を挽回するのに必死でした。」

「レースの中盤まではカリオ、ロカテリ、それと高橋にくっついて、ほとんど限界ぎりぎりの状態で走っていましたが、右腕がひどく痛み出してから2回くらいミスをして、その後は全くペースを上げる事ができていません。体重を全部そっちにかけていたので、負担がかかりすぎていたんだと思います。ただ、とにかくレースを完走する事だけはできましたから、今回はそれが重要だったと思います。」
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「今はヘレスが楽しみですし、250ccのデビュー戦をいい結果で終われた事にも満足できています。チームとアルベルト(プーチ)、それとレプソルの支援に深く感謝します。」

■2年目もカタールに苦悩する周平選手
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レプソルホンダ2年目であり、今年はフリアン・シモンをチームメイトに持った青山周平選手は、IRTAテスト中から苦手意識をあまり克服できずに苦しんだカタールでの開幕戦を、ホンダの4番手となる10位で終えている。

今回の結果は自分のライディング・スタイルの問題だと、周平選手は落胆している様子だ。
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「スタートがうまくいかず、他のライダーを抜く事もできませんでした。」と周平選手

「まったくいいとこなしです。一番の問題は自分のライディング・スタイルでしょう。いいセッティングが見つからないし、このサーキットを攻略する事もできていないんです。」


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